2015年10月5日月曜日

サブスクリプションの時代に寄せて


どうも、お久しぶりです。今回はレビューはお休み、番外編です。

ここ数ヶ月、わたしにとって久しぶりに音楽環境の変化が起こりました。そう、それはサブスクリプション型音楽サービスの開始です。

海外ではもう何年も前から展開されてきたこのサービスですが、今年になってようやく権利関係をクリアできるようになったのか、複数のストリーミングサービスが日本でも開始されるようになりました。

もちろん、これに乗らないわけにはいきません。ということで、メモ程度にサービス使用の雑感を書き残しておきたいと思います。

わたしがまず使用したのは世界各国で同時にスタートしたapple musicです。「あのアップルが~」っていうのと、世界同時スタートということ、すでにitunesを使用しており登録が簡単ということ、そして最初の3ヶ月が無料ということでさっそく登録してみました。

使ってみてまず何をしたかというと、やはりどんな音楽がカタログとして登録されているかということの確認です。残念ながら全体を見渡す目次のようなものはないため、アップルが勧めてくるもの以外は自分で探していくしかないのですが、洋楽に関してはかなりマニアックなものも含めて広範にアクセスできることに驚きました。残念ながら聞きたいと思う作品って大概持ってたりするので別にいまさらこれで探す必要ないわけだけど、ちょっと通常では手に入らないようなremixとか見つけちゃったりするとつい再生したり…とそんなふうに「知らない音源に気軽に触れる」ツールとして、これは使えると思いました。

しかしながら、そういうことを繰り返していくうちに飽きてくるというか、音楽探索ってそこまで続けられるもんじゃないということにしばらくして気付きました。これは年齢的な問題もあると思うのだけど、新しいものを探すよりも聞き馴染みのものを探すということを気づけばしてしまっていたりするのです。

そんな中、わたしが「発見した」と思ったアーティストがいて、それがMs.OOJAさん(J-POPの人です)。アップルの欠点として日本の音源がまだ充実していないというのがありますが、そんな中全てのカタログを彼女はストリーミングしていました。その音源の中で、90年台あたりの現在30代の人にとっての青春ポップスをカバーしていたアルバムが耳に止まりました。まあ、カバーアルバムを何枚も出さざるを得ないほどの苦労人ではあるのですが、ふと再生してみて、その出来が素晴らしかったのでちょっと懐メロモードに自分が入ってしまったのです。

ちなみに、JUJUさんとか他のカバーアルバムとも比較してみましたが(実は曲かぶりが多い)、やっぱり彼女のアルバムは選曲とアレンジ、そして歌声がすっと入ってくるので素晴らしいと思いました。こういう音楽体験は意外でおもしろいと感じました(ま、ちょっと疲れてただけとも言えるけど)。

そんなこんなをしているうちに9月に入り、あることが起きました。今度は、すでに海外で開始しているグーグルさんの音楽サービス(Google Music Play)が日本でも開始されることになったのです。しかも、グーグルさんの太っ腹なところとして、手持ちの音楽を5万曲までクラウドにアップロードしてそこからストリーミングすることができるというサービスまで付属させたのです(これが無料サービスだから驚き!)。手元に3万曲以上の音源があるわたしとしては、これを試さないわけにはいきません。「アップルさん、ごめんなさい」とばかりに、今度はグーグルさんのサービスを使うことにしました。

そうそう、料金ですが、アップルもグーグルも月額利用料は980円。だけど、グーグルさんは初回1ヶ月無料とトライアル期間が短い替わりに、いま登録すれば「月額780円」というサービスを打ち出してきました。みなさん囲い込みに必死でございますね。

さて、さっそく登録して手元の曲をアップロードするということをしてみたのですが、完了するまでに1週間以上かかりました(汗) これ気長にやらないとダメです。でも、おかげでブラウザ上で自分のライブラリーを再生できるというこの上なく便利な音楽環境を生み出すことができました(あ、大事なことを書いていなかった。アップルもグーグルもPC上でもアクセスできるというのが特徴なんだけど、専用アプリケーションを立ちあげなければいけないアップルさんと違って、グーグルはブラウザ上で直接操作できるのです)。

さらに特筆すべきは、いまわたしが持っている唯一の携帯端末であるタブレット(Nexus7)からもアクセスできるということ。グーグルさんのネクサスなので使えて当たり前ではあるのだけど、Androidにまだアップルさんが対応していないということもあり、もうこの辺で勝負あったかなという感じかもしれません。

肝心のカタログの方ですが、アップルと比べて遜色がないと思います。洋楽では若干少ないと感じる部分もあるけど、程度の問題でしょう。J-POPはこっちのほうがカタログが多いと言われていますしね。

ということで、何だかんだでお世話になっています、グーグルさん。

ちなみに、外出時に7型のタブレットにイヤホン挿して使うわけにはさすがにいかないので、ブルートゥースで音を飛ばして使っています。音質的には劣ることなく普通に聞くことができます。ただ、途中で気分が変わってアルバムを替えたりするのに、大きい本体をいちいちいじるのは面倒だなあと(まあ、いまだにスマホを持っていないわたしの貧弱な情報環境が一番の問題なんだけど)。

今後もおそらくいろいろなサブスクリプションサービスが登場すると思いますが、果たして音楽のあり方がこの先どのように変化していくのか、楽しみであります。

2015年8月28日金曜日

JoJo『The High Road』(2006)

この前久しぶりにこのアルバムを聞き返してみました。おそろしくも豪華なプロダクション、きっととてもお金のかかった作品だと思うのだけど(もちろん高い完成度です)、このアルバムを聞きながらふと思ったことがあるのです。それは、「なぜ彼女はアリアナのようになれなかったのか?」ということ。アリアナより遥かに若い彼女だし時代が違うから比較するのもあれだけど、売り出し方をもっと考えたら、きっとアリアナみたいにもっとブレイクできていたんじゃないかなあ、と。

いやいや、ちょっと待って。確かにアリアナほどブレイクしなかったかもしれなかったけど、このアルバムだって全米3位のヒット作だぞ。シングルの"Too Little Too Late"だって3位になったわけだし(確かプラチナ認定)。決してブレイクしなかったわけではない。

でも、この作品のリリースの後、彼女は表舞台から姿を消してしまうわけです。しかも、それ相応の期間。もう歌手活動はしないのかと誰もが思うほどに、「ああ、そういえばいたよね」って思われるほどに(たぶん)。彼女が当時まだ15歳だったという驚愕の事実(そして現在24歳。カムバックというにはあまりにも若い)を差し置いても、この長きに渡る沈黙はいったい何だったのかと思ってしまうわけですよね。

まあ、こういう話をするのは、今年になっていよいよ待望の3枚目のアルバムが出るのではないかという情報が出回っているからなのですが・・・

改めて彼女のことに簡単に触れておくと、彼女は2003年に若干12歳でデビューしたシンガー。ティーンというかキッズシンガーかもしれないけど、そのアルバムがあまりに本格的だったからビックリ、という例のやつです。しかも、ブラックじゃないのにがっちりR&B歌いこなしてるよ、っていう、そういうやつです(笑)

今回取り上げるのは、セカンドアルバムですが、まだまだ若いのにその完成度の高さに舌を巻く、っていう、まあそういうやつですよw

話を戻しまして、セカンドリリース後のブランクの大きな理由として、彼女が所属していたレーベルのブラックグラウンドとの関係がこじれたという話があります。詳しくは調べていないのでわかりませんが、あまりにも若くしてそのようなトラブルに巻き込まれるというのは大変なこと。ただ、それを差し引いても、どういう方向性を目指すのかについて彼女自身にもしかして多少迷いがあったのかもしれません。

地下に潜っていたとはいえ、調べてみるとレコーディングなど活動は続けていたようで、2010年にはインディペンデントで『Can't Take That Away From Me』というミックステープをリリースしています。さらに2012年には『Agape』というミックステープをリリース、昨年は『#LoveJo』というミックステープを発表し、コンスタントに音楽を発表しています。

とはいえ、熱心なファンでなければ、そこまでの情報は把握していないでしょう。かくいうわたしも、リリース当時に音源はチェックしていたように思いますが、そこまで注目はしていませんでした。完成度は高いなと思いつつ、何かピンとこなかったというのもありましたね。あの歌唱力は健在だったけど、どういう方向へ彼女は行こうとしているのかよくわからないなあとは思っていたのです。

しかし、今年に入ってアトランティックとの契約が正式に発表され、いわばこの地下活動が実を結んだわけです。いろいろあったけど、長い道のりの末にいよいよ彼女が再び表舞台へ。ということで、彼女がどんな展開を見せてくれるのか、俄然楽しみになってきたわけですよ。

で、先日シングルがリリースされたんですけど、それがこれ↓ですね。ポップバラードにEDM…どうでしょうか、これは。歌はうまいけど、ヒットするかと言われれば???なブツですね(汗) みなさん、どう思います?



それはさておき、彼女の強みは圧倒的な歌唱力。しかし、歌がうまい人っていうのは、どういう路線で行くのか実は難しかったりするんですよね。半ば何でもできちゃうっていうのもあるので。だからこそ、プロダクションが大切だったりするんですが。

そう考えると、とりあえず彼女にとっていまだに最新作であるこのセカンドアルバムをいま聞き直すというのも、意味のあることに思えて来ます。何度もいうけど、何だかすごいプロダクションだったからw

はい、そういうことで、さっそくちょい懐かしいこのアルバムをチェックしていきますよ。

2015年6月13日土曜日

Ciara『Jackie』(2015)

久しぶりに投稿です。

ちょっとね、洋楽自体から最近ちょっと遠ざかってましたw 全く聞かないわけではなく、新譜もそれなりにチェックはしていたのですが、何というか、そこまで熱心に追いかけていないというか、聞いたものをアウトプットするに至らないという状況がしばらく続きました。

まあ、それ以外のことで忙しくてブログ書いている時間が割けなかったということもあるのですが、それにしてもこんなに更新ペースを空けるの久しぶりだし、それに対して「あっ、そういえばブログ放ったらかしだったわー」という程に、関心が薄れていたのも事実です。

だけどね、敢えて別の視点から言うけど、今年のアメリカ音楽業界の動向みたいなのをぼんやりと見ていて思うんだけど、「いやー、本当にR&Bってどうなっちゃんだろうね」っていう感じなのですが、みなさんどう思いますか? みんなどこ行っちゃったんだろうって、そんな気になりませんか?

昨年のジェニファー・ハドソンの記事でも書いたことだけど、女性R&Bシンガーの苦戦っぷりというのがまず顕著。だけど、男性含めてR&Bというジャンルからそもそもヒットが生まれていない! 最新のHIP-HOP/R&Bチャートを見ても、チャートを埋めるのが見事なまでにラッパーであって、そこにチョコチョコとシンガーが顔を見せる程度になっているのですよ。

この状況をどう捉えるべきか。下半期にかけてビッグヒットが生まれると期待したいけど、とにかくこのジャンルがいまのトレンドではないということなんでしょうね。そこに一抹の寂しさを覚えてしまいます(ま、世の中猫も杓子もEDMやら何やらですからねえ~)。

さて、そんな中で、久しぶりの記事でどの作品を捉えるのか迷ったのだけど、いろいろと象徴的な気がしたのでシアラの最新作をピックアップしてみました。いや、単純にシアラが好きなだけなんだけどさw

シアラと言えば、前作からわずか2年のインターバルでの順調な新作リリースなんだけど、その間に別れちゃいましたね、フューチャーさんと。いやー、早いわ。そして、さっそくそれをネタに曲作ってるしw いや、ネタにしては壮大過ぎるんですけどね・・・。

逆に創作意欲に火がついたのかもしれませんが、彼女のようにサウス系のビートを基調としつつ、トレンドを取り入れながら先端的なR&Bサウンドに挑戦してきたアーティストが、いまの時代にどんな音楽を提示してきたのか、個人的にはそこに興味があったりします。

ということで、アルバムの中身に移っていきましょう。


2015年2月8日日曜日

Jazmine Sullivan『Reality Show』(2015)

あ、あけましておめでとうございます・・・久しぶりの更新です。

気付けば年も明け、グラミー賞の発表が近づく時期にまで来てしまいましたが、ようやくというか、ボチボチとブログを再開したいと思います。

さて、ジャズミン・サリヴァンです。以前にブログで一度彼女のデビュー作を取り上げたことがありましたが、4年のブランクを経て見事にカムバックしました。一時期は引退宣言もあっただけに、こうして帰ってきてくれたのはうれしい限りです。やっぱり彼女の声は唯一無二のものですからね。裏方としてのクレジットもここ最近チョコチョコとみられるようにはなっていましたが、表舞台に再度あらわれたということでめでたいことです。

でも、まあ、彼女のような才能のあるアーティストが簡単に音楽業界から足を洗うとはだれも思わないですよねw 前作リリース後にはいろいろと不満をぶちまけたりもしていましたが(「わたしはロボットじゃない」なんていう曲もありました)、つまり成熟するために時間が必要だったということだったのではないでしょうか。その結果、彼女がどんな作品を作り出したのか、そこが注目ですね。

まず今作のタイトルですが、「リアリティ・ショー」と名付けられています。R&Bシンガーもその舞台に登場することもあるだけに、このタイトルなかなか意味深ですが、彼女の生きざまを示したものなのか、テレビ的なリアリティを揶揄したものなのか、とにかくこれまでと違うことがこれだけでもわかります。

次に、これは予想できたことですが、今作にはあのミッシーが不参加です。彼女に決定的なヒットを授けてきただけに残念といえば残念ですが、もし新たな道を模索するなら必要な別れだったのかもしれません。替わりに、サラーム・レミ(彼はデビュー作から連続で参加)、新たにキー・ウェインやチャック・ハーモニーといった面々がプロデューサーとして名を連ねています。

それではさっそくアルバムの中身へうつることにしましょう。