2016年8月4日木曜日

Britney Spears『Britney Jean』(2013)

以前、深夜のテレビ番組を見ていたとき、マツコ・デラックスが意味深なことを述べていました。それは、この世代だからわかるよさがあるということで、そこでブリトニー・スピアーズのよさはいまの若者にはわからないだろうというような話をしていました。

それを観て、わたしは確かにブリちゃんってティーンエイジャーのときからずっとお騒がせアイドルだけど気付けばもう30台だし、若い人にはピンとこないよなあと思いました。そして、とは言いつつ実はまだ34歳という若さでもあるし、だからといってまたブリトニーが日本のワイドショーを賑わせることもないだろうし、などと時代の流れを感じるのでした。しかし、気付けばその呼び方を含め、わたしがアメリカのエンタメ業界に疎かった時代からすでにブリトニー・スピアーズという存在がある種の特別なものとして存在していたのも事実だと思います。

さて、そんなブリトニーですが今月末にニュー・アルバム『Glory』のリリースを発表しました。いったいどんなアルバムなのか楽しみですが、今日はそのことを記念して前作の『Britney Jean』を取り上げてみたいと思います。

振り返ればこのアルバム、自身のミドルネームを冠たパーソナルなものであるのみならず、これまでずっと所属していたジャイヴレコードが解体してRCAへ移籍してからの初アルバムでもあります。そして彼女にしては残念なほどヒットしなかった作品でもありました。ある意味、凋落の始まりとなる作品かもしれず、その意味で次作がどれだけヒットするか注目であると言えます。個人的にこの作品の評価を決めてかねている部分があり、ここで取り上げてみたいと思います。

では、さっそく見ていくことにしましょう。


(1)Alien
旅の始まりを告げるような壮大なポップソングで、フックで"Not Alone"と繰り返されるのが印象的。タイトルが示す通り、ある種の孤独感とその克服がテーマでしょうか。

(2)Work Bitch
リードシングルで今作の目玉であるウィル・アイ・アムのプロデュース。二人は「Scream & Shout」をヒットさせただけに、同じように攻撃的なEDMサウンドで納得のできなのですが、チャートアクション的にはトップ10入りを逃し微妙な結果となってしまいました。二番煎じ感が否めなかったのかも。それでも、歌わなくても声だけでも印象的なのがブリトニーの強さといえるでしょう。

(3)Perfume
セカンドシングルでヒットしませんでしたがこれもウィル・アイ・アムのプロデュース。シーアがソングライティングに関わっており、EDMというよりはミディアムポップなバラードで彼女の艶やかなヴォーカルを堪能できます。

(4)It Should Be Easy feat, will.i.am
今度はデビッド・ゲッタが登場、ウィル・アイ・アムは声で参加していますがメインのプロデューサーではありません。これもベタすぎるほどのEDMサウンドでシングルカットを狙っていたのだと思います。ブリトニーのヴォーカルもいじられまくってます。

(5)Tik Tik Boom feat. T.I.
なんと意外な共演であるラッパーのT.I.との共演。EDM的な派手さはないもののシンセの音がバキバキのエレクトロポップサウンド。ブリちゃんの声がその音に負けてないのがいいです。歌詞は短いけどおそらくチョメチョメの比喩でしょうw

(6)Body Ache
ややダメ押し感がありますがこれもゴリゴリなEDMサウンドで、ゲッタさんとウィル・アイ・アムの共作。EDMらしいド派手な展開で好きな人にはたまらないでしょう。「身体が痛みを感じるまで踊りたい」そうです。

(7)Til It's Gone
今作の主軸であるウィル・アイ・アムがまたもやプロデュース。ここまで彼とガッツリ作品作られるのはブリトニーならではという気がしますが、一方ここまでウィル・アイ・アムがEDMで開花するというのも時代の変化を感じますね。

(8)Passenger
さすがにあまり意外性はないですが、ディプロのプロデュースで、ウィルとは少し違うロックテイストを交えた変化球のエレクトロポップ。ソングライティングに、シーアに加えケイティ・ペリーの名前もあります。

(9)Chillin' with You feat. Jamie Lynn
アコギかきならしたベタなポップバラード。ようやくちょっと静かな雰囲気ではありますが、客演のジェイミー・リンはブリちゃんの妹。そしてこれもウィル・アイ・アムのプロデュース。歌詞もこれまたベタなラブソング。

(10)Don't Cry
アルバムの最後。え、これでもう終わりっていう感じですが、これで終わりです。ある意味潔いです。そして、この曲もまたウィ(ry

全10曲で40分もありません(デラックスでは4曲追加)。ウィル・アイ・アムが全面的に関与している影響もあるでしょうか、厳選した楽曲群で固めたという感じです。そして、ほぼエレクトロ系のサウンドでまとめてきました。

もうブリトニーがこれをやるのは全く問題なく、ウィル・アイ・アムの手腕もさえていると思うんですが、アルバム自体あまりヒットしませんでした。わかりやすいサウンドではあるんですがね。ブリちゃん自体飽きられたのかサウンド自体の問題があったのかわかりませんが、次ははたして形勢逆転となるか、注目であります。



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