本日はマックスウェルの新作を取り上げます。何というか、久しぶりに聞いていて心がウキウキしたアルバムだったので、何か書いてみたいと思います。
それにしても話は変わりますが、ストリーミングサービスというのはそれなりに罪深いものでもあります。わたしは、この作品が出る日(つまり7月1日)を楽しみにしていたのですが、当然、作品はCDで買うつもりでいました。ところがGoogle Playを開くと、発売と同時にこの作品が公開されているではありませんか。そして、再生したいという欲望を抑えることができませんでした。
言うまでもなく素晴らしい内容であります。そして、ここで二つの選択肢が現れることになります。改めてお金を出してCDを買うのか(ダウンロードという手もある)、このままストリーミングで良しとするのか。
それなりに迷いましたが、結果的にアルバムは購入することにしました。お値段の問題もありましたが(HMVでまとめ買いしたら1200円ぐらいだった)、このブログで取り上げる以上、作品は手持ちでありたいというささやかな意地もありました。
しかし、ここ最近を振り返ると、そこまでして作品をCDという形で所有しておきたいと思える作品って少なくなったなあと、その状況自体になんだか切ないものを感じてしまいます。CD以外の選択肢が増えた必然的帰結であるとともに、「じゃあ、そもそも音楽を体験することってどういうことなの?」という哲学的な問いへとふと誘われてしまいますね。わたしは、少なくともパッケージにに触れること、封を開けること(US輸入盤特有のシール剥がしも)、ディスクをプレイヤーに挿入すること、ブックレットに直に触れることといったことは、決して音楽体験において聞くことと無関係なものとは思えず、買わなきゃわからなかったことというのがあるのだと信じます。
さて、今年のR&B業界ですが、トラップ系R&Bの定着とベテランの復調というのが、おぼろげながら感じることです。特に後者ですが、アンソニー・ハミルトン、タンク、ブラマク、ミュージック・ソウルチャイルド、ジャヒームなどおっさん系アーティストが手堅い作品を発表しているのが印象的で、このマックスウェルもその系譜に並ぶかもしれません。もうすぐキース・スウェットという超大御所の新作もリリースされますしね。もちろん、プリンスというレジェンドの死という出来事も忘れることはできません。
そんな中、やっと本題ではありますが、このマックスウェル、前作から7年というブランクを得てようやくの新作リリースとなりました。思えばその前作『BLACKsumeers'night』も8年ぶりというブランクものであったのですが、90年代ネオ・ソウルとして一括されるようなある種の音楽的潮流にいた人たちのマイペースっぷりというのは、また一つの現象のように思えるから不思議です(その極め付けがもちろんディアンジェロではあるのですが)。このマックスウェルも前作が3連作であると予告されていたことから、次作リリースは近いのかと思いきや、結果的にこれだけの月日が経ち、気づけば本人も43歳とガチでおっさん年齢になってしまっていました(ジャケ写観てるとずっとおっさんな感じがするけどw)。自作自演系の人であるだけに、良く言えば作品に対して一切妥協しないというポリシーの産物かもしれませんが、寡作過ぎるというのはなんだか寂しい気もしてしまいます。ちなみに96年デビューですが、この20年目にしてようやく5作目となります。
ここで、このアルバムの発売までの動きを少し振り返ると、2014年ころに雑誌のインタビューに答え、そこで現在次作を製作中であることを明かします。その後、SNSで2015年冬頃に新作をリリースする意向を明らかにするも発売に至らず。ようやく今年の4月になって6年ぶりとなる新曲を発売。そこからアルバムのリリースが確定しいまに至ります。
では、アルバムの中身を見ていくことしましょう。これまで同様、全曲マックスウェルのプロデュース(Musze名義)、加えて前作に続いてホッド・デビッド、デビューから付き合いであるスチュアート・マシューマンが共同制作者に名を連ねています。
2016年7月15日金曜日
2014年10月26日日曜日
Kem『Promise To Love』(2014)
アメリカR&B/ソウル業界における最右翼!とすら言いたくなる、ケムのニュー・アルバムを今回は取り上げます。
ケム…彼の名を知っているとすれば、相当にR&Bフリークなのではないでしょうか。そうであるが故に、音楽好きに「ケムとか好きなんだよね」とか言っちゃった日には「あんたどんだけ渋い趣味してんのよ」と突っ込まること間違いなしのアーティスト、それがケムです(笑)
なにせ、この徹底した普遍志向とでもいいましょうか、タイムレスでエバーグリーンなサウンド、土臭いソウルというよりも洗練されたジャジーなソウルを追求したその姿勢は、音楽業界におけるある種のバックラッシュ的な働きを果たしていると言えるものです。そこにあるのは「ただグッドミュージックを届けたい」という志のみ(たぶん)。トレンドへの意識とかクラブで盛り上がろうとか、そんなものへの関心は微塵もありません。
そんなケムが、貪欲に進化をしつづける現代のR&Bに食傷気味なリスナーの心の拠り所となったとしてもおかしくはないでしょう。
さて、ケムとは何者か。国内盤も出ておらず情報が少ない中ではありますが、紹介の意味を込めて少しまとめております。
ケム(本名はキム・オーウェンズ)は、デトロイト出身のシンガー・ソングライターです。ケムを語る上で避けて通れないのが、彼のいくつかの決定的とも言える経験、すなわち、高校卒業後に体験したホームレス生活とドラッグ中毒です。彼はこの経験を通じて、自身のスピリチュアリティを見つめなおす機会を得、そして音楽の道へと進むことになります。90年代の出来事です。
それから月日が経ち、2001年ついにデビュー作『Kemistry』をインディペンデントでリリースします。しかしすぐにヒットしたわけではありません。草の根の音楽活動をしながら徐々に認知度を広めていった彼は、現在も所属しているレコード会社であるモータウンと契約し、アルバムを再リリースすることになります。
このアルバムから最初のヒット曲「Love Calls」が生まれます。主にアダコン系のラジオを中心に話題となったこの曲のおかげもあり、デビュー作は50万枚を超えるヒットを記録します。
その後、2005年にはセカンド・アルバム『AlbumII』をリリース、これがいきなり全米5位の大ヒットを記録、そして5年のブランクを経たサード『Intimacy: Album III』はなんと全米2位を記録。彼にとって最大のヒットになるとともに、グラミー賞で2部門にノミネートされるなど、着実に実績を残していきます。
そんな彼の、クリスマス盤を挟んで4作目を、それではさっそく鑑賞してみたいと思います。
ケム…彼の名を知っているとすれば、相当にR&Bフリークなのではないでしょうか。そうであるが故に、音楽好きに「ケムとか好きなんだよね」とか言っちゃった日には「あんたどんだけ渋い趣味してんのよ」と突っ込まること間違いなしのアーティスト、それがケムです(笑)
なにせ、この徹底した普遍志向とでもいいましょうか、タイムレスでエバーグリーンなサウンド、土臭いソウルというよりも洗練されたジャジーなソウルを追求したその姿勢は、音楽業界におけるある種のバックラッシュ的な働きを果たしていると言えるものです。そこにあるのは「ただグッドミュージックを届けたい」という志のみ(たぶん)。トレンドへの意識とかクラブで盛り上がろうとか、そんなものへの関心は微塵もありません。
そんなケムが、貪欲に進化をしつづける現代のR&Bに食傷気味なリスナーの心の拠り所となったとしてもおかしくはないでしょう。
さて、ケムとは何者か。国内盤も出ておらず情報が少ない中ではありますが、紹介の意味を込めて少しまとめております。
ケム(本名はキム・オーウェンズ)は、デトロイト出身のシンガー・ソングライターです。ケムを語る上で避けて通れないのが、彼のいくつかの決定的とも言える経験、すなわち、高校卒業後に体験したホームレス生活とドラッグ中毒です。彼はこの経験を通じて、自身のスピリチュアリティを見つめなおす機会を得、そして音楽の道へと進むことになります。90年代の出来事です。
それから月日が経ち、2001年ついにデビュー作『Kemistry』をインディペンデントでリリースします。しかしすぐにヒットしたわけではありません。草の根の音楽活動をしながら徐々に認知度を広めていった彼は、現在も所属しているレコード会社であるモータウンと契約し、アルバムを再リリースすることになります。
このアルバムから最初のヒット曲「Love Calls」が生まれます。主にアダコン系のラジオを中心に話題となったこの曲のおかげもあり、デビュー作は50万枚を超えるヒットを記録します。
その後、2005年にはセカンド・アルバム『AlbumII』をリリース、これがいきなり全米5位の大ヒットを記録、そして5年のブランクを経たサード『Intimacy: Album III』はなんと全米2位を記録。彼にとって最大のヒットになるとともに、グラミー賞で2部門にノミネートされるなど、着実に実績を残していきます。
そんな彼の、クリスマス盤を挟んで4作目を、それではさっそく鑑賞してみたいと思います。
2014年9月26日金曜日
Tank『Stronger』(2014)
タンクの通算6作目となる新作を今回は紹介しましょう。
タンクということでわたしの脳裏にはふと「アニキ系R&Bシンガー」ということばが浮かびました。何と言っても、2001年のデビューアルバムで披露した見事な肉体美(特に上腕二頭筋ね)、あの過剰なまでのマッチョイズムの印象は強烈でしたからね。そして、セカンドでは一度引っ込んだその肉体表現が、5年の時を経たサードでさらにバージョンアップして復活した時の衝撃といったら・・・上半身裸の自身の肉体をジャケ写に用いるアーティストは多くいても(これ自体興味深い現象ではありますが)、あそこまでムキムキなのはタンクをおいて他にいないでしょう。
まさに「アニキ~」と呼びたくなるようなヴィジュアルなのですが、そのヴィジュアルに反して歌は甘くて繊細だったりするから、またそのギャップにやられてしまうんですよね。歌声にそれほど特徴があるわけではないけど(失礼!)、それでも彼に虜になるファンがいるとしたら、そんな要素もあるかもしれません。
急いで付け加えますが、彼はさまざまなアーティストに楽曲を提供する優れたソングライター/プロデューサーでもあります(アリーヤ、ビヨンセ、モニカなど…)。だからこそ、あのムキムキの意味はいったい何なのだろうとわたしは考えてしまうのではありますが、彼が高校時代にアスリートとして活躍していてもともと肉体的に恵まれていたことと、R&Bの一要素とも言えるセックスアピールを強調したイメージ戦略というのが関係あるのではないでしょうか。余談ですが、振り返れば1枚目、3枚目、5枚目と奇数のアルバムで裸を披露しているので、次作ではまた裸のタンクを拝むことができるかもしれません。
さて、「アニキ系~」と言えば、昨年すごいプロジェクトが業界で話題になりました。そう「TGT」(タイリース、ジェニュワイン、タンクの頭文字をとったグループ名)ですよ。肉体的にも素晴らしい三人のアーティストによる夢の共演で(ってすごい括りですが)グラミー賞にもノミネートされるなど、R&Bファンにはたまらない活躍をみせました。
そんなタンク兄の2年ぶりとなるアルバム。シンガーソングライターとしてコンスタントに活動を続ける彼の最新作をさっそくチェックしましょう。
タンクということでわたしの脳裏にはふと「アニキ系R&Bシンガー」ということばが浮かびました。何と言っても、2001年のデビューアルバムで披露した見事な肉体美(特に上腕二頭筋ね)、あの過剰なまでのマッチョイズムの印象は強烈でしたからね。そして、セカンドでは一度引っ込んだその肉体表現が、5年の時を経たサードでさらにバージョンアップして復活した時の衝撃といったら・・・上半身裸の自身の肉体をジャケ写に用いるアーティストは多くいても(これ自体興味深い現象ではありますが)、あそこまでムキムキなのはタンクをおいて他にいないでしょう。
まさに「アニキ~」と呼びたくなるようなヴィジュアルなのですが、そのヴィジュアルに反して歌は甘くて繊細だったりするから、またそのギャップにやられてしまうんですよね。歌声にそれほど特徴があるわけではないけど(失礼!)、それでも彼に虜になるファンがいるとしたら、そんな要素もあるかもしれません。
急いで付け加えますが、彼はさまざまなアーティストに楽曲を提供する優れたソングライター/プロデューサーでもあります(アリーヤ、ビヨンセ、モニカなど…)。だからこそ、あのムキムキの意味はいったい何なのだろうとわたしは考えてしまうのではありますが、彼が高校時代にアスリートとして活躍していてもともと肉体的に恵まれていたことと、R&Bの一要素とも言えるセックスアピールを強調したイメージ戦略というのが関係あるのではないでしょうか。余談ですが、振り返れば1枚目、3枚目、5枚目と奇数のアルバムで裸を披露しているので、次作ではまた裸のタンクを拝むことができるかもしれません。
さて、「アニキ系~」と言えば、昨年すごいプロジェクトが業界で話題になりました。そう「TGT」(タイリース、ジェニュワイン、タンクの頭文字をとったグループ名)ですよ。肉体的にも素晴らしい三人のアーティストによる夢の共演で(ってすごい括りですが)グラミー賞にもノミネートされるなど、R&Bファンにはたまらない活躍をみせました。
そんなタンク兄の2年ぶりとなるアルバム。シンガーソングライターとしてコンスタントに活動を続ける彼の最新作をさっそくチェックしましょう。
2014年9月9日火曜日
Sam Smith『In The Lonely Hour』(2014)
今年デビューし、いきなり大ブレイクを果たした新生、サム・スミスのデビュー・アルバムを紹介したいと思います。
サム・スミスは1992年生まれ、ロンドン出身の22歳。10代の頃(っていっても最近ですけど)から音楽学校に通い、ジャズ・シンガーにも師事しながら、歌とソングライティングの勉強に勤しんだそうで、初めて曲を書いたのは18歳の時とのこと。
そんな彼が世間で初めて注目されたのは2012年の頃。UKのエレクトロ・デュオ、ディスクロージャーの「Latch」にフィーチャーされ、この曲がUKチャートで11位を記録したことがブレイクのきっかけとなりました。この曲自体今年に入ってから全米でも7位になるなど再注目されているのですが、クールなトラックと彼のぬくもりのある声の組み合わせがリスナーの心をつかんだのかもしれません。
翌年の2013年には、いよいよデビュー・シングルの「Lay Me Down」をリリース。しかし、さっぱりヒットしませんでした。ただ、この年の5月、エメリー・サンデなども手がけるプロデューサー/DJのノーティー・ボーイの「La La La」でフィーチャーされ、こちらは全英1位の大ヒットを記録、この客演仕事で彼自身への注目度が一気に高まることになります。
今年に入ってから、セカンド・シングルの「Money On My Mind」をリリース、これが全英1位に大ヒットを記録し、一気にアルバムリリースへの手がかりをつかみます。そして、今年の5月に本作はリリースされ、全英のみならず全米でも大ヒットを記録することになります(全英1位、全米2位)。
サム・スミスといえば、リリース前後での精力的なプロモーションとともに、あることが話題になりました。それは、彼がゲイであることを告白したこと。フランク・オーシャンほどのインパクトはなかったかも・・・と思いつつ、こうしてまた、ゲイであることを公表しながら活躍の場を広げる歌手が増えたことは、ヲキャマ的には嬉しいことですw
ちなみに、彼は音楽的な影響を受けたアーティストとしてエイミー・ワインハウスを真っ先に上げていますが、同様にホイットニー・ヒューストンやビヨンセ、マライア・キャリーも好きだとのことで、なるほどーって感じですよねw
さて、肝心のアルバムの方ですが、さまざまな恋愛模様が歌われています。ただし、どれも「片思い」とのことで、男性への叶わぬ思いが歌に昇華されたといったところでしょうか。さっそく、中身をみていきましょう。
サム・スミスは1992年生まれ、ロンドン出身の22歳。10代の頃(っていっても最近ですけど)から音楽学校に通い、ジャズ・シンガーにも師事しながら、歌とソングライティングの勉強に勤しんだそうで、初めて曲を書いたのは18歳の時とのこと。
そんな彼が世間で初めて注目されたのは2012年の頃。UKのエレクトロ・デュオ、ディスクロージャーの「Latch」にフィーチャーされ、この曲がUKチャートで11位を記録したことがブレイクのきっかけとなりました。この曲自体今年に入ってから全米でも7位になるなど再注目されているのですが、クールなトラックと彼のぬくもりのある声の組み合わせがリスナーの心をつかんだのかもしれません。
翌年の2013年には、いよいよデビュー・シングルの「Lay Me Down」をリリース。しかし、さっぱりヒットしませんでした。ただ、この年の5月、エメリー・サンデなども手がけるプロデューサー/DJのノーティー・ボーイの「La La La」でフィーチャーされ、こちらは全英1位の大ヒットを記録、この客演仕事で彼自身への注目度が一気に高まることになります。
今年に入ってから、セカンド・シングルの「Money On My Mind」をリリース、これが全英1位に大ヒットを記録し、一気にアルバムリリースへの手がかりをつかみます。そして、今年の5月に本作はリリースされ、全英のみならず全米でも大ヒットを記録することになります(全英1位、全米2位)。
サム・スミスといえば、リリース前後での精力的なプロモーションとともに、あることが話題になりました。それは、彼がゲイであることを告白したこと。フランク・オーシャンほどのインパクトはなかったかも・・・と思いつつ、こうしてまた、ゲイであることを公表しながら活躍の場を広げる歌手が増えたことは、ヲキャマ的には嬉しいことですw
ちなみに、彼は音楽的な影響を受けたアーティストとしてエイミー・ワインハウスを真っ先に上げていますが、同様にホイットニー・ヒューストンやビヨンセ、マライア・キャリーも好きだとのことで、なるほどーって感じですよねw
さて、肝心のアルバムの方ですが、さまざまな恋愛模様が歌われています。ただし、どれも「片思い」とのことで、男性への叶わぬ思いが歌に昇華されたといったところでしょうか。さっそく、中身をみていきましょう。
2014年8月17日日曜日
Joe『Bridges』(2014)
この回復力の早さと言ったら! そう言わずにはいられない、R&B界のジェントルマン(いや、プレイボーイかw)、ジョーの通算11枚目となるオリジナル・アルバムがリリースされました。
昨年『Doubleback: Evolution of R&B』というアルバムを出したばかりだというのに、もう次の新作が出るなんて、ファンにはたまりませんよね。すでにベテランの域に達しているジョーが、いまなおクリエイティヴである姿には驚かずにいられません。
しかも、今回は長年のビジネスパートナーであるキダー・マッセンバーグと決別し、自身のレーベルからのリリースになります。インディーズになったからリリースに関してもより自由な姿勢で臨めているのでしょうが、自分のレーベルも立ち上げて、ここに来てエンジン全開なのがな
んとも頼もしい限りです。
さて、今作の布石としてケリー・ローランドとのデュエット曲が発表されました。前作に収録されていた「Love & Sex」の続編だったのですが、これがリリースされた時には「リパッケージ版でも出すかな?」ぐらいの感じで受け止めていました。それが、フタを開けてみたら、この新作からのリード曲だったわけです。非常に興味深い展開だなと思いました。まさに前作から今作への”橋渡し的”な曲として機能させたわけですね(まあ、ヒットはしなかったわけですが)。
前作では収録曲の半分をジョー自身がプロデュースしていましたが、今回のソングライティングのみで、アルバムの大半をデレク・アレンがプロデュースしています。前作で相性が良かったからでしょうか、もともと多くのプロデューサーとタッグを組まないタイプなので、今回はベテランの彼に委ねたのでしょう。
では、さっそくアルバムの中身にうつりましょう。
2014年5月18日日曜日
Michael Jackson『Xscape』(2014)
最初にお断りしておきますが、わたしはマイケル・ジャクソンについて何がしか熱く語れるほどのファンではありません。世間でよく知られているほどのポピュラーな曲はわたしもよく知っていますが、再編集されたベスト盤で聴いたことがあるぐらいの認識しかない人だったりします。
それは、わたしが洋楽に興味を持ち始めた時期に彼のアーティストとしての存在感がすでに「過去のもの」になりつつあったからもしれません。わたしにとって、マイケルといえばデーヴ・スペクターに事あるごとにワイドショーでネタにされる海外セレブというのが、まず思い浮かぶことで、彼の素晴らしい音楽やパフォーマンスを知らなかったわけじゃないけど、いまみたいにyoutubeもない時代に、彼の偉大なる遺産に触れることなく、時間は流れていったというのが、正直なところでしょう。
英語では"posthumous"ということばが使われたりしますが、本作は「死後」2作目となるアルバムです。前回の『Michael』は、正直言うとあまり興味が湧きませんでした。訃報の前にも新作制作の話題はずっとあったわけで、ああいう作品が出てくるのはある意味当然みたいな部分もあったけど、まあ、いままでマイケルにそんなに興味なかったのに急に手を伸ばすなんてことはあり得ず、また先行リリースされたいくつかのシングルなんかも、ちょっとどうなんっていう思いがあったんですよね。
しかしですね、今回はすぐに購入しようと思いました。それは、純粋に事前に公開されたアルバム収録曲を聴いて「カッコイイ」と思ったからです。「ちゃんといまの音になっている」というわけですね。それに、ヴォーカルもあのマイケルだし(前作のはちょっとヴォーカルに難がありましたよね)。そして、その立役者の一人がティンバランドであるのを知って「おー」ってなったのです。やっぱり、彼の生み出すサウンドは特別ですから。
おもしろいことに、今回は膨大な未発表音源の中から、わずか8曲だけがピックアップされた形になっているのですが、デラックス盤には現代風にアレンジされた正規の楽曲に加え、オリジナルの音源をまるっと収録するという特典付き(制作の裏話が聞けるドキュメンタリー風のDVDもついています)。ファンにとっては、両者を比較できるというおいしい聞き方ができるし、実際に比較することでどのようにオリジナルが現代化されたのかが誰にでもわかるようになっているというのは、実に挑戦的な試みだと思います。だって、こんなのプロダクションに自信がなかったらとてもできないでしょ。
ということで、さっそくこの期待の本作の中身に移っていきたいと思います。
それは、わたしが洋楽に興味を持ち始めた時期に彼のアーティストとしての存在感がすでに「過去のもの」になりつつあったからもしれません。わたしにとって、マイケルといえばデーヴ・スペクターに事あるごとにワイドショーでネタにされる海外セレブというのが、まず思い浮かぶことで、彼の素晴らしい音楽やパフォーマンスを知らなかったわけじゃないけど、いまみたいにyoutubeもない時代に、彼の偉大なる遺産に触れることなく、時間は流れていったというのが、正直なところでしょう。
英語では"posthumous"ということばが使われたりしますが、本作は「死後」2作目となるアルバムです。前回の『Michael』は、正直言うとあまり興味が湧きませんでした。訃報の前にも新作制作の話題はずっとあったわけで、ああいう作品が出てくるのはある意味当然みたいな部分もあったけど、まあ、いままでマイケルにそんなに興味なかったのに急に手を伸ばすなんてことはあり得ず、また先行リリースされたいくつかのシングルなんかも、ちょっとどうなんっていう思いがあったんですよね。
しかしですね、今回はすぐに購入しようと思いました。それは、純粋に事前に公開されたアルバム収録曲を聴いて「カッコイイ」と思ったからです。「ちゃんといまの音になっている」というわけですね。それに、ヴォーカルもあのマイケルだし(前作のはちょっとヴォーカルに難がありましたよね)。そして、その立役者の一人がティンバランドであるのを知って「おー」ってなったのです。やっぱり、彼の生み出すサウンドは特別ですから。
おもしろいことに、今回は膨大な未発表音源の中から、わずか8曲だけがピックアップされた形になっているのですが、デラックス盤には現代風にアレンジされた正規の楽曲に加え、オリジナルの音源をまるっと収録するという特典付き(制作の裏話が聞けるドキュメンタリー風のDVDもついています)。ファンにとっては、両者を比較できるというおいしい聞き方ができるし、実際に比較することでどのようにオリジナルが現代化されたのかが誰にでもわかるようになっているというのは、実に挑戦的な試みだと思います。だって、こんなのプロダクションに自信がなかったらとてもできないでしょ。
ということで、さっそくこの期待の本作の中身に移っていきたいと思います。
2014年1月21日火曜日
Robin Thicke『Blurred Line』(2013)
年が明けると寂しいもので、話題作のリリースというのが途絶えてしまうのです。みんな年末に大作をぶつけてきますからね~。
ということで、フレッシュなブログネタがない! 仕方なく?去年買ったけどレビューできていないアルバムって何かなかったかな~、と思っていたのですが、そんなときにふとこのアルバムの存在に気づきました。
全米シングルチャートでついに年間1位に輝いたあの大ヒット曲を含むこのアルバム、なのにまだレビューしてなかったじゃありませんかw そりゃ、いけませんね。でも、そういえば、曲単位では何度も聞いたけどアルバムとしてはそんなにリピートしてなかったかもしれない・・・別に内容が悪かったわけではないのだけど、とにかく1曲目のインパクトがデカすぎてw
せっかくなので、今回はこのアルバムを取り上げたいと思います。
ロビン・シック、前作『Love After War』以外は手元に揃っているのだけど、不思議なことに、ジャケ写がどれもこれも垢抜けない人ですねw R.ケリーよりマシかもしれないけど、あまりそういうヴィジュアル面で勝負していない人なのかもしれません(元がイケメンだからか)。ブルー・アイド・ソウルという立ち位置が逆にそうさせているのかもしれませんが、とにかく今作のアートワークも、あのインパクト大のPVに比して平凡なのはなぜなのか、気になってしまいます。
それはさておき、彼の音楽活動を振り返ると、シンガーソングライターとして彼がすでに長いキャリアを誇っていることがわかります。最初にクレジットが確認できるのは、ソングライターとして、あのブランディのデビュー・アルバムに登場します。1994年、いまから20年も前ですよ。逆算すると彼は当時15~16歳ということになりますね。早熟です!
しかし、彼がそれからシンガーとしてブレイクするにはもう少し下積みが必要でした。8年後の2002年に『Cherry Tree Blues』(翌年『The Beautiful World』としてリイッシュー)というアルバムでようやくデビューしますが、これがさっぱりヒットせず。さらに時間が経ち、2005年にはネプチューンズが主宰するスター・トラックと契約。その後にリリースされた2006年の『The Evolotion of Robin Thicke』でいよいよそのチャンスをつかみました。これも、すぐにヒットしたわけではなく、2007年になってシングル「Lost Without U」がじわじわヒットしたことを受けてのブレイクでしたね。ちなみにこの曲、「こんな地味な曲が受けるのかー」という程に、静けさ漂うソウルナンバーなんですが。
それ以降、コンスタントにアルバムをリリースし、客演仕事も着実にこなしてきたわけですが、これまでは、表舞台で華々しく活躍するというよりも、どちらかというと通に愛されるような王道のソウルを地道に生み出す音楽家というイメージでした。
だからこそ、あの「Bluured Lines」のビッグヒットには、本人が一番驚いているのではないでしょうか。自作自演系なのにファレルのレーベルに在籍しているということが、逆に今回のチャンスの一因ではあったのですが、これまでのイメージとは違う「はっちゃけた」彼の姿というのもまた、新たなファン獲得の要因となったのではないかと思います。とにかくインパクトがすごかった!
そんな彼の通算6枚目となる本作をさっそく見ていきたいと思います。基本的には彼と相棒のPro-Jの共同プロデュースですが、何曲かで外部プロデューサーが参加しています。
ということで、フレッシュなブログネタがない! 仕方なく?去年買ったけどレビューできていないアルバムって何かなかったかな~、と思っていたのですが、そんなときにふとこのアルバムの存在に気づきました。
全米シングルチャートでついに年間1位に輝いたあの大ヒット曲を含むこのアルバム、なのにまだレビューしてなかったじゃありませんかw そりゃ、いけませんね。でも、そういえば、曲単位では何度も聞いたけどアルバムとしてはそんなにリピートしてなかったかもしれない・・・別に内容が悪かったわけではないのだけど、とにかく1曲目のインパクトがデカすぎてw
せっかくなので、今回はこのアルバムを取り上げたいと思います。
ロビン・シック、前作『Love After War』以外は手元に揃っているのだけど、不思議なことに、ジャケ写がどれもこれも垢抜けない人ですねw R.ケリーよりマシかもしれないけど、あまりそういうヴィジュアル面で勝負していない人なのかもしれません(元がイケメンだからか)。ブルー・アイド・ソウルという立ち位置が逆にそうさせているのかもしれませんが、とにかく今作のアートワークも、あのインパクト大のPVに比して平凡なのはなぜなのか、気になってしまいます。
それはさておき、彼の音楽活動を振り返ると、シンガーソングライターとして彼がすでに長いキャリアを誇っていることがわかります。最初にクレジットが確認できるのは、ソングライターとして、あのブランディのデビュー・アルバムに登場します。1994年、いまから20年も前ですよ。逆算すると彼は当時15~16歳ということになりますね。早熟です!
しかし、彼がそれからシンガーとしてブレイクするにはもう少し下積みが必要でした。8年後の2002年に『Cherry Tree Blues』(翌年『The Beautiful World』としてリイッシュー)というアルバムでようやくデビューしますが、これがさっぱりヒットせず。さらに時間が経ち、2005年にはネプチューンズが主宰するスター・トラックと契約。その後にリリースされた2006年の『The Evolotion of Robin Thicke』でいよいよそのチャンスをつかみました。これも、すぐにヒットしたわけではなく、2007年になってシングル「Lost Without U」がじわじわヒットしたことを受けてのブレイクでしたね。ちなみにこの曲、「こんな地味な曲が受けるのかー」という程に、静けさ漂うソウルナンバーなんですが。
それ以降、コンスタントにアルバムをリリースし、客演仕事も着実にこなしてきたわけですが、これまでは、表舞台で華々しく活躍するというよりも、どちらかというと通に愛されるような王道のソウルを地道に生み出す音楽家というイメージでした。
だからこそ、あの「Bluured Lines」のビッグヒットには、本人が一番驚いているのではないでしょうか。自作自演系なのにファレルのレーベルに在籍しているということが、逆に今回のチャンスの一因ではあったのですが、これまでのイメージとは違う「はっちゃけた」彼の姿というのもまた、新たなファン獲得の要因となったのではないかと思います。とにかくインパクトがすごかった!
そんな彼の通算6枚目となる本作をさっそく見ていきたいと思います。基本的には彼と相棒のPro-Jの共同プロデュースですが、何曲かで外部プロデューサーが参加しています。
2013年12月14日土曜日
R. Kelly『Black Panties』(2013)
現在46歳。もうおじさんだと言っていいと思うんですけど、振り返れば20代のときからもうオッサンみたいな風貌してたわけで、いまさらヴィジュルアルのことを気にするような感じじゃないかもしれませんね。しかし今回のジャケ写のヴィジュアルは秀逸じゃないでしょうか(逆にいままでなんであんなに垢抜けないアートワークだったのだろうと不思議なんですけど)。
アルバムのタイトル通り、黒パンティを履いた女性をバイオリンか何かに見立てて弦を引くケルズ氏・・・R&Bではそういう女性を楽器に例える歌詞があっても不思議じゃないけど、まさかこうやってヴィジュアル化するとは思いませんでしたわw しかも、それだけじゃなくて、実際にこの格好でライヴ・パフォーマンスもしちゃったんだから、もう何を言わんかですね。
ちなみに上のやつは通常版ですが、デラックスの方はエラいことになってまして、酒池肉林っていうんですかね、インパクトが強すぎですよ、アレは。出荷される前になってカモフラージュのための紙が追加されるとかね、もう笑うしかない。
枯渇しないエロス、ほとばしる妄想、これぞ絶倫、いや才能ですよね。前作から1年半のスパンを得てリリースされたこのアルバム、ソロとしては通算12枚目になります。ちょうど記念碑的なデビュー作『12 Play』から20年という月日が流れたわけですが、相も変わらず、こうしたギンギンのR&B作品を送り出してきたのですから、もう驚きとしか言いようがありません。デビュー作から自作自演を続けてきた彼が、いまなおこうしてクリエイティヴでいられるのも、あくなき音楽と性への探究心があるからだと推察されるところです。帝王たる所以ですね。
ここ最近の動きとしては、レディー・ガガとの共演が強烈でしたが、それより遡ると、過去2作では彼のソウル愛を感じる、とてもクラッシーな作風で勝負してきたわけです。セールス的にはそれほど伸びたわけではないけど、彼の才能というか実力をまざまざと見せつける、評価の高い2作だったと思います。人気に陰りが見え始めていたところだったので、あれは起死回生の作品だったといいと思います。
ただ、そうしたソウル回帰的なアルバムの発表の際にも、性愛路線の作品に今度は取り掛かるという話はあったわけで、結局彼はR&Bというフィールドにこだわりながらも、ひとつのことに留まることが出来ない人なんだなあと、そう思いますね。そして、それを期待しているファンもいるわけですね。
そんなあれこれがあってリリースされたこのアルバムですが、久しぶりの性愛路線、過去2作で彼のことを知ったリスナーにとってはその作風の違いに驚くこと間違いなしでしょう。ただ、ヒップホップアーティストとの数々の名共演もある彼だけに、こうした作風を待っていたリスナー層も同時にいることだと思います。もう、これはどのケルズ氏が好きかという話なのですが、ワタクシ的には、「あれもこれもひっくるめての師匠よ」と言いたいと思います。
それではさっそく中身にいきましょう。当然のごとく全曲のソングライティング&プロデュースに彼が関わっていますが、今回は全曲、(比較的知名度の低い)多くのプロデューサー達と共作していて、新たな風を吹き込もうとしていることがわかります。
アルバムのタイトル通り、黒パンティを履いた女性をバイオリンか何かに見立てて弦を引くケルズ氏・・・R&Bではそういう女性を楽器に例える歌詞があっても不思議じゃないけど、まさかこうやってヴィジュアル化するとは思いませんでしたわw しかも、それだけじゃなくて、実際にこの格好でライヴ・パフォーマンスもしちゃったんだから、もう何を言わんかですね。
ちなみに上のやつは通常版ですが、デラックスの方はエラいことになってまして、酒池肉林っていうんですかね、インパクトが強すぎですよ、アレは。出荷される前になってカモフラージュのための紙が追加されるとかね、もう笑うしかない。
枯渇しないエロス、ほとばしる妄想、これぞ絶倫、いや才能ですよね。前作から1年半のスパンを得てリリースされたこのアルバム、ソロとしては通算12枚目になります。ちょうど記念碑的なデビュー作『12 Play』から20年という月日が流れたわけですが、相も変わらず、こうしたギンギンのR&B作品を送り出してきたのですから、もう驚きとしか言いようがありません。デビュー作から自作自演を続けてきた彼が、いまなおこうしてクリエイティヴでいられるのも、あくなき音楽と性への探究心があるからだと推察されるところです。帝王たる所以ですね。
ここ最近の動きとしては、レディー・ガガとの共演が強烈でしたが、それより遡ると、過去2作では彼のソウル愛を感じる、とてもクラッシーな作風で勝負してきたわけです。セールス的にはそれほど伸びたわけではないけど、彼の才能というか実力をまざまざと見せつける、評価の高い2作だったと思います。人気に陰りが見え始めていたところだったので、あれは起死回生の作品だったといいと思います。
ただ、そうしたソウル回帰的なアルバムの発表の際にも、性愛路線の作品に今度は取り掛かるという話はあったわけで、結局彼はR&Bというフィールドにこだわりながらも、ひとつのことに留まることが出来ない人なんだなあと、そう思いますね。そして、それを期待しているファンもいるわけですね。
そんなあれこれがあってリリースされたこのアルバムですが、久しぶりの性愛路線、過去2作で彼のことを知ったリスナーにとってはその作風の違いに驚くこと間違いなしでしょう。ただ、ヒップホップアーティストとの数々の名共演もある彼だけに、こうした作風を待っていたリスナー層も同時にいることだと思います。もう、これはどのケルズ氏が好きかという話なのですが、ワタクシ的には、「あれもこれもひっくるめての師匠よ」と言いたいと思います。
それではさっそく中身にいきましょう。当然のごとく全曲のソングライティング&プロデュースに彼が関わっていますが、今回は全曲、(比較的知名度の低い)多くのプロデューサー達と共作していて、新たな風を吹き込もうとしていることがわかります。
2013年11月7日木曜日
Justin Timberlake『The 20/20 Experience - 2 of 2』(2013)
ジャスティン・ティンバーレイクが前作からわずか半年で新作をリリースしました。いわゆるデラックス増強盤ではなく、純然たる新作なのですが、タイトルといいジャケ写といい、前作の続編であることは間違いないので、蛇足的な作品に捉えられる向きもあるかもしれませんね。
いくつかのニュースサイトの情報では、このアルバムリリースの経緯として、カムバック作用に多量の作品を作ったが、名曲が多く一枚でまとめきれないので2部作にしたという話があります。当初からこういう作品として構想されていたということでしょうかね。だから、こうしてリリースしたと。
うーん、何だか潔くない感じもしますねw それを1枚にまとめるから傑作になるんじゃないの、という意見があっても当然だと思います。前作ほどこのアルバムが話題になっていないのは、そうしたことも関係しているかもしれません。ファンとしてはうれしいことだと思うのですが・・・
さて、続編というのは、一般的に言っても難しいものなのだと思います。何かの続きを作るということは、その元となる作品の出来がよいからであって、しかし、その出来が良ければよいほどにそれ以上のものを作るのは困難になる・・・駄作と呼ばれる「続き物」がたくさんあるのは経験的に知るところでしょう。
もちろん、シリーズ化が功を奏するということもあるわけです。だから、その戦略が一概に失敗するとは言えないわけで、そこはもう製作者がどうその作品を捉えるかにかかっていますよね。
このJT作に関して言えば、もともと2枚で完結させようという意図があったみたいですが、前作ほどプロモーションが華麗ではなかったことも影響しているかもしれません。ビルボードでは1位を獲得しましたが、すぐにチャートダウンしてしまいました。リードシングルもそんなにヒットしなかったし、これは前作からのリリース期間が短かったことも大きいでしょうね。普通はレコード会社的にそういうことはしないのでしょうが、それを成し遂げたというのは、これまた彼の力といえばそうなのですが。
ともあれ、アルバムの中身に移ることにしましょう。前作同様、JT、ティンバランド、J-ロックが全編にわたり協同プロデュースしています。
いくつかのニュースサイトの情報では、このアルバムリリースの経緯として、カムバック作用に多量の作品を作ったが、名曲が多く一枚でまとめきれないので2部作にしたという話があります。当初からこういう作品として構想されていたということでしょうかね。だから、こうしてリリースしたと。
うーん、何だか潔くない感じもしますねw それを1枚にまとめるから傑作になるんじゃないの、という意見があっても当然だと思います。前作ほどこのアルバムが話題になっていないのは、そうしたことも関係しているかもしれません。ファンとしてはうれしいことだと思うのですが・・・
さて、続編というのは、一般的に言っても難しいものなのだと思います。何かの続きを作るということは、その元となる作品の出来がよいからであって、しかし、その出来が良ければよいほどにそれ以上のものを作るのは困難になる・・・駄作と呼ばれる「続き物」がたくさんあるのは経験的に知るところでしょう。
もちろん、シリーズ化が功を奏するということもあるわけです。だから、その戦略が一概に失敗するとは言えないわけで、そこはもう製作者がどうその作品を捉えるかにかかっていますよね。
このJT作に関して言えば、もともと2枚で完結させようという意図があったみたいですが、前作ほどプロモーションが華麗ではなかったことも影響しているかもしれません。ビルボードでは1位を獲得しましたが、すぐにチャートダウンしてしまいました。リードシングルもそんなにヒットしなかったし、これは前作からのリリース期間が短かったことも大きいでしょうね。普通はレコード会社的にそういうことはしないのでしょうが、それを成し遂げたというのは、これまた彼の力といえばそうなのですが。
ともあれ、アルバムの中身に移ることにしましょう。前作同様、JT、ティンバランド、J-ロックが全編にわたり協同プロデュースしています。
2013年10月3日木曜日
John Legend『Love In The Future』(2013)
先日、結婚したばかりのジョン・レジェンド。そのソロ名義としては通算4作目となる新作がリリースされました。
前作はザ・ルーツとのコラボ・カバー集だったこともあり、純粋な新作としては5年間のブランクが空いてしまいました。その間も、客演仕事をコンスタントにこなしたりしていたので、まあ、マイペースに活動はしていたと思うのですが、その5年前の『Evolver』が賛否両論な作品だっただけに、ザ・ルーツとのコラボを経た彼が今作でどのような作品を作り上げてきたのか、非常に楽しみではあります。
話は逸れますが、ジョン・レジェンドと言えば、本当にええ声ですよねw ピアノ弾いているイメージが強いですが、声だけでこれほどの存在感を出せるシンガーもそういないと思うんですよね。だから、個人的にもお気に入りのシンガーなんですけど、その割には過去作を振り返ってそんなに聴き込んだ作品がないような気がする・・・この機会に改めて聞き直そうかなあと、ふと思ったりしました。
さて、今回はシングルのPVといいジャケ写といい、アーティスティックな路線を突っ走ってますね。あのおしょうゆ顔の替わりに登場した赤い花が果たして何を意味しているのか。いろいろと興味深いですね。エグゼクティヴ・プロデューサーとしては、デビュー作から関与しているデイヴ・トッツァーとカニエ・ウエストが名を連ね、大半の曲で何らかの形でクレジットされています。
では、さっそく中身にうつりましょう。
前作はザ・ルーツとのコラボ・カバー集だったこともあり、純粋な新作としては5年間のブランクが空いてしまいました。その間も、客演仕事をコンスタントにこなしたりしていたので、まあ、マイペースに活動はしていたと思うのですが、その5年前の『Evolver』が賛否両論な作品だっただけに、ザ・ルーツとのコラボを経た彼が今作でどのような作品を作り上げてきたのか、非常に楽しみではあります。
話は逸れますが、ジョン・レジェンドと言えば、本当にええ声ですよねw ピアノ弾いているイメージが強いですが、声だけでこれほどの存在感を出せるシンガーもそういないと思うんですよね。だから、個人的にもお気に入りのシンガーなんですけど、その割には過去作を振り返ってそんなに聴き込んだ作品がないような気がする・・・この機会に改めて聞き直そうかなあと、ふと思ったりしました。
さて、今回はシングルのPVといいジャケ写といい、アーティスティックな路線を突っ走ってますね。あのおしょうゆ顔の替わりに登場した赤い花が果たして何を意味しているのか。いろいろと興味深いですね。エグゼクティヴ・プロデューサーとしては、デビュー作から関与しているデイヴ・トッツァーとカニエ・ウエストが名を連ね、大半の曲で何らかの形でクレジットされています。
では、さっそく中身にうつりましょう。
2013年9月17日火曜日
Joe『Doubleback: Evolution of R&B』(2013)
すっかり秋になりましたね。R&B業界では新作がたくさんリリースされ、こちとらレビューがまったく間に合っていないのですが、マイペースに更新を続けたいと思います。
さて、今回はジョーです。秋にふさわしいじゃないですか! でも、このアルバムがリリースされたのは7月・・・まだ夏でしたねw
今回で10作目になるジョーですが、ここ日本でも絶大な人気を誇っています。恒例のビルボードライブでも11月に来日予定の彼ですが、日本でのライヴがCD化されるほど(『Joe Live From Japan』)、彼と日本のファンとの関係というのは特別なものと言えそうですね。チケット高いから、観に行くの躊躇われるのだけど。
さて、93年にアルバムデビューしてから20年経つわけですが、その間にこれだけコンスタントにアルバムをリリースし続けてきたわけです。紆余曲折あったとはいえ、10枚もアルバムを出し、そして多くがトップ10入りしているというのは驚きです(そしてわたしのライブラリーにもほとんどのアルバムがあるわけです)。今作も初登場全米6位を記録しています。
ここ数年はキダー・マッセンバーグのインディー・レーベルからのリリースが続いていて、今回もインディー発ということになるのですが(おかげでお値段がちょっと高め・・・)、むしろそのおかげで彼らしい作品がコンスタントに発表されているので、ファンとしてはうれしい限りですね。もちろん、インディだから作品の質が落ちるだなんてこと全くなくて、さすがだと思います。
今作で注目すべきことと言えば、まずはこのジャケ写でしょうw 誰が見たいとリクエストしたのか、意外とムキムキなセクシー・ボディを披露しています。ブラウン系の色調もこれまでのアートワークを踏襲してますね。
そして、タイトルなんですが・・・「倍返し」と訳したくなる衝動に駆られるのはわたしだけでしょうか。
"Doubleback"というのは「引き返す」というような意味があるそうなのですが、「R&Bの進化」を謳う今作が、どこへ向かおうとしているのか、気になるところですよね。
さっそく、中身を見ていきましょう。今回は半数の6曲(1,3,5,8,10,12)をジョー自身が手がけ、5曲(2,6,7,9,11)をデレク・アレンがプロデュース、1曲(4)のみスターゲイトがプロデュースという布陣になっています。
さて、今回はジョーです。秋にふさわしいじゃないですか! でも、このアルバムがリリースされたのは7月・・・まだ夏でしたねw
今回で10作目になるジョーですが、ここ日本でも絶大な人気を誇っています。恒例のビルボードライブでも11月に来日予定の彼ですが、日本でのライヴがCD化されるほど(『Joe Live From Japan』)、彼と日本のファンとの関係というのは特別なものと言えそうですね。チケット高いから、観に行くの躊躇われるのだけど。
さて、93年にアルバムデビューしてから20年経つわけですが、その間にこれだけコンスタントにアルバムをリリースし続けてきたわけです。紆余曲折あったとはいえ、10枚もアルバムを出し、そして多くがトップ10入りしているというのは驚きです(そしてわたしのライブラリーにもほとんどのアルバムがあるわけです)。今作も初登場全米6位を記録しています。
ここ数年はキダー・マッセンバーグのインディー・レーベルからのリリースが続いていて、今回もインディー発ということになるのですが(おかげでお値段がちょっと高め・・・)、むしろそのおかげで彼らしい作品がコンスタントに発表されているので、ファンとしてはうれしい限りですね。もちろん、インディだから作品の質が落ちるだなんてこと全くなくて、さすがだと思います。
今作で注目すべきことと言えば、まずはこのジャケ写でしょうw 誰が見たいとリクエストしたのか、意外とムキムキなセクシー・ボディを披露しています。ブラウン系の色調もこれまでのアートワークを踏襲してますね。
そして、タイトルなんですが・・・「倍返し」と訳したくなる衝動に駆られるのはわたしだけでしょうか。
"Doubleback"というのは「引き返す」というような意味があるそうなのですが、「R&Bの進化」を謳う今作が、どこへ向かおうとしているのか、気になるところですよね。
さっそく、中身を見ていきましょう。今回は半数の6曲(1,3,5,8,10,12)をジョー自身が手がけ、5曲(2,6,7,9,11)をデレク・アレンがプロデュース、1曲(4)のみスターゲイトがプロデュースという布陣になっています。
2013年4月3日水曜日
Chris Brown『F.A.M.E』(2011年)
あ、もう4月だ(^_^;) 更新ペースがどんどん落ちてるぞw
今回は再びクリス・ブラウン。
先月クリス・ブラウンを取り上げようと思った理由はもうよく覚えていないのだけど、せっかくなのでもう1枚ぐらい紹介しようかと・・・深い意味はありませんw
改めて見ると、このジャケ写、なんかイカツイですね。なんでしょう、この感じは。グラフィティ・アートっぽいけど、まあ、ストリート感をアピールしたんでしょうかね。
彼のキャリアを振り返ると、リアーナとの一件があって、3rdアルバムの『Graffiti』が見事にコケてしまったわけだけど(内容は充実してたはずなのに、評価が散々だったのはわかりやすくて笑えますね)、そこからミックステープを発表するなどして、再度自らの実力と存在感をアピール、その中から生まれた大ヒット曲「Deuces」が、復活への踏み台となりましたね。
すでにメジャーで活躍していて、しかもR&Bシンガーである彼がミックステープで勝負するというのはなかなか挑戦的なことだと思うのだけど、そこを臆せずにしたのが若さだなあと感心します。また、ミクステの流儀に則り見事なラップも披露して、ストリートへのアピールをしっかりできたのも大きいかったのかもしれません。
とにかく、いろいろなチャンスをものにして、見事なカムバックを果たしたクリス・ブラウン。そのことを象徴するかのように、このアルバムは彼に初めての全米1位の栄誉をもたらすことになりました。
ということで、さっそく内容に移りましょう。
今回は再びクリス・ブラウン。
先月クリス・ブラウンを取り上げようと思った理由はもうよく覚えていないのだけど、せっかくなのでもう1枚ぐらい紹介しようかと・・・深い意味はありませんw
改めて見ると、このジャケ写、なんかイカツイですね。なんでしょう、この感じは。グラフィティ・アートっぽいけど、まあ、ストリート感をアピールしたんでしょうかね。
彼のキャリアを振り返ると、リアーナとの一件があって、3rdアルバムの『Graffiti』が見事にコケてしまったわけだけど(内容は充実してたはずなのに、評価が散々だったのはわかりやすくて笑えますね)、そこからミックステープを発表するなどして、再度自らの実力と存在感をアピール、その中から生まれた大ヒット曲「Deuces」が、復活への踏み台となりましたね。
すでにメジャーで活躍していて、しかもR&Bシンガーである彼がミックステープで勝負するというのはなかなか挑戦的なことだと思うのだけど、そこを臆せずにしたのが若さだなあと感心します。また、ミクステの流儀に則り見事なラップも披露して、ストリートへのアピールをしっかりできたのも大きいかったのかもしれません。
とにかく、いろいろなチャンスをものにして、見事なカムバックを果たしたクリス・ブラウン。そのことを象徴するかのように、このアルバムは彼に初めての全米1位の栄誉をもたらすことになりました。
ということで、さっそく内容に移りましょう。
2013年3月26日火曜日
Justin Timberlake『The 20/20 Experience』(2013)
気づけばもう3月も終わりかけですね・・・油断するとすぐにブランクが空いちゃうなw
さて、今月の音楽業界で一番の話題と言えば、このJTの7年ぶりとなる新作でしょう。現地点で、当初予想された初週50万越えから上方修正され、いきなりミリオンヒットが見えてきたというニュースがあり、今年前半の最大のメガヒット作であることは間違いないでしょう。
それにしても、鮮やかなカムバックだと思います。前作の『Future Sex/Love Sounds』が1年以上にわたり大ヒットしたがた故に、すぐに新作をリリースするとは思えなかったけど(その間、俳優業も積極的にこなしていたし)、7年というのは相当なブランクなはず。にもかかわらず、誰もがそのリリースを待ち望んでいたかのように、そしてその期待に応えるように、JTはまたこの時代に強力な新作を世に送り出してきたわけです。
そして、前作では参加を断られたというJay-Zを迎えての新曲「Suit & Tie」で、突如としてその存在感をアピールしたかと思えば、立て続けにアルバムリリースの発表、自身もTV番組などに積極的に出演するなどして巧みなプロモーション活動を展開。周到な準備を得ての満を持してのリリースです。ここまで見事な復活劇も珍しいのではないかと思います。
もちろん、その前提として、彼の音楽性の素晴らしさというのがあるわけですね。それこそがスターの証でもあるわけだから。期待はずれのものを出しても、それに金を出すほどリスナーは甘くないわけです。
ということで、文脈を語るだけでもたくさんの情報が必要な、このアルバムについて、わたしなりの感想を書きたいと思います。
まず、今作の特徴は、前作と同様にティンバランド(およびその片腕J-ロック)をプロデューサーとして迎え、ガッツリチームを組み一つの作品をつくりあげてきたこと。正規版全10曲という曲数ながら、一曲の演奏時間が長く、1曲の中でもビートが変化するなど、シングル量産というよりは、全体としてのコンセプトを優先した印象ですね。
では、さっそく内容へ。
さて、今月の音楽業界で一番の話題と言えば、このJTの7年ぶりとなる新作でしょう。現地点で、当初予想された初週50万越えから上方修正され、いきなりミリオンヒットが見えてきたというニュースがあり、今年前半の最大のメガヒット作であることは間違いないでしょう。
それにしても、鮮やかなカムバックだと思います。前作の『Future Sex/Love Sounds』が1年以上にわたり大ヒットしたがた故に、すぐに新作をリリースするとは思えなかったけど(その間、俳優業も積極的にこなしていたし)、7年というのは相当なブランクなはず。にもかかわらず、誰もがそのリリースを待ち望んでいたかのように、そしてその期待に応えるように、JTはまたこの時代に強力な新作を世に送り出してきたわけです。
そして、前作では参加を断られたというJay-Zを迎えての新曲「Suit & Tie」で、突如としてその存在感をアピールしたかと思えば、立て続けにアルバムリリースの発表、自身もTV番組などに積極的に出演するなどして巧みなプロモーション活動を展開。周到な準備を得ての満を持してのリリースです。ここまで見事な復活劇も珍しいのではないかと思います。
もちろん、その前提として、彼の音楽性の素晴らしさというのがあるわけですね。それこそがスターの証でもあるわけだから。期待はずれのものを出しても、それに金を出すほどリスナーは甘くないわけです。
ということで、文脈を語るだけでもたくさんの情報が必要な、このアルバムについて、わたしなりの感想を書きたいと思います。
まず、今作の特徴は、前作と同様にティンバランド(およびその片腕J-ロック)をプロデューサーとして迎え、ガッツリチームを組み一つの作品をつくりあげてきたこと。正規版全10曲という曲数ながら、一曲の演奏時間が長く、1曲の中でもビートが変化するなど、シングル量産というよりは、全体としてのコンセプトを優先した印象ですね。
では、さっそく内容へ。
2013年3月1日金曜日
Chris Brown『Chris Brown』(2005)
2月といえば、グラミー賞がありましたが、その影響なのか、この時期ってあんまり話題作のリリースが少ないんですよね。今月はジャスティン・ティンバーレイクの新作とか、盛り上がりそうな作品はあるんだけど、個人的にもグラミーが終わって音楽熱が少し冷めてしまっていたのかもしれません。
ということで、月が変わったので、またできる範囲でボチボチとアルバム紹介したいと思います。
クリス・ブラウンのデビュー作です。なつかしい。当時16歳。若すぎる! そして、すでに完成されている。その後の彼のスター街道、リアーナとの例のアレも含めて、彼はもうなるべくしてスターになったとしか思えません。スゴすぎです。
別にいまこの作品を取り上げる深い理由というのは特にないんだけど、いまでもゴシップ的なものを含めさまざまなニュースを提供してくれている彼の偉大さに改めてスポットライトを当ててみよう、ってなことでいきたいと思います(笑) ちなみに現在23歳です。まだまだ若い!
そういえば昔、NHKの音楽番組で彼が「Run It!」をパフォーマンスしているのをリアルタイムで観たことがあります。ほんまに16歳かいな!っていうぐらいキレのいいダンスと、クール過ぎるサウンドプロダクションに、「ああ、海の向こうから来はったんやー。スゴイなあ。でも、コレ先に進みすぎて日本で流行らんやろうなあ」と思ったことをなぜか記憶しています。もちろん、マイケルの影響が濃厚やなあということも。
では、内容をさっそく見て行きましょう。
2013年1月24日木曜日
Ne-Yo『R.E.D.』(2012)
ニーヨの5枚目のアルバムを中古CDでゲット! なんとデラックス輸入盤が早くも500円で売ってました・・・値崩れしすぎでしょ、さすがに。うれしいような悲しいような、ちょっと複雑な心境ではあります。
このアルバム、昨年の11月にリリースされ、全米チャート最高4位を記録しています。モータウン移籍後初リリースということで、それなりに気合を入れて作ったとは思いますが、初週のセールスが46000枚とかなりの苦戦。コケたといわれる前作よりも半分以下の売り上げしかなく、しかもその後のチャートアクションも悪い。すぐにトップ10圏外に落ちてしまいました。
それにしても、アメリカの音楽業界というのはとても厳しい世界で、ニーヨのようにソングライターとしてもシンガーとしても一定の地位を確立したかに見えるアーティストですら、これだけのセールス不振に見舞われているわけです。これじゃ、アルバムのリリースを何年も待たされるアーティストが何人もいても不思議ではないですよね。ヒットし続けることがいかに難しいのか、ということを思い知らされますよね。
ただ、R&Bに関して言うと、ミックステープだろうがインディーだろうが、素晴らしい内容の作品は毎年のようにたくさんリリースされているわけで、決してジャンルとして凋落しているとは言えないと思うんですよね。セールスにかかわらず、いい内容であるのなら、それが正当に評価されるべきだと思います。
ということで、内容にうつりましょう。今作もニーヨらしい素晴らしいメロディーの楽曲がたくさん収録されていますよ。何曲かピックアップして、コメントしておきます。
このアルバム、昨年の11月にリリースされ、全米チャート最高4位を記録しています。モータウン移籍後初リリースということで、それなりに気合を入れて作ったとは思いますが、初週のセールスが46000枚とかなりの苦戦。コケたといわれる前作よりも半分以下の売り上げしかなく、しかもその後のチャートアクションも悪い。すぐにトップ10圏外に落ちてしまいました。
それにしても、アメリカの音楽業界というのはとても厳しい世界で、ニーヨのようにソングライターとしてもシンガーとしても一定の地位を確立したかに見えるアーティストですら、これだけのセールス不振に見舞われているわけです。これじゃ、アルバムのリリースを何年も待たされるアーティストが何人もいても不思議ではないですよね。ヒットし続けることがいかに難しいのか、ということを思い知らされますよね。
ただ、R&Bに関して言うと、ミックステープだろうがインディーだろうが、素晴らしい内容の作品は毎年のようにたくさんリリースされているわけで、決してジャンルとして凋落しているとは言えないと思うんですよね。セールスにかかわらず、いい内容であるのなら、それが正当に評価されるべきだと思います。
ということで、内容にうつりましょう。今作もニーヨらしい素晴らしいメロディーの楽曲がたくさん収録されていますよ。何曲かピックアップして、コメントしておきます。
2012年12月3日月曜日
Cee Lo Green『Cee Lo's Magic Moment』
『The Lady Killer』、というか「Fuck You」の大ヒットによって、歌手として一躍メジャーに出たシーロ・グリーン。彼がもともとグッディー・モブというアトランタのヒップホップ集団の一員で・・・みたいな説明は、あのいぶし銀のソウルヴォイスが世間に知れ渡ったあとでは無用かもしれませんね。とにかく、「Fuck You」のインパクトには凄まじいものがあったのです、はい。
ということで、そんなシーローがクリスマス・アルバムを発表。チャート的にはいまのところ最高67位と、ヒットにはつながってないみたいだけど、これは本当にいいですよ! クリスマスのムードを高める、楽しくもぬくもりのあるナンバーが満載です。素晴らしい企画盤だと思います。
もちろん、クリスマス・アルバムなので、日本でもお馴染みの「Silent Night」や「White Christmas」といった定番ナンバーのカバーが入っています。ともにオーディション番組『The Voice』の審査員を務めるクリスティーナ・アギレラとのジャジーな共演もあります(「Baby It's Cold Outside」)。当たり前といえば当たり前かもしれないけど、向こうにはクリスマスナンバーがたくさんありますよね(でも知らない曲も多いけど)。
それ以外にもすでにクラシックと言っていいマライア様の「All I Want For Christmas」カバーが注目でしょうか。この曲、いろんなアルバムにカバーされてますけど、やっぱり聴いているとテンション上がりますね。シーロー版も味があって素晴らしいです。
おもしろいのはオリジナル曲の「All I Need Is Love」。なんとディズニーの「マペッツ」と共演しちゃってます。弾けるような楽しいノリの一曲。音像ではわからないけど、映像ではしっかりシーローと共演しているのがわかりますw シーローもキャラ立ちがすごいから、みんな揃ってファンタジーっぽいですよね。
毎年のようにクリスマス・アルバムって出てるけど、今年の注目作は間違いなくこのアルバムだと思いますよ。
ということで、そんなシーローがクリスマス・アルバムを発表。チャート的にはいまのところ最高67位と、ヒットにはつながってないみたいだけど、これは本当にいいですよ! クリスマスのムードを高める、楽しくもぬくもりのあるナンバーが満載です。素晴らしい企画盤だと思います。
もちろん、クリスマス・アルバムなので、日本でもお馴染みの「Silent Night」や「White Christmas」といった定番ナンバーのカバーが入っています。ともにオーディション番組『The Voice』の審査員を務めるクリスティーナ・アギレラとのジャジーな共演もあります(「Baby It's Cold Outside」)。当たり前といえば当たり前かもしれないけど、向こうにはクリスマスナンバーがたくさんありますよね(でも知らない曲も多いけど)。
それ以外にもすでにクラシックと言っていいマライア様の「All I Want For Christmas」カバーが注目でしょうか。この曲、いろんなアルバムにカバーされてますけど、やっぱり聴いているとテンション上がりますね。シーロー版も味があって素晴らしいです。
おもしろいのはオリジナル曲の「All I Need Is Love」。なんとディズニーの「マペッツ」と共演しちゃってます。弾けるような楽しいノリの一曲。音像ではわからないけど、映像ではしっかりシーローと共演しているのがわかりますw シーローもキャラ立ちがすごいから、みんな揃ってファンタジーっぽいですよね。
毎年のようにクリスマス・アルバムって出てるけど、今年の注目作は間違いなくこのアルバムだと思いますよ。
2012年11月27日火曜日
Frank Ocean『channel ORANGE』 (2012)
今年メジャー・デビューしたR&Bアーティストのなかで、フランク・オーシャンほど話題を集めた人物はいないのではないでしょうか?
まず、さまざまなところで賞賛されているように、この作品の完成度というのがものすごくハイレベル。王道的とも言えるソウルやジャジーな雰囲気をまとうサウンドに、ドレイクなどが展開してきたアンビエントで静謐なダークサウンドを織り交ぜ、彼ならではの内省的でヴァルネラブルな世界観が全面に出たアルバムに仕上がっています。美しいファルセットも武器で、オープニングの(2)Thinkin' About Youからして、鳥肌が立ちそうなくらい繊細な歌を披露していますよ。
彼はLAを拠点とするヒップホップ集団であるOFGWKTA(←いまだにこれの正式名称覚えられない)のメンバーでもあります。途中でさまざまな音を切り取ったサウンドスケープをインタールードとして挿入したり、ラップっぽい歌いまわしを取り入れたりするのは、そうしたクルーの影響もあるのかもしれないですね。いや、いまどきヒップホップの影響を受けていないR&Bなんてあり得ないのだけどねw ただ、ところどころにストリート的なアプローチがあるのも仕掛けがあっておもしろいなあと思う。
さて、彼を話題の人物に仕立てあげた出来事といえば、彼のTumblr上でオープンレターの形で公表された初めて付き合った相手が男性だったというカミングアウトでしょう。いまだにホモフォビアが根強く存在しているとされるブラックミュージック業界(そういうフォビアをラップする人がいまだにいてるからね)で、彼の勇気ある「告白」は多くの反響を呼びました。だけど、それはほとんど好意的なものでした。ビヨンセなど多くのアーティストが彼に賛辞を送ったりしたしね。でも、日本のセクシュアル・マイノリティでこの話題に反応した人ってどれだけいたのかなあ・・・わたしは「オー」って思ったけど、黒人アーティストで自らのセクシュアリティを公表するっていうことがどれだけの意味を持つのかとか、さすがに語れる人はいないみたいで、そこは少し残念かなあと(ならお前が語れって話ですね、はい、すんません)。でも、前から注目はしてたけど、このニュース知って、わたしは余計に彼のファンになりましたよ。
ではそもそも彼がなぜそんなカミングアウトをアルバムリリースの前にしたかと言えば、それはこのアルバムの中に「彼」のことを歌った曲が含まれていたから。たとえば(14)Bad Religionでは、切ない歌声で「彼を振り向かせることなんてできなかった」とか歌っちゃったりしてます。R&Bに恋愛やセックスに関する歌は山ほどあるけど、同性への恋愛について歌った曲ってたぶんほとんどないから、これはスゴイことだと思います(日本でも事情はいっしょだけど)。でも、このアルバムに関していうと恋愛の歌はそもそも少なかったりします。
先述したようにインタールードが入ったりして、アルバムとしてしっかりパッケージされているから本作は流れで全体を聴くのが一番だと思うけど、オススメ曲をひとつ挙げるなら、(5)Sweet Lifeでしょうか。
ファレルとのコラボレーションなのだけど、サウンド聴いてファレルが関与してるって分かる人なんてほとんどいないと思います。きちんと彼の世界観に沿ったサウンドになっているのが素晴らしい。
まず、さまざまなところで賞賛されているように、この作品の完成度というのがものすごくハイレベル。王道的とも言えるソウルやジャジーな雰囲気をまとうサウンドに、ドレイクなどが展開してきたアンビエントで静謐なダークサウンドを織り交ぜ、彼ならではの内省的でヴァルネラブルな世界観が全面に出たアルバムに仕上がっています。美しいファルセットも武器で、オープニングの(2)Thinkin' About Youからして、鳥肌が立ちそうなくらい繊細な歌を披露していますよ。
彼はLAを拠点とするヒップホップ集団であるOFGWKTA(←いまだにこれの正式名称覚えられない)のメンバーでもあります。途中でさまざまな音を切り取ったサウンドスケープをインタールードとして挿入したり、ラップっぽい歌いまわしを取り入れたりするのは、そうしたクルーの影響もあるのかもしれないですね。いや、いまどきヒップホップの影響を受けていないR&Bなんてあり得ないのだけどねw ただ、ところどころにストリート的なアプローチがあるのも仕掛けがあっておもしろいなあと思う。
さて、彼を話題の人物に仕立てあげた出来事といえば、彼のTumblr上でオープンレターの形で公表された初めて付き合った相手が男性だったというカミングアウトでしょう。いまだにホモフォビアが根強く存在しているとされるブラックミュージック業界(そういうフォビアをラップする人がいまだにいてるからね)で、彼の勇気ある「告白」は多くの反響を呼びました。だけど、それはほとんど好意的なものでした。ビヨンセなど多くのアーティストが彼に賛辞を送ったりしたしね。でも、日本のセクシュアル・マイノリティでこの話題に反応した人ってどれだけいたのかなあ・・・わたしは「オー」って思ったけど、黒人アーティストで自らのセクシュアリティを公表するっていうことがどれだけの意味を持つのかとか、さすがに語れる人はいないみたいで、そこは少し残念かなあと(ならお前が語れって話ですね、はい、すんません)。でも、前から注目はしてたけど、このニュース知って、わたしは余計に彼のファンになりましたよ。
ではそもそも彼がなぜそんなカミングアウトをアルバムリリースの前にしたかと言えば、それはこのアルバムの中に「彼」のことを歌った曲が含まれていたから。たとえば(14)Bad Religionでは、切ない歌声で「彼を振り向かせることなんてできなかった」とか歌っちゃったりしてます。R&Bに恋愛やセックスに関する歌は山ほどあるけど、同性への恋愛について歌った曲ってたぶんほとんどないから、これはスゴイことだと思います(日本でも事情はいっしょだけど)。でも、このアルバムに関していうと恋愛の歌はそもそも少なかったりします。
先述したようにインタールードが入ったりして、アルバムとしてしっかりパッケージされているから本作は流れで全体を聴くのが一番だと思うけど、オススメ曲をひとつ挙げるなら、(5)Sweet Lifeでしょうか。
ファレルとのコラボレーションなのだけど、サウンド聴いてファレルが関与してるって分かる人なんてほとんどいないと思います。きちんと彼の世界観に沿ったサウンドになっているのが素晴らしい。
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