ラベル Female RnB の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル Female RnB の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2016年8月3日水曜日

Fantasia『The Defenition of…』(2016)

気付けば8月ですね。暑いのでさわやかな曲やパーティー気分の曲を聴きたいところですが今日取り上げるのはファンテイジアの5枚目となる最新作です。事前リリースされた楽曲を聞いたことがある人ならわかると思いますが、はっきり言って今回も濃い~ソウルです(笑)

前作『Side Effects of You』からの動きを振り返っておきましょう。まず、ブロードウェイのミュージカル『After Midnight』への出演がありました。歌手としてのみならず活躍の幅を広げていると言えそうです。また、2014年のグラミー賞において3部門でのノミネートがあり、R&B系アーティストとして着実に評価を獲得していることが確認されました。よろこばしいことです。そして、デビューからのディスコグラフィを見ればわかるように、3年ごとにコンスタントに新作リリースを続けています。そして、今作もRCA/19からのメジャーでのリリースとなります。

しかし、一方で前作の主軸だったハーモニー・サミュエルズは不参加で、代わりに指揮をとったのがなんとロン・フェア。当ブログ的には、レディー・ガガ、メアリーJ.ブライジやキーシャ・コールらのプロデューサーとして注目ですが、噂レベルでは最近ではTLCの最終作にも参加するといわれています。A&Rとしての実績が強く、それほどサウンド的に特徴があるわけではありませんが、逆に堅実なベテランともいえるでしょう。

意外といえば、R.ケリーの参加というトピックがありました。2014年の末にファンテイジアとレコーディングする写真がSNSにポストされ、果たしてどちらのアルバムに入るのかと思われましたが、今作にその成果が無事収録されることになりました。ただし、今回はよくあるデュエット形式ではないようです。

ということで、アートワークも相変わらず強烈な今作、さっそく見ていくことにしましょう。


2015年8月28日金曜日

JoJo『The High Road』(2006)

この前久しぶりにこのアルバムを聞き返してみました。おそろしくも豪華なプロダクション、きっととてもお金のかかった作品だと思うのだけど(もちろん高い完成度です)、このアルバムを聞きながらふと思ったことがあるのです。それは、「なぜ彼女はアリアナのようになれなかったのか?」ということ。アリアナより遥かに若い彼女だし時代が違うから比較するのもあれだけど、売り出し方をもっと考えたら、きっとアリアナみたいにもっとブレイクできていたんじゃないかなあ、と。

いやいや、ちょっと待って。確かにアリアナほどブレイクしなかったかもしれなかったけど、このアルバムだって全米3位のヒット作だぞ。シングルの"Too Little Too Late"だって3位になったわけだし(確かプラチナ認定)。決してブレイクしなかったわけではない。

でも、この作品のリリースの後、彼女は表舞台から姿を消してしまうわけです。しかも、それ相応の期間。もう歌手活動はしないのかと誰もが思うほどに、「ああ、そういえばいたよね」って思われるほどに(たぶん)。彼女が当時まだ15歳だったという驚愕の事実(そして現在24歳。カムバックというにはあまりにも若い)を差し置いても、この長きに渡る沈黙はいったい何だったのかと思ってしまうわけですよね。

まあ、こういう話をするのは、今年になっていよいよ待望の3枚目のアルバムが出るのではないかという情報が出回っているからなのですが・・・

改めて彼女のことに簡単に触れておくと、彼女は2003年に若干12歳でデビューしたシンガー。ティーンというかキッズシンガーかもしれないけど、そのアルバムがあまりに本格的だったからビックリ、という例のやつです。しかも、ブラックじゃないのにがっちりR&B歌いこなしてるよ、っていう、そういうやつです(笑)

今回取り上げるのは、セカンドアルバムですが、まだまだ若いのにその完成度の高さに舌を巻く、っていう、まあそういうやつですよw

話を戻しまして、セカンドリリース後のブランクの大きな理由として、彼女が所属していたレーベルのブラックグラウンドとの関係がこじれたという話があります。詳しくは調べていないのでわかりませんが、あまりにも若くしてそのようなトラブルに巻き込まれるというのは大変なこと。ただ、それを差し引いても、どういう方向性を目指すのかについて彼女自身にもしかして多少迷いがあったのかもしれません。

地下に潜っていたとはいえ、調べてみるとレコーディングなど活動は続けていたようで、2010年にはインディペンデントで『Can't Take That Away From Me』というミックステープをリリースしています。さらに2012年には『Agape』というミックステープをリリース、昨年は『#LoveJo』というミックステープを発表し、コンスタントに音楽を発表しています。

とはいえ、熱心なファンでなければ、そこまでの情報は把握していないでしょう。かくいうわたしも、リリース当時に音源はチェックしていたように思いますが、そこまで注目はしていませんでした。完成度は高いなと思いつつ、何かピンとこなかったというのもありましたね。あの歌唱力は健在だったけど、どういう方向へ彼女は行こうとしているのかよくわからないなあとは思っていたのです。

しかし、今年に入ってアトランティックとの契約が正式に発表され、いわばこの地下活動が実を結んだわけです。いろいろあったけど、長い道のりの末にいよいよ彼女が再び表舞台へ。ということで、彼女がどんな展開を見せてくれるのか、俄然楽しみになってきたわけですよ。

で、先日シングルがリリースされたんですけど、それがこれ↓ですね。ポップバラードにEDM…どうでしょうか、これは。歌はうまいけど、ヒットするかと言われれば???なブツですね(汗) みなさん、どう思います?



それはさておき、彼女の強みは圧倒的な歌唱力。しかし、歌がうまい人っていうのは、どういう路線で行くのか実は難しかったりするんですよね。半ば何でもできちゃうっていうのもあるので。だからこそ、プロダクションが大切だったりするんですが。

そう考えると、とりあえず彼女にとっていまだに最新作であるこのセカンドアルバムをいま聞き直すというのも、意味のあることに思えて来ます。何度もいうけど、何だかすごいプロダクションだったからw

はい、そういうことで、さっそくちょい懐かしいこのアルバムをチェックしていきますよ。

2015年6月13日土曜日

Ciara『Jackie』(2015)

久しぶりに投稿です。

ちょっとね、洋楽自体から最近ちょっと遠ざかってましたw 全く聞かないわけではなく、新譜もそれなりにチェックはしていたのですが、何というか、そこまで熱心に追いかけていないというか、聞いたものをアウトプットするに至らないという状況がしばらく続きました。

まあ、それ以外のことで忙しくてブログ書いている時間が割けなかったということもあるのですが、それにしてもこんなに更新ペースを空けるの久しぶりだし、それに対して「あっ、そういえばブログ放ったらかしだったわー」という程に、関心が薄れていたのも事実です。

だけどね、敢えて別の視点から言うけど、今年のアメリカ音楽業界の動向みたいなのをぼんやりと見ていて思うんだけど、「いやー、本当にR&Bってどうなっちゃんだろうね」っていう感じなのですが、みなさんどう思いますか? みんなどこ行っちゃったんだろうって、そんな気になりませんか?

昨年のジェニファー・ハドソンの記事でも書いたことだけど、女性R&Bシンガーの苦戦っぷりというのがまず顕著。だけど、男性含めてR&Bというジャンルからそもそもヒットが生まれていない! 最新のHIP-HOP/R&Bチャートを見ても、チャートを埋めるのが見事なまでにラッパーであって、そこにチョコチョコとシンガーが顔を見せる程度になっているのですよ。

この状況をどう捉えるべきか。下半期にかけてビッグヒットが生まれると期待したいけど、とにかくこのジャンルがいまのトレンドではないということなんでしょうね。そこに一抹の寂しさを覚えてしまいます(ま、世の中猫も杓子もEDMやら何やらですからねえ~)。

さて、そんな中で、久しぶりの記事でどの作品を捉えるのか迷ったのだけど、いろいろと象徴的な気がしたのでシアラの最新作をピックアップしてみました。いや、単純にシアラが好きなだけなんだけどさw

シアラと言えば、前作からわずか2年のインターバルでの順調な新作リリースなんだけど、その間に別れちゃいましたね、フューチャーさんと。いやー、早いわ。そして、さっそくそれをネタに曲作ってるしw いや、ネタにしては壮大過ぎるんですけどね・・・。

逆に創作意欲に火がついたのかもしれませんが、彼女のようにサウス系のビートを基調としつつ、トレンドを取り入れながら先端的なR&Bサウンドに挑戦してきたアーティストが、いまの時代にどんな音楽を提示してきたのか、個人的にはそこに興味があったりします。

ということで、アルバムの中身に移っていきましょう。


2015年2月8日日曜日

Jazmine Sullivan『Reality Show』(2015)

あ、あけましておめでとうございます・・・久しぶりの更新です。

気付けば年も明け、グラミー賞の発表が近づく時期にまで来てしまいましたが、ようやくというか、ボチボチとブログを再開したいと思います。

さて、ジャズミン・サリヴァンです。以前にブログで一度彼女のデビュー作を取り上げたことがありましたが、4年のブランクを経て見事にカムバックしました。一時期は引退宣言もあっただけに、こうして帰ってきてくれたのはうれしい限りです。やっぱり彼女の声は唯一無二のものですからね。裏方としてのクレジットもここ最近チョコチョコとみられるようにはなっていましたが、表舞台に再度あらわれたということでめでたいことです。

でも、まあ、彼女のような才能のあるアーティストが簡単に音楽業界から足を洗うとはだれも思わないですよねw 前作リリース後にはいろいろと不満をぶちまけたりもしていましたが(「わたしはロボットじゃない」なんていう曲もありました)、つまり成熟するために時間が必要だったということだったのではないでしょうか。その結果、彼女がどんな作品を作り出したのか、そこが注目ですね。

まず今作のタイトルですが、「リアリティ・ショー」と名付けられています。R&Bシンガーもその舞台に登場することもあるだけに、このタイトルなかなか意味深ですが、彼女の生きざまを示したものなのか、テレビ的なリアリティを揶揄したものなのか、とにかくこれまでと違うことがこれだけでもわかります。

次に、これは予想できたことですが、今作にはあのミッシーが不参加です。彼女に決定的なヒットを授けてきただけに残念といえば残念ですが、もし新たな道を模索するなら必要な別れだったのかもしれません。替わりに、サラーム・レミ(彼はデビュー作から連続で参加)、新たにキー・ウェインやチャック・ハーモニーといった面々がプロデューサーとして名を連ねています。

それではさっそくアルバムの中身へうつることにしましょう。

2014年12月5日金曜日

Mary J. Blige『The London Sessions』(2014)

メアリーJ.ブライジの今年2作目となるニュー・アルバムがいよいよリリースされました。通算13枚目。齢43にして、いま脂が乗っているといってもいいかもしれません。

しかし、正直いうと、個人的にはかなり不安がありました。以前別記事で書いたことだけど、ここ最近のメアリーといえば、サントラ盤にクリスマス盤に、そしてタイトルそのままにロンドンで制作された今作と、企画物が続いています。この動きというのはある種の賭けとも言えるもので、40歳を越えて新たな試みに挑もうとしているR&Bレジェンドの果敢な姿勢の現れとも捉えられるし、しかしながら一方で仮に商業的に失敗したとしても「企画物だから」という逃げ道のあるリスクヘッジに基づいたものとも言えるわけです。サントラが大コケした後だけに、果たして今回はどうなんだろうと、発売前からドキドキさせられました。

振り返れば、正統的なオリジナル作である『My Life II』(2011年)は、いまいち垢抜けない作品でした。続き物がオリジナルを越えられないという定説を、あざとくも証明するような形になってしまったわけです。そこで、メアリー自身も何か感じたのでしょう。企画物を続けることで、アーティストとして何か新しい自分を見出そうとしたのかもしれません。一線で活躍し続けることの難しさですね。

ここで、このアルバムの背景を一応紹介しておきましょう。この企画の発端となったのはイギリスのエレクトロデュオ、ディスクロージャーの「F For You」のリミックスへのヴォーカル参加でした。これ自体なかなか斬新な組み合わせではありましたが、このリミックスのヒットを機に、メアリーはディスクロージャーとEPを制作できないか画策します。そして、新たなサウンドを求め、彼女は1ヶ月のロンドン滞在を決め、そこで現地のミュージシャンとのコラボレーションを重ねることになります。その成果が今作というわけです。アルバムの制作にあたっては、旧知の仲であるロドニー・ジャーキンスが音楽面での指揮を取ることになるのですが、よくもこの短時間でこれだけのプロジェクトを完成させることができたなあと思いますね。彼女がロンドンに滞在していたのは7月ですからね。どこまで彼女が動いたのかわからないけど、今作のためにキャピトルと契約まで結んでいるわけで(ちなみに企画盤ではヴァーヴ、エピック、キャピトルとレコードディールを替えていますが、インタースコープとの契約はもう切れたんでしょうか?)、そう思うとこの行動力はさすがと言えます。

前回のサントラとは違い、今回はプロモーションもたっぷりと行われました。9月にはiTunes Festival
への出演を果たしたほか、各種テレビへの登場もありました。しかし、残念なことに、先行リリースされたシングルはどれもチャートインせず、という厳しい結果に。R&Bシーン自体の停滞という側面もあるかもしれませんが、この反応の薄さは想定外だったかもしれません。

しかし、延期することなく今作は無事に発売されました。これは潔いことだと思います。何はともあれ、この待望の新作の中身を紐解いてみることにしましょう。

Faith Evans『Incomparable』(2014)

フェイス・エヴァンスが通算6作目となるニュー・アルバムをリリースしました。2年前には『R&B Divas』というグラミーにもノミネートされたコンピレーションのリリースもありましたが、純然たる新作ということになると、4年前の『Something About Faith』以来ということになります。

ちょうど、音楽キャリアをスタートしてから20年という節目の年にリリースされた今作ではありますが、20年にしてようやく6作目とは・・・なんとも寡作であります。前回取り上げたキーシャ・コールが10年足らずで6枚のアルバムをリリースしたのとは対照的です。たくさん出せばいいってわけじゃないし、実際には、アルバムのリリースにはレコードディールやプロモーションなどさまざまな条件があるわけで、作ったからといってすんなり出せるというわけでもないんだけど、まあ、ゆっくりながら着実に活動しているという印象ですね。

寡作といえば、同じく90年代半ばにデビューしたブランディーやモニカもそうですね。共通しているのは、子育てとシンガーの両立ということでしょうか。フェイスもご多分にもれず、振り返ると波乱の私生活を送っているわけですが、さまざまな経験や困難が歌へと昇華される姿を見ると、やはりアーティストだなあと思わされます。

急いで付け加えなければいけないのは、これだけマイペースに作品を発表しているフェイスではありますが、彼女のR&Bシンガーとしての特異な位置、その存在感はこの20年に渡り決して揺らぐことはなかったということです(少なくともわたしはそう思います)。今作のタイトルはいみじくも"Incomparable"(比較できない、唯一無二の)なのですが、まさしく、R&B業界においてこれだけ特徴的な、存在感のある声の持ち主はそういるわけではありません(魅惑のソプラノヴォイスですね)。そして、20年の時を経ても、全く衰えることがないというのも驚くべきことでしょう(むしろ成熟している)。

ここ最近の彼女といえば、リアリティ・ショーの『R&B Divas』への出演が話題でしたが、昨年から今作へ向けて動き始めており、今年になってアルバムのタイトルの発表がありました。そして、そのリリースの口火を切ったリードシングルがミッシー・エリオットとの共演ということで、ファンの間で話題を呼びましたね(たぶん)。チャート的にそれほど盛り上がったわけではありませんが、個人的には「キタ~」と思いましたよ。

ということで、いよいよリリースされた彼女のニュー・アルバムを紐解くことにしましょう。今回はほぼ全曲でフェイスがソング・ライティングのみならずプロデュースに関わっています。

2014年11月7日金曜日

Keyshia Cole『Point of No Return』(2014)

キーシャ・コールの通算6枚目にして、インタースコープからの最後のリリースと言われているニュー・アルバムを今回は取り上げます。

前作の『Woman To Woman』はこのブログでも取り上げましたが、それから約2年ぶりの新作ということで、リリースのペースとしては順調と言えるのではないでしょうか。

ただ、実際にこのアルバムに関してはいろいろと思うことがありまして、今回はそのことをまずは書きたいと思います。

まず、困ったのは今回のアルバム、大阪の大きなCDショップをいくつか回ったのだけど、輸入盤ですらフィジカルで流通してないのねw これには驚きました。すでにリリースしてから1月経っているけど、いまでも状況は変わらず・・・本国でもマイナーと思われるようなCDも取り揃えるような店で、彼女のCDを取り扱っていないのはなぜなんでしょうね。しかも、その店のウェブサイトではリリースされたことが告知されているのですよ。不思議過ぎます。

今後もしかしたら入荷の予定があるのかわからないけど、仕方ないので今回はitunesでダウンロードしました。当然ですが、今作は国内盤も出ないでしょうね。これでは、話題にもならないままフェイドアウトしても仕方あるまい・・・

それよりも、問題なのはこのアルバムの中身でしょう。具体的なことはこれから述べますが、この作品を聞きながら私の中にあることが思い浮かびまして、それは、ポスト『Beyoncé』時代をR&Bシンガーはどう生き残るのかということです。

この前も書いたけど、女性R&Bシンガーにとって今年は厳しい時代になりつつあります。確かにヒットチャートをみると女性アーティストが大活躍しているわけです。ただし、そこにR&Bシンガーは居てない。昨年末にビヨンセが一人勝ちして以降、ある意味R&Bはヒットの方程式を見失ってしまったかのような気さえします。ニューカマーとして期待されたジェネイ・アイコやティナーシェですら、チャート上でそこまでのインパクトを残せたわけではありません。

おそらく、その象徴がメアリーJ.ブライジの企画物CDであって、今月リリースの新作がどのような反応があるかわからないけど、少なくとも今年6月に出したサントラはあり得ないほどの大失敗。1年に2作という冒険は素晴らしいのだけど、一方で「企画物だから」という逃げも用意されている・・・メアリーですらそういうリスクを計算しなければいけない状況なわけです。

この前取り上げたジェニファー・ハドソンは、ある意味その解答の一つかなと思います。つまり、PBR&Bとの距離の取り方というか、そのムーヴメントにどこまで乗っかるのか、乗っからないとして、ではどういう方向性を目指すかということです。彼女の場合は、EDMという路線も避け、70年代のディスコ・ソウルへその活路を見出したわけですね。ただし、チャート的には成功しなかった。

では、キーシャ・コールの場合はどうか、という話なわけですね。結論から言うと、やっていることが中途半端というか、これは駄作と言わざるを得ない。彼女の良さが全然伝わらない。そして、彼女がこんなアルバムを作らざるを得なかったいまの時代とは、いったい何なのだろうと考えてしまったわけです。

ということで、さっそく中身をチェックしていきましょう。今回はブックレットがないために詳細がわからないのがツライのですが、分かる範囲で書きたいと思います。

2014年10月13日月曜日

Jennifer Hudson『JHUD』(2014)

ジェニファー・ハドソン、通算3枚目のアルバムを今回は取り上げます。

ですが、このアルバムの紹介をする前に、ビルボードの記事の中に興味深い文章があったので引用することから始めたいと思います。

ビルボード曰く、「女性R&Bシンガーにとっては不遇の時代である。現在[この記事の執筆時点]のR&B/ヒップホップチャートでトップ25にエントリーしているのはわずかにティナシェ、ビヨンセ、ジェネイ・アイコだけ」と。男性シンガーとラッパーがチャートを席巻するというのが、いまの全米のチャートであるというわけです。

つまり、そういう状況において彼女は新作をリリースしないといけなかった、ということです。音楽をめぐる状況が一定であるはずはなく、女性シンガー大活躍の時代も過去にはあったわけですが、、ただ、いまはそうなっていないということですね。

言われてみれば「なるほど」と思うと同時に、このジェニファー・ハドソンも、チャートアクションでは確かにかなり苦戦を強いられているなあということを思い起こしました。

まず本作へ向けた動きをみると、リードシングルとして昨年9月に発表された「I Can't Describe」はファレル作ということで話題にはなりましたが、R&B/ヒップホップチャートで29位どまり。今年に入って、ティンバランド作「Walk It Out」で反転攻勢を試みるも46位とチャート的には奮いませんでした。

それでも、アルバムがリリースされたのは喜ばしいことではありますが、その影響もあって、今作も全米初登場10位と過去の彼女の実績からすれば、かなり落ち込んだ結果になりました。

ただ、それと作品の質は別物。70年代の音楽にインスピレーションを得たというこの新作をさっそくチェックしたいと思います。

2014年10月3日金曜日

Jhené Aiko『Souled Out』(2014)

ロサンゼルス出身の女性R&Bシンガー、ジェネイ・アイコの待望のデビュー・アルバムを今回は取り上げます。

母親が日本人とアフリカ系アメリカ人のミックスということで、アジア系の出で立ちが我々にも親近感を抱かせる彼女ですが、現在26歳でありながら、その音楽キャリアは苦節14年を誇る、苦労人でもあります。

彼女が音楽業界に足を入れたのは2000年の頃、姉がGyrlというグループで活動していた縁で、クリス・ストークと知り合いになり若干12歳にしてエピックと契約、当時彼がプロデュースして勢いのあったB2Kのアルバムに参加したりツアーに同行しながら、自身のソロデビューへ向けても準備を進めますが、これが残念ながらお蔵入り。その後、一度音楽活動を休止し学業に専念、彼女の20歳の頃にはR&Bシンガーのオライオン(オマリオンの弟)との間に娘のナミコを授かり、一児の母になります。

それから時を経て、2010年頃から彼女は音楽活動を本格的に再開。まずは西海岸のラッパーの作品にゲスト・ボーカルで参加し知名度を上げます。それも、ケンドリック・ラマーにスクールボーイQにアブ・ソウルと、なかなかに濃いメンツ。そして、自身も2011年に初のミックステープとなる『sailing soul(s)』をリリース、カニエやドレイクまで参加した豪華な作りのこのアルバムが業界で高い評価を得ることになります。そこから、デフ・ジャム傘下にあるNo.IDのレーベル、アーティウム(ARTium)レコーズと契約し、2013年には本作の前哨戦とも言えるEP『Sail Soul』をリリース。全米8位を記録します。

そして、今年になっていよいよ発表されたのが本作というわけですが、すでに業界的な期待値が上がっていた中でのリリースということで、彼女の歌声を知っていた人にとっては、随分と待たされたという気がしないでもありません。プロモーションに十分に時間をかけたと言えそうですが、その効果もあって、本作は初登場全米3位のヒットを記録しています。先行シングルが目立ったヒットをしていない中で、これは大健闘といえるでしょう。

ということで、期待の新人でもある彼女のデビュー作の内容をさっそくチェックしていきましょう。

2014年9月11日木曜日

Ariana Grande『My Everything』(2014)

アリアナ・グランデの約1年ぶりとなるセカンド・アルバムです。去年このブログでデビュー作を取り上げてから1年、こんなに早く次作のレビューをするとは思いもしませんでした!

それにしても、スター街道まっしぐらですね。現在21歳ということで、アーティストとしても勢いのある時期だと思いますが、このハイペースでのリリースはもしやポストリアーナ的なポジションを狙っているのかと思わせるほどです。普通、こんなに早いインターバルでアルバムを出しませんからね。

そして、今年に入ってから来日も果たしていて、キュートなルックスも相まって日本での知名度も着々と上げつつあるのが素晴らしい。リアーナよりは確実に日本受けがいいだろうとは思いますが、押さえるところを押さえているのはさすがですw

アリアナちゃんのここ最近の動向を振り返っておきましょう。今年の1月には早くも次のアルバムに向けて動き出しているとの情報があり、実際に4月下旬にはイギー・アゼリアと組んだリードシングル「Problem」を発表、これがいきなりの大ヒットになります。全米チャートで見事2位を獲得、イギー・アザリアの「Fancy」がヒットしていたタイミングでもあり、この時機を得たコラボで一気に流れをつかみます。

そして、このヒットの勢いを保ったまま、次にセカンド・シングルとして「Break Free」を投下、こちらもいま勢いのあるDJ、Zeddとのコラボレーションで全米4位を記録します。さらには、ジェシー・J、ニッキー・ミナージュとのコラボである「Bang Bang」も同時期にリリースされ、こちらも全米4位のヒットとなります。

短期間でこれだけヒットチャートの上位にシングルをランクインさせるのは並大抵のことではなく、彼女の勢いを感じさせる出来事だと思いますが、この勢いのままにリリースされたのがセカンド・アルバムということになります。

では、さっそく中身をみていくことにしましょう。

2014年9月9日火曜日

Marsha Amrbosius『Friends & Lovers』(2014)

マーシャ・アンブロジウスの待望のセカンド・アルバムを今回は取り上げたいと思います。

「待望の」と書いたけど、前作から3年というブランクはアメリカの音楽事情を考えると決して長いとは言えないでしょう。ただ、すでに2年前に次のアルバムからのシングルとして「Cold War」という曲を発表しており、その後ニーヨを迎えての「Without You」の発表もあったことから(いずれも残念ながら今作未収録)、リスナーとしてはそれなりに待たされたことにはなるわけです。

はっきり言って、先行シングルがどれもヒットしなかったわけで、これ以上待ってもしょうがないから出したんだとは思うんですよね。ただ、確かに前作からは「Far Away」がヒットしたとはいえ、もともとそういう売れ線のアーティストではないとも言えるので、まあ、とにもかくにもアルバムをリリースしてホッといったところかもしれません。

ところで、マーシャ・アンブロジウスとは何者かみたいな話を今更するのはなんだかなあと思うんですが、R&Bフリークじゃないとなかなか知らないかもしれないので簡単におさらいしておきます。

イギリスのリヴァプール出身のマーシャは、2000年代に同郷のナタリー・スチュワートと"Floetry"を結成し、アメリカで活動します。アルバム2枚とライヴ盤1枚をリリース、いわゆるネオソウル系のサウンドを志向しながら、歌とポエトリー・リーディングという例をみない組み合わせで注目を集めます。しかし、グループはその後事実上の解散、二人はソロとしてのキャリアを歩むことになります。

マーシャは、ソングライターとしてアリシア・キーズなどと仕事をいっしょにした他に、一時期ドクター・ドレーのアフターマスと契約していたこともあり(結局リリースできずじまいの塩漬けパターンではありましたが)、ヒップホップアクトとの共演も多く果たします。ソロシンガーとしても着実に地を固めていったわけですね。

そんな中、2011年にソロ第1作目となる『Late Nights & Early Mornings』をリリース、いきなり全米2位のヒットを飛ばすことになります。このアルバム、一言でいうとエロいんです。スロージャムが主体の非常に官能的な作品で、マーシャの歌声がときにまるで喘ぎ声のように聞こえたりする、すごくアダルトな仕上がり。トラックは生音主体で、時流とか関係なくやりたいことやってます感が伝わる、ソロ作に相応しい内容でした。

そのマーシャのソロ第2作なわけですが、この口唇ドアップのジャケ写が物語るように、今回も官能的な作風を堪能できそうです。すでに37歳のマーシャなので、どんだけアダルト路線で攻めてきても驚きはしないわけですが、優れたソングライターでもある彼女がセカンドでどんな歌声を聞かせてくれるのか・・・さっそく、中身にうつるとしましょう。

2014年6月29日日曜日

Mary J. Blige『Think Like A Man Too』(2014)

このアルバムをどのように捉えるべきか、というのは野暮な問いかもしれません。メアリーJ.ブライジの新作であるとこの際はっきりと言ってしまいましょう。

昨年末にメアリーはヴァーヴからクリスマス盤をリリースし、新境地を開きました。あのアルバム、中古で少し遅れて入手したのですが、見事なまでにR&B要素はなく(ゴスペル風味の曲はあったけど)、ホリデイアルバムのマナーに沿った非常にクラシカルな作風で驚いたのを覚えています。色々とやってきたメアリーだからあれもありかもしれないと思いつつ、何か物足りなさを覚えたりもしました。シンガーとしての彼女の歌声を堪能するにはあれもまたひとつの趣きだったのかもしれません。

まあ、あれはああいう企画物だからよかったのですが、まさかその次作までも企画物で攻めてくるとは・・・これには意表を突かれました。サウンドトラックなんですよね、今回は。しかも、サントラなのに全曲メアリー姐さんの新曲っていうサプライズです。いままで多くのサントラに参加してきた彼女ではありますが、全曲メアリーっていうのは言うまでもなく初めてのことです。サントラとして考えても大胆な試みだと言えるし、メアリーのキャリアの中でも、一度あるかないかぐらいの特別な作品と言えるのではないでしょうか。

一応映画のサントラということで、音楽の中身も映画を意識したものになっているとは思うのですが、肝心の映画を観ていないので、世界観がどうシンクロしているのかというは評価することはできません(日本公開ってそもそもあるの?)。ただ、一つ大事なのは、この映画にメアリー自身は出演していないということ。過去にプリンスやマライア・キャリーが自身の主演映画に合わせてサントラアルバムを出したりしましたが、そういうことでもなく、純粋に彼女の音楽がサントラとして採用されたというわけなんですね。これは彼女の女性R&Bシンガーとしてのステータスと無関係ではないでしょう。メアリーだからこそ可能な企画だったと思います。

さて、そのサントラの中身ですが、全14曲中7曲をトリッキー・スチュアートとザ・ドリームのコンビが手がけています。過去にもメアリー曲を手がけたことがある2人ですが、今回はメイン級での扱い。やや旬が過ぎてしまった感の二人ではありますが、実力があるのは間違いないので、どんなサウンドになっているか期待が高まるところです。

ということで、さっそく中身をみていくことにしましょう。

2014年6月17日火曜日

Mariah Carey『Me. I Am Mariah...The Elusive Chanteuse』(2014)

マライア・キャリーの通算14枚目となるアルバムです。何というか、これだけのスーパースターなのだから、毎回作品が話題になるのは当然なのではありますが、今回もなかなかに考えさせられる内容でして、レビューするのも大変だなあと思ってしまいました。「なんて素晴らしいの!」と素直に言えればいいんだけど、そうもいかないようでして(汗)

まず、事実から言いましょう。セールス面ではマライア史上もっとも売れていないアルバムということになります。全米初登場3位でしたが、5万8000枚という数字は彼女にとってもっとも低いセールスであり、そして、今後ロングヒットで持ち直すかどうかどうかと言われたら微妙と言わざるを得ない。とにかく、売れていない!

まあ、過去にも何度かコケたことはあるわけで、コケてもタダでは起きない彼女だと信じたいのだけど、しかし、今回のコケっぷりは、ちょっと深刻なのではないかと思ってしまいます。

このセールス不信の背景を探ってみましょう。一つにヒットシングルに恵まれず、アルバムのリリース日を何度も延期したという経緯があります。かろうじて昨年出したミゲルとのコラボシングル「#Beautiful」はヒットしたものの、そのタイミングでうまくアルバムをリリースできず、その後に出したシングルも軒並みコケたこともあり、今回のアルバムリリースはもう「これ以上シングルヒットを待っても仕方ない」という諦めのようなものすら感じさせるものでした。そういえば、タイトルも当初は『The Art of Letting Go』でしたからね。レコード会社の思惑もあったとは思いますが、リスナーからしたら自信のなさの表れと取られても仕方のない対応だったような気がします。

それ以前に、彼女のアーティストとしての旬が過ぎてしまったという見方もできるかとは思いますが、マライア・キャリーの代わりなどいるはずもなく、期待の値がそれほど下がったとは考えにくいことです。まあ、前作の『Memoirs of an Imperfect Angel』も大してヒットしなかったわけだから、セールス的な面ではすでに落ち着いて来ていたと言えるかもしれませんが。

わたしがイケ好かないなあと思ったことを言います。それはこのアルバムタイトルと、ジャケ写です。まず、この長ったらしいタイトルは、彼女の煮え切らぬスタンスを表しているようで、どうにも好きになれません。過去にも自分の名前を冠したアルバムをリリースしたことがありますが、いまさら自己紹介してどうするよ!っていうツッコミを入れたくなります。まあ、それが「elusive」(つかみどころのない)の意味するところかもしれないけど。

そして、ジャケ写です。スタンダード盤では相変わらずボディコンシャスな格好なマライア様なのですが、どうみても修正してるでしょ、っていうね。マライアのFacebook見てると、いろいろな写真流れてくるけど、比べるにこんなに体型細くないのはまるわかりなわけで・・・

こういう言い方したらアレですけど、やっぱりマライアの現在形っていうのを見たいわけですよ。でも、アートワーク一つとっても、どうにも後ろ向きな気がしてしまうんですよねえ。過去の栄光を再び、みたいなね。でも、もうそういうことしている時点でアウトじゃないですか。新しいリスナーを開拓しようという意欲がないんだったら、そりゃそういうところに落ち着くだろうっていうね。

さて、いろいろと書きましたが、肝心なのは何はともあれ音なわけですよ。そして、この部分こそがなんとも悩ましいのですね(笑)

まあ、ウダウダ言っててもしょうがないので、中身にうつっていくことにしますね。今作も全曲マライアがプロデュースに関わっています。

2014年6月14日土曜日

Kelly Price『Sing Pray Love, Vol.1: Sing』(2014)

すでにベテランと言っていい経歴をほこるR&B/ゴスペルシンガー、ケリー・プライスの通算7作目となるニュー・アルバムがリリースされました。いまはなきデフ・ソウルからデビューしたのは98年なので、もう15年以上の時が流れたことになりますね。実力派のシンガーだけに、こうしてコンスタントに作品を発表してくれるのは、R&Bファンとしてはうれしい限りです。

さて、2011年にリリースした前作の『Kelly』は、セールスこそあまり振るわなかったものの、4つのグラミー賞ノミネーションを受けるなど、業界内での評価は非常に高いものでした。かく言うわたしも、ゴスペルを経由してのR&B作ということで、いっそうパワフルになった彼女の歌声に元気をもらった一人なのですが、時流に流されることなく、王道のR&B作品に仕上がっていたのがとにかくよかったなと思いました。

そんな彼女ですが、芸能的な話題では、リアリティショーへの出演というトピックもありました。2013年に始まった『R&B DIva: Los Angels』という番組ですね。詳細は不明ですが、なかなかの嫌な女っぷりがこの番組では露呈されたみたいで、彼女に対する見方が良くも悪くも変わったという評価があるみたいです。話題作りにはなったかもしれませんが、音楽活動に影響がなければいいですよね・・・まあ、新作がこうして出たのだからあまり気にする必要はないかもしれません。

そのケリー・プライスの最新作ですが、今回はeOneからのリリース。過去にも共作しているシェップ・クロフォードが全面プロデュースということで、今回もきっとR&Bの王道ともいえる作品に違いない、と期待してしまいますね。

ということで、さっそくレビューにうつっていきましょう。

2014年5月1日木曜日

Kelis『Food』(2014)

ケリスの6枚目となるニュー・アルバムのタイトルは、「フード」と名付けられています。

料理好きとしても知られ、かつて料理本を出したり、オリジナルソースのプロデュースをしたり、最近では料理番組のホストを務めるなど、その活躍の幅を広めているケリス。今作は、そうした彼女の一面が音楽にも投影された形になったのかもしれませんね。

さて、前作の大胆なEDM化から4年経ち、今度はどんな音楽を聞かせてくれるのか、もう誰も予想できなかったと思うのですが、フタを開けてみたら、「あらまあ」と驚くほどの直球なソウル・アルバムでした! 元々ソウルフルな歌声の持ち主なだけに、こうしたアプローチには全く違和感がないのですが、どちらかといえば尖ったサウンドで勝負してきた彼女だけに、いまのこのタイミングでこうしたオーソドックスとも言えるスタイルに回帰したのは、意外ではありました。

今作は「ニンジャ・チューン」というインディー・レーベルからのリリースになります(というか、前作まではメジャーでのリリースだったんですね!)。イギリスのレコード会社ではありますが、これまでも本国よりもイギリスでヒットを多く飛ばしてきた彼女だけに、これも納得な気がします。そして、注目すべきは、今回はデイヴ・シーテックという人物が全面的にアルバムをプロデュースしているということ。デビュー作が全面ネプチューンズ仕様だったこともあり、こうしたガッツリタッグを組んでのやり方は初めてではないものの、思わず「誰それ?」と言ってしまうほどになじみがなく、検索しないとその正体がわからないほどにはR&B系じゃない人選だったりします(これまで手がけてきたアーティストリストを見てもほとんどロック分野で、ラッパーのワーレイの作品に参加しているのが例外的なぐらいですね)。 

ということで、やはりメインストリーム的なものからは距離を置くスタンスが顕著なケリスらしい、新たな環境にて制作された今作の内容をさっそく見ていくことにしましょう。


2014年4月29日火曜日

Kelis『Fleshtone』(2010)

R&Bシンガーのケリスが先日ニューアルバムをリリースしました。そこでさっそくそのアルバムを取り上げようかと思ったのですが、その前にこの前作について先に紹介しようと思います。

このアルバム、ケリスらしいと言えばそうと言えるし、「あららどうしちゃったの?」と言えるような、彼女のキャリアからしたら特異なアルバムだったりします。自分の中では「あれって何だったの」感なきにしろあらずで、新作が出たいまだからこそ語れるのかなあという気もします。

ケリスといえば、1999年にネプチューンズの全面バックアップを受けて登場したシンガーで、その強烈のデビューシングルも印象的でした。「あんたなんか大嫌いよ」ってシャウトする例のアレですね。ビジュアルもショッキングピンクなアフロ
ヘアというR&Bでは珍しい出で立ちでした。

彼女はネプ(しかも90年代後半の尖った時代)とのタッグからも想像できる通り、どちらかといえば、王道を行くというよりも、よりエッジーでアーバンなテイストを売りとするアーティストというイメージがあります。その流れからすると、この5作目において、彼女が時代の流れであるEDM路線に大きくシフトしてもおかしくはないように思えます。そして、このアルバム、ウィル・アイ・アムのレーベルからのリリースということ(彼はその前の『Kelis Was Here』にも参加しています)で、EDM化した彼に合わせたように、彼女も新たな一歩を踏み出したわけです。

ケリスといえば、なんといってもそのハスキーなヴォーカルが特徴的なだけに、その声とダンストラックの相性がどれほどのものなのか、気になるところではありますが、さっそくアルバムの中身を見て行きたいと思います。全9曲+ボートラ一曲の極めてコンパクトな仕様になっています。


2014年4月16日水曜日

Jazmine Sullivan『Fearless』(2008)

久しぶりの更新ですね・・・すんません。忙しくて、ブログ書くヒマありませんでしたわw

もちろん、音楽は聞いているんだけど、ほとんど作業用というか、何となく流しているっていう感じが多いですね。じっくり味わうとか、そういう鑑賞スタイルになかなかならないというのが現状でございます。

で、久しぶりに取り上げるCDがこのジャズミン・サリヴァンのデビュー作なわけです。

結論からいうと、傑作だと思います。当時まだ21歳というのが信じられないくらいに成熟した歌声と、完成度の高いプロダクション。いまでもたまに無性に聞きたくなってしまうんですよね、このアルバム。

セカンドも大好きなんだけど、今回はあえてファーストを選びました。一時期、音楽業界から遠ざかるみたいな話もあったりして、どうなるかと思いきや、今年に入ってライヴ活動なども再開しているとのこと。そこで、いろいろな期待を込めて、このアルバムを掘り下げたいと思います。

彼女の来歴ですが、フィラデルフィア出身です。「フィリー・ソウル」なんて言われるぐらいに、ソウル・ミュージックのメッカで、数々のアーティストを生み出してきたこの地に生まれた彼女、幼少の頃からコーラス隊で歌をうたっていたそう。そして、驚くべきことに、わずか16歳でジャイヴレコードと契約を結んでいます。しかし、当時予告されていたアルバムは残念ながら日の目を見ることがありませんでした。ただ、そこでいっしょに曲作りをしたミッシー・エリオットとの関係は継続させ、まずはソングライターとして下積みを重ねることになります。クリスティーナ・ミリアンやジェニファー・ハドソンらへ楽曲を提供しています。それとともに、新天地であるJレコーズとの契約も交わすことになります。

そこからリリースしたデビューシングル、「Need U Bad」がいきなりにヒットを記録します。そして、その勢いにのってアルバムをリリース、初登場6位を記録したほか、グラミー賞でも複数ノミネートされるなど、彼女の快進撃が始まるわけですね。

そんな彼女のデビューアルバムをさっそく聞いてみることにしましょう。全ての楽曲で彼女がソングライティングを担当しているほか、メイン・プロデューサーとしてとサラーム・レミが起用されています。

2014年3月19日水曜日

Ashanti『Braveheart』(2014)

久しぶりの更新ですが・・・今回はアシャンティです。やっと出た!と言ったところでしょうか。せっかくなので、まずは彼女のこれまでの歩みを簡単に振り返っておきたいと思います。

彼女がデビューしたのは2002年の頃、当時は「Hip-Hop/R&Bのプリンセス」とキャッチフレーズが付けられたりもしていました。ポストメアリーJ的な立ち位置の若手シンガーとして、いきなりブレイクを果たしたのが、アシャンティというわけです(そういえば、Hip-Hop/R&Bということば自体がいまや死語になりつつありますが、これも時代の流れですね)。

何しろ彼女のデビューアルバムは初週でいきなり50万枚も売り上げたわけですからね。女性シンガーのソロ作でそこまで売り上げられるアーティストは本当に限られているわけで、振り返ると、すごい快進撃と言えます。

彼女は新興レーベルであった「マーダー・インク」(後に「ジ・インク」に改名)に所属していました。看板ラッパーであるジャ・ルールとともに、彼女がこのレーベルの稼ぎ頭だったことは間違いありません。そのことを象徴するかのように、1年に一枚のペースでセカンド、サードアルバムを立て続けにリリースし、ヒットを飛ばしました。

しかし、レーベルのいざこざも起因して、彼女の活動は失速してしまいます。実質、彼女がトップランナーとして活躍したのは3~4年ということになります。その後は、女優としての仕事をこなしながら、次のアルバムリリースに向けて、音楽活動を地道に続けていくことになります。自主レーベルを立ち上げたりもしましたね。

そうして、約4年というブランクを得てリリースされたのが、4枚目のアルバム『The Declaration』(2008年)でした。モータウンからの発表だったのですが、このアルバムはこれまでの3作とは違う、彼女の新たな一面を見せる素晴らしい作品だったと思います。デビュー当初の彼女は、作風としてはクールさを前面に出したような印象でしたが、今作ではエモーショナルな表現やポップな曲調など、従来にないアプローチが目立ち、彼女の成長が垣間見れる仕上がりになっていました。

さて、そこからこの新作の発売に至るまでに約6年の歳月が流れました。ファンにしてみれば、だいぶ待たされたなあという感想です。実は、3年ぐらい前から新作リリースの話は流れており、シングルを何枚かリリースした他、アルバムのジャケ写も公開されていたのですが、シングルがヒットしなかった影響もあって、延期を繰り返していました。

さすがに1年以上延期を繰り返すと、このままリリースされずに流れてしまうのではという危惧も生まれるものですが、今年に入ってようやくリリースの運びとなったということで、これはよかったなと思います。

ということで、さっそくですが、この作品の内容に移っていくことにしましょう。

2014年1月29日水曜日

Rihanna『Unapologetic』(2012)

先日2014年グラミー賞の授賞式が行われ、このアルバムが見事「Best Urban Contemporary Album」を受賞しました。過去にシングルでの受賞はあるものの、アルバムでのグラミー受賞は初めてのこと。ビルボードチャートで初めて1位を獲得した作品でもあり、このアルバムの完成度の高さを伺わせる結果と言えそうです。

ということで、今回はリアーナのこのアルバムを取り上げたいと思います。

まず、グラミーでの件のカテゴリーについてですが、これは昨年から創設されたR&B分野のサブカテゴリーで、現代的な要素を含むR&B作品であり、その中にはアーバンポップ、ユーロポップ、ロック、オルタナティブといったプロダクション要素を取り入れたものであってよいとの規定があります。時代の流れに従って多様化するR&Bミュージックへグラミーが対応したということでしょうね。ちなみに、2012年までは「Best Contemporary R&B Album」というカテゴリーが存在しましたが、こちらの方は「Best R&B Albums」に吸収される形となっています。

さて、話をリアーナに戻しまして、2005年にデビューして以来、ほぼ1年に一枚のペースでアルバムをリリースし続け、今作で7枚目のアルバムになります。ここまでハイペースでリリースを続けるアーティストは全米では稀有な存在であり、それを可能にする彼女の勢いというのは破格であると言えるでしょう。さすがに去年は一旦小休止ということでアルバムをリリースしませんでしたが、アルバムからのシングル・カットにエミネムやワーレイとのコラボなどでチャートを賑わせ、相変わらずの存在感を提示しています。

そんな彼女ですが、ハイペースでのリリースを可能にする理由として、本人はあまりソングライティングに関与していないということが上げられるでしょう。いまやアイドルでも楽曲制作にかかわるのが当たり前の音楽業界ですが、そこで敢えてヴォーカリストに徹することで、制作のプロセスは簡略化されます。もちろんそのためには本人が納得できるような魅力的な楽曲の提供が必要なわけですが、これまでの作品を見ていても、幅広いプロデューサーと手を組んで、つねに最新のサウンドを取り入れた作品を制作していることがわかります。むしろ、そうして旬のトレンドヒッターと手を組めることが彼女の強みと言えるのではないでしょうか。

そうして快進撃を続ける彼女の通算7枚目のアルバムですが「Unapologetic=弁解しない」という強気なタイトルを付けてきました。ジャケ写は上半身裸のこれまた大胆かつシンプルなもの、前作もそうですが挑発的なアートワークにより、当初のアイドル的なスタンスから新たなステージへ向かおうとする意思が伺えます。

それでは、中身を見ていくことにしましょう。

2013年12月28日土曜日

Beyoncé『Beyoncé』(2013)

個人的な話から始めましょう。

わたしのPCにはitunesというアプリケーションが入っています。昔試しにダウンロードしてみたのですが、あまりに使い勝手が悪く、すぐに使用するのをやめてしまった代物です。

しかし、そんなわたしが、どうしてもそのitunesを使用せざるを得ない場面が出てきたのです・・・そう、それこそがビヨ様の新作リリースでした。

はっきり言って、後からフィジカルでも出るとのニュースが出たときはどれだけ落胆したことか。どうして、ダウンロードの誘惑に負けてしまったのか。だって、CDで買ったほうが値段安いことがわかってしまったのですから・・・(いや、それだけじゃないけど)

まあ、それだけこの作品の突然リリース手法のインパクトが強かったということですね。わざわざこのアルバム落とすために、フィジカル派のわたしがitunesの登録までしてDLしてしまったのですから。それだけ、何か強力な力が働いたのです。

思い起こせば、ちょうど13日の金曜日のことでした。その日はわたし休みだったので、そして外が寒かったこともあって、家でゴロゴロしてたんですよ。そんでダラーンとツイッター眺めていたら、昼過ぎにまさかのビヨンセ新作リリースの情報がTLに流れてビックリ。しかも、よく調べると全曲にビデオ付きという大ボリューム。ぶったまげましたわ。リークとかじゃなくて、ちゃんとリリースされたんですからね。新作を製作中との話は散々出ていたけど、あまりに急過ぎるし、なんで情報モレなかったのだろうとか、思えばいろいろあるのですが、とにかくビヨ様の新作が世界に解き放たれたという衝撃がすごかったですね。もう、そのインパクトが全てですよね。

この手法について、ニュースでも取り上げられたりしていますが、ただ一つはっきり言えるのは、ビヨンセだから可能だったということです。全てをコントロールできるという立場にあることはもちろん、言わずと知れたスーパースター、新作はつねに話題の的なわけで、そんな彼女だから逆にこの突発的なやり方が功を奏したということなんでしょうね。比較するのは適切じゃないかもしれないけど、仮にケリー・ローランドが同じ手法を用いてもこんなにヒットすることはないでしょう。彼女は自分の名声をうまく利用したわけです。

振り返ると、前作は決してそれほどセールスに恵まれたわけではありませんでした。際立ったシングル・ヒットが少なかったことも影響していますが、『4』というタイトルに象徴されるように、何かコレといったコンセプトもないまま作り上げられたような感じがして、やや行き詰まった印象を受けてしまいました。

だからこそ、新作については慎重を期して実際に形になるには時間がかかるものと思われていました(リリース直前にも「新作は来年」みたいなニュースが流れていましたもんね)。でも、ふたを開けてみれば、「実はもうできていた!」というわけです。


ということで、さっそくこのアルバムの中身を見ていくことにしましょう。もちろん、どれだけサプライズな演出があっても、内容がなければヒットするなんてことはないわけで、そこはビヨンセ、「ヴィジュアル・アルバム」というコンセプトに相応しい、これまでとは一線を画す作風になっています(※ただし、今回は映像についてはコメントしません。映像も興味深い内容なのだけど、それに触れるととても大変になるので)。