2013年1月18日金曜日

Kelly Rowland『Here I Am』(2011)

以前、ある場所に書いたこのアルバムの評があって、放ったらかしにしておくのも何なので、少し手直しして再掲しておきます。

元デスチャのケリー・ローランドの3枚目となるソロ・アルバム。ようやく火がついたというか、デスチャはビヨンセだけじゃないのよということを示した一枚かもしれないですね。

ただ、このアルバム聞きながら、ケリー・ローランドの微妙な立ち位置について考えてしまいました。 ゲイ・カルチャー的にはデヴィッド・ゲッタとの「When Love Takes Over」(David Guetta『One Love』に収録)や本作収録の(9)「Commander」に代表されるエレクトロ系のパンチのあるダンス歌唱を聞きたいというニーズがあるんだと思うんですよね。もともと彼女は本国よりもUKでの人気が高かったりするのだけど、このゲッタ曲のUK大ヒットは彼女が巻き返しを図る上で重要な役割を果たしたのは間違いないと思います。


けど、一方で本国での彼女の再ブレイクは、大ヒットした(3)Motivationの登場を待たないといけなかったわけです(ゲッタ曲の反応はアメリカではいまいちだった)。確かにこの曲、EDMとは一線を画したクールなR&Bナンバーで、彼女のR&Bへの回帰を告げるものであり、R&Bファンにはたまらない一曲なのではないかと思います。


ただ、どっちでもイケるというのは、強みではあるけど、どっちつかずはマイナスにも作用するということだと思います。 このアルバムを聞いてみて思うのは、全体的にR&Bで統一してあるけど、サウンド的には今様のシンセを基調としたポップなR&Bサウンドだし、後半にダンスフロアへの未練たらしく(9)Commanderと(10)Down for Whateverなんかが配置してあったりして、結局どっちなのよ!って言いたくなってしまうような出来だということです(その流れって実は後のクリス・ブラウンとかアッシャーとかのコケたアルバムにも連なってたりするんですけど)。 どっちも聞きたいわたしのような人間にはこれでいいかもしれないけど、それでも煮え切らない感じがないわけではなく・・・それが彼女らしいっていったらそれまでだとは思うんですけどねw

ということで、やはり一時期構想されていた通り、EU版とUS版の二通りのバージョンを作ったほうがおもしろかったかもしれないなーと。 でも、どっちかって言われたらやっぱりR&Bサウンドをやってほしいかなと思いますね。

ちなみに、アルバム曲でツボだったのは、ピアノの旋律が印象的(K-Ci & JoJoの「All My Life」を思い出す)な(5)Feeling Me Right Nowかな。「Motivation」は言うまでもなくだけど。

あと、飛び道具的ではあるけど、ネリーを再び迎えた(14)Commander [Urban Remix]も好き! しっとりしてるんですよ、こっちはw (これ、USの通常版には収録されてないけどね。)


ということで、いまから買う人はデラックス盤か国内盤買ったほうが絶対に得だと思います。



0 件のコメント:

コメントを投稿