先日2014年グラミー賞の授賞式が行われ、このアルバムが見事「Best Urban Contemporary Album」を受賞しました。過去にシングルでの受賞はあるものの、アルバムでのグラミー受賞は初めてのこと。ビルボードチャートで初めて1位を獲得した作品でもあり、このアルバムの完成度の高さを伺わせる結果と言えそうです。
ということで、今回はリアーナのこのアルバムを取り上げたいと思います。
まず、グラミーでの件のカテゴリーについてですが、これは昨年から創設されたR&B分野のサブカテゴリーで、現代的な要素を含むR&B作品であり、その中にはアーバンポップ、ユーロポップ、ロック、オルタナティブといったプロダクション要素を取り入れたものであってよいとの規定があります。時代の流れに従って多様化するR&Bミュージックへグラミーが対応したということでしょうね。ちなみに、2012年までは「Best Contemporary R&B Album」というカテゴリーが存在しましたが、こちらの方は「Best R&B Albums」に吸収される形となっています。
さて、話をリアーナに戻しまして、2005年にデビューして以来、ほぼ1年に一枚のペースでアルバムをリリースし続け、今作で7枚目のアルバムになります。ここまでハイペースでリリースを続けるアーティストは全米では稀有な存在であり、それを可能にする彼女の勢いというのは破格であると言えるでしょう。さすがに去年は一旦小休止ということでアルバムをリリースしませんでしたが、アルバムからのシングル・カットにエミネムやワーレイとのコラボなどでチャートを賑わせ、相変わらずの存在感を提示しています。
そんな彼女ですが、ハイペースでのリリースを可能にする理由として、本人はあまりソングライティングに関与していないということが上げられるでしょう。いまやアイドルでも楽曲制作にかかわるのが当たり前の音楽業界ですが、そこで敢えてヴォーカリストに徹することで、制作のプロセスは簡略化されます。もちろんそのためには本人が納得できるような魅力的な楽曲の提供が必要なわけですが、これまでの作品を見ていても、幅広いプロデューサーと手を組んで、つねに最新のサウンドを取り入れた作品を制作していることがわかります。むしろ、そうして旬のトレンドヒッターと手を組めることが彼女の強みと言えるのではないでしょうか。
そうして快進撃を続ける彼女の通算7枚目のアルバムですが「Unapologetic=弁解しない」という強気なタイトルを付けてきました。ジャケ写は上半身裸のこれまた大胆かつシンプルなもの、前作もそうですが挑発的なアートワークにより、当初のアイドル的なスタンスから新たなステージへ向かおうとする意思が伺えます。
それでは、中身を見ていくことにしましょう。
2014年1月29日水曜日
2014年1月21日火曜日
Robin Thicke『Blurred Line』(2013)
年が明けると寂しいもので、話題作のリリースというのが途絶えてしまうのです。みんな年末に大作をぶつけてきますからね~。
ということで、フレッシュなブログネタがない! 仕方なく?去年買ったけどレビューできていないアルバムって何かなかったかな~、と思っていたのですが、そんなときにふとこのアルバムの存在に気づきました。
全米シングルチャートでついに年間1位に輝いたあの大ヒット曲を含むこのアルバム、なのにまだレビューしてなかったじゃありませんかw そりゃ、いけませんね。でも、そういえば、曲単位では何度も聞いたけどアルバムとしてはそんなにリピートしてなかったかもしれない・・・別に内容が悪かったわけではないのだけど、とにかく1曲目のインパクトがデカすぎてw
せっかくなので、今回はこのアルバムを取り上げたいと思います。
ロビン・シック、前作『Love After War』以外は手元に揃っているのだけど、不思議なことに、ジャケ写がどれもこれも垢抜けない人ですねw R.ケリーよりマシかもしれないけど、あまりそういうヴィジュアル面で勝負していない人なのかもしれません(元がイケメンだからか)。ブルー・アイド・ソウルという立ち位置が逆にそうさせているのかもしれませんが、とにかく今作のアートワークも、あのインパクト大のPVに比して平凡なのはなぜなのか、気になってしまいます。
それはさておき、彼の音楽活動を振り返ると、シンガーソングライターとして彼がすでに長いキャリアを誇っていることがわかります。最初にクレジットが確認できるのは、ソングライターとして、あのブランディのデビュー・アルバムに登場します。1994年、いまから20年も前ですよ。逆算すると彼は当時15~16歳ということになりますね。早熟です!
しかし、彼がそれからシンガーとしてブレイクするにはもう少し下積みが必要でした。8年後の2002年に『Cherry Tree Blues』(翌年『The Beautiful World』としてリイッシュー)というアルバムでようやくデビューしますが、これがさっぱりヒットせず。さらに時間が経ち、2005年にはネプチューンズが主宰するスター・トラックと契約。その後にリリースされた2006年の『The Evolotion of Robin Thicke』でいよいよそのチャンスをつかみました。これも、すぐにヒットしたわけではなく、2007年になってシングル「Lost Without U」がじわじわヒットしたことを受けてのブレイクでしたね。ちなみにこの曲、「こんな地味な曲が受けるのかー」という程に、静けさ漂うソウルナンバーなんですが。
それ以降、コンスタントにアルバムをリリースし、客演仕事も着実にこなしてきたわけですが、これまでは、表舞台で華々しく活躍するというよりも、どちらかというと通に愛されるような王道のソウルを地道に生み出す音楽家というイメージでした。
だからこそ、あの「Bluured Lines」のビッグヒットには、本人が一番驚いているのではないでしょうか。自作自演系なのにファレルのレーベルに在籍しているということが、逆に今回のチャンスの一因ではあったのですが、これまでのイメージとは違う「はっちゃけた」彼の姿というのもまた、新たなファン獲得の要因となったのではないかと思います。とにかくインパクトがすごかった!
そんな彼の通算6枚目となる本作をさっそく見ていきたいと思います。基本的には彼と相棒のPro-Jの共同プロデュースですが、何曲かで外部プロデューサーが参加しています。
ということで、フレッシュなブログネタがない! 仕方なく?去年買ったけどレビューできていないアルバムって何かなかったかな~、と思っていたのですが、そんなときにふとこのアルバムの存在に気づきました。
全米シングルチャートでついに年間1位に輝いたあの大ヒット曲を含むこのアルバム、なのにまだレビューしてなかったじゃありませんかw そりゃ、いけませんね。でも、そういえば、曲単位では何度も聞いたけどアルバムとしてはそんなにリピートしてなかったかもしれない・・・別に内容が悪かったわけではないのだけど、とにかく1曲目のインパクトがデカすぎてw
せっかくなので、今回はこのアルバムを取り上げたいと思います。
ロビン・シック、前作『Love After War』以外は手元に揃っているのだけど、不思議なことに、ジャケ写がどれもこれも垢抜けない人ですねw R.ケリーよりマシかもしれないけど、あまりそういうヴィジュアル面で勝負していない人なのかもしれません(元がイケメンだからか)。ブルー・アイド・ソウルという立ち位置が逆にそうさせているのかもしれませんが、とにかく今作のアートワークも、あのインパクト大のPVに比して平凡なのはなぜなのか、気になってしまいます。
それはさておき、彼の音楽活動を振り返ると、シンガーソングライターとして彼がすでに長いキャリアを誇っていることがわかります。最初にクレジットが確認できるのは、ソングライターとして、あのブランディのデビュー・アルバムに登場します。1994年、いまから20年も前ですよ。逆算すると彼は当時15~16歳ということになりますね。早熟です!
しかし、彼がそれからシンガーとしてブレイクするにはもう少し下積みが必要でした。8年後の2002年に『Cherry Tree Blues』(翌年『The Beautiful World』としてリイッシュー)というアルバムでようやくデビューしますが、これがさっぱりヒットせず。さらに時間が経ち、2005年にはネプチューンズが主宰するスター・トラックと契約。その後にリリースされた2006年の『The Evolotion of Robin Thicke』でいよいよそのチャンスをつかみました。これも、すぐにヒットしたわけではなく、2007年になってシングル「Lost Without U」がじわじわヒットしたことを受けてのブレイクでしたね。ちなみにこの曲、「こんな地味な曲が受けるのかー」という程に、静けさ漂うソウルナンバーなんですが。
それ以降、コンスタントにアルバムをリリースし、客演仕事も着実にこなしてきたわけですが、これまでは、表舞台で華々しく活躍するというよりも、どちらかというと通に愛されるような王道のソウルを地道に生み出す音楽家というイメージでした。
だからこそ、あの「Bluured Lines」のビッグヒットには、本人が一番驚いているのではないでしょうか。自作自演系なのにファレルのレーベルに在籍しているということが、逆に今回のチャンスの一因ではあったのですが、これまでのイメージとは違う「はっちゃけた」彼の姿というのもまた、新たなファン獲得の要因となったのではないかと思います。とにかくインパクトがすごかった!
そんな彼の通算6枚目となる本作をさっそく見ていきたいと思います。基本的には彼と相棒のPro-Jの共同プロデュースですが、何曲かで外部プロデューサーが参加しています。
2014年1月16日木曜日
Eminem『The Marshall Mathers LP2』(2013)
昨年一年を振り返って、やっぱり難しいなあと思うことがあって、それはヒップホップのアルバムについて語ること。確かに何枚か取り上げたけど、やっぱり歌モノの方が比較的書きやすいんですよね。だから、あんまり取り上げていない。
実際のところ、普段聴くアルバムとしてもR&B系の方が多いということもあって、購入はしていてもレビューするまではいかないというがのが実情かもしれません。まあ、書きたいと思わせる作品に出会えなかったというだけかもしれませんけどね。
ヒップホップ系への関心が個人的にはやや薄れつつあるのは一面としてはあるかもしれませんね。そういえば、せっかく期待して買ったのにほとんど聴いてないアルバムってのがあったりしますからね(汗)
ただ、作品自体の好き嫌いの問題はあるにしても、ヒップホップを取り上げるのが難しい理由っていうのは別にあって、要は前にもどこかで書いたけどラップって理解するのが大変なんですよ。いまじゃ、ネットで検索すればリリックの書き起こしなんてすぐに見つかったりするのだけど、それ読んだところで「これどういう意味?」みたいのたくさんあるわけです。
わからないなら対訳ついている国内盤買えばっていう話ではありますが、実際にライナーノーツってマジマジ読んだことないんですよね。どうにも、わからないなりに自分で訳した方がなんとなく納得できる、という困ったちゃんでして(だってあの手の対訳ってさあ・・・)。
もちろん、一つのやり方としては音楽的な側面だけ取り上げたら済むのだけど、なんかそれだと、なんでラップ聴いてんの?って話ではあるのでね。書くにしてもどこまで踏み込むのかというのは、悩ましい問題だったりします。
さて、閑話休題。エミネムですよ。
もちろん、期待に胸膨らまして、この13年ぶりの続編を手にしたわけです。が、アルバムのブックレットを見て仰け反りました。珍しくリリックが全て掲載されているのだけど、あまりにも文字の量が多すぎて! この圧倒的なラップこそがエミネムそのものなのではあるけど、これを全て解読せよと言われたら泣きそうになります。
ただですね、まあそれだけ語り甲斐のあるアルバムではあると思うのです。当然のごとくヒットしてますし、スルーするのもあれなので、今回はこの大作に挑もうと思います。
実際のところ、普段聴くアルバムとしてもR&B系の方が多いということもあって、購入はしていてもレビューするまではいかないというがのが実情かもしれません。まあ、書きたいと思わせる作品に出会えなかったというだけかもしれませんけどね。
ヒップホップ系への関心が個人的にはやや薄れつつあるのは一面としてはあるかもしれませんね。そういえば、せっかく期待して買ったのにほとんど聴いてないアルバムってのがあったりしますからね(汗)
ただ、作品自体の好き嫌いの問題はあるにしても、ヒップホップを取り上げるのが難しい理由っていうのは別にあって、要は前にもどこかで書いたけどラップって理解するのが大変なんですよ。いまじゃ、ネットで検索すればリリックの書き起こしなんてすぐに見つかったりするのだけど、それ読んだところで「これどういう意味?」みたいのたくさんあるわけです。
わからないなら対訳ついている国内盤買えばっていう話ではありますが、実際にライナーノーツってマジマジ読んだことないんですよね。どうにも、わからないなりに自分で訳した方がなんとなく納得できる、という困ったちゃんでして(だってあの手の対訳ってさあ・・・)。
もちろん、一つのやり方としては音楽的な側面だけ取り上げたら済むのだけど、なんかそれだと、なんでラップ聴いてんの?って話ではあるのでね。書くにしてもどこまで踏み込むのかというのは、悩ましい問題だったりします。
さて、閑話休題。エミネムですよ。
もちろん、期待に胸膨らまして、この13年ぶりの続編を手にしたわけです。が、アルバムのブックレットを見て仰け反りました。珍しくリリックが全て掲載されているのだけど、あまりにも文字の量が多すぎて! この圧倒的なラップこそがエミネムそのものなのではあるけど、これを全て解読せよと言われたら泣きそうになります。
ただですね、まあそれだけ語り甲斐のあるアルバムではあると思うのです。当然のごとくヒットしてますし、スルーするのもあれなので、今回はこの大作に挑もうと思います。
2014年1月6日月曜日
大野愛果『Silent Passage』(2013年)
みなさま、明けましておめでとうございます!
本年もマイペースにレヴューをしていきたいと思います。毎度毎度あまり大したこと書いてませんけど、みなさんとこれからも音楽への関心の輪を広げていけたらと考えています。
さて、新年一発目はJ-POPですよ! 以前、浜崎あゆみについて何か書いたことあるけど、こうしてアルバムを取り上げるのは初めてですね。たまには日本の音楽も取り上げよう! ということで、この作品を取り上げてみました。
なんていうか、久しぶりに3000円のアルバム買いましたw 洋楽CDってもっと安い値段で売ってるから、たまにこうした国内の作品を買うと、その高さに驚いてしまいますね。ビンボー人には手を出せないシロモノだわと思ってしまいます(汗)
それはさておき、なぜこのアルバムを買おうと思ったかというと、実はわたし昔からZARDの大ファンなんですね。こんなブラックミュージックのサイトやっといて何ですけど、そういう音楽に触れる前に、ZARDを始めとするビーイングの諸作品との出会いというのがあったわけです(まあ、わたしも昔は世の中のヒット曲を聴いて育ったフツーの青年だったわけです。時はミリオンセラー連発の90年代だし。いつからヲキャマ化したのかしらw)。わたしにとってZARDは言ってみれば青春そのものですよ。だから、いまでもコテコテのヒップホップに食傷気味になった時とかに、ふと清涼剤のように昔のアルバムを再生したりするわけです。それは一種のノスタルジーかもしれないけど、いわば心の支えみたいなもんだったりするのです。
そして、そんなZARDの後期(って書き方がとても切ないのですけど)に、数々のヒット曲を提供したのが、今回登場する大野愛果さんです。今作にはそのZARD提供曲のセルフカバーが収録されています。これはとても貴重ですよ。だって、あれだけポピュラリティーのある歌手であるにかかわらず、ZARDのカバーって世の中にほとんど存在しないんですから(オフィシャルなやつでね。非公式にはたくさんあると思います)。
その理由はいろいろ考えられますが、個人的に思うのは、坂井さんがああして悲し過ぎる最期を迎えてしまったということ、彼女のイメージがあれだけミステリアスな存在であったにも関わらず強固であるということ(ZARDのブランド力ですよね)、そしてビーイングがそのイメージを守るために身内以外に使用を許可していないこと、なのかなあと。内在的にも外在的にもカバーしづらいということですね。
ということで、今作はZARDファンにとってもスルーすることができない作品だと思います。
さて、話を大野愛果さんの方に戻しましょう。彼女はビーイング専属の作曲家として、これまでに数々のヒット曲を世に送り出してきました。職業作曲家、しかも女性であるということで、日本の音楽業界においても貴重な存在だと思います。そんな彼女も、作家活動を開始してから15周年という時間が過ぎたそうです(おめでとうございます)。今作はそんな彼女のこれまで辿ってきた「静かな道程」を照らす、セルフカバー集になっています。
彼女の出世作といえば、倉木麻衣さんのデビュー曲「Love, Day After Tomorrow」が有名でしょうが、彼女が職業作家としてデビューしたのはその1年前。それがWANDS「明日もし君が壊れても」でした。実は、この曲の作詞は坂井泉水さん(後にZARDとしてセルフカバーしています)で、デビューの時からいわば「黄金タッグ」だったんですよね。彼女の原点に坂井泉水という存在がいた。だからこそ、彼女もZARDには特別な思いがあるのだろうと思われます(インタビューではそのことにあまり触れていませんが)。
その大野さんですが、過去に『Shadows of Dreams』『Secret Garden』(ともに2002年)というアルバムをリリースしています。両者ともに他アーティストに提供した楽曲のセルフカバーなのですが、この時は全編英語詞で歌われています。デモテープは英語で歌われることが多いとのことで、その雰囲気を再現しようとするための工夫だとのこと。彼女自体もミステリアスな存在だったので、そのイメージを守るためにそうした方法をとったとも言えそうですね。
作曲家ということもあって、彼女の歌手としての活動は多くありませんが、多くの作品にコーラスとして参加しています。また、ZARDの追悼ライブなどにもコーラスとして参加しており、人前に出る貴重な機会となっています。youtubeではライヴハウスで行われた彼女の貴重なパフォーマンスも公開されていますので、興味があればチェックしてみてください(→たとえばコレとか。意外としっかり歌える人です)。
さあ、そんな大野愛果さんの3枚目とアルバムが今作になります。なんと11年ぶりのリリース。そして、今回ははじめて原曲のまま日本語詞で歌っています。いったいどんな仕上がりなっているのか、さっそく中身にうつっていきましょう。
本年もマイペースにレヴューをしていきたいと思います。毎度毎度あまり大したこと書いてませんけど、みなさんとこれからも音楽への関心の輪を広げていけたらと考えています。
さて、新年一発目はJ-POPですよ! 以前、浜崎あゆみについて何か書いたことあるけど、こうしてアルバムを取り上げるのは初めてですね。たまには日本の音楽も取り上げよう! ということで、この作品を取り上げてみました。
なんていうか、久しぶりに3000円のアルバム買いましたw 洋楽CDってもっと安い値段で売ってるから、たまにこうした国内の作品を買うと、その高さに驚いてしまいますね。ビンボー人には手を出せないシロモノだわと思ってしまいます(汗)
それはさておき、なぜこのアルバムを買おうと思ったかというと、実はわたし昔からZARDの大ファンなんですね。こんなブラックミュージックのサイトやっといて何ですけど、そういう音楽に触れる前に、ZARDを始めとするビーイングの諸作品との出会いというのがあったわけです(まあ、わたしも昔は世の中のヒット曲を聴いて育ったフツーの青年だったわけです。時はミリオンセラー連発の90年代だし。いつからヲキャマ化したのかしらw)。わたしにとってZARDは言ってみれば青春そのものですよ。だから、いまでもコテコテのヒップホップに食傷気味になった時とかに、ふと清涼剤のように昔のアルバムを再生したりするわけです。それは一種のノスタルジーかもしれないけど、いわば心の支えみたいなもんだったりするのです。
そして、そんなZARDの後期(って書き方がとても切ないのですけど)に、数々のヒット曲を提供したのが、今回登場する大野愛果さんです。今作にはそのZARD提供曲のセルフカバーが収録されています。これはとても貴重ですよ。だって、あれだけポピュラリティーのある歌手であるにかかわらず、ZARDのカバーって世の中にほとんど存在しないんですから(オフィシャルなやつでね。非公式にはたくさんあると思います)。
その理由はいろいろ考えられますが、個人的に思うのは、坂井さんがああして悲し過ぎる最期を迎えてしまったということ、彼女のイメージがあれだけミステリアスな存在であったにも関わらず強固であるということ(ZARDのブランド力ですよね)、そしてビーイングがそのイメージを守るために身内以外に使用を許可していないこと、なのかなあと。内在的にも外在的にもカバーしづらいということですね。
ということで、今作はZARDファンにとってもスルーすることができない作品だと思います。
さて、話を大野愛果さんの方に戻しましょう。彼女はビーイング専属の作曲家として、これまでに数々のヒット曲を世に送り出してきました。職業作曲家、しかも女性であるということで、日本の音楽業界においても貴重な存在だと思います。そんな彼女も、作家活動を開始してから15周年という時間が過ぎたそうです(おめでとうございます)。今作はそんな彼女のこれまで辿ってきた「静かな道程」を照らす、セルフカバー集になっています。
彼女の出世作といえば、倉木麻衣さんのデビュー曲「Love, Day After Tomorrow」が有名でしょうが、彼女が職業作家としてデビューしたのはその1年前。それがWANDS「明日もし君が壊れても」でした。実は、この曲の作詞は坂井泉水さん(後にZARDとしてセルフカバーしています)で、デビューの時からいわば「黄金タッグ」だったんですよね。彼女の原点に坂井泉水という存在がいた。だからこそ、彼女もZARDには特別な思いがあるのだろうと思われます(インタビューではそのことにあまり触れていませんが)。
その大野さんですが、過去に『Shadows of Dreams』『Secret Garden』(ともに2002年)というアルバムをリリースしています。両者ともに他アーティストに提供した楽曲のセルフカバーなのですが、この時は全編英語詞で歌われています。デモテープは英語で歌われることが多いとのことで、その雰囲気を再現しようとするための工夫だとのこと。彼女自体もミステリアスな存在だったので、そのイメージを守るためにそうした方法をとったとも言えそうですね。
作曲家ということもあって、彼女の歌手としての活動は多くありませんが、多くの作品にコーラスとして参加しています。また、ZARDの追悼ライブなどにもコーラスとして参加しており、人前に出る貴重な機会となっています。youtubeではライヴハウスで行われた彼女の貴重なパフォーマンスも公開されていますので、興味があればチェックしてみてください(→たとえばコレとか。意外としっかり歌える人です)。
さあ、そんな大野愛果さんの3枚目とアルバムが今作になります。なんと11年ぶりのリリース。そして、今回ははじめて原曲のまま日本語詞で歌っています。いったいどんな仕上がりなっているのか、さっそく中身にうつっていきましょう。
ラベル:
2013,
Being,
Female Pop,
大野愛果
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