2012年12月30日日曜日

Nicki Minaj『Pink Friday: Roman Reloaded』(2012)

もう年末だし、「年間ベスト~」みたいなのを書こうと思ったのだけど、今年の序盤に何聴いてたかとかもう思い出せないよ~w ここ2~3ヶ月ならわかるんだけどね。ランキングつけるの難しい。

そういうの書くみなさんって、たくさん音楽を聴いてると思うんだけど、どうやってランキングつけてるんでしょうね。やっぱり、ググっと来るポイントみたいなのを作品ごとに掴んでいるんでしょうか。ある意味、センスを問われる作業だから、競合する意識も働くかもしれませんね。毀誉褒貶激しい作品やスルーされている作品で自分がお気に入りの場合特に「いや、これはいいよ!」って言いたくなるものだったりするし。

さて、ランキングは別にして、わたしの中で今年の1枚を選ぶとするなら、意外かもしれませんが、このニッキー・ミナージュのセカンド・アルバムになると思います。リリースは今年の4月。振り返ると、よく聴いたなーと思いますね。特にドライブデートの時に役立ったっのが大きい! だって、ふだん洋楽なんて聴かない相方がミナージュさんの曲をお気に入りにあげていたんだもん。それだけ、あの曲のインパクトが強かったなあと(もちろん「Starships」ね)。個人的なエピソードではあるけど、そういう外部への訴求力みたいなのはバカに出来ないんですよね。

ということで、今年最後にこのアルバムについて紹介しておきたいと思います。

ニッキー・ミナージュ、彼女はアメリカのヒップホップの歴史において最も成功した女性ラッパーの1人と言ってもいいと思います。前作から「Super Bass」というメガヒット曲を生み出し、数々の客演仕事をこなし、いまやヒップホップ界のVIPになった彼女が満を持してリリースされたこのアルバム・・・ではあったのだけど、その内容には賛否両論がありました。わたしも最初聴いた時は、「あれ?」と思ったんですよね。これはどういうことなのか、と。

問題点はおそらく、彼女がスターとしての要素をいくつも持っていて、そのスター性を一挙にアルバムの中に詰め込もうとしたことにあるのではないだろうかと思います。ラッパーとして独特の存在感を示しながら、一方でシンガーとしてラッパーとは思えないほどの立派な歌声を披露する、そしてファッションリーダー的な立ち位置でヴィジュアル的にも独自の世界観を提示する。その結果として生じたある種の過剰さというのが、このアルバムの「締りのなさ」にあらわれてしまったのではないかと思いますね。

彼女は「これがわたしなんだから引き裂こうとしないで」と思ったのかもしれませんね。ラッパーとしてヒップホップもするし、シンガーとしてEDMもバラードもやりたいんだと。だからスタンス的に決してぶれているわけではないと思うんだけど、純粋なヒップホップ・ファンからすると、今回のアルバムに異様なまでの「ポップ要素」が含まれることに対して忌避感を抱いてしまったとしても、驚きではないと思います。それだけ、同じアルバムとは思えないほど曲調に幅があるから。


では内容を確認して行きましょう。通常版で全19曲(デラックスだと3曲追加)の大ボリュームです。


2012年12月28日金曜日

The Game『Jesus Piece』(2012)

ザ・ゲームの通算5枚目となる新作。インタースコープからリリースされる最終作でもあります。前作の『The R.E.D. Album』はリリースまでに何度も延期を繰り返して「やっと出た~」って感じでしたけど、今回は案外あっさりと出ました。まあ、タイトルは何回か変わりましたけどねw ビルボードチャートでは初登場6位を記録しています。

ザ・ゲームは好きなラッパーの1人です。全国区でウェッサイレペゼンしてる数少ないラッパーだし、固有名詞を織り交ぜたお得意のラップスタイルから、彼のヒップホップに対する愛を感じることもできますよね。そして、毎度毎度、タイトでドープなサウンドとラップを聞かせてくれて、ブレないところが素晴らしいなと思います。

さて、今作ですが、まずジャケ写が話題になりましたね。上のは通常版(21歳で射殺された5つ上のお兄さんの写真を使用)ですが、デラックス版のジャケ写ではブラッズ(西海岸のストリートギャング)の象徴である赤い衣装を身にまとったアフリカン・アメリカンのキリストが描かれています。ギャングスターにも信仰はある、ということですよね。

アルバムのサウンドも、そうした宗教的なコンセプトを反映したものになっており、冒頭からどちらかと言えば暗い感じのサウンドが続きます。複数の曲でゴスペル的なコーラスが基調音として使われており、そうした演出も宗教的で厳かな雰囲気を醸し出すのに一役買っています。そして言うまでもなく、現代風のポップな曲は全くなし。全編これソウルといった感じでしょうか。 

全体の監修は前作で相性の良さを見せたクール&ドレーが担当、5曲でプロデュースにも関与してます。それと、意外だったのが、かつてアフターマスと契約していたこともあるスタット・クオが共同監修でクレジットされているということ。どうやらザ・ゲームと共同でレーベルを立ち上げた模様。これから、二人で何か仕掛けていくのでしょうかね。そこら辺も注目ですね。

ゲストはかなり豪華、というか多すぎ感アリですね。過去作を見ても毎回たくさんゲストは呼んでるから、この過多傾向は今回に限らないのだけど、本作では(9)「Heaven's Arm」以外の全曲に客演がついているのだから、これはちょっとなあと思われても仕方ないですよね。ただ、実際に聴いてみたらわかるけど、こんだけゲストがいながらも、決してゲームの存在感が失われないというか、むしろゲームのラップを引き立てるかのようにゲストをうまく使っているのは、さすがですね。


気になる曲をいくつかピックアップしておきます。


2012年12月21日金曜日

デラックスは買わない

最近、洋楽界隈では通常版に加えてデラックス・エディションをリリースするという形態がかなり一般化してきています。かつてはDVDとのパッケージングがよく見られた形態だったけど、いまや同一商品ではあるけど、収録曲数に差をつけて、付加価値をつけようという売り方が主流になってますよね。

好きじゃないですねw

たとえばNasの『Life Is Good』から先行カットされた「Nasty」って、デラックスにしか入ってないんだけど、出しては見たけどヒットしなかったからボートラ扱いみたいなのが、どうも気に食わないのですよ。ヒットしてたら絶対本編に収録されてたハズなわけで、そんなもんで付加価値つけてくるなよと思うわけです。

もちろん、中には本編のテイストに合わないからデラックス版のボートラに追いやられたというようなケースもあるのだけど、結局のところ、ボートラなのに3~4曲も収録されたりすると、いったいこれらの楽曲は何なの?と思ってしまうんです。あくまでおまけなのか、本編の延長なのか、曲数稼ぎで入れてみたのか・・・どう解釈しても中途半端なんですよね。

それで値段上がるぐらいなら、通常版で十分やわ、というのがわたしの基本的なポリシーです。

だから、どうしても気になる曲があるという場合を除いで、基本的にデラックスは買わないことにしてます。その方が経済的だし。

経験上、家にあるデラックス版CDで、デラックスにしか入ってない楽曲を愛聴したということはあまりないんだけど、逆にデラックス買う人ってどこら辺でそっちを選ぶのか、聴いてみたいですね。やっぱり、そのアーティストのファンだからかな。


Nas『Life Is Good』(2012)

本題から少し逸れる感じですが、ヒップホップのアルバムについて語るのって難しいなって思います。だって、ラップの良し悪しって、わたしにはよくわからないから。英語は読めるけどパッと聴いて理解できる程の能力はないし、ネットで調べたらスクリプトも出てくるけど、文化的な問題もあって、がんばってもそこまでラップを深く理解できるとは思えなかったりします。せっかく読んでもこのラップがいったい何についてのものなのかそもそもわからなかったり、スキルの凄さとかを十分に理解できなかったり・・・だから、評価するのが憚れるなあと思うのです。音のかっこ良さだけなら語れそうなんだけど。

まあ、それは日本語ラップでもいっしょかもしれないですけどね。何言ってるのかよくわからないみたいなの、ジャパニーズ・ヒップホップでもありますよね? なんとなくカッコイイ感じっていうんですかね(そういうのダサさと紙一重だったりしますが)。

ということで、ナズがいかなる意味で偉大なるラッパーなのかということを真の意味で理解するほどの能力がわたしにはないのだけど、間違いなくわたしはナズのラップが好きであり、そして彼の作品が好きなのです。なぜでしょうね? 

たぶん、ブレてないから。この作品を聴いてそう思いました。そして、そういう評価をする自分って、なんて保守的なの?とも思ったりします。このアルバムには、いわゆる時流に乗ったイマドキの音は皆無で、悪く言えば10年前の作品でもおかしくないほどクラシカルな面持ちなのです。だけどいま聴いてカッコイイと思えるほどにタイムレスな作品だとも思います。ある意味ベタに、NY的なラップスタイルを貫いているのです(いや、それが何を意味しているのかは難しい問題ではあるのだけど)。

これでいいのだと思いました。わたしはこんな音を聞きたいんだとさえ思いました。だって、イマドキのヒップホップって、サンプリング主体のソウルフルなサウンドとかロウな質感のブレイクビーツとか、そういうのとは違う方法論で展開されてるでしょ? そういうの嫌いじゃないけど、ヒップホップを聴き始めたころにそういうのが「カッコイイもんだ」と思ってしまった自分にとって、そこがもう基準になってしまってるんですよね。そして、その期待に応えるものを今回も提示してきた。ファンとして、うれしい限りですよ。

あと、ナズのラップはいつもタイトですね。意味がわからなくても、スゴイこと言ってる感が伝わってくるんですよね。そこは、ポイントかもしれないですね。

ここで、改めてこのアルバムの情報をお伝えしましょう。

ソロでは4年ぶりとなる通算11枚目のアルバム、7月にリリースされビルボード総合チャートで1位を獲得しています。さすが、と言ったところでしょうか。そして、これがデフ・ジャム最終作でもあります。そういえば、デフ・ジャムからの作品のアートワークは全て黒ベースで統一されていますね。そういうところへのこだわりもナズは実は持っているのです。元嫁のウェディングドレスの一部を使用しているのも話題になりましたね。

プロデューサーには、ナズの作品ではおなじみのサラーム・レミに加え、ノーIDが大きく関与。二人で合計11曲なので、この二人がアルバムのサウンドデザインを形づくっていると言ってもいいでしょう。

ゲストには、リック・ロスや2度めの共演となるメアリーJ.ブライジ(でも、前のやつは没になったんだったね)、アンソニー・ハミルトン、ミゲルにスウィズ・ビーツ、それに故エイミー・ワインハウスとの擬似共演もあります。渋い人選だなと思います。

今回特徴的だと思ったことがひとつあって、それは、ベタなサンプリングのみならずストリングスやクラシックからの引用などもあって、シネマティックな音像が随所に展開されていること。(3)「A Queens Story」やアンソニー・ハミルトンを迎えた(7)「Worlld's an Addiction」などに顕著ですが、聴いているだけで情景が浮かんでくるような、そんなサウンドになっています。

いくつか気になる曲を取り上げておきます。


2012年12月19日水曜日

Keyshia Cole『Woman To Woman』(2012)

キーシャ・コールの通算5枚目となるアルバム。前作から2年ぶりということで、あまり間隔を明けずにコンスタントにリリースを続けているのが素晴らしいですね。ジャケ写の自分という仮面剥いだっていうコンセプトのアートワーク、浜崎あゆみも同じ事してたような気がするのだけど・・・そこは気にしないw

ポスト・メアリーとも称される彼女のスタイルは、ヒップホップ・ソウル的なサウンドに乗せてオンナの悲喜こもごもの感情をリアルに歌い上げるのが特徴、と言うことが出来るでしょうか。声質はメアリーとはまた違うのだけど、彼女の力強い熱唱にはココロ動かされるものがありますね。

さて、今回のアルバムですが、チャートでは初登場10位と、年末のリリースではあるけど、あまり盛り上がってないようです。残念! でも、期待を裏切らないキーシャ・コールらしいアルバムであることには間違いないですよ。

制作陣には、ドレー&ヴァイダル、ロドニー・ジャーキンス、ジャック・スプラッシュ、ビンク!など著名なプロデューサーを起用しつつ、一方でそれほどメジャーではないプロデューサーとも積極的にコラボレーションしているのがおもしろいですね。名より実を取ったということですね。

一方でゲストには、ラッパーでリル・ウェイン、ミーク・ミル、シンガーではアシャンティにロビン・シック、これから注目のシンガー・ソングライターであるイライジャ・ブレイクなど華やかなラインナップ。ロビン・シックは存在感なくてかなり微妙な起用ではあるのだけど・・・


気になる曲をいくつかピックアップしておきましょう。