2014年4月16日水曜日

Jazmine Sullivan『Fearless』(2008)

久しぶりの更新ですね・・・すんません。忙しくて、ブログ書くヒマありませんでしたわw

もちろん、音楽は聞いているんだけど、ほとんど作業用というか、何となく流しているっていう感じが多いですね。じっくり味わうとか、そういう鑑賞スタイルになかなかならないというのが現状でございます。

で、久しぶりに取り上げるCDがこのジャズミン・サリヴァンのデビュー作なわけです。

結論からいうと、傑作だと思います。当時まだ21歳というのが信じられないくらいに成熟した歌声と、完成度の高いプロダクション。いまでもたまに無性に聞きたくなってしまうんですよね、このアルバム。

セカンドも大好きなんだけど、今回はあえてファーストを選びました。一時期、音楽業界から遠ざかるみたいな話もあったりして、どうなるかと思いきや、今年に入ってライヴ活動なども再開しているとのこと。そこで、いろいろな期待を込めて、このアルバムを掘り下げたいと思います。

彼女の来歴ですが、フィラデルフィア出身です。「フィリー・ソウル」なんて言われるぐらいに、ソウル・ミュージックのメッカで、数々のアーティストを生み出してきたこの地に生まれた彼女、幼少の頃からコーラス隊で歌をうたっていたそう。そして、驚くべきことに、わずか16歳でジャイヴレコードと契約を結んでいます。しかし、当時予告されていたアルバムは残念ながら日の目を見ることがありませんでした。ただ、そこでいっしょに曲作りをしたミッシー・エリオットとの関係は継続させ、まずはソングライターとして下積みを重ねることになります。クリスティーナ・ミリアンやジェニファー・ハドソンらへ楽曲を提供しています。それとともに、新天地であるJレコーズとの契約も交わすことになります。

そこからリリースしたデビューシングル、「Need U Bad」がいきなりにヒットを記録します。そして、その勢いにのってアルバムをリリース、初登場6位を記録したほか、グラミー賞でも複数ノミネートされるなど、彼女の快進撃が始まるわけですね。

そんな彼女のデビューアルバムをさっそく聞いてみることにしましょう。全ての楽曲で彼女がソングライティングを担当しているほか、メイン・プロデューサーとしてとサラーム・レミが起用されています。

(1)Bust Your Windows
セカンド・シングルとしてリリースされた、アルバムの最初を飾るトラックで、サラーム・レミがプロデュース。ストリングスの使い方が印象的なほか、ラテン的な要素も取り入れた独特なサウンドに乗せて歌われるのは「あんたの車の窓をかち割ってやったわ」って、怖すぎでしょw 「あなたがわたしの心を壊したから、わたしはあなたの車を壊したの」って、いったいどんな心境なんだろうと思ってしまうんだけど、まあ、よっぽど辛かったんでしょうね。

(2)Need U Bad
記念すべきデビューシングルです。この曲が最初にR&Bチャートのトップまで駆け上がった時はちょっと不思議な気がしました。だって、どう聞いてもレゲエ調の曲だし(ラヴァーズ・ロックってやつですね)、これ聞いて彼女が正統的なソウルシンガーだなんて思えなかったんですよ。でも、それこそがこの曲のプロデューサーであるミッシー・エリオットの狙いだったのでしょう。敢えてそういう曲で勝負してきたというのが功を奏したわけですね。それに、全体的にレゲエテイストなんだけど、実はそうじゃない要素も入っていて、そこら辺のプロダクションの上手さというのも、この曲は光っていますよね。名曲だと思います。

(3)My Foolish Heart
アイヴァン・バリアスとカーヴィン・ハギンスのコンビによるプロダクションで、ジャズミンのコーラスワークも冴える佳曲。歌詞の内容はまたもや失恋について。この歌声でうたわれると、悲しみもいっそう強くなりそうです。

(4)Lions, Tigers & Bears
サラーム・レミ作の3枚目のシングル・カットで、リズムなしのワルツ調の楽曲。ストリングスのみで構成されたトラックに乗せて、ジャズミンが力強く歌い上げています。タイトルは、オズの魔法使いから取られたもので、「ライオンもトラも熊も怖くないけど、あなたを愛するのは怖いの」と、歌詞もインパクトのあるものです。

(5)Call Me Guilty
こちらもサラーム・レミ作のアップテンポなR&B。ジャズミンも畳み掛けるようにことばを重ねていくのだけど、歌詞の内容はまさかの殺人・・・彼からDVを受けて耐え切れなくなった彼女の行動と心情がストーリーになっています。

(6)One Night Stand
こちらはようやくというか、明るいノリの楽曲です。歌詞もあなたに夢中なのよといった内容。「ヘイ」なんて掛け声も飛び出しますね。

(7)After The Hurricane
スターゲイト作のトラックということで、アルバムの中ではちょっと浮いた感じがします。ピアノが主体のお得意の美メロサウンドなわけですが、これも失恋ソングですね。失恋攻めですな、ジャズミンさん。

(8)Dream Big
ミッシー・プロデュースの2曲目は、まさかのダフトパンク使い。あの独特なトラックにビートを加えて、4つ打ちの爽やかなR&Bへと昇華させてしまう手腕はさすがです。UKではファーストシングルとしてリリースされていますが、残念ながらヒットしませんでした。個人的にかなり好きな曲だったりします。

(9)Live a Lie
大活躍のサラーム・レミ作のトラック。ざらついたドラムの音が特徴的で、構造的に(5)に通じるものがあります。彼女の歌声によくマッチした軽快なサウンドだと思います。

(10)Fear
アルバムタイトルに反して、この曲では怖いものがたくさん歌われています。「レーベルから見放されるのがこわい、アルバムが失敗するのが怖い」なんてフレーズも出てきますよ。「人間だからこわいものの一つや二つわあるわよ」と、彼女の率直な気持ちが表現されていて好感がもてます。

(11)In Love With Another Man
実質的にラストナンバー。トラックはピアノとシンセのみで、ジャズミンがぬくもりのある歌声からゴスペルで鳴らしたパワフルな歌声まで、多才な表現で歌い上げる壮大なバラードになっています。

(12)Switch!
ボートラ扱いの最後は、ジャック・スプラッシュがモータウン調のレトロなサウンドをプロデュース、ジャズミンも弾けた歌唱を披露しています。内容は、本屋で出逢った男からディナーに誘われたんだけど、そこにいっしょに来た彼の友達の方が気になってアタックしてしまう、というおもしろいシチュエーションを歌ったもの。ちょっとした笑い話的なストーリと言えそうですね。


全12曲収録。ヴォリューム的にもちょうど聴きやすい長さだと思います。

多彩なアプローチのプロダクションなんだけど、一貫して彼女の声が素晴らしく、これは他の何にも替えがたいものがあります。もちろん、サウンドも素晴らしく(サラーム・レミさすがです)、彼女の声の特徴を活かしたものになっていることは言うまでもありません。


今年あたりニューアルバム出るといいなと思うのですが、どうでしょうか。前作からブランクが空いているとはいえまだ27歳だったりするので、いろいろ考えている時期かもしれませんね。

復活を期待しつつ、いまはこのアルバムを聴きながら気長に待ちたいと思います。




1 件のコメント:

  1. 初コメ失礼します。
    ジャズミンのこのアルバム自分もかなり好きで、愛聴しています。
    来年早々新作出るようなのでとても楽しみです。

    ご存知かもしれませんが、このアルバムUKのitunesオンリーでボートラがあったんです。
    かれこれ5年以上探してたんですが、入手する手立てがなくてずっと気になってたんです。
    それを先日よーやく見つけたので、この興奮を誰かに伝えたくて書き込みさせていただきました!
    Jazmine Sullivan Shallow
    https://www.youtube.com/watch?v=UC-5i3rNPEk

    ご存知でしたらすいません!

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