新作といってもリリースされたのは1月。すでに半年以上過ぎています。にもかかわらず、ビルボードのチャートではいまなおトップ10圏内を維持しています。つまりロングヒットしているわけです。いままでもシングルを何作もチャートに送り出し、つねにヒットしているような状況を生み出してきた驚異的なアーティストではありますが、どちらかといえばシングル主体の印象が強いだけにこのアルバムがこうしてヒットを続けているということも、このいまの時代状況を踏まえると素晴らしいことだと言えるでしょう。
さて、このリアーナですが、前作『Unapologetic』から動きを見てみるとようやくイレギュラーな動きを示し変化を見せてきました。というのも、リアーナといえばデビュー以来1年に1枚のハイペースでアルバムをこれまで7枚リリースし続け、そこからあまたのシングルヒットを生み出してきてのみならず、サウンド的にもトレンドセッターとしての役割を果たして来ました。しかし、あまりに「無休」感が強いため、いつまでこのペースを続けるのか、一方でそのハードワークっぷりを懸念する声もあったわけです。だから、ここに来てようやく…ということからもしれませんが、そうであるがゆえに、そのブランクからどう戻るのかというのもまた心配材料だったわけです。
実際どうだったかというと、まず自主レーベル「Westbury Road」の立ち上げとデフ・ジャムからロック・ネイションへの移籍という出来事がありました。あれだけヒットを量産してきただけにさすがに契約をめぐるトラブルがあったとは思えませんが、この手の出来事があると大概は軌道に乗るまで時間がかかるものです。しかし、これにより彼女により制作上の優位性が与えられたといえるでしょう。
次にいまやどういう位置づけかはわかりませんが、2015年には今作に未収録の3枚のシングル(「FourFiveSeconds」「Bitch Better Have My Money」「American Oxygen」)のリリースがありました。特にポール・マッカートニー、カニエ・ウエストとのサプライズ共演をはたした「FourFiveSeconds」はこれまでと違うのどかすぎるフォークポップな作風で驚きでした。チャートでもそれなりにヒットを飛ばしアルバムの布石かと思われましたが、結局見送られてしまいました。それ以外のシングルも強烈なビジュアルもありインパクト大でしたが、あまりヒットせずアルバムのリリースが危ぶまれる結果となりました。
しかし、そんなことを気にしたのかどうかわかりませんが、今年に入ってから以前より噂のあったニューアルバムのリリース話が急に現実のものになります。しかも、そのリリース形態がまたいまどきで、Tidalを通じて無料ダウンロード(サムスンが事前に購入して配ったという形)が急に可能になったか思えば他サービスでも購入可能になり、そして少し遅れてCDがリリースされるという変則的な形となりました。しかし、そのおかげでチャートには十分にそのインパクトが反映されず、いったいどれだけの人にこのアルバムが行き渡ったのかあやふやになってしまいました。しかし、ビルボード上でもチャート上位にあらわれ浮き沈みを繰り返しながらいまに至っています。
今作で特徴的なのはそのアートワークやタイトルもですが、なんといっても多彩なプロデューサーらと仕事をしながら、全曲においてリアーナがソングライターとして名を連ねていることです。いままで以上に彼女のアーティストとして個性が反映された作品といえるかと思います。
ということで内容をさっそく見ていくことにしましょう。
(1)Considerarion feat. SZA
一曲目はダブっぽくもありアタックの強いビートで、いきなりレゲエ調の歌いまわしを披露。これぞリアーナという曲ではありますが、客演のSZAさんはいずこ?というぐらい控えめに共演しています(歌いまわしが似ているので実はわかりにくかったりするのですが)。2分40秒の小曲であります。
(2)James Joint
こちらは従来のリアーナのイメージを踏襲したようなダンスポップと思いきや、なぜか1分12秒ですぐに終了。いずれ完成版を出す予定なのか、なんともよくわからない仕掛けです。
(3)Kiss It Better
ようやく本腰の入った曲と言えるでしょうか。ミディアムテンポのややロックっぽいポップではありますが、なんとジェフ・バスカーがプロデュースしています。これまでの彼の作風からはちょっと想像できないサウンドになっています。
シングルとして14作目の1位を獲得、大ヒットしているドレイクとの共演曲。今年再び流れが来ているレゲエ要素を取り入れた楽曲ですが、もともとバルバドス出身でこの手の作風を得意としてきたのでまったく違和感がありません。「ワーワーワーワー」と単調な音の繰り返しが何ともリアーナっぽくて中毒性が高く、ヒットは当然と言えるかもしれません。興味深いのがプロデュースに名を連ねるボーイ・ワンダが実はジャマイカ出身だったということ。ドレイクの作品からはあまり想像できませんが、この曲を聴くと納得ですね。
(5)Desperado
狙ったのかわかりませんが、この曲でもリアーナらしい気だるい歌いまわしである意味重苦しいのでありますが、タイトルの雰囲気を表していると思います。ジャンル的にはダークなポップという感じでしょうか。
(6)Woo
何の音か判別つきづらい不穏なサウンドからトラップっぽいベース音が流れ込み、そこにリバーブのかかったリアーナのヴォーカル。まるで何かに怒っているような曲です。ヒット・ボーイ作ですがライターにザ・ドリームの名前もあります。
(7)Needed Me
3枚目のシングルとして地味ながらもチャートで7位まで上昇しています。DJマスタードが手掛けたビート感の少ない浮遊系のサウンド。いまどき感が強いように思います。
(8)Yeah, I Said It
これまた暗い雰囲気のサウンドで、明らかにこれまでの機軸であった清く正しく明るいサウンドから決別しようとしているのは明らかですが、この曲のプロデュースにティンバランドの名前があるのがあまりに意外。過去にも共演歴がありますが、サウンドを聞いてこれがティンバ作とはだれも思わないでしょう。それだけリアーナらしさを強調した作りともいえます。
(9)Same Ol' Mistake
少し中東風味も混じりながらも、ビートの作りがいかにもティンバランドっぽい...のだけどプロデュースしたのはケヴィン・パーカーという人。オーストラリアの「テーム・インパラ」のメンバーで、今作はその彼らの楽曲のカバーということ。まったく知りませんでした。確かにそれを踏まえるとサイケデリックな曲調といえるかもです。
(10)Never Ending
アコギ主体のある意味で平凡なバラード。ところで所々で聞き覚えのあるフレーズが歌われていると思ったらダイドの「Thank You」でした。さりげに後ろで急かすようになるパーカッションも印象的ではあるのですが。
(11)Love On The Brain
今度はリアーナらしくもない3拍子のバラード。彼女にしては珍しくレンジの広いメロディーでファルセット含め多彩なヴォーカルを披露。あたかもわたしは歌えるのよとアピールしているようではありますが、楽曲としてとりわけおもしろいかといえば微妙なところかもしれません。後半のこの位置というのはよくわかりますが。
(12)Higher
ダメ押し感のあるバラード。ノーIDがこれを手掛けているというのはとにかく驚きですが、何かの鬱屈を晴らすかのように歌い上げるリアーナ嬢。これまでのイメージをとにかく壊しまくりですがちょっと重たい気もします。だからか不明ですがわずか2分で楽曲は終了。
(13)Close To You
最後ぐらいは明るく…と思いきやこれまたバラード。ピアノ主体でしっとりと歌いあげます。
全13曲ですが、短い曲も含まれておりコンパクトな仕上がり。デラックスではさらに3曲プラスですが、こちらも短い楽曲が含まれています。
アルバムのタイトルが示す通り、これまでのリアーナのイメージを覆すような楽曲群が多くを占め、その意味で新たなリアーナ像の提示に成功したといえるでしょう。正直、後半のバラード群など歌い方含めちょっとしつこい気もするのですが、アーティストとしての今後のある方を踏まえれば十分に成功しているといえるのではないでしょうか。そしてどう考えてもヒット狙いと思えないこの楽曲群から今後さらなるチャートヒットが生まれるのか楽しみであります。
Rihanna の made in America のlive最高ですよ
返信削除リアーナがリズムを可視化するように音楽に乗ってくれるので見たらアルバムがもっと良く聞こえます。演奏も最高です
YouTubeに公開されてるのでぜひ^_^
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返信削除リアーナがリズムを可視化するように音楽に乗ってくれるので見たらアルバムがもっと良く聞こえます。演奏も最高です
YouTubeに公開されてるのでぜひ^_^
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