2013年8月30日金曜日

K. Michelle『Rebellious Soul』(2013)

いやー、久しぶりに来ましたよ! ポストメアリー系のヒップホップ・ソウル・シンガー。なかなか出てこないんですよね、こういうタイプのシンガーって。

ということで今回は、8月にアルバムデビューしたばかりのK.ミシェルを紹介したいと思います。

本名、キンバリー・ミシェル・ペイトというこの女性、1982年生まれ(あら、わたくしと同じじゃありませんか!)の現在31歳。メンフィス出身だそうです。

いつ頃から歌手活動をしていたのか不明なのですが、バイオによると2008年にジャイヴと契約して、シングルを何枚かリリースするもヒットしなかったそうです。同じレコード会社のR.ケリーの後ろ盾もあり、彼のアルバムに参加するなどして知名度は上げるものの、アルバムをリリースするには至らず、結局ジャイヴとは契約が切れてしまいます。

その後、彼女はリアリティ・ショー(Love & Hip-Hop: Atlanta)へ出演することで再度注目を集めるようになり、2012年にはワーナーと契約を交わしています。そこから今年に入り、当初予定されていたアルバムタイトルを変更し、シングル(V.S.O.P)を発表、そして本作のリリースにつながるわけです。苦労人ですねえ。リリースに至るまでには、ミックステープも何作か発表し、高い評価を得ています(興味があればそちらもぜひチェックしてみて下さい)。

実を言うと先行シングルはそんなにヒットしたわけじゃないんだけど、アルバムは予想外の成功を収めました。なんと初登場で全米2位記録しています。これはR&Bの新人としては異例のことと言えるんじゃないでしょうか。これまでの苦労が報われるような結果だと思います。


それでは、アルバムの中身を見て行きましょう。


(1)My Life
流麗なピアノのフレーズから始まるオープニングは、じわじわと攻めてくる感じ。サビの部分では"The Life The Life/ The Sacrifice/ The Grind The Grind"って歌われています(直訳すると「人生 人生 犠牲 腰振り 腰振り」)。自分の身体を売って生きざるを得なかった女性のことを歌っていますね(たぶん)。

(2)Damn
つづいて指パチとピアノから始まり、そこからパーカッションの音などが加わりドラマティックに展開するミッドテンポのバラード。一途な思いを彼女ならでは声で歌い上げています。

(3)I Don't Like Me
ドラムレスで、ピアノのどこか寂しげな音とストリングスのみで展開する3分弱のバラード。PVは何だか意味深でちょっと怖いですw


(4)Can't Raise A Man
この曲ツボですね。なんていうか、メロウな感じのするミディアムテンポのR&Bなんだけど、ゴテゴテのコーラスとか歌いあげる感じとか、他の人が歌ってもこんな風にならないような気がします。

(5)V.S.O.P.
リードシングルです。久々にビビっと来るイントロを聞いたような気がします。ストリングスを大胆に使用し、デブラ・ロウの"Very Special"とシャイ・ライツの"That's How Long"を引用したこれぞヒップホップソウルですね。

(6)Pay My Bills
ハッピー・ペレスがプロデュースしてます・・・久しぶりにこの名前聞いたなあ。 歌詞はフックで"I'mma fuck you"と強烈なフレーズが飛び出すんだけど、その後の"Georgia Power/Cable Bill/Baby Sitter"の意味がよくわからないです(´ε`;)ウーン…

(7)Sometimes
古き良きスウィートソウルな面持ちな一曲。天井突き抜けるほどに歌い上げまくりです。ジャック・スプラッシュがプロデュース。

(8)Ride Out
バリー・ホワイト使いな一曲。サウンド的にはこの曲が一番イマドキなヒップホップかもしれないです。(7)とは違う力強い歌唱。

(9)Hate On Her
レコードノイズとストリングスでどこかノスタルジックな雰囲気。

(10)When I Get A Man
これも情熱的なラヴソングですね。フックの畳み掛けるような歌唱がいいです。

(11)A Mother's Prayer
最後はアコースティックギターとストリングスをベースに、ミシェルも優しく語りかけるように歌い上げます。自分の子供へ向けてでしょうかね。最後に"Your Daddy Loves You/ And I Love You Too/ Sorry We Couldn't Work It Out For You"とあるので、おそらくシングルマザーの歌なんでしょう。


全11曲収録(途中の興味深いインタールードを含めると14曲)。とにかく、力強い歌唱が印象的なシンガーです。メアリーとかキーシャ・コールが好きな人はハマると思います。これは思わぬ収穫でした。



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