2013年6月23日日曜日

Kelly Rowland『Talk A Good Game』(2013)

ケリー・ローランドの4枚目となる新作がリリースされました。ジャケ写は、スケスケの衣装をまとったセクシーなケリー嬢。前作同様、モノトーンなイメージで攻めて来ましたね。

ケリーといえばなんといっても「Motivation」なわけです。あれがあったからこそ、再度ウィージーと組んだ「Ice」が出来たわけで・・・あれ、よく見ると入ってないやん、あの曲(笑)

そこそこヒットしたんだけどなあ。やっぱり二番煎じはよくないと思ったのか。まあ、同じ事ばかりしててもしょうが無いもんね。

ということで、結果的に次なるヒット曲を生み出せないまま、新作のリリースとなってしまいました。正式なリード曲である「Kisses Down Low」は、チャート的にはR&B/Hip-Hopチャートで25位と微妙なまま。「Ice」も24位だったから、そんなに変わらんのやけどね。

今回のアルバム、さすがに前作みたいに方向性の迷いはなく、きっちりとR&Bだけやってます。過去の成功にしがみつかない、そして延期することなくこのタイミングで(同日にカニエとかJ.コールとか強豪がリリース)出して来たということは、よっぽど内容に自信があるのでしょう。


さっそく、アルバムの中身に移りましょう。


(1)Freak
聞き覚えのあるイントロやなと思ったら、ジェイミー・フォックスの『Best Night of My Life』に収録されている同名曲のカバーっぽいですね。トラックもまるまる一緒やし。なんで、これやろうと思ったんだろう・・・不思議。そもそも、ジェイミーがこんなストリート寄りの曲やってること自体驚きではあるけど、ケリーはケリーなりに、うまく歌いこなしてますね。

(2)Kisses Down Low
いま話題のプロデューサーであるマイク・ウィル・メイド・イットが制作した、ケリーらしいクールな曲調の一曲。隙のあるヴァースから一転、ケリーの語りからフックに勢いよく展開する流れがスリリングでいいですね。スクリューヴォイスも効果的に使用されています。あと、PVが、この曲のイメージにあまり合ってない感じがするのが、ちょっと苦笑であります。


(3)Gone feat. Wiz Khalifa
ウィズ・カリーファを客演に迎え、ジョニ・ミッチェルの「Big Yellow Taxi」を引用した、スケールの大きな一曲。どうしてもこの曲といえばジャネットの例のあれを思い出すのですが、彼女なりにうまく消化していて、これはこれでアリだなと思いました。ウィズ・カリーファを起用した理由はよくわからないんけど。


(4)Talk A Good Game feat. Kevin Cossom
ケヴィン・コッサムがラップで参加した、アルバムの表題曲。ドレイクの作品などでお馴染みのT-マイナスがプロデュース、これまたドレイクっぽくもあるアンビエントで起伏の少ないクールな歌唱を披露しております。

(5)Down On Love
これまた(4)と同系統のR&Bナンバー。でも、90年代的な懐かしい感じもします。ウィスパーズの「Rock Steady」を使用しているらしいのだけど、原曲聴いてもどこに使ってるのかわからないパターン(笑) 聞いているとなんだか物悲しい感じがします。

(6)Dirty Laundry
アルバムからのセカンド・シングルで、ドリームが制作。めっちゃ暗い! どこまでも闇に沈んでいくような・・・歌というより恨み節のような感じですね。これをシングルにするとか、どんだけ挑戦的なんだろう、と思ってしまいます。ちなみに、歌詞の内容は、ビヨンセに対する嫉妬であるとか過去に恋人からの暴力に苦しんだことについて歌われており、一種の告白ソングになっています。ある意味、アルバムの中では目玉曲と言えるかもしれません。

 

(7)You Changed feat. Beyonce & Michelle
この流れで聴くとまたタマランものがあるのですが、ビヨンセとミシェルのリユニオン曲。あくまでも客演ということで、デスチャのような華やかさはないんだけど、二人のヴォーカルワークがまた素晴らしくて、聴き応えがあります。

(8)I Remember
ここに来てちょっと変化球。かるーく4つ打ちな感じで、前作のEDMの面影を残したような曲調になってます。あんな派手な感じではないんだけどね。

(9)Red Wine
80年代的な感じのするドラムパターンに、ケリーの爽やかなコーラスワークが冴え渡る、おしゃれな感じの一曲。これをボーイワンダが制作したというのが驚きなんだけど、なんとも掴みどころのない楽曲に仕上がってます。

(10)This Is Love
ティンバランドっぽく細かく刻んだリズムが印象的なR&Bナンバー。単調になることなく、いろいろな曲調を取り入れているなあという印象。

(11)Street Life feat. Pusha T
ここに来てまさかのファレル作、プッシャTが客演の変化球ナンバー。ファレルならではのパーカッシヴなトラックが、これまでの流れをぶち壊しな強烈さを放っているんだけど・・・これにはやられましたね。何かよくわからんのだけど、スゴイです。

(12)Stand In Front Of Me
同じくファレル作なんだけど、こっちは一転して、めっちゃレトロな仕上がり。キャバレーで流れそうな雰囲気とでも言いましょうかね。アルバムのシメにファレルを持ってくるなんて、なんて大胆なんだと思ったけど、最後はうまく着地してるから不思議です。


通常版は全12曲収録。全体としてケリーらしいクール・ビューティーが花開いたような仕上がりで、その分地味な印象も受けるんだけど、R&B作品として良質なものを届けてくれたなと思いました。彼女にとっては最高傑作と言っていいんじゃないでしょうか。



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