今年も残す所わずかになってきました。もうブログの更新ペースが落ちまくりで、ちょっと残念なことになっていますが(汗)、音楽への興味を失わない限り、続けたいとは思います。
さて、年末なので昨年に引き続き、個人的に印象深かったアルバムを取り上げておきたいと思います。前回は勝手にカテゴリー組んで「~~賞」みたいな感じでやりましたが、もう面倒なのでカウントアップ形式です。しかも5枚だけw
いや、振り返ってみて思うに、実はそれほど突き抜けた作品が個人的になかったような気がしています。うーん、聞き逃した作品もたくさんあったかもしれないけど、そういうのも含めて、今年ってどうだったかなあという印象を持っています。
背景としては、このブログの主軸であるR&Bやヒップホップ分野に元気がなかったということかもしれません。まあ、年末に向けて話題作がちらほらと出ましたけど(ディアンジェロとか)、どうも昨年末のビヨンセ騒動以降、元気がないような気がするのは何なんでしょうね。イギー・アザリアのブレイクとか、新風もあったにはあったけど、ああこれで今年も終わるのねと思うとなんだか切ない・・・
何はともあれ、さっそく5位からいきませう。
2014年12月26日金曜日
2014年12月5日金曜日
Mary J. Blige『The London Sessions』(2014)
メアリーJ.ブライジの今年2作目となるニュー・アルバムがいよいよリリースされました。通算13枚目。齢43にして、いま脂が乗っているといってもいいかもしれません。
しかし、正直いうと、個人的にはかなり不安がありました。以前別記事で書いたことだけど、ここ最近のメアリーといえば、サントラ盤にクリスマス盤に、そしてタイトルそのままにロンドンで制作された今作と、企画物が続いています。この動きというのはある種の賭けとも言えるもので、40歳を越えて新たな試みに挑もうとしているR&Bレジェンドの果敢な姿勢の現れとも捉えられるし、しかしながら一方で仮に商業的に失敗したとしても「企画物だから」という逃げ道のあるリスクヘッジに基づいたものとも言えるわけです。サントラが大コケした後だけに、果たして今回はどうなんだろうと、発売前からドキドキさせられました。
振り返れば、正統的なオリジナル作である『My Life II』(2011年)は、いまいち垢抜けない作品でした。続き物がオリジナルを越えられないという定説を、あざとくも証明するような形になってしまったわけです。そこで、メアリー自身も何か感じたのでしょう。企画物を続けることで、アーティストとして何か新しい自分を見出そうとしたのかもしれません。一線で活躍し続けることの難しさですね。
ここで、このアルバムの背景を一応紹介しておきましょう。この企画の発端となったのはイギリスのエレクトロデュオ、ディスクロージャーの「F For You」のリミックスへのヴォーカル参加でした。これ自体なかなか斬新な組み合わせではありましたが、このリミックスのヒットを機に、メアリーはディスクロージャーとEPを制作できないか画策します。そして、新たなサウンドを求め、彼女は1ヶ月のロンドン滞在を決め、そこで現地のミュージシャンとのコラボレーションを重ねることになります。その成果が今作というわけです。アルバムの制作にあたっては、旧知の仲であるロドニー・ジャーキンスが音楽面での指揮を取ることになるのですが、よくもこの短時間でこれだけのプロジェクトを完成させることができたなあと思いますね。彼女がロンドンに滞在していたのは7月ですからね。どこまで彼女が動いたのかわからないけど、今作のためにキャピトルと契約まで結んでいるわけで(ちなみに企画盤ではヴァーヴ、エピック、キャピトルとレコードディールを替えていますが、インタースコープとの契約はもう切れたんでしょうか?)、そう思うとこの行動力はさすがと言えます。
前回のサントラとは違い、今回はプロモーションもたっぷりと行われました。9月にはiTunes Festival
への出演を果たしたほか、各種テレビへの登場もありました。しかし、残念なことに、先行リリースされたシングルはどれもチャートインせず、という厳しい結果に。R&Bシーン自体の停滞という側面もあるかもしれませんが、この反応の薄さは想定外だったかもしれません。
しかし、延期することなく今作は無事に発売されました。これは潔いことだと思います。何はともあれ、この待望の新作の中身を紐解いてみることにしましょう。
しかし、正直いうと、個人的にはかなり不安がありました。以前別記事で書いたことだけど、ここ最近のメアリーといえば、サントラ盤にクリスマス盤に、そしてタイトルそのままにロンドンで制作された今作と、企画物が続いています。この動きというのはある種の賭けとも言えるもので、40歳を越えて新たな試みに挑もうとしているR&Bレジェンドの果敢な姿勢の現れとも捉えられるし、しかしながら一方で仮に商業的に失敗したとしても「企画物だから」という逃げ道のあるリスクヘッジに基づいたものとも言えるわけです。サントラが大コケした後だけに、果たして今回はどうなんだろうと、発売前からドキドキさせられました。
振り返れば、正統的なオリジナル作である『My Life II』(2011年)は、いまいち垢抜けない作品でした。続き物がオリジナルを越えられないという定説を、あざとくも証明するような形になってしまったわけです。そこで、メアリー自身も何か感じたのでしょう。企画物を続けることで、アーティストとして何か新しい自分を見出そうとしたのかもしれません。一線で活躍し続けることの難しさですね。
ここで、このアルバムの背景を一応紹介しておきましょう。この企画の発端となったのはイギリスのエレクトロデュオ、ディスクロージャーの「F For You」のリミックスへのヴォーカル参加でした。これ自体なかなか斬新な組み合わせではありましたが、このリミックスのヒットを機に、メアリーはディスクロージャーとEPを制作できないか画策します。そして、新たなサウンドを求め、彼女は1ヶ月のロンドン滞在を決め、そこで現地のミュージシャンとのコラボレーションを重ねることになります。その成果が今作というわけです。アルバムの制作にあたっては、旧知の仲であるロドニー・ジャーキンスが音楽面での指揮を取ることになるのですが、よくもこの短時間でこれだけのプロジェクトを完成させることができたなあと思いますね。彼女がロンドンに滞在していたのは7月ですからね。どこまで彼女が動いたのかわからないけど、今作のためにキャピトルと契約まで結んでいるわけで(ちなみに企画盤ではヴァーヴ、エピック、キャピトルとレコードディールを替えていますが、インタースコープとの契約はもう切れたんでしょうか?)、そう思うとこの行動力はさすがと言えます。
前回のサントラとは違い、今回はプロモーションもたっぷりと行われました。9月にはiTunes Festival
への出演を果たしたほか、各種テレビへの登場もありました。しかし、残念なことに、先行リリースされたシングルはどれもチャートインせず、という厳しい結果に。R&Bシーン自体の停滞という側面もあるかもしれませんが、この反応の薄さは想定外だったかもしれません。
しかし、延期することなく今作は無事に発売されました。これは潔いことだと思います。何はともあれ、この待望の新作の中身を紐解いてみることにしましょう。
Faith Evans『Incomparable』(2014)
フェイス・エヴァンスが通算6作目となるニュー・アルバムをリリースしました。2年前には『R&B Divas』というグラミーにもノミネートされたコンピレーションのリリースもありましたが、純然たる新作ということになると、4年前の『Something About Faith』以来ということになります。
ちょうど、音楽キャリアをスタートしてから20年という節目の年にリリースされた今作ではありますが、20年にしてようやく6作目とは・・・なんとも寡作であります。前回取り上げたキーシャ・コールが10年足らずで6枚のアルバムをリリースしたのとは対照的です。たくさん出せばいいってわけじゃないし、実際には、アルバムのリリースにはレコードディールやプロモーションなどさまざまな条件があるわけで、作ったからといってすんなり出せるというわけでもないんだけど、まあ、ゆっくりながら着実に活動しているという印象ですね。
寡作といえば、同じく90年代半ばにデビューしたブランディーやモニカもそうですね。共通しているのは、子育てとシンガーの両立ということでしょうか。フェイスもご多分にもれず、振り返ると波乱の私生活を送っているわけですが、さまざまな経験や困難が歌へと昇華される姿を見ると、やはりアーティストだなあと思わされます。
急いで付け加えなければいけないのは、これだけマイペースに作品を発表しているフェイスではありますが、彼女のR&Bシンガーとしての特異な位置、その存在感はこの20年に渡り決して揺らぐことはなかったということです(少なくともわたしはそう思います)。今作のタイトルはいみじくも"Incomparable"(比較できない、唯一無二の)なのですが、まさしく、R&B業界においてこれだけ特徴的な、存在感のある声の持ち主はそういるわけではありません(魅惑のソプラノヴォイスですね)。そして、20年の時を経ても、全く衰えることがないというのも驚くべきことでしょう(むしろ成熟している)。
ここ最近の彼女といえば、リアリティ・ショーの『R&B Divas』への出演が話題でしたが、昨年から今作へ向けて動き始めており、今年になってアルバムのタイトルの発表がありました。そして、そのリリースの口火を切ったリードシングルがミッシー・エリオットとの共演ということで、ファンの間で話題を呼びましたね(たぶん)。チャート的にそれほど盛り上がったわけではありませんが、個人的には「キタ~」と思いましたよ。
ということで、いよいよリリースされた彼女のニュー・アルバムを紐解くことにしましょう。今回はほぼ全曲でフェイスがソング・ライティングのみならずプロデュースに関わっています。
ちょうど、音楽キャリアをスタートしてから20年という節目の年にリリースされた今作ではありますが、20年にしてようやく6作目とは・・・なんとも寡作であります。前回取り上げたキーシャ・コールが10年足らずで6枚のアルバムをリリースしたのとは対照的です。たくさん出せばいいってわけじゃないし、実際には、アルバムのリリースにはレコードディールやプロモーションなどさまざまな条件があるわけで、作ったからといってすんなり出せるというわけでもないんだけど、まあ、ゆっくりながら着実に活動しているという印象ですね。
寡作といえば、同じく90年代半ばにデビューしたブランディーやモニカもそうですね。共通しているのは、子育てとシンガーの両立ということでしょうか。フェイスもご多分にもれず、振り返ると波乱の私生活を送っているわけですが、さまざまな経験や困難が歌へと昇華される姿を見ると、やはりアーティストだなあと思わされます。
急いで付け加えなければいけないのは、これだけマイペースに作品を発表しているフェイスではありますが、彼女のR&Bシンガーとしての特異な位置、その存在感はこの20年に渡り決して揺らぐことはなかったということです(少なくともわたしはそう思います)。今作のタイトルはいみじくも"Incomparable"(比較できない、唯一無二の)なのですが、まさしく、R&B業界においてこれだけ特徴的な、存在感のある声の持ち主はそういるわけではありません(魅惑のソプラノヴォイスですね)。そして、20年の時を経ても、全く衰えることがないというのも驚くべきことでしょう(むしろ成熟している)。
ここ最近の彼女といえば、リアリティ・ショーの『R&B Divas』への出演が話題でしたが、昨年から今作へ向けて動き始めており、今年になってアルバムのタイトルの発表がありました。そして、そのリリースの口火を切ったリードシングルがミッシー・エリオットとの共演ということで、ファンの間で話題を呼びましたね(たぶん)。チャート的にそれほど盛り上がったわけではありませんが、個人的には「キタ~」と思いましたよ。
ということで、いよいよリリースされた彼女のニュー・アルバムを紐解くことにしましょう。今回はほぼ全曲でフェイスがソング・ライティングのみならずプロデュースに関わっています。
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