2013年2月9日土曜日

50 Cent『Get Rich or Die Tryin'』(2003)

少し過ぎてしまったけど、去る2月6日でこのアルバムがリリースされてからちょうど10年経ったとのこと。もうそんなになりますか~。いやー、時が経つのは早いもので、正直かなり驚いています。50セントがもうラッパーとしては10年選手であるだなんて想像もしなかったから。確かにラッパーの中年化が進むこの業界ではあるけど、もう若くないんだなー(今年37歳!)、と少ししみじみ。

さて、このアルバムがリリースされた頃の50セント狂騒曲みたいなものは残念ながらあまり覚えてないのだけど、このジャケ写に象徴されるようなムキムキな肉体や銃弾で9発も打たれたにもかかわらず生き残ったという逸話、ラッパーとの数々のビーフ、いまでは一般化しているミックステープのリリースによるストリートでの支持を得る手法、そしてエミネムやドクター・ドレーのバックアップを受けてのデビューなど、ブレイクするための話題がここまで事欠かないラッパーというのも珍しいのではないかと思います。そりゃ、ヒットしますわ(タイトルも秀逸だし)。このアルバム、新人としては異例の初登場87万枚という売上でチャート1位を獲得しています。

プロデューサーとしては先述のドレーとエミネムが主軸となり、ミディ・マフィア、ロックワイルダーなどが脇を固めています。50セントと言えば、楽曲の質を優先して無名プロデューサーのビートでも積極的に採用することも多いですが、さすがのデビュー作はメジャーどころが集結しているなあという印象です。


それではアルバムの中身をかいつまんで見てみましょう。


短いイントロに続いて始まる(2)What Up Gangstaは、のっけからパワフルなギャングスタ宣言。と同時に、この人って普通に歌っちゃうのね(下手だけど)という驚きもある一曲。こういうスタイルはエミネムにも通じるものがあるけど、あんまりギャングスタっぽくないなと思ったりw コレ以外にもフックを自分で担当している曲は多数あります。

(3)Patiently Waiting feat. Eminem
エミネム作でラッパーとしても参加した曲。派手なイントロからエミネムっぽいおどろおどろしいビートへ展開。こういうビートはジャンルとしては分類しづらいものがありますね。


(5)In Da Club
50セントを象徴するクラブバンガー。ドクター・ドレーの中毒性のあるビートはいまなお破壊力抜群。これがヒットするのもうなずけるなあと。全米1位を記録しています。


(7)Heat
再びドクター・ドレー作。銃弾を発射したり補填したりする音がビートに組み込まれていて、ずっとカチャカチャ音がしているのが印象的。こういうサウンドエフェクトの使用はあんまりドレーっぽくないなと思ったりするけど、さすがこの大物ラッパーにふさわしいビートを提供したということでしょうね。

(8)If I Can't
またもやドレ―作で、こっちは「In Da Club」系のドレーっぽいビートだなと思います。こちらも聴いているとテンションが上がる、力強いクラブバンガーですね。4枚目のシングルとしてリリースされましたが、残念ながらチャートでは76位止まりでした。


(11)P.I.M.P
元D12のメンバーであるミスター・ポーターがプロデュースしたアルバムでは異色の一曲。スティール・ドラムの音が効果的に使われており、それだけ聴くとカリビアンな印象なのに、歌詞はハーコーw シングルとしてリリースされたリミックスではスヌープやロイド・バンクス、ヤング・バックのマイクリレーを楽しむことができます。


(14)21 Questions feat. Nate Dogg
いまは亡きネイト・ドッグをフィーチャー。ミディ・マフィアの片割れが制作した、ギターのリフが印象的な一曲で、セカンドシングルとしてリリースされ、こちらも全米1位を獲得しています。これもいいですね。タイトル通り、歌詞には21の質問が登場します。



全16曲(+ボートラ3曲)収録。デビュー作にしてこの完成度! 本当に傑作だなあと思います。ただ、その後の50セントの勢力拡大とその後の凋落ぶりを思うと、彼の生き方って本当によくもわるくもスターなんだなあと思いますね。ラッパー以外でもたくさん稼いでるみたいだけど、やっぱり音楽でまたスゴイ作品を出して欲しいなあ。



0 件のコメント:

コメントを投稿