ついにリリースされるということがいまだに本当かどうか信じられないでいるのだけど(笑)、まあ、トラックリストやジャケ写も公開されていることだし、今回は本気なんだと思います。
ラッパーとして新作が出ない間にも客演仕事や女優業をこなしていた訳で、決して何もしていなかったわけではないのだけど、11年という月日は待たされるにはあまりに長い月日ですよね。それはもちろん、当人にとってこそ、そうでしょう。やっと新作が出せる・・・イヴ自身がきっとそう思っているに違いないと思います。
さて、イヴのことを考えながらふと思ったのは、女性ラッパーの栄枯盛衰というか、女性ラッパーとしてこの業界で生き残ることの難しさです。90年代から2000年代にかけて活躍した女性ラッパーを思い出してみると、ダ・ブラットにリル・キムにフォクシー・ブラウンにミッシーにショウナにと、どのラッパーも2000年台の半ばでその命脈が途絶えてしまうんですよね。つまり、次の新作が出せないままフェイドアウト。トリーナは頑張っていると思うけど、それ以外はよくて新作の制作に取り掛かっているという話があるだけですよね。ミッシーなんか、さすがにコンスタントに客演仕事こなしてるけど、どちらかというとプロデューサーとして花開いた感じで、予告されている『Block Party』なる新作はいまだにリリースの目処すら立ってない。
そう思うとニッキー・ミナージュの快進撃はすさまじいと思うのだけど、そんな彼女ですら最近ちょっと失速気味な気がするんですよねー。大変だなあw
ということで、女性ラッパーの時代が再度来ることを願いながら、今回はイヴのデビュー・アルバムを取り上げようと思います。
タイトルどおり、ラフ・ライダーズという当時の新興ヒップホップ勢力の紅一点女性ラッパーとしてイヴはデビューしました。アルバムはいきなり全米1位の大ヒット。一躍イヴの名前を全国区に知らしめましたね。
さっそく内容に移りましょう。注目はなんといっても、アルバムの大半をスウィズ・ビーツがプロデュースしているということ。当時の彼らしいビートが炸裂する、懐かしくもクールな一枚になっています。
一部をかいつまんで見ていきます。
(2)Let's Talk About feat. Drag-On
クルーのドラッグ・オンを迎え、これぞラフ・ライダーズな強烈なビートに乗せて、イヴの切れ味バツグンのラップが響き渡るオープニングにふさわしい一曲。
(3)Gotta Man
アルバムからのリード曲。安っぽくもあるギター・シンセのループに女性コーラスが加わった、少しかわいらしい仕上がりの曲。女性ラッパーっぽいなあと思うけど、イヴのラップはタイト。
(7)Ain't Got No Dough feat. Missy Elliott
新作にも参加しているミッシー・エリオットが客演。音もさることながら、フックでのシャウトするようなミッシーの声が強力で、これぞ強いオンナのラップって感じがしますね。
(9)Love Is Blind
セカンドシングルで、シングルではフェイス・エヴァンスをフィーチャーしています。こちらもギター・シンセと打ち込みビートの組み合わせ。オリジナルではイヴがフックを歌っています。
(15)Maniac
音からしてひたすら盛り上げる系のスウィズ・ビーツお得意のクラブバンガー。男臭いフックも手伝って、聞いてるだけで汗をかきそうな一曲。
(18)What Y'all Want [Remix]
元々ラフ・ライダーズのコンピに入っていた事実上のデビュー・シングル。ラテンフレイバーを取り入れた、アルバムの中では変化球的な一曲になっていますね。
これが流行っていたんだと思うと、なんかスゴイなあと思わせる、そんな音作りですね。スウィズ・ビーツは、いまなお奇抜なビートを作り続けているけど、初期の尖ったサウンドは、ラフ・ライダーズという新興勢力を特徴付けるには十分過ぎる象徴的なものだったなあと振り返ると思います。そして、そのビートに負けることないイヴのパワフルなラップも。
11年の時を経て、彼女がどんなカムバックを果たすのか、いまから楽しみですね。
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