今年メジャー・デビューしたR&Bアーティストのなかで、フランク・オーシャンほど話題を集めた人物はいないのではないでしょうか?
まず、さまざまなところで賞賛されているように、この作品の完成度というのがものすごくハイレベル。王道的とも言えるソウルやジャジーな雰囲気をまとうサウンドに、ドレイクなどが展開してきたアンビエントで静謐なダークサウンドを織り交ぜ、彼ならではの内省的でヴァルネラブルな世界観が全面に出たアルバムに仕上がっています。美しいファルセットも武器で、オープニングの(2)Thinkin' About Youからして、鳥肌が立ちそうなくらい繊細な歌を披露していますよ。
彼はLAを拠点とするヒップホップ集団であるOFGWKTA(←いまだにこれの正式名称覚えられない)のメンバーでもあります。途中でさまざまな音を切り取ったサウンドスケープをインタールードとして挿入したり、ラップっぽい歌いまわしを取り入れたりするのは、そうしたクルーの影響もあるのかもしれないですね。いや、いまどきヒップホップの影響を受けていないR&Bなんてあり得ないのだけどねw ただ、ところどころにストリート的なアプローチがあるのも仕掛けがあっておもしろいなあと思う。
さて、彼を話題の人物に仕立てあげた出来事といえば、彼のTumblr上でオープンレターの形で公表された初めて付き合った相手が男性だったというカミングアウトでしょう。いまだにホモフォビアが根強く存在しているとされるブラックミュージック業界(そういうフォビアをラップする人がいまだにいてるからね)で、彼の勇気ある「告白」は多くの反響を呼びました。だけど、それはほとんど好意的なものでした。ビヨンセなど多くのアーティストが彼に賛辞を送ったりしたしね。でも、日本のセクシュアル・マイノリティでこの話題に反応した人ってどれだけいたのかなあ・・・わたしは「オー」って思ったけど、黒人アーティストで自らのセクシュアリティを公表するっていうことがどれだけの意味を持つのかとか、さすがに語れる人はいないみたいで、そこは少し残念かなあと(ならお前が語れって話ですね、はい、すんません)。でも、前から注目はしてたけど、このニュース知って、わたしは余計に彼のファンになりましたよ。
ではそもそも彼がなぜそんなカミングアウトをアルバムリリースの前にしたかと言えば、それはこのアルバムの中に「彼」のことを歌った曲が含まれていたから。たとえば(14)Bad Religionでは、切ない歌声で「彼を振り向かせることなんてできなかった」とか歌っちゃったりしてます。R&Bに恋愛やセックスに関する歌は山ほどあるけど、同性への恋愛について歌った曲ってたぶんほとんどないから、これはスゴイことだと思います(日本でも事情はいっしょだけど)。でも、このアルバムに関していうと恋愛の歌はそもそも少なかったりします。
先述したようにインタールードが入ったりして、アルバムとしてしっかりパッケージされているから本作は流れで全体を聴くのが一番だと思うけど、オススメ曲をひとつ挙げるなら、(5)Sweet Lifeでしょうか。
ファレルとのコラボレーションなのだけど、サウンド聴いてファレルが関与してるって分かる人なんてほとんどいないと思います。きちんと彼の世界観に沿ったサウンドになっているのが素晴らしい。
2012年11月27日火曜日
2012年11月24日土曜日
Ke$ha『Cannibal』 (2010)
デビュー作『Annimal』の余韻冷めやらぬ中、2010年の末にリリースされたこの作品。
レディー・ガガやアッシャーが試みたように、EPとしての単品での発売と、前作『Annimal』とセット(2枚組)での発売という2つの形態をとった今作。残念ながらEP単品の方は輸入盤でしか流通していないようで、前作を所有しかつ国内盤が必要な人にとっては、この「抱き合わせ商法」は不評なようだけど、逆にケシャの作品をまだ聞いたことがないという人にとっては、一挙両得といえるのではないでしょうか。
さて、今回はEPということで、新曲8曲+リミックス1曲という構成。1曲目から「わたしは人喰いよ(I am Cannibal)」と肉食系宣言から始まる本作(強烈っすねw)、コンパクトながら力強い曲が詰め込まれていますよ。続投のDr.Lukeが今回もいい仕事をしています。
世界的大ヒットとなったのが「We R Who We R」。サウンド的には「TiK ToK」の延長上にあって、それ以上でもないのだけど、これぞケシャという一曲。わかりやすいっすね。
引き続き全編エレクトロポップ系で攻める今作。とにかくパーティー気分で盛り上がりたいっていう時に聴くにはピッタリのアルバムだと思いますね。
レディー・ガガやアッシャーが試みたように、EPとしての単品での発売と、前作『Annimal』とセット(2枚組)での発売という2つの形態をとった今作。残念ながらEP単品の方は輸入盤でしか流通していないようで、前作を所有しかつ国内盤が必要な人にとっては、この「抱き合わせ商法」は不評なようだけど、逆にケシャの作品をまだ聞いたことがないという人にとっては、一挙両得といえるのではないでしょうか。
さて、今回はEPということで、新曲8曲+リミックス1曲という構成。1曲目から「わたしは人喰いよ(I am Cannibal)」と肉食系宣言から始まる本作(強烈っすねw)、コンパクトながら力強い曲が詰め込まれていますよ。続投のDr.Lukeが今回もいい仕事をしています。
世界的大ヒットとなったのが「We R Who We R」。サウンド的には「TiK ToK」の延長上にあって、それ以上でもないのだけど、これぞケシャという一曲。わかりやすいっすね。
引き続き全編エレクトロポップ系で攻める今作。とにかくパーティー気分で盛り上がりたいっていう時に聴くにはピッタリのアルバムだと思いますね。
2012年11月21日水曜日
Ke$ha『Animal』 (2010)
来週いよいよセカンド・アルバムがリリースされるらしいケシャ(最初は「キーシャ」と紹介されたりもしてましたね)の、こちらは2010年に発表されたデビュー・アルバム。久しぶりに聞き直してます。楽しいですね♪ アギレラとはまた違うけど、ダンスポップ系が好きな人には、ぜひともオススメの一枚です。
ケシャと言えば、かつて「私は人間が好きなの。ゲイでもストレートでもない。そういうレッテルを貼るのは好きではないから」と発言して話題になったことがありました。そのことから彼女が「バイセクシュアル」であるとするニュースもありましたが、ラベリングの問題に気づいている彼女に反対してあえて言うなら「パンセクシュアル」ということになるのではないでしょうか。そういえば、アルバムのタイトルは『アニマル』だったりするのだけど・・・たぶん、それは関係ないなw
ケシャと言えば、かつて「私は人間が好きなの。ゲイでもストレートでもない。そういうレッテルを貼るのは好きではないから」と発言して話題になったことがありました。そのことから彼女が「バイセクシュアル」であるとするニュースもありましたが、ラベリングの問題に気づいている彼女に反対してあえて言うなら「パンセクシュアル」ということになるのではないでしょうか。そういえば、アルバムのタイトルは『アニマル』だったりするのだけど・・・たぶん、それは関係ないなw
ということで、セクシュアル・マイノリティにとっても目が離せない存在、それがケシャ! と言いたいところです。そういえば、彼女、It Gets Betterという主にLGBTユースの自殺予防を目的としてさまざまなメッセージを届けるプロジェクトに賛同してyoutube上にメッセージを揚げたりもしてますよね(→こちらで観れます)。
さて、本題に戻りまして、ケシャを有名にした曲といえば、なんといっても「Tik Tok」でしょう。いや、それ以前にFlo Ridaの大ヒット曲「Right Round」への客演という伏線もあったのだけど、やっぱりソロ曲でのケシャ節としか言いようがない独自の歌いまわしを知らしめたこの曲こそが、彼女の代表曲と言えるのではないでしょうか。
1人でラッパーとシンガーをこなしてしまうみたいな、美味しいとこ取り歌唱ですね。のっけから「気分はP.Diddyみたい」って面白いフレーズも出てくるし(セレブの代表みたいなことでしょうか?)。声も特徴的、ゲーム音的なシンセフレーズやオートチューンも効果的に使用してます。わかりやすいパーティーチューンです。
アルバムのプロデュースの多くを務めているのがDr.Lukeという人物。ヒット曲連発の彼だけど、ヒップホップ的なエッセンスと今様のダンスビートを融合して、耳障りのいいポップなサウンドを生み出してますよ。
アルバム全体を通してノリのいい曲がたくさん含まれているので、そういうポップサウンドが好きな人にはぜひとも聴いて欲しい作品です。個人的には「Back$tabber」あたりが好きかも。
2012年11月20日火曜日
Missy Elliott『Under Construction』 (2002)
以前ビルホードのニュースで、1位にならずに2位に長期間にわたりランクインした曲のランキングが紹介されていました(→こちら)。Psyの「Gangnam Style」が1位になりそうでならないまま、2位からランクダウンしたことを受けての特集記事だったみたいだけど、そこで堂々の1位に輝いたのが、このミッシー・エリオットの大ヒット曲「Work It」(2002年)なんですよね。1981年のフォリナー「Waiting For A Girl Like You」と並んで、10週連続2位という記録を打ち立てています。
これって、もしかして10週連続1位より難しいのでは?と思ったのだけど、その時1位になるのを阻んだのが、エミネムの「Lose Yourself」だったんですよね。それは仕方ないかもw でも、この記録が今後打ち破られる可能性というのは極めて低いのではないかと思いますね。
それはともかく、せっかくの機会なので、いま改めてこの作品を取り上げてみようと思います。
この作品は2002年に発表された、彼女にとって通算4枚目のアルバム。プロデュースの大半をこれまでと同様にティンバランドが務めています。ミッシーと言えばティンバランド、ティンバランドと言えばミッシー、というほど、この二人のタッグはテッパンですからね。このアルバムでもその相性のよさが発揮されていますよね。ミッシーのアルバムの中でも、もっとも評価の高いアルバムの一つといえるでしょう。
わたしがまだヒップホップについてそこまで詳しく知らない頃、前作『Miss E... So Addictive』を聴いて、「なんじゃこりゃ」と衝撃を受けたことを覚えています。「Get Ur Freak On」とかね、とにかくぶっ飛んでいるし、あれがヒットチャートにランクインするアメリカの音楽業界ってどうなってんねや、と。
それ以前の過去3作は、ティバランドの独特のビートと、ミッシーの変幻自在のラップと歌が相まって、これまでに誰も聴いたことがないような、極めて挑戦的なサウンドだったと思います。ところが今作は一転、サンプリングも多用したオールド・スクール指向になりつつ、ティンバの独特なビートと相まって、今までとは違う新境地を開いた作品になったと言えます。いまじゃ、初期のミッシーもかっこいいと思って普通に楽しめる耳になってしまったけど、ヒップホップorミッシー初心者でも楽しめる作品をと言われたら、この作品をまず挙げるでしょう。わかりやすい仕掛けがたくさんあって面白い。
ゲストは、リュダクリスにジェイZにビヨンセに50セントにと豪華。ミッシーらしいフリーキーなラップと、美麗なR&Bが両立しており、ミッシーの多彩さを堪能できるのも良い所です。通なら、サンプリングのネタ探しをするという楽しみ方もあります(実はアルバムのブックレットにはサンプクレジットが一切載っていなかったりする)。
そして、オススメ曲はなんといっても「Work It」。PVもおもしろくて、所々に挟まれることば遊びとか、英語が理解できなくても語感で楽しめるラップが魅力的な一曲です。
ミッシーと言えば、バセドウ病との闘いなんかもあって、2005年の『The Cookbook』以来、予告はされているものの新作を一向に出せていない状態。ファンとしては待ち遠しくてたまらないのだけど、次はどんな作品を届けてくれるのだろう、とこういう傑作を聴き直すと改めて思いますね。
これって、もしかして10週連続1位より難しいのでは?と思ったのだけど、その時1位になるのを阻んだのが、エミネムの「Lose Yourself」だったんですよね。それは仕方ないかもw でも、この記録が今後打ち破られる可能性というのは極めて低いのではないかと思いますね。
それはともかく、せっかくの機会なので、いま改めてこの作品を取り上げてみようと思います。
この作品は2002年に発表された、彼女にとって通算4枚目のアルバム。プロデュースの大半をこれまでと同様にティンバランドが務めています。ミッシーと言えばティンバランド、ティンバランドと言えばミッシー、というほど、この二人のタッグはテッパンですからね。このアルバムでもその相性のよさが発揮されていますよね。ミッシーのアルバムの中でも、もっとも評価の高いアルバムの一つといえるでしょう。
わたしがまだヒップホップについてそこまで詳しく知らない頃、前作『Miss E... So Addictive』を聴いて、「なんじゃこりゃ」と衝撃を受けたことを覚えています。「Get Ur Freak On」とかね、とにかくぶっ飛んでいるし、あれがヒットチャートにランクインするアメリカの音楽業界ってどうなってんねや、と。
それ以前の過去3作は、ティバランドの独特のビートと、ミッシーの変幻自在のラップと歌が相まって、これまでに誰も聴いたことがないような、極めて挑戦的なサウンドだったと思います。ところが今作は一転、サンプリングも多用したオールド・スクール指向になりつつ、ティンバの独特なビートと相まって、今までとは違う新境地を開いた作品になったと言えます。いまじゃ、初期のミッシーもかっこいいと思って普通に楽しめる耳になってしまったけど、ヒップホップorミッシー初心者でも楽しめる作品をと言われたら、この作品をまず挙げるでしょう。わかりやすい仕掛けがたくさんあって面白い。
ゲストは、リュダクリスにジェイZにビヨンセに50セントにと豪華。ミッシーらしいフリーキーなラップと、美麗なR&Bが両立しており、ミッシーの多彩さを堪能できるのも良い所です。通なら、サンプリングのネタ探しをするという楽しみ方もあります(実はアルバムのブックレットにはサンプクレジットが一切載っていなかったりする)。
そして、オススメ曲はなんといっても「Work It」。PVもおもしろくて、所々に挟まれることば遊びとか、英語が理解できなくても語感で楽しめるラップが魅力的な一曲です。
ミッシーと言えば、バセドウ病との闘いなんかもあって、2005年の『The Cookbook』以来、予告はされているものの新作を一向に出せていない状態。ファンとしては待ち遠しくてたまらないのだけど、次はどんな作品を届けてくれるのだろう、とこういう傑作を聴き直すと改めて思いますね。
2012年11月19日月曜日
Brandy『Two Eleven』 (2012)
ブランディの通算6枚目となるニューアルバム。ちゃんと国内盤が出た! 素晴らしい。
彼女がデビューしたのが1994年。まだ15歳の時だったのよ。当時はアッシャーとかモニカとかアリーヤとか、ティーンネイジャーがいきなりスターダムに伸し上がるという現象がアメリカでもあって、もちろん実力があるからなせることだと思うのだけど、それからフェイドアウトすることなく(って一度しかけたけどw)、こうしていまでも意欲的な新作を出してくれるのは、ファンとしてはとても嬉しい限り。
ただ、アメリカの音楽業界のシビアなところだけど、デビューして18年経ったのに、やっとアルバム6枚なわけです。前作『Human』から数えてももう4年も経っている。前作が商業的に振るわなかったことも影響しているけど、どんだけ待たせるのよ、と誰もが思うところでしょう。モチベーションの問題もあるだろうけど、アメリカでコンスタントに新作をリリースするということがいかに大変かということがわかりますよね(だからリアーナって化け物って話しになるのだけど・・・)。
さて、本題に戻りまして、まずこのジャケ写ですよ。相変わらずスタイル抜群だし顔も凛々しい。この写真からも彼女の自信のほどが伺えると思いませんか? もう半年以上過ぎているのに『Two Eleven』という日付のタイトルをリリースするあたりもね(もちろん、彼女が敬愛するホイットニーの命日とか、きちんと意味があるのだけど)。
そして、肝心の内容ですが・・・批評家やファンが賞賛するのもわかる、R&Bファンにとっては納得の仕上がり。何がよいって、時流に乗ることなく、本人が言う「原点回帰」的なサウンドでまとめてきていること。派手さはないし、美メロかと言われたらそうでもないw だけど、ヒップホップ的な遊びのセンスとか、おそらくショーン・ギャレットやバングラディッシュが仕掛けているであろう、ミニマルな声サンプルのループによるストリート的な感覚とか、ブランディのクールなヴォーカルと相性のよいトラックを採用することで、彼女の魅力が最大限に引き出されているのが聴いていてわかります。
もちろん、前作が実は大好きだったわたしとしては、もうちょっとポップさやメロウさがあってもいいかなと思ったりするのだけど、そういう方向に流されなかったから作品の評価が高いだろうなと。もちろん、今作も好きですよ。
リード曲の「Put It Down (feat. Chris Brown)」は一瞬だけどR&B/HIP-HOPチャートで3位まで上昇しましたね(その翌週のチャート仕様変更ですぐにTOP10から落ちたのは残念だったけど)。ブランディの低音が冴え渡るクールな一曲でした。クリス・ブラウンをラッパー的に起用したのも功を奏しましたね。
そして、ここで取り上げておきたいのは、セカンド・シングルの「Wildest Dream」。これ、地味すぎるでしょw だけど、じわじわ効いてくる、中毒性の高い曲。ヒットする見込みないけど、こんな曲をシングル・カットしてくるんだから、どんだけ挑戦的なんだよと思いますね。
チャート的には総合3位に食い込んだ今作だけど、そういうセールスとか関係なく、R&Bファンの人(特に最近のEDM化に食傷気味の人)にはぜひとも聴いて欲しい一枚だなと思います。
彼女がデビューしたのが1994年。まだ15歳の時だったのよ。当時はアッシャーとかモニカとかアリーヤとか、ティーンネイジャーがいきなりスターダムに伸し上がるという現象がアメリカでもあって、もちろん実力があるからなせることだと思うのだけど、それからフェイドアウトすることなく(って一度しかけたけどw)、こうしていまでも意欲的な新作を出してくれるのは、ファンとしてはとても嬉しい限り。
ただ、アメリカの音楽業界のシビアなところだけど、デビューして18年経ったのに、やっとアルバム6枚なわけです。前作『Human』から数えてももう4年も経っている。前作が商業的に振るわなかったことも影響しているけど、どんだけ待たせるのよ、と誰もが思うところでしょう。モチベーションの問題もあるだろうけど、アメリカでコンスタントに新作をリリースするということがいかに大変かということがわかりますよね(だからリアーナって化け物って話しになるのだけど・・・)。
さて、本題に戻りまして、まずこのジャケ写ですよ。相変わらずスタイル抜群だし顔も凛々しい。この写真からも彼女の自信のほどが伺えると思いませんか? もう半年以上過ぎているのに『Two Eleven』という日付のタイトルをリリースするあたりもね(もちろん、彼女が敬愛するホイットニーの命日とか、きちんと意味があるのだけど)。
そして、肝心の内容ですが・・・批評家やファンが賞賛するのもわかる、R&Bファンにとっては納得の仕上がり。何がよいって、時流に乗ることなく、本人が言う「原点回帰」的なサウンドでまとめてきていること。派手さはないし、美メロかと言われたらそうでもないw だけど、ヒップホップ的な遊びのセンスとか、おそらくショーン・ギャレットやバングラディッシュが仕掛けているであろう、ミニマルな声サンプルのループによるストリート的な感覚とか、ブランディのクールなヴォーカルと相性のよいトラックを採用することで、彼女の魅力が最大限に引き出されているのが聴いていてわかります。
もちろん、前作が実は大好きだったわたしとしては、もうちょっとポップさやメロウさがあってもいいかなと思ったりするのだけど、そういう方向に流されなかったから作品の評価が高いだろうなと。もちろん、今作も好きですよ。
リード曲の「Put It Down (feat. Chris Brown)」は一瞬だけどR&B/HIP-HOPチャートで3位まで上昇しましたね(その翌週のチャート仕様変更ですぐにTOP10から落ちたのは残念だったけど)。ブランディの低音が冴え渡るクールな一曲でした。クリス・ブラウンをラッパー的に起用したのも功を奏しましたね。
そして、ここで取り上げておきたいのは、セカンド・シングルの「Wildest Dream」。これ、地味すぎるでしょw だけど、じわじわ効いてくる、中毒性の高い曲。ヒットする見込みないけど、こんな曲をシングル・カットしてくるんだから、どんだけ挑戦的なんだよと思いますね。
チャート的には総合3位に食い込んだ今作だけど、そういうセールスとか関係なく、R&Bファンの人(特に最近のEDM化に食傷気味の人)にはぜひとも聴いて欲しい一枚だなと思います。
2012年11月18日日曜日
Christina Aguilera『Bionic』 (2010)
結局のところ、あのアルバムは何だったのか・・・とふと思い、聴いてみたアギレラの前作。
比較してみてはっきりしたのは、やっぱりあの特徴的なアギレラのパワフルでストロングなヴォーカルが鳴りを潜めているということ。サウンド的には、ポロウ・ダ・ドンやトリッキー・スチュワートらの助力を得て、挑戦的なサウンドも多数含まれているのだけど、その分歌唱の方が犠牲になっている感は否めない。
もちろん、わざとなんだと思う。
バラードなんかにしてもしっとり歌っちゃってるし、ラップ調の歌い方もところどころで取り入れているし、要はあの一本調子な感じがしかねない激唱から脱却したかったのではないかと。あるいは、とにかく熱唱モードがうざい、と自分自身でも思ってしまったのか。
いや、たしかにね、あれだけの熱唱をアルバム通して聞かされたらそりゃあ疲れるわさ。でも、アルバム通してサラッと歌っちゃってどうするのよw サンプリング的に声を加工してる曲もあるしね。
このアルバム、曲数が無駄に多かったりして(いままでもそうだったけど)、デラックス版では23曲も入ってるから、それはそれで工夫がもっと必要だったと思うんだけど(さすがに聴き通すのは大変)、前作『Back To Basic』から4年ぶりで、しかも、前作とは違う路線で行こうとして、変に意気込んでしまったのかなあとも思いますね。カッコイイ曲もたくさんあるんだけど、逆にクール過ぎる部分もあったりして、総体的にみるとまとまりに欠けるような印象も受けますね。
だから、例えばリード曲の「Not Myself Tonight」みたいなベタな曲をアルバム全体に期待すると痛い目に合うハメになります・・・はい。
あ、そういえばこの曲のPVけっこう過激ですよね~w
比較してみてはっきりしたのは、やっぱりあの特徴的なアギレラのパワフルでストロングなヴォーカルが鳴りを潜めているということ。サウンド的には、ポロウ・ダ・ドンやトリッキー・スチュワートらの助力を得て、挑戦的なサウンドも多数含まれているのだけど、その分歌唱の方が犠牲になっている感は否めない。
もちろん、わざとなんだと思う。
バラードなんかにしてもしっとり歌っちゃってるし、ラップ調の歌い方もところどころで取り入れているし、要はあの一本調子な感じがしかねない激唱から脱却したかったのではないかと。あるいは、とにかく熱唱モードがうざい、と自分自身でも思ってしまったのか。
いや、たしかにね、あれだけの熱唱をアルバム通して聞かされたらそりゃあ疲れるわさ。でも、アルバム通してサラッと歌っちゃってどうするのよw サンプリング的に声を加工してる曲もあるしね。
このアルバム、曲数が無駄に多かったりして(いままでもそうだったけど)、デラックス版では23曲も入ってるから、それはそれで工夫がもっと必要だったと思うんだけど(さすがに聴き通すのは大変)、前作『Back To Basic』から4年ぶりで、しかも、前作とは違う路線で行こうとして、変に意気込んでしまったのかなあとも思いますね。カッコイイ曲もたくさんあるんだけど、逆にクール過ぎる部分もあったりして、総体的にみるとまとまりに欠けるような印象も受けますね。
だから、例えばリード曲の「Not Myself Tonight」みたいなベタな曲をアルバム全体に期待すると痛い目に合うハメになります・・・はい。
Christina Aguilera 『Lotus』 (2012)
これ書いている時点でヒットチャート的にどれだけの売上かどうか定かではないのだけど、まあ、ヒットしてもせんでももうええじゃないの!と思ってしまうのはわたしだけでしょうか。だって、とにかく素晴らしかったから。
音楽的には前作の『Bionic』の延長上にあって、『Back to Basic』で見せたようなレトロソウルへの憧憬は微塵もなく、従来のポップ路線なんだけど、今回は突っ走ってる感が満載です(前はあえて声量を抑えたりもしてたらしい)。だから、サウンド的に新しいものに挑戦しているわけではないのだけど、清々しいまでのアギレラ様の熱唱を楽しむことができるし、曲自体も変にアレンジに凝った前作よりわかりやすいものが多いから、これはアリだと思いますね。
リード曲は「Your Body」(絶賛ヘビロテ中)。マックス・マーティンがプロデュースしたこの曲、EDM(=電子的舞踊音楽)っぽいようで、ただのノリのいいポップスよみたいな、微妙な路線をついてきたのだけどw、しかし、アギレラのパワフルな歌唱が相まって、聴いていて痛快な気分になれるんですよね。そういえば、少しパワフルになったボディを惜しげもなく披露している今作のジャケ写だけど、このタイトルといい、何かしらのメッセージがあるのかもしれないですね。
それにしても、EDMブームに乗っかって、マックス・マーティンみたいなベタなポップス請負人がまた担ぎ出されているのが面白いですなあ。路線的には似てるからねえ(でも同一ではない)。あと、あと、Alex da Kidがなにげにいい仕事をしてますね。これは意外でした。
一曲ごとのレビューはしないけど、「Your Body」系の痛快なダンスポップ(特にオープニングを飾る「Army of Me」がよい)があれば、シーローを迎えてヴィンテージ感を出した曲あり、ピアノ主体のバラードありと、アギレラの魅力が十分に楽しめる内容になっていますよ。ベタにポップだけど、これぞアギレラという作品だと思います。
2012年11月17日土曜日
何度目かの正直ですが・・・
前に書評ブログを立ち上げようとしてこのブログいじってたけど、結局ブクログというサービスが一番使い勝手がよいということがわかったので、もうそれは無しにしまして、でもこのブログ自体はまだ残っていまして、使い道なんて特に考えていなかったのだけど、数日前にふと「音楽系のブログでも作ってみるか」と思い立ったので、再びこのブログを動かしてみた次第。
本家のブログでも音楽ネタはやってるんだけど、1曲単位でしてるだけでアルバム・レビューはしてなかったので、そういうのしてみようかなあと思いましてね。もちろん、本家でやってもいいんだけど、ゴチャゴチャしちゃうのが嫌なのでそこはセパレートしておこうと。
ただですねー。わたしも時折見たりしているんだけど、他所様の音楽ブログってやっぱり音楽マニアが書いてたりしてるから、シロウトといえどもガチで書いてあったりして、わたしみたいな音楽的知識やら素養がない人間がそうやって音楽を語れって言われても限界があるわけですね。
だから、というか、単純に、これは趣味ですよ。
と割り切りたいところだけど、まあ、せっかくだから、読んでもらった人にも「これ聞きたい」って思ってもらえるような紹介が出来ればいいのかなあ、と思ったりしてます。好きなものは好きと言いたいの!
本当はブクログ的なサービスのCD版があったらええわけですけど・・・(というか、ブクログとか他の書評サイト類でもCDは取り上げられるわけですが、本が前提なのでどうにも使い勝手が悪いのです。ニーズが少ないというのがそもそもの問題かもしれませんがね)。
本家のブログでも音楽ネタはやってるんだけど、1曲単位でしてるだけでアルバム・レビューはしてなかったので、そういうのしてみようかなあと思いましてね。もちろん、本家でやってもいいんだけど、ゴチャゴチャしちゃうのが嫌なのでそこはセパレートしておこうと。
ただですねー。わたしも時折見たりしているんだけど、他所様の音楽ブログってやっぱり音楽マニアが書いてたりしてるから、シロウトといえどもガチで書いてあったりして、わたしみたいな音楽的知識やら素養がない人間がそうやって音楽を語れって言われても限界があるわけですね。
だから、というか、単純に、これは趣味ですよ。
と割り切りたいところだけど、まあ、せっかくだから、読んでもらった人にも「これ聞きたい」って思ってもらえるような紹介が出来ればいいのかなあ、と思ったりしてます。好きなものは好きと言いたいの!
本当はブクログ的なサービスのCD版があったらええわけですけど・・・(というか、ブクログとか他の書評サイト類でもCDは取り上げられるわけですが、本が前提なのでどうにも使い勝手が悪いのです。ニーズが少ないというのがそもそもの問題かもしれませんがね)。
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