2013年10月15日火曜日

Faith Evans『R&B Divas』(2012)

先日某新古書店で見つけた掘り出し物。ちょうど去年の10月に出た作品ですね。コンピレーションということもあってスルーしていたのですが、お求めやすい値段になっていたので、思わず買ってしまいました。

フェイス・エヴァンスの通算6枚目となるニュー・アルバムです。いや、ウソです(笑)

ちょっとどういう事情かわからないのですが、どう考えても純粋なニュー・アルバムじゃないわけです。だって、12曲中、フェイスが参加している曲は7曲しかないわけですから。フェイス主導のコンピ盤と言ったほうが正しいでしょうね(紛らわし過ぎますが)。

ご存知の方もいると思いますが、今作はアメリカの中堅女性R&Bシンガーたちの今を追ったリアリティTVの『R&B Divas』から生まれた作品。このアルバムでは、フェイスをはじめ、そのテレビに出演しているディーヴァたちが自慢の歌声を披露しており、これはこれで楽しい仕上がりになっています。

ちなみに、そのリアリティ・ショーへ出演しているメンバーは、フェイス・エヴァンス、ニッキ・ギルバート、モニファー、シリーナ・ジョンソン、キキ・ワイアットの5人。全員知っている人がいたらスゴイ、と思います(フェイス以外は知名度低いし、それなりの苦労人ですよね)。かく言うわたし、ニッキ・ギルバート(ブラウンストーン)以外の作品を持ってたりするのですが(汗)

というわけで、フェイスの名前だけドカドカと前面に出ているのは、おそらくレコードディールとか知名度とかの問題が大きいと思いますが(この中では彼女が一番成功しているのは間違いないので)、せっかくなので、フェイスの新曲を含め、ディーヴァたちの歌声を堪能したいと思います。

さっそく中身へうつりましょう。



(1)Lovin' Me (Theme From R&B Divas) starring Faith Evans, Nicci Gilbert, Monifah, Syleena Johnson & Keke Wyatt
番組の主題歌でもあるオープニングは、5人にディーヴァたちのマイクリレー。アップテンポなトラックに載せて、5人5様のヴォーカルを披露します。当たり前ですが、みんなめちゃくちゃ歌上手いしパワフル!

(2)Tears of Joy starring Faith Evans
フェイス・エヴァンスのソロ一曲目。クリセット・ミッシェルの作品でもお馴染み、チャック・ハーモニーがプロデュースした曲で、ゴスペルの影響も感じさせる、タイムレスなバラードになっています。

(3)Mr. Supafly starring Keke Wyatt
キキ・ワイアットのソロ曲は、ポップなR&Bナンバー。彼女といえばアヴァントとのデュエットがヒットしましたが、経歴を見るとこれまた苦労人なようです。ただ、出演者の中では一番若いんですよね(本作リリース時30歳)。

(4)Too High for Love starring Faith Evans
ジャム&ルイスのプロダクションで名を連ねることの多いジェイムズ・ライトが制作。こちらはややアップテンポな曲調で、フェイスの美しいコーラスワークも響き渡る壮大なナンバー。

(5)Sisterfriend starring Faith Evans, Nicci Gilbert, Monifah, Syleena Johnson & Keke Wyatt
ディーヴァ5人による共演曲の2曲目で、シェップ・クロフォードがプロデュース、ゴードン・チェンバーズがソングライティングという納得の布陣。出だしはフェイスのソロでクールなのですが、フックで一気にディーヴァたちの歌声が重なって晴れやかな雰囲気に変わります。歌詞の内容は、シングルマザーへの応援歌になっています。この5人に歌われるとスゴイ説得力ですね。

(6)Dumb starring Faith Evans
この曲のPVが作られたのが意外だったのですが、オルガンのファンキーなフレーズも印象的な、アップテンポな一曲になっていますね。

(7)Sometimes starring Nicci Gilbert & Helene "Mom" Gilbert
ニッキ・ギルバートは90年代に活躍したR&Bグループ、ブラウンストーンの一員として活躍したシンガー。今回はお母さんとのパワフル共演。プロデュースはマイク・シティー。

(8)True Colors starring Faith Evans, Kelly Price & Fantasia
おなじみシンディー・ローパーの名曲カバーに挑んだのは、フェイスと盟友ケリー・プライス、そしてしゃがれ声ディーヴァのファンテイジア。なぜこの人選になったのかわかりませんが、このカバーが思いの他よくて驚きました。王道ともいえるR&B的な解釈なのですが、フェイスとケリーが主軸を作りつつ、ファンテイジアのクセのある声がアクセントとなっているのがよいですね。

(9)Stonewall starring Syleena Johnson
シリーナ・ジョンソンは個人的に好きなシンガーです。素晴らしい声の持ち主で、カニエ・ウェストとの共演など客演仕事もいろいろありましたがヒット作には恵まれず、苦労していますね(最近ではミュージック・ソウルチャイルドとのデュエット企画もありました)。そんな彼女のソロ曲は、トゥイスタ関連の作品でおなじみ、トキシックがプロデュース。少し緊張感のあるトラックに、鬼気迫るようなヴォーカルが響き渡る、シリーナらしい一曲になっています。

(10)She's Me starring Monifah
モニファーは、90年代中盤にヘヴィーDのバックアップを受けてデビューしたR&Bシンガーで、これまでに3枚のアルバムをリリースしています(どれもヒットしませんでしたが)。このソロ曲では、アコギベースの爽快なトラックに、パワフルなヴォーカルを披露しています。ああ、こんなに歌える人だったんだ・・・と驚き。そういえば、この番組の中ではレズビアンであることを公表しましたね・・・知名度が低いの「ああ、そうなの」という感じかもしれませんが。

(11)Soon As I Get Home (Live in LA) starring Faith Evans
フェイス・エヴァンスの初期のヒット曲をライヴ・ヴァージョンで。出だしのフェイクだけでこの曲だとわかるほどに、特徴的なヴォーカル、ファンにはたまりませんよね。いつ録音されたのか記載がないのですが、ヴォーカルがいまだに衰えていないのが素晴らしいです。

(12)Jesus Loves starring Kelly Price
最後は、盟友ケリー・プライスのソロナンバーで締めくくり、っていうのもけっこう不思議な感じがするのですが、実は今年放送の続編『R&B Divas: Los Angeles』に彼女出てたりするので、無関係ではないんですよね。曲はタイトルから想起される通り、彼女が得意とするゴスペルナンバー。パワフルなヴォーカル・パフォーマンスに圧倒されます。


フェイス・エヴァンスのファンとしては、7曲でも新曲が聞けるのはうれしいことなのですが、それ以外のナンバーも粒ぞろいで、これは意外な収穫でしたね。新鮮味はないかもしれないけど、90年代のR&Bが好きな人なら、このメンバーでこの楽曲群には十分に満足できると思います。シェップ・クロフォードやマイク・シティなど、名うてのR&Bプロデューサーが参加しているのもポイントですね。



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