インディア・アリーの約4年ぶり、通算5作目となるニュー・アルバムです。
発表されたのは6月。すぐに買ったのだけど、レヴューする機会がなくて、そのままになっていました。
まあ、そういうことはよくあるのですが、音楽っていうのはタイミングっていうのがあると思うんですよね。おそらく、購入した当時、このアルバムをそれほど聞いていたわけではなくて、繰り返し聞きたいフィーリングにもならなかった。そういう場合、そのまま聞かずじまいでお蔵入りみたいになることもあるのだけど、この作品はそうならなかったのです。
そう、ふとしたときにこのアルバムを再生してみて、「ああ、やっぱりいいなあ」と感じたんですよね。そして、「これはやはりレヴューしなければ」と思ったわけです。せっかく自分がいいと思ったアルバムについて、何も書かないなんてもったいない。そして、大して話題にならなかった本作ではありますが、スルーするのはもったいないということを文書化しなければ! ということで、今回は本作を取り上げたいと思います(っていつにもなく熱いですねw)。
彼女の過去作はどれも持っているのですが、音楽に対して誠実であり、そして、素晴らしい歌詞を書くソングライターだなあという印象を個人的に持っています。きちんと、自分のメッセージを持っていて、それが音楽として表現されているなあという感じです。
デビュー作のタイトルが『Acoustic Soul』であることから象徴されるように、彼女の音楽スタイルはアコースティックなサウンド(特にギター)を基調としたネオソウル~R&Bであり、ヒップホップ時代のR&Bマナーとは一線を画しています。ということで、R&Bが備えるある種の革新性からは遠いところにあり、その分、刺激を求める人にとっては退屈に思えるかもしれません。が、逆に、そういうサウンドに食傷気味な人にとっては、すっとココロに入ってくる、そんな音楽と言えると思います。もちろん、ネオソウル系のアーティストが体現するようなある種のブラックネスを備えていて、濃い部分もあるのですが、彼女の場合、それが官能的な方向に行かないのがポイントですね(笑)
改めてバイオフラフィーを調べると、彼女は現在38歳なんですね。いい歳の取り方をしているなあと思ってしまうのですが、それにしても、これまでにグラミー賞で21ものノミネーションを受けているというのは驚きです。やはり通に愛されるアーティストということなのでしょうか。
では、さっそくアルバムの中身にうつることにしましょう。楽曲の大半を、インディア自身と長年の共同制作者であるシャノン・サンダースがプロデュースしています。そして、今回はトルコのミュージシャンが楽曲の大半で参加しているのもポイントでしょう。
2013年11月22日金曜日
2013年11月18日月曜日
Katy Perry『Prism』(2013)
ケイティー・ペリーの4枚目のアルバムです。
絶好調ですね。売れてます(余裕の全米1位!)。前作『Teenage Dream』からシングル・カットした曲が軒並みヒットチャートの上位に食い込み、ポップディーヴァとしての地位を確固たるものにしたと思えば、そこから大きくブランクを開けることなく、新作のリリース。そして、先行シングル「Roar」をいきなりチャートトップに送り込むなど、快進撃は止まりそうにありません。
そんなペリーちゃんですが、彼女のことをそこまで知らないという人のために、ここで簡単に来歴をまとめておくことにしましょう。
まず、現在29歳です。シンガーソングライターであり、楽曲のほとんどにライターとしてクレジットされています。少し調べればわかることですが、彼女がデビューしたのは2001年(17歳の時ですね)、内容はポップスではなく、ゴスペル~クリスチャン・ロックでした(当時は「ケイティー・ハドソン」名義)。若いころはゴスペル音楽しか聞かせてもらえなかったようですね。残念ながらアルバムはヒットはしなかったのですが、10代のことから音楽を志していたことがわかります。
本格的なブレイクは、それから7年後の2008年まで待つことになります。そう、あの「I Kissed A Girl」のヒットです。このあっけらかんと「女の子とキスしたの。だって気持ちいいんだもん」と歌われるクイアな曲のインパクトは、アメリカのPTAで議論になる程でした(教育上よくないだとか・・・え?)。
そんな過激な曲を歌う彼女だけに、きっと次のアルバムも過激なものになるだろうと予想していたのですが、その次に出た『Teenage Dream』は、なんともアメリカ~ンな王道なポップ路線でした。ここら辺のことは機を改めて書けたらと思っています。
さて、そんな彼女の待望の新作ですが、さっそく中身を見ていくことにしましょう。アルバムの半数がドクター・ルーク、マックス・マーティン、サーカットのチームによるプロデュースで、前者二人はアルバムのエグゼクティブ・プロデュースも務めています。
絶好調ですね。売れてます(余裕の全米1位!)。前作『Teenage Dream』からシングル・カットした曲が軒並みヒットチャートの上位に食い込み、ポップディーヴァとしての地位を確固たるものにしたと思えば、そこから大きくブランクを開けることなく、新作のリリース。そして、先行シングル「Roar」をいきなりチャートトップに送り込むなど、快進撃は止まりそうにありません。
そんなペリーちゃんですが、彼女のことをそこまで知らないという人のために、ここで簡単に来歴をまとめておくことにしましょう。
まず、現在29歳です。シンガーソングライターであり、楽曲のほとんどにライターとしてクレジットされています。少し調べればわかることですが、彼女がデビューしたのは2001年(17歳の時ですね)、内容はポップスではなく、ゴスペル~クリスチャン・ロックでした(当時は「ケイティー・ハドソン」名義)。若いころはゴスペル音楽しか聞かせてもらえなかったようですね。残念ながらアルバムはヒットはしなかったのですが、10代のことから音楽を志していたことがわかります。
本格的なブレイクは、それから7年後の2008年まで待つことになります。そう、あの「I Kissed A Girl」のヒットです。このあっけらかんと「女の子とキスしたの。だって気持ちいいんだもん」と歌われるクイアな曲のインパクトは、アメリカのPTAで議論になる程でした(教育上よくないだとか・・・え?)。
そんな過激な曲を歌う彼女だけに、きっと次のアルバムも過激なものになるだろうと予想していたのですが、その次に出た『Teenage Dream』は、なんともアメリカ~ンな王道なポップ路線でした。ここら辺のことは機を改めて書けたらと思っています。
さて、そんな彼女の待望の新作ですが、さっそく中身を見ていくことにしましょう。アルバムの半数がドクター・ルーク、マックス・マーティン、サーカットのチームによるプロデュースで、前者二人はアルバムのエグゼクティブ・プロデュースも務めています。
2013年11月12日火曜日
Robert Glasper Experiment『Black Radio 2』(2013)
彼は、今年のグラミーで「ベストR&Bアルバム」を受賞しました(『Black Radio』)。ジャズ分野の人なんだけど、受賞したのがR&B? ってなことで、ああグラミーっぽい通な選択だなあと思いつつ、アルバムの中身にはそんなに注目してなかったんですよね。なんとなく想像できたから。
ところが、今年になって早くもその『Black Radio』の続編が出るということで、そしてその中身(というか共演者)がまた豪華ということで、これはスルーできんなあと、気になりだしたのです。好きなアーティストがたくさん参加していたということなんですけどね。
ただですね、すぐにアルバムを購入しようとまで考えていなかったんです。ちょっと様子見ようかなって感じで。ただ、ある日CDショップに行ったときに聞いてしまったんですよね、このアルバムの中に入っていたある曲を。それがすごくクールでしてね、お店で流れたその曲が気になって、やはり買ってみようということになったのです。
それが何かは後で書くとして、まずは彼のことについて一通り紹介しておくことにします。
ロバート・グラスパーは、1978年生まれ、テキサス出身のジャズ・ピアニストです。お母さんがジャズ・シンガーで、自身も教会で若くからピアノを弾いていたそうですが、高校ではR&Bシンガーのビラルと同級生だったようで、その後もQティップやカニエなど、ジャズ系でありながら、R&B/ヒップホップ人脈との交流が盛んであるとのことです。
ピアニストとしては、2004年にデビュー、以後リーダー作を4枚リリースしています。
「ロバート・グラスパー・エクスペリメント」という名義は、4作目の『Double-Booked』が初出で、そこではトリオ作とエクスペリメント作が1枚にパッケージされた形でした(よく見るとこのときは「ザ・~」がつくのですが)。その後に出た『Black Radio』では、まるまるエクスペリメント名義でのリリースとなり、リミックス作を挟んでの今作がエクスペリメントとしては2作目になります。
ちなみに、このバンドのメンバーは、ロバート・グラスパー(ピアノ、ローズ、シンセ)、ケイシー・ベンジャミン(ヴォコーダー、サックス、シンセ)、デリック・ホッジ(ベース)、マーク・コールバーグ(ドラム、パーカッション)の4人(ドラマーが前作のクリス・デイヴから入れ替わっています)で、収録曲は1曲をのぞいてオリジナル、アルバムのブックレットにはわざわざ全曲生演奏である旨が記されています。
それではさっそく中身へうつりましょう。
2013年11月9日土曜日
Miley Cyrus『Bangerz』(2013)
久しぶりにポップスを取り上げる気がするけど、マイリー・サイラスちゃんです。もうすぐ21歳になります。え、まだそんな若いの?
なんせ、ディズニーの看板を背負ったティーンエイジ・アイドルとして大ブレイクしたのは7年前なのだから。10代からすでにショウビズ界で活躍しているわけです。
そして、過去に4枚CDをリリースし、その内2枚は全米1位を獲得している・・・アメリカではもうお馴染みの存在なわけですね。
そんな彼女だからこその、今回の大胆すぎるイメージチェンジは波紋を呼びましたよね。ヒップホップを意識したダーティサウスな音楽的なスタイルしかり、ロングヘアをバッサリカットして、露出の強い衣装でパーティーに明け暮れるヤンチャなPVしかり、全裸鉄球(笑)PVしかり、しまいにはロビン・シックと放送ギリギリのライヴパフォーマンスを披露したり・・・まあ、こうした攻めの姿勢に、従来のマイリーを知るもので驚かない人はいないでしょう。たとえば、同じくヌーディーな衣装を着るにしても、マドンナやレディー・ガガ、あるいはブリトニーだったらこうはならないわけです(彼女たちはセクシーさをある種の売りにしているのだから)。まさに、従来のファンをあざ笑うかのような振る舞いと言えそうです。
じゃあ、彼女はそうしたマドンナに続くようなポップアイコンになろうとしているのか、と言われたら微妙なところではあります。なぜかって、脱いでも彼女全然セクシーじゃないでしょ(笑)。
いや、それは半分冗談なんだけど、ただ、今回のこの大胆な路線変更は、極めて計算されたものであることは間違いないと思うんですよね。アメリカの音楽業界って移り変わりが激しく、ティーンアイドルとして大成功を収めてしまったが故に、そのイメージに捕らわれて次の一歩に進めないってことは十分考えられると思うんです。だからこそ、この挑発的な新作は、彼女がアイドルから脱皮して一人のアーティストに生まれ変わるために必要な儀式みたいなもんじゃないか、と傍からみてそう思うわけです。
ということで、実は過去作をきちんと聞いたことがないので、これまでとの違いを比較する視座を持っていないのですが、いわゆるアメリカン・アイドルからの脱皮をはかる意欲作はそれ自体魅力的ではあるので、さっそく中身にうつっていくことにしましょう。
2013年11月7日木曜日
Justin Timberlake『The 20/20 Experience - 2 of 2』(2013)
ジャスティン・ティンバーレイクが前作からわずか半年で新作をリリースしました。いわゆるデラックス増強盤ではなく、純然たる新作なのですが、タイトルといいジャケ写といい、前作の続編であることは間違いないので、蛇足的な作品に捉えられる向きもあるかもしれませんね。
いくつかのニュースサイトの情報では、このアルバムリリースの経緯として、カムバック作用に多量の作品を作ったが、名曲が多く一枚でまとめきれないので2部作にしたという話があります。当初からこういう作品として構想されていたということでしょうかね。だから、こうしてリリースしたと。
うーん、何だか潔くない感じもしますねw それを1枚にまとめるから傑作になるんじゃないの、という意見があっても当然だと思います。前作ほどこのアルバムが話題になっていないのは、そうしたことも関係しているかもしれません。ファンとしてはうれしいことだと思うのですが・・・
さて、続編というのは、一般的に言っても難しいものなのだと思います。何かの続きを作るということは、その元となる作品の出来がよいからであって、しかし、その出来が良ければよいほどにそれ以上のものを作るのは困難になる・・・駄作と呼ばれる「続き物」がたくさんあるのは経験的に知るところでしょう。
もちろん、シリーズ化が功を奏するということもあるわけです。だから、その戦略が一概に失敗するとは言えないわけで、そこはもう製作者がどうその作品を捉えるかにかかっていますよね。
このJT作に関して言えば、もともと2枚で完結させようという意図があったみたいですが、前作ほどプロモーションが華麗ではなかったことも影響しているかもしれません。ビルボードでは1位を獲得しましたが、すぐにチャートダウンしてしまいました。リードシングルもそんなにヒットしなかったし、これは前作からのリリース期間が短かったことも大きいでしょうね。普通はレコード会社的にそういうことはしないのでしょうが、それを成し遂げたというのは、これまた彼の力といえばそうなのですが。
ともあれ、アルバムの中身に移ることにしましょう。前作同様、JT、ティンバランド、J-ロックが全編にわたり協同プロデュースしています。
いくつかのニュースサイトの情報では、このアルバムリリースの経緯として、カムバック作用に多量の作品を作ったが、名曲が多く一枚でまとめきれないので2部作にしたという話があります。当初からこういう作品として構想されていたということでしょうかね。だから、こうしてリリースしたと。
うーん、何だか潔くない感じもしますねw それを1枚にまとめるから傑作になるんじゃないの、という意見があっても当然だと思います。前作ほどこのアルバムが話題になっていないのは、そうしたことも関係しているかもしれません。ファンとしてはうれしいことだと思うのですが・・・
さて、続編というのは、一般的に言っても難しいものなのだと思います。何かの続きを作るということは、その元となる作品の出来がよいからであって、しかし、その出来が良ければよいほどにそれ以上のものを作るのは困難になる・・・駄作と呼ばれる「続き物」がたくさんあるのは経験的に知るところでしょう。
もちろん、シリーズ化が功を奏するということもあるわけです。だから、その戦略が一概に失敗するとは言えないわけで、そこはもう製作者がどうその作品を捉えるかにかかっていますよね。
このJT作に関して言えば、もともと2枚で完結させようという意図があったみたいですが、前作ほどプロモーションが華麗ではなかったことも影響しているかもしれません。ビルボードでは1位を獲得しましたが、すぐにチャートダウンしてしまいました。リードシングルもそんなにヒットしなかったし、これは前作からのリリース期間が短かったことも大きいでしょうね。普通はレコード会社的にそういうことはしないのでしょうが、それを成し遂げたというのは、これまた彼の力といえばそうなのですが。
ともあれ、アルバムの中身に移ることにしましょう。前作同様、JT、ティンバランド、J-ロックが全編にわたり協同プロデュースしています。
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