さて、今回はジョーです。秋にふさわしいじゃないですか! でも、このアルバムがリリースされたのは7月・・・まだ夏でしたねw
今回で10作目になるジョーですが、ここ日本でも絶大な人気を誇っています。恒例のビルボードライブでも11月に来日予定の彼ですが、日本でのライヴがCD化されるほど(『Joe Live From Japan』)、彼と日本のファンとの関係というのは特別なものと言えそうですね。チケット高いから、観に行くの躊躇われるのだけど。
さて、93年にアルバムデビューしてから20年経つわけですが、その間にこれだけコンスタントにアルバムをリリースし続けてきたわけです。紆余曲折あったとはいえ、10枚もアルバムを出し、そして多くがトップ10入りしているというのは驚きです(そしてわたしのライブラリーにもほとんどのアルバムがあるわけです)。今作も初登場全米6位を記録しています。
ここ数年はキダー・マッセンバーグのインディー・レーベルからのリリースが続いていて、今回もインディー発ということになるのですが(おかげでお値段がちょっと高め・・・)、むしろそのおかげで彼らしい作品がコンスタントに発表されているので、ファンとしてはうれしい限りですね。もちろん、インディだから作品の質が落ちるだなんてこと全くなくて、さすがだと思います。
今作で注目すべきことと言えば、まずはこのジャケ写でしょうw 誰が見たいとリクエストしたのか、意外とムキムキなセクシー・ボディを披露しています。ブラウン系の色調もこれまでのアートワークを踏襲してますね。
そして、タイトルなんですが・・・「倍返し」と訳したくなる衝動に駆られるのはわたしだけでしょうか。
"Doubleback"というのは「引き返す」というような意味があるそうなのですが、「R&Bの進化」を謳う今作が、どこへ向かおうとしているのか、気になるところですよね。
さっそく、中身を見ていきましょう。今回は半数の6曲(1,3,5,8,10,12)をジョー自身が手がけ、5曲(2,6,7,9,11)をデレク・アレンがプロデュース、1曲(4)のみスターゲイトがプロデュースという布陣になっています。
(1)Something For You
イントロからヤバいw これは反則でしょ~。かっこよすぎでっせ、ジョーさん。過去の『Signature』に通じるような、ストリングスや管楽器系を大胆に使用したアレンジなんだけど、ファンキーなノリもあって、ソウルなんだけど盛り上がる感じがいいですね。セルフ・プロデュースです。
(2)Easy
こちらもストリングスを導入した、上品なアレンジの佳曲。ジョーの歌も情熱的でソウルフル。序盤から飛ばしますねー。
(3)Baby
「ベイビベイビベイビー」と繰り返されるフレーズに、スクリュードヴォイスの合わせ技でイントロから「今風」をアピール。でも、その後の展開は安定のジョーサウンド。アコースティックなテイストのミッドバラードになっています。
(4)Compromise
過去にもタッグを組んだことあるスターゲイトを起用。でも、らしくないイントロのベースラインが意外性を感じさせる一曲。その後の展開はジョーお得意のスムーズR&Bなんだけど、繰り返されるこのベースラインがいいアクセントになっていますね。
(5)Magic City
アコギから始まり"I Was Lookin For a Love"と繰り返される、ミディアムテンポの一曲。なんだけど、"Magic City"っていうのが何を指しているのか、歌詞を読んでもよくわからず・・・
(6)I'd Rather Have a Love
アルバムからのリードシングル。フィンガースナッピングに潤沢なストリングスの組み合わせ。歌詞は「あなたに出会えて、愛に目覚めた」って感じでしょうかね。ロマンティックな内容だと思います。リリース前にこの曲を聴いた時には、彼が相変わらずこんなステキなサウンドを生み出してきたことに感激したのを覚えています。
(7)Love & Sex feat. Fantasia Barrino
しゃがれ声ディーヴァのファンテイジアを起用、スローでこれまた上品なアレンジのサウンド上で歌われるのは「愛とセックスの違い」について。それは違うものかもしれないけど、最終的には両方欲しいみたいなオチです。
(8)Sexy
いやー、なんでこんなにメロウな曲ばっかり詰め込んでくるんだろう、ジョーさんw 歌詞はこれから女性とはじめてのチョメチョメ・・・官能的です。
(9)More
もしかしたら、ずっとこんな調子だとちょっとダレるかも・・・というぐらい同じようなメロウな曲調で攻めてくるジョーさん。ミディアムテンポなR&Bバラードです。
(10)Mary Jane
メアリー・ジェーンと言ったらマリファナのことですけど、ここでは女性のことをそう例えているわけですね。「君にやみつき」みたいな感じですかね。サウンドといい歌詞といい、ちょっと退廃的な雰囲気を醸し出してますね。
(11)1 to 1 Ratio feat. Too $hort
ここに来てやっと違う曲調というか、ややアップな感じでヒップホップフレイバーを感じさせます。西海岸の大物ラッパートゥー・ショートを起用、意外な組み合わせがおもしろいですね。
(12)DoubleBack
物悲しげな曲調のラストナンバー。失恋の歌ですね。失った愛を取り戻すには引き返すしかない、と。後半にはエレキギターも挿入されて、ちょっとロックなテイストも入っています。
全12曲収録。今回のアルバムの副題は「R&Bの進化」なわけですが、まあ、決して進化などしてないわけですw これまで通りの、スムーズでロマンティックなジョーのサウンドが詰め込まれた一枚だと思います。アプローチ的にはストリングスやホーンを大胆に取り入れ、むしろトラディッショナルでスタンダードな方向性を目指した一枚という感じですね。
R&Bの王道を追求し続けている、という意味では進化といえるかもしれませんが、若くてフレッシュなサウンドを期待すると肩透かしをくらうでしょう。でも、彼にしか作れない、オトナのR&Bであるのは間違いなく、これはむしろ「R&Bの深化」と呼ぶにふさわしい一枚と言えるのではないでしょうか。
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