2015年6月13日土曜日

Ciara『Jackie』(2015)

久しぶりに投稿です。

ちょっとね、洋楽自体から最近ちょっと遠ざかってましたw 全く聞かないわけではなく、新譜もそれなりにチェックはしていたのですが、何というか、そこまで熱心に追いかけていないというか、聞いたものをアウトプットするに至らないという状況がしばらく続きました。

まあ、それ以外のことで忙しくてブログ書いている時間が割けなかったということもあるのですが、それにしてもこんなに更新ペースを空けるの久しぶりだし、それに対して「あっ、そういえばブログ放ったらかしだったわー」という程に、関心が薄れていたのも事実です。

だけどね、敢えて別の視点から言うけど、今年のアメリカ音楽業界の動向みたいなのをぼんやりと見ていて思うんだけど、「いやー、本当にR&Bってどうなっちゃんだろうね」っていう感じなのですが、みなさんどう思いますか? みんなどこ行っちゃったんだろうって、そんな気になりませんか?

昨年のジェニファー・ハドソンの記事でも書いたことだけど、女性R&Bシンガーの苦戦っぷりというのがまず顕著。だけど、男性含めてR&Bというジャンルからそもそもヒットが生まれていない! 最新のHIP-HOP/R&Bチャートを見ても、チャートを埋めるのが見事なまでにラッパーであって、そこにチョコチョコとシンガーが顔を見せる程度になっているのですよ。

この状況をどう捉えるべきか。下半期にかけてビッグヒットが生まれると期待したいけど、とにかくこのジャンルがいまのトレンドではないということなんでしょうね。そこに一抹の寂しさを覚えてしまいます(ま、世の中猫も杓子もEDMやら何やらですからねえ~)。

さて、そんな中で、久しぶりの記事でどの作品を捉えるのか迷ったのだけど、いろいろと象徴的な気がしたのでシアラの最新作をピックアップしてみました。いや、単純にシアラが好きなだけなんだけどさw

シアラと言えば、前作からわずか2年のインターバルでの順調な新作リリースなんだけど、その間に別れちゃいましたね、フューチャーさんと。いやー、早いわ。そして、さっそくそれをネタに曲作ってるしw いや、ネタにしては壮大過ぎるんですけどね・・・。

逆に創作意欲に火がついたのかもしれませんが、彼女のようにサウス系のビートを基調としつつ、トレンドを取り入れながら先端的なR&Bサウンドに挑戦してきたアーティストが、いまの時代にどんな音楽を提示してきたのか、個人的にはそこに興味があったりします。

ということで、アルバムの中身に移っていきましょう。



(1)Jackie (B.M.F.)
ハーモニー・サミュエルズらがプロデュース、ストリングスを用いたスリリングなトラックのイントロから一転、攻撃的なヒップホップ調のトラックへ。そして「I'm A Bad Motherfucker」と高らかに宣言されます。タイトルの"BMF"とはつまり、その略語なのですが、この振り切れた感じ、シアラらしいと思います。途中でトラックが再度変わって、次に曲に行ったのか思いきや1つの曲だったりと、仕掛けの多い作りになっていますね。ちなみに、ジャッキーとは彼女の母親の名前。

(2)That's How I'm Feeling feat. Pitbull & Missy Elliott
目玉曲の1つ。相性のよいポロウ・ダ・ドンの手によるナンバーは、シアラが得意とするサウス系のビートを用いたパーティーチューン。一曲目とのギャップが激しいのだけど、客演の名前を見てEDMではないかと勘ぐってしまった諸氏は安心されよw それにしても、デビュー作からの付き合いとはいえ、いまの時代にミッシーを担ぎ出せるっていうのはいいよね。ピットブルともども出番は短いんだけど、この共演にはいろいろと感慨深いものを覚えます。

(3)Lullaby
オルゴールの音色から始まり、そこからアップテンポなビートへ。「子守唄を歌ってあげる」と繰り返されるこの曲は、ベッドルームでのくんずほぐれつを下世話にならない歌詞で表現しております。ドクター・ルークがプロデュース。

(4)Dance Like We're Making Love
こちらもドクター・ルーク作、フィンガースナップを基調としたシンプルなトラックに乗せてシアラが力強く歌い上げています。フックの反復するフレーズの構築とか、曲としてうまくできていますね。

(5)Stuck On You
ハーモニー作、これはちょっと不思議なつくりのトラックですね。まあ、そんなに印象的なフレーズもなかったりするんだけど、スルメ的に聞きたくなるかもしれないです。でも、捨て曲とも言えるw

(6)Fly
こちらもポロウ・ダ・ドン作、フックの途中まで聞いているとまたもやEDM的な展開ではと思わせるのだけど、シンセの替りに飛び込んでくるのは不気味なほどに(2)と似たビートだったりします。コーラス・ワークも印象的なこの曲ですが、とにかくこの曲もポップな作りですよ。もちろん、エロ要素もありませんw

(7)I Bet
アルバムからのリードシングルとなったこの曲、一聴して素晴らしいと思いました。シアラといえば、もちろんアップテンポなダンス曲を得意としているけど、一方でこうしたR&Bバラードにも味わい深いものがあって、この90年代を意識したであろうサウンドがいまの時代に突然現れたことは少しの喜びでしたね。歌詞は明らかに別れたフューチャーとのことを想起させる内容。話題性もあってヒットするかと思ったけど、チャート的には盛り上がりませんでした。複数のリミックスも制作されデラックス盤に収録されています。

(8)Give Me Love
ここでバラード続くかと思いきや、またもやアッパーなサウンド。しかも、ドクター・ルーク作とあって、かなりダンサブルでポップな仕上がり。歌詞はシンプルで、お金よりも愛が欲しいわという内容。

(9)Kiss & Tell
ドクター・ルーク作が続きます。少しスキのあるミディアムテンポのトラックで、まったりした感じですね。それ以上の感想が浮かばない・・・

(10)One Woman Army
一時期、ニュー・アルバムのタイトルとして紹介されたこともあったこの曲、前作に収録されずに今作になって登場したのには軽く驚きではありますが、曲を聞いてまたビックリというか、これは・・・やっぱりEDMと言うべきなのか。やたらとテンションの高い楽曲であり、なおかつ驚くべきにアンダードッグスがプロデュースという。

(11)I Got You
アルバムの最後は、もうこれは予想できたことではありますが、生まれてきた新たな生命への賛歌ですね。自分の母親へのトリビュートから始まるこの作品、最後は自身が母親になったこと、子どもへの思いを歌に託しています。そして、この曲を書いたのは名バラード作家ダイアン・ウォーレン。ベタすぎます! アウトロを子どもの声で締めるというのもね。こういうのは母親の性なのかしら。


通常版は全11曲の収録、デラックスではリミックスなど数曲追加になっています。ジョー・ジョナス好きな人は買ってもいいんではないでしょうかw

このアルバムのチャートアクションですが、初登場17位、セールス的にもかなり厳しいものとなりました。初登場44位という輝かしい「やらかし」があるだけに、そんなに驚きはしないのだけど、やはりリード曲がヒットしなかったことが影響しているのかなあという気がしますね。

このアルバムの個人的な評価ですが、「I Bet」がお気に入りだっただけにああいうサウンドの展開をもう少し期待していたのだけど、フタを開けてみれば全体的になかなかアグレッシブというかポップな仕上がりになっていて、前作よりもシアラっぽいかもしれないけど、何かが足りないなあという中途半端な感じも一方でしました。前作で重要な位置を占めていたマイク・ウィル・メイド・イットを外したことで、ヒップホップ的なフレイバーも後退してしまったしね。もっと突き抜けたサウンドを入れればよかったのかもしれないけど、どれもなんとなく既聴感があるのもちょっと残念かなあ。

バカの1つ覚えみたいにEDMに行かなかったのはよかったと思うけど(ちゃんとR&Bやって欲しい)、
でも、その結果この内容なんだったら、別にそっちに行ってもよかったんじゃないかなどと思ってしまうのでした。



1 件のコメント:

  1. アルバムレビュー毎回見てます。
    Nickiの新作のレビューを心待ちにしてます(>ω<)

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