せっかくのこの時期なので、今回は特別企画として、わが家にあるクリスマス・アルバムをいくつか紹介しようと思います。
日本ではそれほど馴染みがないですが、アメリカではある程度のキャリアを持つアーティストなら一度は手を染めるという代物、それがクリスマス・アルバムです。わざわざこの時期のためだけに、アルバムを一枚作っちゃうだなんて、それこそ贅沢だと思うのですが、みんなこぞってこうしたアルバムを制作する背景として、①冬季限定とはいえ爆発的にヒットを記録する可能性がある(定番になるとコンスタントに売れ続けることも)、②たとえ売れなくても「クリスマス・アルバムだから」と言い訳できる、③スタンダードのカバー中心で制作できるから、シングルヒットを狙う必要もないし、楽曲制作のコストも抑えられる、④トレンドを押さえることもアーティストイメージを守る必要もなく、制作面でも比較的自由に取り掛かれる(その分、意外な側面を披露することもできる)、⑤プロモーションにそれほど労力を費やす必要がない(ヒット前提でないならば)、などが上げられると思います(他にもあるかも・・・)。
まあ、日本のアーティストがいつからか「さくら」の歌をこぞって出し始めたように、アメリカにとってこうしたアルバムというのは、いまやある種の伝統を形作っているのかもしれませんね。
それはそうと、アメリカでもっとも売れたクリスマス・アルバムって何かご存知ですか? これが、調べてみてわかったのですが、1957年にリリースされたエルヴィス・プレスリーの『Elvis' Christmas Album』が1位なんだそうです。これまでに累計1300万枚ほどの売り上げがあるそう。なんでそんなにヒットしたのかわからないのですけど(いや、確かにスーパースターだから売れて当然なんだけど)、とにかくすごいですね! この記録はそうそう破られることはないでしょうね。それ以外にも、近年ではジョシュ・グローバンやマイケル・ブーブレらが大ヒットを飛ばしていますね。
さて、今年もいろいろなアーティストがクリスマス・アルバムを出していて、個人的にはメアリー姐さんのアルバムが気になっているのですが、ちょっとお値段高めだし地味そうなので買い控えています(汗) というか、中古以外でクリスマス盤ってほとんど買ったことない気がしますね。なんていうか、そこまで頻繁に聴くもんじゃないので。
ただ、それでも、マイ・ライブラリーにはいろいろなクリスマス・アルバムがあるし、この時季になるといろいろ引っ張りだして聞きたくなるものです。なので、今回はその中からオススメの作品をいくつか取り上げたいと思います(いつもみたいな詳細な解説はなしです)。
☆Mariah Carey『Merry Christmas』(1994)
言わずと知れた、女王マライアの定番クリスマス・アルバムです。日本でここまでヒットした洋楽クリスマスソングはない、というぐらいの名曲「All I Want for Christmas Is You」を収録したこの作品。あのイントロを聞いただけで、誰もがウキウキとした気分になってしまいます。
全体を通して聴くと、ゴスペルの影響を受けた曲が多く、彼女らしいゴージャスな歌声が響き渡る王道な作りになっています。アップからバラードまで、ココロあたたまる10曲を収録。タイムレスな魅力に満ちていて、いまでも普通に聞けてしまうのがスゴイですね。
☆Mariah Carey『Merry Christmas II You』(2010)
大ヒット作から16年ぶりとなる2作目のクリスマス作。チアリーディング風のオリジナル曲「Oh Santa!」の弾けた作風に驚きつつも、全体的にはアップよりもスローが中心で、スタンダードをしっとり歌い上げるマライア様の歌唱を堪能できる作風になっています。
原曲との違いがいま一つはっきりしない「All I Want~」の別ヴァージョンや途中からハウスに変わる「蛍の光」など飛び道具もありますが、こちらも安心して聞ける仕上がり。
☆Kelly Price『One Family: A Christmas Album』(2001)
マライア様の94年作にコーラスで参加していたケリー・プライスのクリスマス盤。ゴスペルとクリスマス・ソングの相性の良さというのもあるのだけど、彼女のように本格派が歌うとまた格別ですね。ときにやさしく、ときにパワフルな彼女のヴォーカル、さすがだと思います。ゴスペル・マナーに従った生音のロックっぽいアプローチや、彼女の子供たちとの共演もあったりして、実は一筋縄ではいかない構成のアルバムだったりするのだけど、基本はゴスペル~R&Bマナーのアルバム。とにかくこの歌声には圧倒されるしかない、そんな一枚ですね。
☆Babyface『Christmas with Babyface』(1998)
あま~~~~~~い!某芸人のギャグじゃないですよ(笑) でも、とにかくスウィートなんです。さすが童顔師匠。オシャレで小粋で、とにかくオトナのクリスマス盤だなあと思います。いったい、こんな音楽聞きながら過ごすクリスマスってどんなんだろう。
一曲だけレゲエ調の「I'll Be Home For Christmas」という飛び道具的な曲がありますが、これさえも上品。かけ声の「ホ~」すら控えめな師匠、だったらそんなの入れなきゃいいのにね。本当にお茶目だわ。
☆Joe『Home Is The Essence of Christmas』(2009)
日本でも大人気のジョー様のクリスマス盤。何歌ってもロマンティックに聞こえちゃうけど、この作品も期待を裏切りませんね。なんといっても特筆すべきなのは、全編ジャズマナーということ。R&B作品を期待すると肩透かしを食らうわけだけど、個人的には何の違和感もなくジョー作品として楽しめました。
スタンダード以外にも、オリジナルが3曲入っているのも嬉しいですね。10曲目がインストなのは少し謎なのですが・・・曲数足りないから無理やりぶっこんだのかもw
☆Michael Bublé『Christmas』(2011)
このアルバムには個人的に思い入れがあります。もちろん、大ヒットした作品で、クリスマス・アルバムの新定番だと思うのですが、なんといっても、相方に「これ欲しい」って言ったらクリスマス・プレゼントとして買ってくれたというスイートな思い出があるのです。ああ、一生手放せないアルバムですね。彼もまたスバラシイ声の持ち主、若手でスタンダードを歌わせたら右に出るものはいないというぐらい人気・実力備えたシンガーです。そんな彼が歌うクリスマスソングが悪いわけがありません。これまた全編スイートで、ロマンティックな気分にさせてくれます。アレンジも上品!
ということで、世の中にはまだまだ上質なクリスマス・アルバムがあるわけですが、今回はこれぐらいにしておきたいと思います(手元にクリスマス盤が山ほどあるわけではないので)。また、いろいろな作品が揃ったら、パート2をしてみたいと思います。
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