2013年2月12日火曜日

50 Cent『The Massacre』(2005)

この前にひき続いて再び50セントを。今度はこちらも大ヒットしたセカンド・アルバム。ジャケ写はなぜか顔だけ実写であとはイラストという不思議なデザインになっていますが、再びムキムキな肉体をさらけ出しているのには違いないわけで、このマッチョぶりが当時の彼の勢いを象徴しているかのようです。

このアルバム、発売一週目にして114万枚を売り上げぶっちぎりの1位を獲得するといういわば「事件」を起こしました。ヒップホップのアルバムで、しかもソフォモア・ジンクスを跳ねのけてのこのチャート・パフォーマンス、とんでもない数字ですね。そりゃ、こんだけスターダムにのし上がったんだったら、口撃の一つや二つしたくもなりますわw

さて、内容ですが前作以上に多くのプロデューサーを迎えて、なんだかヘヴィーでとっ散らかった作品に仕上がっていますw はっきり言って、全部まともに聴くのは厳しいものがありますね。サウンドアプローチは前作より多彩かもしれないんですけど、玉石混交な感じがして、ちょっと締りがないなあと。まあ、ヒップホップのアルバムによく見られる70分超えの大作って多かれ少なかれ大味な仕上がりになってしまうもので、彼なりに頑張ったとは思うんだけど、クラシックとは呼びがたいなあと。


気になる曲をいくつか取り上げておきましょう。


(3)This Is 50
ピアノのベース音が不穏な雰囲気を醸し出すダークな一曲。この手の曲調を50は好む傾向になるなあと思ったりするのだけど、どうでしょう。

(5)Piggy Bank
いろいろなラッパーをディスった曲として話題になりました。ジャ・ルールにジェイダキスにファット・ジョーにナスにリル・キムにゲームにシャインにキャシディにと、どんだけ敵を作ったら気が済むねんという毒舌ぶりであります。PVは安っぽいCG仕立て。


(6)Gatman and Robin feat. Eminem
エミネムがプロデュース&客演にて参加。ズンズンと低音で煽るようなサウンドは、サントラっぽくもあり、エミネム好みなサウンドやなと思います。逆に言えば50っぽくないとも言えるけど。

(7)Candy Shop feat. Olivia
これは大ヒットしましたね。スコット・ストーチがプロデュース(実はファット・ジョーもいっしょに制作したと言われている)。ミニマルなビートに中近東のメロディーを加えた中毒性の高いクラブ・バンガー。オリヴィアさん(いまどこへ?)の妖艶なフックも魅惑的な一曲ですが、硬派なイメージから少し遠ざかってしまうような感じもしますね。


(8)Outta Control
ドクター・ドレーとマイク・エリゾンドが共作したクラブ・バンガー。これは本当にカッコイイです。さすがのドレー! でも、シングル・カットされた際はモブ・ディープによるリミックス版に差し替えられたんですよね。そっちもカッコイイけど、個人的にはオリジナルのほうが勢いがあって好きですね。


(13)Disco Inferno
アルバムからのリード・シングル。無名プロデューサーのトラックを起用したクラブ・バンガーだけど、チャート3位を記録したとはいえあまりインパクトを残せなかった一曲。PVもケツ振りまくりでエロすぎますが、ベタなところを狙いすぎたのかもしれませんね。


(14)Just a Lil Bit
スコット・ストーチが制作したアルバムからのサード・シングル。「Candy Shop」と同じ路線で笑えるのですが、こちらもチャート3位を記録してます。こういうのは抜け目がないですね。PVは・・・相変わらずですw


(20)So Amazing feat. Olivia
J.R.ロテムが制作、オリヴィアが今度はキュートな歌声を披露する一曲。派手なつくりはさすがポップ職人という気がしますが、さすがにこのさわやかな曲をアルバムに入れちゃう50ってどうなのって思ったりもします。



全22曲収録。インタールードもなし。かなりの重量感です。ハードコアな曲とクラブ・バンガーが散りばめられ、マーケティング的には申し分なかったとは思いますが、その分締りのない仕上がりに。これは好きな曲だけかいつまんで聴くのが一番ですね。単体ではインパクトの強い曲が入っているのは間違いないので。



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