2013年1月30日水曜日

Tweet『Southern Hummingbird』(2002)

先日紹介したクロード・ケリーの13アルバム選の中にも入っていたトゥイートのデビュー・アルバムを今日は取り上げたいと思います。

というのも、どうやら近いうち(って年内ですけど)に待望のサード・アルバムがリリースされるという情報があるからなんですね。それに収録される予定の「Enough」という新曲も公開されています(これがまたスバラシイの!)。セカンドがリリースされたのが2005年だから、それからすでに8年も過ぎているわけで、そのブランクの意味を考えるとそう簡単にリリースというわけにはならないかもしれないけど、本作で共演しているビラルも9年のブランクがあってカムバックしたりしてるから、ここは期待して待つことにしたいと思います。

トゥイート(って表記なんですよね、ツイートじゃないの!)は、当時ティンバランドやミッシー周辺で活動していたシンガー・ソングライター。このデビュー作をリリースする前にも、ティンバランドの作品などで美声を聞かせていますが、そもそものつながりはデヴァンテ・スウィング(元Jodeci)だそうで、彼女が昔メンバーだったヴォーカル・グループ(何も形を残さないまま解散してしまったそう)がデヴァンテ一派だったことが縁のようですね(ああ、デヴァンテとかいま知ってる人どれだけいるんだって話しですよねw)。表舞台に伸し上がる人って実はみんなそうなのかもしれないけど、彼女も苦労人だということがわかります。

さて、このデビュー作、「Oops(Oh My)」というヒットシングルのおかげもあって、チャートでは全米初登場3位という華々しい記録を残しています。制作したティンバランドの神通力といったところでしょうか。でも、今作を聴いているとティンバランドはあくまでサポートというかちょっとしたトリガーみたいなもので、彼女の魅力は別の所にあるということがわかります。

ティンバランドはこの作品で4曲に参加していますが、それ以外で主軸を担うのがミッシーの共同プロデューサーとしてお馴染みのニーサン・スチュワートとクレッグ・ブロックマンの二人。それにトゥイート自身もプロデューサーとして名を連ねています。作風としてはシンプルでアコースティックな味わいのミッドバラードが多く、アリーヤにも通じる涼やかな彼女の歌声が押し出された大人のアルバムに仕上がっています。

それでは内容をかいつまんでご紹介します。



(2)My Place
ローズ・ピアノのほんわかとした音色で幕を開けるバラード。力の抜けたささやくような歌声で、「ウー、ウー、ウー」というコーラス(というかハミング?)も魅力的。昨今のアンビエントなR&Bにも通じるものを感じますね。

(3)Smoking Cigarette
アコースティック・ギターを主軸にしたこちらもさわやかなミッドバラード。のっけから地味過ぎる展開なんだけど、この流れ5曲目あたりまで続きますよw この感じが好きじゃないときっと物足りなさを感じるのではないかと思いますね。

(6)Bougie 2nite
タイトルにも表されているようにブギーなダンス調ナンバー。ここにきってやっとアップテンポな曲が来たって感じですね。でも、そこまできらびやかな感じではなく、シンプルに軽やかにまとめてきています。

(7)Oops (Oh My) feat. Missy Elliott
彼女の代名詞とも言える一曲。R&Bチャート1位を記録しています。。当時のティンバランドが得意としていた中近東的な雰囲気のコーラスとクセのあるビートが強烈な一曲(13曲目の「Call Me」も同路線の曲)で、彼女の本来の作風とはあえて違う方向に持ってきたことが成功につながったのかもしれないですね。ちなみに、有名な話ですが、この曲の歌詞は女性のマスターベーションについて書かれたものだそうです。


(8)Make Ur Move
同じくティンバランド作の、軽やかなR&Bナンバー。前曲みたいなクセのあるサウンドではなく、ノリ的には(6)に近い感じですね。

(12)Heaven
心臓の鼓動音から始まる一曲で、水流の音が挿入されたり指パチ音を使用したりとサウンドエフェクトも豊富な、浮遊感のあるサウンドが特徴的。いや、ほんまこれ聴いてるとアリーヤっぽいなあw 
(16)Sexual Healing (Ooops Pt.2) feat. Ms. Jade
ボートラ的扱い。ダメ押し的なティンバ曲で、「あの人はいま?」なミズ・ジェイドがラップで参戦したストリート色の強い仕上がり。アクの強いサウンドを中和するかのように、トゥイートのコーラスが冴え渡ります。


全16曲(+隠しトラック)収録。ティンバランドがスパイス的な曲を投入しつつ、全体的には透明感のあふれる彼女の歌声を生かしたアコースティックな仕上がり。改めて聴くと、確かにこれは忘れてはならない2000年代のR&Bサウンドだなと思いました。新作のリリースも楽しみです。



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