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2016年8月4日木曜日

Britney Spears『Britney Jean』(2013)

以前、深夜のテレビ番組を見ていたとき、マツコ・デラックスが意味深なことを述べていました。それは、この世代だからわかるよさがあるということで、そこでブリトニー・スピアーズのよさはいまの若者にはわからないだろうというような話をしていました。

それを観て、わたしは確かにブリちゃんってティーンエイジャーのときからずっとお騒がせアイドルだけど気付けばもう30台だし、若い人にはピンとこないよなあと思いました。そして、とは言いつつ実はまだ34歳という若さでもあるし、だからといってまたブリトニーが日本のワイドショーを賑わせることもないだろうし、などと時代の流れを感じるのでした。しかし、気付けばその呼び方を含め、わたしがアメリカのエンタメ業界に疎かった時代からすでにブリトニー・スピアーズという存在がある種の特別なものとして存在していたのも事実だと思います。

さて、そんなブリトニーですが今月末にニュー・アルバム『Glory』のリリースを発表しました。いったいどんなアルバムなのか楽しみですが、今日はそのことを記念して前作の『Britney Jean』を取り上げてみたいと思います。

振り返ればこのアルバム、自身のミドルネームを冠たパーソナルなものであるのみならず、これまでずっと所属していたジャイヴレコードが解体してRCAへ移籍してからの初アルバムでもあります。そして彼女にしては残念なほどヒットしなかった作品でもありました。ある意味、凋落の始まりとなる作品かもしれず、その意味で次作がどれだけヒットするか注目であると言えます。個人的にこの作品の評価を決めてかねている部分があり、ここで取り上げてみたいと思います。

では、さっそく見ていくことにしましょう。

2014年1月21日火曜日

Robin Thicke『Blurred Line』(2013)

年が明けると寂しいもので、話題作のリリースというのが途絶えてしまうのです。みんな年末に大作をぶつけてきますからね~。

ということで、フレッシュなブログネタがない! 仕方なく?去年買ったけどレビューできていないアルバムって何かなかったかな~、と思っていたのですが、そんなときにふとこのアルバムの存在に気づきました。

全米シングルチャートでついに年間1位に輝いたあの大ヒット曲を含むこのアルバム、なのにまだレビューしてなかったじゃありませんかw そりゃ、いけませんね。でも、そういえば、曲単位では何度も聞いたけどアルバムとしてはそんなにリピートしてなかったかもしれない・・・別に内容が悪かったわけではないのだけど、とにかく1曲目のインパクトがデカすぎてw

せっかくなので、今回はこのアルバムを取り上げたいと思います。

ロビン・シック、前作『Love After War』以外は手元に揃っているのだけど、不思議なことに、ジャケ写がどれもこれも垢抜けない人ですねw R.ケリーよりマシかもしれないけど、あまりそういうヴィジュアル面で勝負していない人なのかもしれません(元がイケメンだからか)。ブルー・アイド・ソウルという立ち位置が逆にそうさせているのかもしれませんが、とにかく今作のアートワークも、あのインパクト大のPVに比して平凡なのはなぜなのか、気になってしまいます。

それはさておき、彼の音楽活動を振り返ると、シンガーソングライターとして彼がすでに長いキャリアを誇っていることがわかります。最初にクレジットが確認できるのは、ソングライターとして、あのブランディのデビュー・アルバムに登場します。1994年、いまから20年も前ですよ。逆算すると彼は当時15~16歳ということになりますね。早熟です!

しかし、彼がそれからシンガーとしてブレイクするにはもう少し下積みが必要でした。8年後の2002年に『Cherry Tree Blues』(翌年『The Beautiful World』としてリイッシュー)というアルバムでようやくデビューしますが、これがさっぱりヒットせず。さらに時間が経ち、2005年にはネプチューンズが主宰するスター・トラックと契約。その後にリリースされた2006年の『The Evolotion of Robin Thicke』でいよいよそのチャンスをつかみました。これも、すぐにヒットしたわけではなく、2007年になってシングル「Lost Without U」がじわじわヒットしたことを受けてのブレイクでしたね。ちなみにこの曲、「こんな地味な曲が受けるのかー」という程に、静けさ漂うソウルナンバーなんですが。

それ以降、コンスタントにアルバムをリリースし、客演仕事も着実にこなしてきたわけですが、これまでは、表舞台で華々しく活躍するというよりも、どちらかというと通に愛されるような王道のソウルを地道に生み出す音楽家というイメージでした。

だからこそ、あの「Bluured Lines」のビッグヒットには、本人が一番驚いているのではないでしょうか。自作自演系なのにファレルのレーベルに在籍しているということが、逆に今回のチャンスの一因ではあったのですが、これまでのイメージとは違う「はっちゃけた」彼の姿というのもまた、新たなファン獲得の要因となったのではないかと思います。とにかくインパクトがすごかった!

そんな彼の通算6枚目となる本作をさっそく見ていきたいと思います。基本的には彼と相棒のPro-Jの共同プロデュースですが、何曲かで外部プロデューサーが参加しています。


2014年1月16日木曜日

Eminem『The Marshall Mathers LP2』(2013)

昨年一年を振り返って、やっぱり難しいなあと思うことがあって、それはヒップホップのアルバムについて語ること。確かに何枚か取り上げたけど、やっぱり歌モノの方が比較的書きやすいんですよね。だから、あんまり取り上げていない。

実際のところ、普段聴くアルバムとしてもR&B系の方が多いということもあって、購入はしていてもレビューするまではいかないというがのが実情かもしれません。まあ、書きたいと思わせる作品に出会えなかったというだけかもしれませんけどね。

ヒップホップ系への関心が個人的にはやや薄れつつあるのは一面としてはあるかもしれませんね。そういえば、せっかく期待して買ったのにほとんど聴いてないアルバムってのがあったりしますからね(汗)

ただ、作品自体の好き嫌いの問題はあるにしても、ヒップホップを取り上げるのが難しい理由っていうのは別にあって、要は前にもどこかで書いたけどラップって理解するのが大変なんですよ。いまじゃ、ネットで検索すればリリックの書き起こしなんてすぐに見つかったりするのだけど、それ読んだところで「これどういう意味?」みたいのたくさんあるわけです。

わからないなら対訳ついている国内盤買えばっていう話ではありますが、実際にライナーノーツってマジマジ読んだことないんですよね。どうにも、わからないなりに自分で訳した方がなんとなく納得できる、という困ったちゃんでして(だってあの手の対訳ってさあ・・・)。

もちろん、一つのやり方としては音楽的な側面だけ取り上げたら済むのだけど、なんかそれだと、なんでラップ聴いてんの?って話ではあるのでね。書くにしてもどこまで踏み込むのかというのは、悩ましい問題だったりします。

さて、閑話休題。エミネムですよ。

もちろん、期待に胸膨らまして、この13年ぶりの続編を手にしたわけです。が、アルバムのブックレットを見て仰け反りました。珍しくリリックが全て掲載されているのだけど、あまりにも文字の量が多すぎて! この圧倒的なラップこそがエミネムそのものなのではあるけど、これを全て解読せよと言われたら泣きそうになります。

ただですね、まあそれだけ語り甲斐のあるアルバムではあると思うのです。当然のごとくヒットしてますし、スルーするのもあれなので、今回はこの大作に挑もうと思います。


2014年1月6日月曜日

大野愛果『Silent Passage』(2013年)

みなさま、明けましておめでとうございます!

本年もマイペースにレヴューをしていきたいと思います。毎度毎度あまり大したこと書いてませんけど、みなさんとこれからも音楽への関心の輪を広げていけたらと考えています。

さて、新年一発目はJ-POPですよ! 以前、浜崎あゆみについて何か書いたことあるけど、こうしてアルバムを取り上げるのは初めてですね。たまには日本の音楽も取り上げよう! ということで、この作品を取り上げてみました。

なんていうか、久しぶりに3000円のアルバム買いましたw 洋楽CDってもっと安い値段で売ってるから、たまにこうした国内の作品を買うと、その高さに驚いてしまいますね。ビンボー人には手を出せないシロモノだわと思ってしまいます(汗)

それはさておき、なぜこのアルバムを買おうと思ったかというと、実はわたし昔からZARDの大ファンなんですね。こんなブラックミュージックのサイトやっといて何ですけど、そういう音楽に触れる前に、ZARDを始めとするビーイングの諸作品との出会いというのがあったわけです(まあ、わたしも昔は世の中のヒット曲を聴いて育ったフツーの青年だったわけです。時はミリオンセラー連発の90年代だし。いつからヲキャマ化したのかしらw)。わたしにとってZARDは言ってみれば青春そのものですよ。だから、いまでもコテコテのヒップホップに食傷気味になった時とかに、ふと清涼剤のように昔のアルバムを再生したりするわけです。それは一種のノスタルジーかもしれないけど、いわば心の支えみたいなもんだったりするのです。

そして、そんなZARDの後期(って書き方がとても切ないのですけど)に、数々のヒット曲を提供したのが、今回登場する大野愛果さんです。今作にはそのZARD提供曲のセルフカバーが収録されています。これはとても貴重ですよ。だって、あれだけポピュラリティーのある歌手であるにかかわらず、ZARDのカバーって世の中にほとんど存在しないんですから(オフィシャルなやつでね。非公式にはたくさんあると思います)。

その理由はいろいろ考えられますが、個人的に思うのは、坂井さんがああして悲し過ぎる最期を迎えてしまったということ、彼女のイメージがあれだけミステリアスな存在であったにも関わらず強固であるということ(ZARDのブランド力ですよね)、そしてビーイングがそのイメージを守るために身内以外に使用を許可していないこと、なのかなあと。内在的にも外在的にもカバーしづらいということですね。

ということで、今作はZARDファンにとってもスルーすることができない作品だと思います。

さて、話を大野愛果さんの方に戻しましょう。彼女はビーイング専属の作曲家として、これまでに数々のヒット曲を世に送り出してきました。職業作曲家、しかも女性であるということで、日本の音楽業界においても貴重な存在だと思います。そんな彼女も、作家活動を開始してから15周年という時間が過ぎたそうです(おめでとうございます)。今作はそんな彼女のこれまで辿ってきた「静かな道程」を照らす、セルフカバー集になっています。

彼女の出世作といえば、倉木麻衣さんのデビュー曲「Love, Day After Tomorrow」が有名でしょうが、彼女が職業作家としてデビューしたのはその1年前。それがWANDS「明日もし君が壊れても」でした。実は、この曲の作詞は坂井泉水さん(後にZARDとしてセルフカバーしています)で、デビューの時からいわば「黄金タッグ」だったんですよね。彼女の原点に坂井泉水という存在がいた。だからこそ、彼女もZARDには特別な思いがあるのだろうと思われます(インタビューではそのことにあまり触れていませんが)。

その大野さんですが、過去に『Shadows of Dreams』『Secret Garden』(ともに2002年)というアルバムをリリースしています。両者ともに他アーティストに提供した楽曲のセルフカバーなのですが、この時は全編英語詞で歌われています。デモテープは英語で歌われることが多いとのことで、その雰囲気を再現しようとするための工夫だとのこと。彼女自体もミステリアスな存在だったので、そのイメージを守るためにそうした方法をとったとも言えそうですね。

作曲家ということもあって、彼女の歌手としての活動は多くありませんが、多くの作品にコーラスとして参加しています。また、ZARDの追悼ライブなどにもコーラスとして参加しており、人前に出る貴重な機会となっています。youtubeではライヴハウスで行われた彼女の貴重なパフォーマンスも公開されていますので、興味があればチェックしてみてください(→たとえばコレとか。意外としっかり歌える人です)。

さあ、そんな大野愛果さんの3枚目とアルバムが今作になります。なんと11年ぶりのリリース。そして、今回ははじめて原曲のまま日本語詞で歌っています。いったいどんな仕上がりなっているのか、さっそく中身にうつっていきましょう。

2013年12月28日土曜日

Beyoncé『Beyoncé』(2013)

個人的な話から始めましょう。

わたしのPCにはitunesというアプリケーションが入っています。昔試しにダウンロードしてみたのですが、あまりに使い勝手が悪く、すぐに使用するのをやめてしまった代物です。

しかし、そんなわたしが、どうしてもそのitunesを使用せざるを得ない場面が出てきたのです・・・そう、それこそがビヨ様の新作リリースでした。

はっきり言って、後からフィジカルでも出るとのニュースが出たときはどれだけ落胆したことか。どうして、ダウンロードの誘惑に負けてしまったのか。だって、CDで買ったほうが値段安いことがわかってしまったのですから・・・(いや、それだけじゃないけど)

まあ、それだけこの作品の突然リリース手法のインパクトが強かったということですね。わざわざこのアルバム落とすために、フィジカル派のわたしがitunesの登録までしてDLしてしまったのですから。それだけ、何か強力な力が働いたのです。

思い起こせば、ちょうど13日の金曜日のことでした。その日はわたし休みだったので、そして外が寒かったこともあって、家でゴロゴロしてたんですよ。そんでダラーンとツイッター眺めていたら、昼過ぎにまさかのビヨンセ新作リリースの情報がTLに流れてビックリ。しかも、よく調べると全曲にビデオ付きという大ボリューム。ぶったまげましたわ。リークとかじゃなくて、ちゃんとリリースされたんですからね。新作を製作中との話は散々出ていたけど、あまりに急過ぎるし、なんで情報モレなかったのだろうとか、思えばいろいろあるのですが、とにかくビヨ様の新作が世界に解き放たれたという衝撃がすごかったですね。もう、そのインパクトが全てですよね。

この手法について、ニュースでも取り上げられたりしていますが、ただ一つはっきり言えるのは、ビヨンセだから可能だったということです。全てをコントロールできるという立場にあることはもちろん、言わずと知れたスーパースター、新作はつねに話題の的なわけで、そんな彼女だから逆にこの突発的なやり方が功を奏したということなんでしょうね。比較するのは適切じゃないかもしれないけど、仮にケリー・ローランドが同じ手法を用いてもこんなにヒットすることはないでしょう。彼女は自分の名声をうまく利用したわけです。

振り返ると、前作は決してそれほどセールスに恵まれたわけではありませんでした。際立ったシングル・ヒットが少なかったことも影響していますが、『4』というタイトルに象徴されるように、何かコレといったコンセプトもないまま作り上げられたような感じがして、やや行き詰まった印象を受けてしまいました。

だからこそ、新作については慎重を期して実際に形になるには時間がかかるものと思われていました(リリース直前にも「新作は来年」みたいなニュースが流れていましたもんね)。でも、ふたを開けてみれば、「実はもうできていた!」というわけです。


ということで、さっそくこのアルバムの中身を見ていくことにしましょう。もちろん、どれだけサプライズな演出があっても、内容がなければヒットするなんてことはないわけで、そこはビヨンセ、「ヴィジュアル・アルバム」というコンセプトに相応しい、これまでとは一線を画す作風になっています(※ただし、今回は映像についてはコメントしません。映像も興味深い内容なのだけど、それに触れるととても大変になるので)。


2013年12月23日月曜日

My Memorable Albums of the Year 2013/2013年思い出のアルバム特集

音楽業界に年末に飛び込んで来たビッグ・ニュースといえば、そうビヨンセの突然のアルバムリリースですよね。もう今年はケルズ師匠のエロアルバムでレビューは打ち止めと思っていたので、個人的にうれしい悲鳴を上げているところです。なのですが、まだじっくり聞けていなくて、レヴューはお預けになっています。近いうちにぜひとも書きたいと思っています。

さて、そろそろ年末だし、気づけばこのブログ、開設から1年以上経っていました! まだ1年しか経っていないともいえるのですが、ほそぼそながらよくぞ飽きることなく更新を続けてきたものだと思います。自分で自分を褒めてあげたいですw

ということで、今回は特別編として、今年聴いたアルバムの中で印象的なものなどを勝手に選んで一年を振り返りたいと思います。向こうのメディアが大好きな「年間アルバム大賞」みたいなやつですね。

ただですね、ランキングをつけて云々というのは、わたしの能力ではできないというか、あまり意味がないような気がするんですよね。そこで趣向を変えて、より親しみやすく「◯◯大賞」みたいな形で一年を振り返ってみたいと思います。選考対象は主に今年リリースされた作品or今年購入した作品(一部例外あり)、レビューしたやつもそうじゃないやつも混じっています。


2013年12月14日土曜日

R. Kelly『Black Panties』(2013)

現在46歳。もうおじさんだと言っていいと思うんですけど、振り返れば20代のときからもうオッサンみたいな風貌してたわけで、いまさらヴィジュルアルのことを気にするような感じじゃないかもしれませんね。しかし今回のジャケ写のヴィジュアルは秀逸じゃないでしょうか(逆にいままでなんであんなに垢抜けないアートワークだったのだろうと不思議なんですけど)。

アルバムのタイトル通り、黒パンティを履いた女性をバイオリンか何かに見立てて弦を引くケルズ氏・・・R&Bではそういう女性を楽器に例える歌詞があっても不思議じゃないけど、まさかこうやってヴィジュアル化するとは思いませんでしたわw しかも、それだけじゃなくて、実際にこの格好でライヴ・パフォーマンスもしちゃったんだから、もう何を言わんかですね。

ちなみに上のやつは通常版ですが、デラックスの方はエラいことになってまして、酒池肉林っていうんですかね、インパクトが強すぎですよ、アレは。出荷される前になってカモフラージュのための紙が追加されるとかね、もう笑うしかない。

枯渇しないエロス、ほとばしる妄想、これぞ絶倫、いや才能ですよね。前作から1年半のスパンを得てリリースされたこのアルバム、ソロとしては通算12枚目になります。ちょうど記念碑的なデビュー作『12 Play』から20年という月日が流れたわけですが、相も変わらず、こうしたギンギンのR&B作品を送り出してきたのですから、もう驚きとしか言いようがありません。デビュー作から自作自演を続けてきた彼が、いまなおこうしてクリエイティヴでいられるのも、あくなき音楽と性への探究心があるからだと推察されるところです。帝王たる所以ですね。

ここ最近の動きとしては、レディー・ガガとの共演が強烈でしたが、それより遡ると、過去2作では彼のソウル愛を感じる、とてもクラッシーな作風で勝負してきたわけです。セールス的にはそれほど伸びたわけではないけど、彼の才能というか実力をまざまざと見せつける、評価の高い2作だったと思います。人気に陰りが見え始めていたところだったので、あれは起死回生の作品だったといいと思います。

ただ、そうしたソウル回帰的なアルバムの発表の際にも、性愛路線の作品に今度は取り掛かるという話はあったわけで、結局彼はR&Bというフィールドにこだわりながらも、ひとつのことに留まることが出来ない人なんだなあと、そう思いますね。そして、それを期待しているファンもいるわけですね。

そんなあれこれがあってリリースされたこのアルバムですが、久しぶりの性愛路線、過去2作で彼のことを知ったリスナーにとってはその作風の違いに驚くこと間違いなしでしょう。ただ、ヒップホップアーティストとの数々の名共演もある彼だけに、こうした作風を待っていたリスナー層も同時にいることだと思います。もう、これはどのケルズ氏が好きかという話なのですが、ワタクシ的には、「あれもこれもひっくるめての師匠よ」と言いたいと思います。


それではさっそく中身にいきましょう。当然のごとく全曲のソングライティング&プロデュースに彼が関わっていますが、今回は全曲、(比較的知名度の低い)多くのプロデューサー達と共作していて、新たな風を吹き込もうとしていることがわかります。


2013年12月8日日曜日

Lady Gaga『ARTPOP』(2013)

「ジャパン、アイシテマ~ス」

そう口にする洋楽アーティストは数多く入れど、いまや彼女ほどそれが親しみをもち、なおかつ魅惑的なことばとして機能させられるアーティストはいないでしょう(って言い過ぎでしょうかねw)。

レディー・ガガのパフォーマンス能力の高さ、そのセルフプロデュース力の高さについて、いまさらどうこう言うのは野暮かもしれません。しかし、新作に合わせた来日プロモーションも、また期待を裏切りらない、インパクトのあるものだったように思います。ワイドショーでもこぞって取り上げられていましたもんね。

個人的におもしろかったのは、きゃりーぱみゅぱみゅやSMAPとの共演よりも、Facebookに掲載されていた山本寛斎とのツーショット写真でしょうか。今回のプロモ活動で"Kansai Yamamoto"デザインの衣装を何着も使用した彼女ですが、ついにはおっさん自身と写真を撮っちゃうなんて、うん、やっぱり目の付け所がシャープですね(笑)

さて、レディー・ガガが実際に日本のことをどのように捉えているのか。一つ言えるのは、音楽市場として捉えると確実に「外すわけにはいかない」場所と言うことでしょう。全世界に先駆け日本でアルバムを先行リリースし、オリコンチャートでも見事1位を獲得。相変わらずの人気なわけです。あそこまで力を入れて日本でプロモーション活動を行うにはそれなりの理由があるということですね。

ただ、本国での評価はどうなんだろう、と一方で思います。前作は爆発的なヒットをしましたが、そのウラには、amazonでリリースから2日間だけ99セントで叩き売りされたという薄利多売商法がありました。その賛否がどう影響したかはわかりませんが、ヒットポテンシャルが高い曲が多数収録されていたにもかかわらず「Born This Way」に匹敵するシングルヒットを量産することができず、やんわりと失速していったなあという印象を個人的には持っています。

そして残念ながら2011年と言えばガガの年ではなく、アデルの年だったんですよね。アデルの勢いが本当にすごかったから。

ということで、今作が全米1位を獲得したとはいえ、前作ほどの熱狂的な売り上げを記録しなかったとしても不思議ではないでしょう。落ち着くとこに落ち着いたと言うことなのだと思います。

でも、そこはガガ様ですよ。リスナーの期待を裏切らない作品を今回も送り出してくれたのですから。


それでは、アルバムの中身にうつりたいと思います。今作はガガがプロデュースに全面的に関与、DJホワイトシャドウ、ゼッド、マデオンといったEDM系のプロデューサーとタッグを組んで制作されており、立役者のレッドワンは残念ながら一曲に関与しているのみです。


2013年11月22日金曜日

India.Arie『Songversation』(2013)

インディア・アリーの約4年ぶり、通算5作目となるニュー・アルバムです。

発表されたのは6月。すぐに買ったのだけど、レヴューする機会がなくて、そのままになっていました。

まあ、そういうことはよくあるのですが、音楽っていうのはタイミングっていうのがあると思うんですよね。おそらく、購入した当時、このアルバムをそれほど聞いていたわけではなくて、繰り返し聞きたいフィーリングにもならなかった。そういう場合、そのまま聞かずじまいでお蔵入りみたいになることもあるのだけど、この作品はそうならなかったのです。

そう、ふとしたときにこのアルバムを再生してみて、「ああ、やっぱりいいなあ」と感じたんですよね。そして、「これはやはりレヴューしなければ」と思ったわけです。せっかく自分がいいと思ったアルバムについて、何も書かないなんてもったいない。そして、大して話題にならなかった本作ではありますが、スルーするのはもったいないということを文書化しなければ! ということで、今回は本作を取り上げたいと思います(っていつにもなく熱いですねw)。  

彼女の過去作はどれも持っているのですが、音楽に対して誠実であり、そして、素晴らしい歌詞を書くソングライターだなあという印象を個人的に持っています。きちんと、自分のメッセージを持っていて、それが音楽として表現されているなあという感じです。

デビュー作のタイトルが『Acoustic Soul』であることから象徴されるように、彼女の音楽スタイルはアコースティックなサウンド(特にギター)を基調としたネオソウル~R&Bであり、ヒップホップ時代のR&Bマナーとは一線を画しています。ということで、R&Bが備えるある種の革新性からは遠いところにあり、その分、刺激を求める人にとっては退屈に思えるかもしれません。が、逆に、そういうサウンドに食傷気味な人にとっては、すっとココロに入ってくる、そんな音楽と言えると思います。もちろん、ネオソウル系のアーティストが体現するようなある種のブラックネスを備えていて、濃い部分もあるのですが、彼女の場合、それが官能的な方向に行かないのがポイントですね(笑)

改めてバイオフラフィーを調べると、彼女は現在38歳なんですね。いい歳の取り方をしているなあと思ってしまうのですが、それにしても、これまでにグラミー賞で21ものノミネーションを受けているというのは驚きです。やはり通に愛されるアーティストということなのでしょうか。


では、さっそくアルバムの中身にうつることにしましょう。楽曲の大半を、インディア自身と長年の共同制作者であるシャノン・サンダースがプロデュースしています。そして、今回はトルコのミュージシャンが楽曲の大半で参加しているのもポイントでしょう。


2013年11月18日月曜日

Katy Perry『Prism』(2013)

ケイティー・ペリーの4枚目のアルバムです。

絶好調ですね。売れてます(余裕の全米1位!)。前作『Teenage Dream』からシングル・カットした曲が軒並みヒットチャートの上位に食い込み、ポップディーヴァとしての地位を確固たるものにしたと思えば、そこから大きくブランクを開けることなく、新作のリリース。そして、先行シングル「Roar」をいきなりチャートトップに送り込むなど、快進撃は止まりそうにありません。

そんなペリーちゃんですが、彼女のことをそこまで知らないという人のために、ここで簡単に来歴をまとめておくことにしましょう。

まず、現在29歳です。シンガーソングライターであり、楽曲のほとんどにライターとしてクレジットされています。少し調べればわかることですが、彼女がデビューしたのは2001年(17歳の時ですね)、内容はポップスではなく、ゴスペル~クリスチャン・ロックでした(当時は「ケイティー・ハドソン」名義)。若いころはゴスペル音楽しか聞かせてもらえなかったようですね。残念ながらアルバムはヒットはしなかったのですが、10代のことから音楽を志していたことがわかります。

本格的なブレイクは、それから7年後の2008年まで待つことになります。そう、あの「I Kissed A Girl」のヒットです。このあっけらかんと「女の子とキスしたの。だって気持ちいいんだもん」と歌われるクイアな曲のインパクトは、アメリカのPTAで議論になる程でした(教育上よくないだとか・・・え?)。

そんな過激な曲を歌う彼女だけに、きっと次のアルバムも過激なものになるだろうと予想していたのですが、その次に出た『Teenage Dream』は、なんともアメリカ~ンな王道なポップ路線でした。ここら辺のことは機を改めて書けたらと思っています。

さて、そんな彼女の待望の新作ですが、さっそく中身を見ていくことにしましょう。アルバムの半数がドクター・ルーク、マックス・マーティン、サーカットのチームによるプロデュースで、前者二人はアルバムのエグゼクティブ・プロデュースも務めています。


2013年11月12日火曜日

Robert Glasper Experiment『Black Radio 2』(2013)

ロバート・グラスパー・エクスペリメント。いったい何者?って感じですよね。

彼は、今年のグラミーで「ベストR&Bアルバム」を受賞しました(『Black Radio』)。ジャズ分野の人なんだけど、受賞したのがR&B? ってなことで、ああグラミーっぽい通な選択だなあと思いつつ、アルバムの中身にはそんなに注目してなかったんですよね。なんとなく想像できたから。

ところが、今年になって早くもその『Black Radio』の続編が出るということで、そしてその中身(というか共演者)がまた豪華ということで、これはスルーできんなあと、気になりだしたのです。好きなアーティストがたくさん参加していたということなんですけどね。

ただですね、すぐにアルバムを購入しようとまで考えていなかったんです。ちょっと様子見ようかなって感じで。ただ、ある日CDショップに行ったときに聞いてしまったんですよね、このアルバムの中に入っていたある曲を。それがすごくクールでしてね、お店で流れたその曲が気になって、やはり買ってみようということになったのです。

それが何かは後で書くとして、まずは彼のことについて一通り紹介しておくことにします。

ロバート・グラスパーは、1978年生まれ、テキサス出身のジャズ・ピアニストです。お母さんがジャズ・シンガーで、自身も教会で若くからピアノを弾いていたそうですが、高校ではR&Bシンガーのビラルと同級生だったようで、その後もQティップやカニエなど、ジャズ系でありながら、R&B/ヒップホップ人脈との交流が盛んであるとのことです。

ピアニストとしては、2004年にデビュー、以後リーダー作を4枚リリースしています。

「ロバート・グラスパー・エクスペリメント」という名義は、4作目の『Double-Booked』が初出で、そこではトリオ作とエクスペリメント作が1枚にパッケージされた形でした(よく見るとこのときは「ザ・~」がつくのですが)。その後に出た『Black Radio』では、まるまるエクスペリメント名義でのリリースとなり、リミックス作を挟んでの今作がエクスペリメントとしては2作目になります。

ちなみに、このバンドのメンバーは、ロバート・グラスパー(ピアノ、ローズ、シンセ)、ケイシー・ベンジャミン(ヴォコーダー、サックス、シンセ)、デリック・ホッジ(ベース)、マーク・コールバーグ(ドラム、パーカッション)の4人(ドラマーが前作のクリス・デイヴから入れ替わっています)で、収録曲は1曲をのぞいてオリジナル、アルバムのブックレットにはわざわざ全曲生演奏である旨が記されています。


それではさっそく中身へうつりましょう。

2013年11月9日土曜日

Miley Cyrus『Bangerz』(2013)

久しぶりにポップスを取り上げる気がするけど、マイリー・サイラスちゃんです。もうすぐ21歳になります。え、まだそんな若いの? 

なんせ、ディズニーの看板を背負ったティーンエイジ・アイドルとして大ブレイクしたのは7年前なのだから。10代からすでにショウビズ界で活躍しているわけです。

そして、過去に4枚CDをリリースし、その内2枚は全米1位を獲得している・・・アメリカではもうお馴染みの存在なわけですね。

そんな彼女だからこその、今回の大胆すぎるイメージチェンジは波紋を呼びましたよね。ヒップホップを意識したダーティサウスな音楽的なスタイルしかり、ロングヘアをバッサリカットして、露出の強い衣装でパーティーに明け暮れるヤンチャなPVしかり、全裸鉄球(笑)PVしかり、しまいにはロビン・シックと放送ギリギリのライヴパフォーマンスを披露したり・・・まあ、こうした攻めの姿勢に、従来のマイリーを知るもので驚かない人はいないでしょう。たとえば、同じくヌーディーな衣装を着るにしても、マドンナやレディー・ガガ、あるいはブリトニーだったらこうはならないわけです(彼女たちはセクシーさをある種の売りにしているのだから)。まさに、従来のファンをあざ笑うかのような振る舞いと言えそうです。

じゃあ、彼女はそうしたマドンナに続くようなポップアイコンになろうとしているのか、と言われたら微妙なところではあります。なぜかって、脱いでも彼女全然セクシーじゃないでしょ(笑)。

いや、それは半分冗談なんだけど、ただ、今回のこの大胆な路線変更は、極めて計算されたものであることは間違いないと思うんですよね。アメリカの音楽業界って移り変わりが激しく、ティーンアイドルとして大成功を収めてしまったが故に、そのイメージに捕らわれて次の一歩に進めないってことは十分考えられると思うんです。だからこそ、この挑発的な新作は、彼女がアイドルから脱皮して一人のアーティストに生まれ変わるために必要な儀式みたいなもんじゃないか、と傍からみてそう思うわけです。

ということで、実は過去作をきちんと聞いたことがないので、これまでとの違いを比較する視座を持っていないのですが、いわゆるアメリカン・アイドルからの脱皮をはかる意欲作はそれ自体魅力的ではあるので、さっそく中身にうつっていくことにしましょう。


2013年11月7日木曜日

Justin Timberlake『The 20/20 Experience - 2 of 2』(2013)

ジャスティン・ティンバーレイクが前作からわずか半年で新作をリリースしました。いわゆるデラックス増強盤ではなく、純然たる新作なのですが、タイトルといいジャケ写といい、前作の続編であることは間違いないので、蛇足的な作品に捉えられる向きもあるかもしれませんね。

いくつかのニュースサイトの情報では、このアルバムリリースの経緯として、カムバック作用に多量の作品を作ったが、名曲が多く一枚でまとめきれないので2部作にしたという話があります。当初からこういう作品として構想されていたということでしょうかね。だから、こうしてリリースしたと。

うーん、何だか潔くない感じもしますねw それを1枚にまとめるから傑作になるんじゃないの、という意見があっても当然だと思います。前作ほどこのアルバムが話題になっていないのは、そうしたことも関係しているかもしれません。ファンとしてはうれしいことだと思うのですが・・・

さて、続編というのは、一般的に言っても難しいものなのだと思います。何かの続きを作るということは、その元となる作品の出来がよいからであって、しかし、その出来が良ければよいほどにそれ以上のものを作るのは困難になる・・・駄作と呼ばれる「続き物」がたくさんあるのは経験的に知るところでしょう。

もちろん、シリーズ化が功を奏するということもあるわけです。だから、その戦略が一概に失敗するとは言えないわけで、そこはもう製作者がどうその作品を捉えるかにかかっていますよね。

このJT作に関して言えば、もともと2枚で完結させようという意図があったみたいですが、前作ほどプロモーションが華麗ではなかったことも影響しているかもしれません。ビルボードでは1位を獲得しましたが、すぐにチャートダウンしてしまいました。リードシングルもそんなにヒットしなかったし、これは前作からのリリース期間が短かったことも大きいでしょうね。普通はレコード会社的にそういうことはしないのでしょうが、それを成し遂げたというのは、これまた彼の力といえばそうなのですが。


ともあれ、アルバムの中身に移ることにしましょう。前作同様、JT、ティンバランド、J-ロックが全編にわたり協同プロデュースしています。


2013年10月26日土曜日

Ariana Grande『Yours Truly』(2013)

「ヤング・マライア」とも称される若手シンガー、アリアナ・グランデのデビュー・アルバムを今回は取り上げましょう。

現在20歳の彼女、もともとはミュージカルがきっかけでショウビズの世界に入ったようです。その時、なんと14歳! 子役として若い時から活躍していたんですね。

そんな彼女、ヴィジュアル的にはマライアほどゴージャスではなく、どちらかと言えば可憐な感じがしますよね。だから、実は彼女の曲がヒットチャートに名を連ねた時はまったく意識していなかったのです・・・新たなアメリカン・アイドルが登場したぐらいにしか思ってなかったので。

でも、聞いてみるとR&Bだし、実はかなりの本格派だった! 曲はキャッチーだけど、歌はしっかりしているではないの。

ということで、意外さと新鮮さを持ってこのアルバムを聞くことになったのですが、 内容も充実していました!さっそくレビューに移りましょう。


2013年10月9日水曜日

Earth, Wind & Fire『Now, Then & Forever』(2013)

アース・ウィンド&ファイアの通算21枚目となるアルバムの紹介です。

過去作は何枚か持っていて、ベストとかで代表曲は大体聞いたことあるのですが、まさかリアルタイムでまた新作が登場するとは思っていなかったので、これには驚きました。もうデビューしてから40年以上経っていますが、まだまだ現役なのがうれしい限りです。

現役といえば、このサウンドですよ。後述しますが、全くと言っていいほど衰えていない、というかこれぞアースなサウンドが展開されています。元々彼らでしか作れない独自なサウンドの人たちではありましたが、このブレなさがまた素晴らしいです。あと、アルバムジャケットのSFチックな感じも相変わらずですね。

残念なことと言えば、いわばアースの顔であるモーリス・ホワイトが不参加なこと。80年代後半にパーキンソン病と診断されており、その後も活動は続けていたものの、最近では表舞台に立つこともできなくなってしまったようです。前作ではクレジットされていましたが、今回は完全に不参加です。

前作と言えば、ウィル・アイ・アムやビッグ・ボーイ、ケリー・ローランド、ブラマクなど人気アーティストとのコラボレーションによりフレッシュなサウンドを展開していましたが、今回はそうしたゲストなしで、自分たちの世界を表現しています。

さっそく中身にうつりましょう。


2013年10月3日木曜日

John Legend『Love In The Future』(2013)

先日、結婚したばかりのジョン・レジェンド。そのソロ名義としては通算4作目となる新作がリリースされました。

前作はザ・ルーツとのコラボ・カバー集だったこともあり、純粋な新作としては5年間のブランクが空いてしまいました。その間も、客演仕事をコンスタントにこなしたりしていたので、まあ、マイペースに活動はしていたと思うのですが、その5年前の『Evolver』が賛否両論な作品だっただけに、ザ・ルーツとのコラボを経た彼が今作でどのような作品を作り上げてきたのか、非常に楽しみではあります。

話は逸れますが、ジョン・レジェンドと言えば、本当にええ声ですよねw ピアノ弾いているイメージが強いですが、声だけでこれほどの存在感を出せるシンガーもそういないと思うんですよね。だから、個人的にもお気に入りのシンガーなんですけど、その割には過去作を振り返ってそんなに聴き込んだ作品がないような気がする・・・この機会に改めて聞き直そうかなあと、ふと思ったりしました。

さて、今回はシングルのPVといいジャケ写といい、アーティスティックな路線を突っ走ってますね。あのおしょうゆ顔の替わりに登場した赤い花が果たして何を意味しているのか。いろいろと興味深いですね。エグゼクティヴ・プロデューサーとしては、デビュー作から関与しているデイヴ・トッツァーとカニエ・ウエストが名を連ね、大半の曲で何らかの形でクレジットされています。

では、さっそく中身にうつりましょう。


2013年9月19日木曜日

Tamar Braxton『Love & War』(2013)

テイマー・ブラクストン。この人の突然のブレイクはR&B業界にとってある意味今年最大のサプライズかもしれませんね。

ブラクストンと言えば、トニー・ブラクストンが有名過ぎますが、そのブラクストン5姉妹(!)の末っ子にあたるのが、このテイマーです。

実は2000年に『Tamar』というアルバムでソロデビューしているんですよね。ただ、セールス的には全く振るわず。それ以降、目立った音楽活動はなかったわけで、いわば今回が13年ぶりにカムバックということになるわけです。スゲー。

ブレイクのきっかけは、ブラクストン姉妹らが出演するリアリティ・ショー『Braxton Family Value』と、そのスピンオフ的な『Tamar & Vince』とされています。アメリカでのリアリティ・ショーの影響力がどれほどのものか、日本にいてもなかなか想像しづらいのですが、そこでのテイマーのセレブっぷりが注目を集めたようですね。

テイマーといえば、プロデューサーのヴィンセント・ハーバートと結婚しており、今年には第1子を授かっていますが、ヴィンセントといえば数多くのアーティストを手がけており、その中にはレディー・ガガの名前も含まれています。彼女のブレイクのきっかけとなったシングル「Love & War」に関して、楽曲のよさに加えて、ガガがツイッターで後押ししたことが影響しているとも言われています。

ということで、紐解いて見ると、いろいろな経緯があって今回のアルバムリリースに至っているわけですが、本作は初登場全米2位をすでに記録しています。R&B作品でこの結果は素晴らしいですね。

さっそく、内容を見ていくことにしましょう。


2013年9月17日火曜日

Joe『Doubleback: Evolution of R&B』(2013)

すっかり秋になりましたね。R&B業界では新作がたくさんリリースされ、こちとらレビューがまったく間に合っていないのですが、マイペースに更新を続けたいと思います。

さて、今回はジョーです。秋にふさわしいじゃないですか! でも、このアルバムがリリースされたのは7月・・・まだ夏でしたねw

今回で10作目になるジョーですが、ここ日本でも絶大な人気を誇っています。恒例のビルボードライブでも11月に来日予定の彼ですが、日本でのライヴがCD化されるほど(『Joe Live From Japan』)、彼と日本のファンとの関係というのは特別なものと言えそうですね。チケット高いから、観に行くの躊躇われるのだけど。

さて、93年にアルバムデビューしてから20年経つわけですが、その間にこれだけコンスタントにアルバムをリリースし続けてきたわけです。紆余曲折あったとはいえ、10枚もアルバムを出し、そして多くがトップ10入りしているというのは驚きです(そしてわたしのライブラリーにもほとんどのアルバムがあるわけです)。今作も初登場全米6位を記録しています。

ここ数年はキダー・マッセンバーグのインディー・レーベルからのリリースが続いていて、今回もインディー発ということになるのですが(おかげでお値段がちょっと高め・・・)、むしろそのおかげで彼らしい作品がコンスタントに発表されているので、ファンとしてはうれしい限りですね。もちろん、インディだから作品の質が落ちるだなんてこと全くなくて、さすがだと思います。

今作で注目すべきことと言えば、まずはこのジャケ写でしょうw 誰が見たいとリクエストしたのか、意外とムキムキなセクシー・ボディを披露しています。ブラウン系の色調もこれまでのアートワークを踏襲してますね。

そして、タイトルなんですが・・・「倍返し」と訳したくなる衝動に駆られるのはわたしだけでしょうか。
"Doubleback"というのは「引き返す」というような意味があるそうなのですが、「R&Bの進化」を謳う今作が、どこへ向かおうとしているのか、気になるところですよね。


さっそく、中身を見ていきましょう。今回は半数の6曲(1,3,5,8,10,12)をジョー自身が手がけ、5曲(2,6,7,9,11)をデレク・アレンがプロデュース、1曲(4)のみスターゲイトがプロデュースという布陣になっています。


2013年8月30日金曜日

K. Michelle『Rebellious Soul』(2013)

いやー、久しぶりに来ましたよ! ポストメアリー系のヒップホップ・ソウル・シンガー。なかなか出てこないんですよね、こういうタイプのシンガーって。

ということで今回は、8月にアルバムデビューしたばかりのK.ミシェルを紹介したいと思います。

本名、キンバリー・ミシェル・ペイトというこの女性、1982年生まれ(あら、わたくしと同じじゃありませんか!)の現在31歳。メンフィス出身だそうです。

いつ頃から歌手活動をしていたのか不明なのですが、バイオによると2008年にジャイヴと契約して、シングルを何枚かリリースするもヒットしなかったそうです。同じレコード会社のR.ケリーの後ろ盾もあり、彼のアルバムに参加するなどして知名度は上げるものの、アルバムをリリースするには至らず、結局ジャイヴとは契約が切れてしまいます。

その後、彼女はリアリティ・ショー(Love & Hip-Hop: Atlanta)へ出演することで再度注目を集めるようになり、2012年にはワーナーと契約を交わしています。そこから今年に入り、当初予定されていたアルバムタイトルを変更し、シングル(V.S.O.P)を発表、そして本作のリリースにつながるわけです。苦労人ですねえ。リリースに至るまでには、ミックステープも何作か発表し、高い評価を得ています(興味があればそちらもぜひチェックしてみて下さい)。

実を言うと先行シングルはそんなにヒットしたわけじゃないんだけど、アルバムは予想外の成功を収めました。なんと初登場で全米2位記録しています。これはR&Bの新人としては異例のことと言えるんじゃないでしょうか。これまでの苦労が報われるような結果だと思います。


それでは、アルバムの中身を見て行きましょう。


2013年8月12日月曜日

Jay Z『Magna Carta... Holy Grail』(2013)

レビューするかどうか迷っていたのだけど、ちょっと期間をあけたら、書く気になったのでポストします。

ジェイZの通算12枚目となるオリジナル・アルバムです。6月ぐらいだったか、突然発売が予告されましたね。それも、サムソンのスマホ、Galaxyシリーズの無料アプリとしてデジタルダウンロードできる形になるという、これまた斬新なというか、ビジネスマンらしい発想での発表です。もちろん、通常の形でもダウンロードできるし、CDも遅れて流通するようになったのだけど、とにもかくにも、そういう戦略でしかけてきたわけです。

戦略と言えば、リードシングルもなく、前情報が十分にないまま、いきなりアルバムをリリースするというのも、ひとつの戦略と言えるでしょう。作品自体が謎めいたまま突如世界に配信されることになるわけです。このちょっと前に出たカニエの『Yeezus』も、そうした戦略性を持った作品でしたが、ジェイZもソロでは4年ぶりのリリースということもあり、話題作りを優先したのかもしれませんね。言うまでもなく、こんなことできるのは、毎回のようにアルバムを出せばヒット確実な大物だからできることなんですよね。よくわかっているなあ、と思います。

ところで、ジェイZと言えば、由緒正しき正統派なヒップホップ/ラップを聴かせるアーティストであると共に、その時々の旬のプロデューサーを起用して作品を築き上げるトレンドセッターでもあるわけです。過去11作(コラボ含めるともっと)もアルバムを出してきたという(そして、どれもプラチナヒットしている)だけでとてつもないのだけど、そして、そのどれもが大ヒットというのはとんでもないのだけど、いったい今度のジェイZはどんなサウンドで攻めてきたのか、というのはリスナーにとっては楽しみな一つなわけですね。

ということで、今回の作品なのですが、曲の大半をティンバランド(および相棒のJロック)がプロデューサーしています(直接じゃなくてアディショナルという形で関わっている場合もあります)。今年一番のヒット作であるJT作品でも手腕を振るっていましたが、今回は最近ヒットが少ない彼を敢えて担ぎだしたといえるかもしれないですね。過去に「Big Pimpin'」や「Dirt Off Your Shoulder」などヒット曲を生み出してきた彼だけど、ジェイZとこんだけガッツリ組むというのは、実は今回が初めて。一時期不仲になっていたという話もありますが、ここに来てガッツリタッグを組んだのには、何か理由があるのでしょうかね。少なくとも、カニエとの一連のコラボの後、新たな一手を模索していたのは間違いないはずなので、そこで彼に白羽の矢が立ったのかもしれません。

このアルバムですが、発売初週でいきなりに50万枚越え、アプリとしてのリリース自体でプラチナ認定を受けており、帝王の存在感は相変わらずですね。


さっそく、中身に移りましょう。