2012年12月30日日曜日

Nicki Minaj『Pink Friday: Roman Reloaded』(2012)

もう年末だし、「年間ベスト~」みたいなのを書こうと思ったのだけど、今年の序盤に何聴いてたかとかもう思い出せないよ~w ここ2~3ヶ月ならわかるんだけどね。ランキングつけるの難しい。

そういうの書くみなさんって、たくさん音楽を聴いてると思うんだけど、どうやってランキングつけてるんでしょうね。やっぱり、ググっと来るポイントみたいなのを作品ごとに掴んでいるんでしょうか。ある意味、センスを問われる作業だから、競合する意識も働くかもしれませんね。毀誉褒貶激しい作品やスルーされている作品で自分がお気に入りの場合特に「いや、これはいいよ!」って言いたくなるものだったりするし。

さて、ランキングは別にして、わたしの中で今年の1枚を選ぶとするなら、意外かもしれませんが、このニッキー・ミナージュのセカンド・アルバムになると思います。リリースは今年の4月。振り返ると、よく聴いたなーと思いますね。特にドライブデートの時に役立ったっのが大きい! だって、ふだん洋楽なんて聴かない相方がミナージュさんの曲をお気に入りにあげていたんだもん。それだけ、あの曲のインパクトが強かったなあと(もちろん「Starships」ね)。個人的なエピソードではあるけど、そういう外部への訴求力みたいなのはバカに出来ないんですよね。

ということで、今年最後にこのアルバムについて紹介しておきたいと思います。

ニッキー・ミナージュ、彼女はアメリカのヒップホップの歴史において最も成功した女性ラッパーの1人と言ってもいいと思います。前作から「Super Bass」というメガヒット曲を生み出し、数々の客演仕事をこなし、いまやヒップホップ界のVIPになった彼女が満を持してリリースされたこのアルバム・・・ではあったのだけど、その内容には賛否両論がありました。わたしも最初聴いた時は、「あれ?」と思ったんですよね。これはどういうことなのか、と。

問題点はおそらく、彼女がスターとしての要素をいくつも持っていて、そのスター性を一挙にアルバムの中に詰め込もうとしたことにあるのではないだろうかと思います。ラッパーとして独特の存在感を示しながら、一方でシンガーとしてラッパーとは思えないほどの立派な歌声を披露する、そしてファッションリーダー的な立ち位置でヴィジュアル的にも独自の世界観を提示する。その結果として生じたある種の過剰さというのが、このアルバムの「締りのなさ」にあらわれてしまったのではないかと思いますね。

彼女は「これがわたしなんだから引き裂こうとしないで」と思ったのかもしれませんね。ラッパーとしてヒップホップもするし、シンガーとしてEDMもバラードもやりたいんだと。だからスタンス的に決してぶれているわけではないと思うんだけど、純粋なヒップホップ・ファンからすると、今回のアルバムに異様なまでの「ポップ要素」が含まれることに対して忌避感を抱いてしまったとしても、驚きではないと思います。それだけ、同じアルバムとは思えないほど曲調に幅があるから。


では内容を確認して行きましょう。通常版で全19曲(デラックスだと3曲追加)の大ボリュームです。


2012年12月28日金曜日

The Game『Jesus Piece』(2012)

ザ・ゲームの通算5枚目となる新作。インタースコープからリリースされる最終作でもあります。前作の『The R.E.D. Album』はリリースまでに何度も延期を繰り返して「やっと出た~」って感じでしたけど、今回は案外あっさりと出ました。まあ、タイトルは何回か変わりましたけどねw ビルボードチャートでは初登場6位を記録しています。

ザ・ゲームは好きなラッパーの1人です。全国区でウェッサイレペゼンしてる数少ないラッパーだし、固有名詞を織り交ぜたお得意のラップスタイルから、彼のヒップホップに対する愛を感じることもできますよね。そして、毎度毎度、タイトでドープなサウンドとラップを聞かせてくれて、ブレないところが素晴らしいなと思います。

さて、今作ですが、まずジャケ写が話題になりましたね。上のは通常版(21歳で射殺された5つ上のお兄さんの写真を使用)ですが、デラックス版のジャケ写ではブラッズ(西海岸のストリートギャング)の象徴である赤い衣装を身にまとったアフリカン・アメリカンのキリストが描かれています。ギャングスターにも信仰はある、ということですよね。

アルバムのサウンドも、そうした宗教的なコンセプトを反映したものになっており、冒頭からどちらかと言えば暗い感じのサウンドが続きます。複数の曲でゴスペル的なコーラスが基調音として使われており、そうした演出も宗教的で厳かな雰囲気を醸し出すのに一役買っています。そして言うまでもなく、現代風のポップな曲は全くなし。全編これソウルといった感じでしょうか。 

全体の監修は前作で相性の良さを見せたクール&ドレーが担当、5曲でプロデュースにも関与してます。それと、意外だったのが、かつてアフターマスと契約していたこともあるスタット・クオが共同監修でクレジットされているということ。どうやらザ・ゲームと共同でレーベルを立ち上げた模様。これから、二人で何か仕掛けていくのでしょうかね。そこら辺も注目ですね。

ゲストはかなり豪華、というか多すぎ感アリですね。過去作を見ても毎回たくさんゲストは呼んでるから、この過多傾向は今回に限らないのだけど、本作では(9)「Heaven's Arm」以外の全曲に客演がついているのだから、これはちょっとなあと思われても仕方ないですよね。ただ、実際に聴いてみたらわかるけど、こんだけゲストがいながらも、決してゲームの存在感が失われないというか、むしろゲームのラップを引き立てるかのようにゲストをうまく使っているのは、さすがですね。


気になる曲をいくつかピックアップしておきます。


2012年12月21日金曜日

デラックスは買わない

最近、洋楽界隈では通常版に加えてデラックス・エディションをリリースするという形態がかなり一般化してきています。かつてはDVDとのパッケージングがよく見られた形態だったけど、いまや同一商品ではあるけど、収録曲数に差をつけて、付加価値をつけようという売り方が主流になってますよね。

好きじゃないですねw

たとえばNasの『Life Is Good』から先行カットされた「Nasty」って、デラックスにしか入ってないんだけど、出しては見たけどヒットしなかったからボートラ扱いみたいなのが、どうも気に食わないのですよ。ヒットしてたら絶対本編に収録されてたハズなわけで、そんなもんで付加価値つけてくるなよと思うわけです。

もちろん、中には本編のテイストに合わないからデラックス版のボートラに追いやられたというようなケースもあるのだけど、結局のところ、ボートラなのに3~4曲も収録されたりすると、いったいこれらの楽曲は何なの?と思ってしまうんです。あくまでおまけなのか、本編の延長なのか、曲数稼ぎで入れてみたのか・・・どう解釈しても中途半端なんですよね。

それで値段上がるぐらいなら、通常版で十分やわ、というのがわたしの基本的なポリシーです。

だから、どうしても気になる曲があるという場合を除いで、基本的にデラックスは買わないことにしてます。その方が経済的だし。

経験上、家にあるデラックス版CDで、デラックスにしか入ってない楽曲を愛聴したということはあまりないんだけど、逆にデラックス買う人ってどこら辺でそっちを選ぶのか、聴いてみたいですね。やっぱり、そのアーティストのファンだからかな。


Nas『Life Is Good』(2012)

本題から少し逸れる感じですが、ヒップホップのアルバムについて語るのって難しいなって思います。だって、ラップの良し悪しって、わたしにはよくわからないから。英語は読めるけどパッと聴いて理解できる程の能力はないし、ネットで調べたらスクリプトも出てくるけど、文化的な問題もあって、がんばってもそこまでラップを深く理解できるとは思えなかったりします。せっかく読んでもこのラップがいったい何についてのものなのかそもそもわからなかったり、スキルの凄さとかを十分に理解できなかったり・・・だから、評価するのが憚れるなあと思うのです。音のかっこ良さだけなら語れそうなんだけど。

まあ、それは日本語ラップでもいっしょかもしれないですけどね。何言ってるのかよくわからないみたいなの、ジャパニーズ・ヒップホップでもありますよね? なんとなくカッコイイ感じっていうんですかね(そういうのダサさと紙一重だったりしますが)。

ということで、ナズがいかなる意味で偉大なるラッパーなのかということを真の意味で理解するほどの能力がわたしにはないのだけど、間違いなくわたしはナズのラップが好きであり、そして彼の作品が好きなのです。なぜでしょうね? 

たぶん、ブレてないから。この作品を聴いてそう思いました。そして、そういう評価をする自分って、なんて保守的なの?とも思ったりします。このアルバムには、いわゆる時流に乗ったイマドキの音は皆無で、悪く言えば10年前の作品でもおかしくないほどクラシカルな面持ちなのです。だけどいま聴いてカッコイイと思えるほどにタイムレスな作品だとも思います。ある意味ベタに、NY的なラップスタイルを貫いているのです(いや、それが何を意味しているのかは難しい問題ではあるのだけど)。

これでいいのだと思いました。わたしはこんな音を聞きたいんだとさえ思いました。だって、イマドキのヒップホップって、サンプリング主体のソウルフルなサウンドとかロウな質感のブレイクビーツとか、そういうのとは違う方法論で展開されてるでしょ? そういうの嫌いじゃないけど、ヒップホップを聴き始めたころにそういうのが「カッコイイもんだ」と思ってしまった自分にとって、そこがもう基準になってしまってるんですよね。そして、その期待に応えるものを今回も提示してきた。ファンとして、うれしい限りですよ。

あと、ナズのラップはいつもタイトですね。意味がわからなくても、スゴイこと言ってる感が伝わってくるんですよね。そこは、ポイントかもしれないですね。

ここで、改めてこのアルバムの情報をお伝えしましょう。

ソロでは4年ぶりとなる通算11枚目のアルバム、7月にリリースされビルボード総合チャートで1位を獲得しています。さすが、と言ったところでしょうか。そして、これがデフ・ジャム最終作でもあります。そういえば、デフ・ジャムからの作品のアートワークは全て黒ベースで統一されていますね。そういうところへのこだわりもナズは実は持っているのです。元嫁のウェディングドレスの一部を使用しているのも話題になりましたね。

プロデューサーには、ナズの作品ではおなじみのサラーム・レミに加え、ノーIDが大きく関与。二人で合計11曲なので、この二人がアルバムのサウンドデザインを形づくっていると言ってもいいでしょう。

ゲストには、リック・ロスや2度めの共演となるメアリーJ.ブライジ(でも、前のやつは没になったんだったね)、アンソニー・ハミルトン、ミゲルにスウィズ・ビーツ、それに故エイミー・ワインハウスとの擬似共演もあります。渋い人選だなと思います。

今回特徴的だと思ったことがひとつあって、それは、ベタなサンプリングのみならずストリングスやクラシックからの引用などもあって、シネマティックな音像が随所に展開されていること。(3)「A Queens Story」やアンソニー・ハミルトンを迎えた(7)「Worlld's an Addiction」などに顕著ですが、聴いているだけで情景が浮かんでくるような、そんなサウンドになっています。

いくつか気になる曲を取り上げておきます。


2012年12月19日水曜日

Keyshia Cole『Woman To Woman』(2012)

キーシャ・コールの通算5枚目となるアルバム。前作から2年ぶりということで、あまり間隔を明けずにコンスタントにリリースを続けているのが素晴らしいですね。ジャケ写の自分という仮面剥いだっていうコンセプトのアートワーク、浜崎あゆみも同じ事してたような気がするのだけど・・・そこは気にしないw

ポスト・メアリーとも称される彼女のスタイルは、ヒップホップ・ソウル的なサウンドに乗せてオンナの悲喜こもごもの感情をリアルに歌い上げるのが特徴、と言うことが出来るでしょうか。声質はメアリーとはまた違うのだけど、彼女の力強い熱唱にはココロ動かされるものがありますね。

さて、今回のアルバムですが、チャートでは初登場10位と、年末のリリースではあるけど、あまり盛り上がってないようです。残念! でも、期待を裏切らないキーシャ・コールらしいアルバムであることには間違いないですよ。

制作陣には、ドレー&ヴァイダル、ロドニー・ジャーキンス、ジャック・スプラッシュ、ビンク!など著名なプロデューサーを起用しつつ、一方でそれほどメジャーではないプロデューサーとも積極的にコラボレーションしているのがおもしろいですね。名より実を取ったということですね。

一方でゲストには、ラッパーでリル・ウェイン、ミーク・ミル、シンガーではアシャンティにロビン・シック、これから注目のシンガー・ソングライターであるイライジャ・ブレイクなど華やかなラインナップ。ロビン・シックは存在感なくてかなり微妙な起用ではあるのだけど・・・


気になる曲をいくつかピックアップしておきましょう。


2012年12月18日火曜日

Jermaine Dupri Presents『12 Soulful Nights of Christmas』(1998)

あと1週間でクリスマス! ということで、いまの時期にしか楽しめない(ってことないけど)クリスマス盤を聞かねばと思いつつ、なかなか追いついていないのが現状。まあ、ボチボチやりますよw

ということで、今日はジャーメイン・デュプリが1996年に発表したクリスマス・コンピレーションについて書きます。

タイトルには「12」とありますが、1998年にリイシューされたヴァージョンには14曲収録されています。全部新録、オリジナル曲も多数含まれおり、コンピレーションにしてはかなりの力の入れ様です。さすが、当時は飛ぶ鳥を落とす勢いだったデュプリといったところでしょうか。

参加アーティストですが、ソー・ソー・デフ所属のエクスケイプ、トリーナ・ブロッサード、トレイ・ロレンツ、ネーネ・リー、ジャッギド・エッジに加え、ケニー・ラティモア、、ケイシー&ジョジョ、アリシア・キーズ、チャカ・カーン、フェイス・エヴァンス、ブライアン・マックナイト、タミア、ジェラルド・レヴァートとかなり豪華なラインナップ。いかにも90年代っぽいですが(当たり前か)、R&Bファンにはおなじみのメンバー、そしてわたしが好きなアーティストも多数含まれているので、かなりいい感じです。デビュー前のアリシアの歌声が聞けるなど、ファンにとってもレアとも言える作品かもしれませんね。

制作にはもちろんデュプリをはじめソー・ソー・デフのプロデューサーが関わっています。ただ全く外部な曲もあって、そこら辺はうまくバランスが取れているなあと思います。

全体の印象ですが、やはりソウルフルを銘打っているだけあって、地味にしっとり聴かせる曲が多いなあという感じがしました。バラード主体なので、家で落ち着いた雰囲気で聴くのに持って来いだと思います。

ハイライトはやはりアリシア・キーズの「Little Drummer Girl」でしょうか。アリシアとロドニー・ジャーキンスがプロデュースしてるのだけど、当時まだ15才とは思えないほどの大人びたソウル。ピアノも自分で演奏してるし、これぞ才能の塊といったところでしょうか。でも、メジャー・デビューするまでにここ5年もかかったんですよね。


同じく、アリシアをはじめ多数のアーティストがVoices of Soul名義で参加した「Someday At Christmas」も、コンピならでは一曲だと思います。


他にもレアな音源が多数収録された一枚。いまや入手困難な一枚かもしれないけど、機会があればぜひ聴いて欲しいですね。



2012年12月16日日曜日

Tamia『Beautiful Surprise』(2012)

先日2013年グラミー賞のノミネート作品が発表されましたね。フランク・オーシャンはまあ予想通りかなあという感じだけど、R&B系のラインナップを見るとそれなりにツウな選曲になっていて、さすがグラミーねと思ってしまいました。

その中にあって、Best R&B AlbumおよびBest R&B Song部門でノミネートされたのが、このアルバムおよぼ同名タイトル曲「Beautiful Surprise」。過去にもノミネートされたことはあるけど、前回ノミネートされたのが2000年だから、それから13年ぶりということになりますね。これぞ快挙と言ってもいいでしょう。

ということで、今日はこのアルバムを取り上げてみたいと思います。

タミアにとって5枚目となるニュー・アルバムですが、あまりに素晴らしかった前作『Between Friends』(2006)がアメリカではメジャーで発売されなかったこともあり、本国では2004年の『More』以来のリリース、という認識になるのでしょうか(ここらへん不確かです・・・)。ともかく、子育てやら何やらを経てやっとのこさリリースまでこぎつけたわけです(と言ってもやはりインディですが)。見事なカムバックといえるでしょう。

制作陣には、ソングライティングに大きく関与しているクロード・ケリーの他、サラーム・レミやザ・ランナーズ、おなじみシェップ・クロフォード、それにジャスミン・サリヴァンなんかの名前があります。


気になる曲をいくつかピックアップしておきます。


2012年12月7日金曜日

浜崎あゆみ『SEASONS』(2000年)

先日、FNS歌謡祭という番組を少し見ていたのですが、新旧織り交ぜて豪華アーティストがひたすらコラボしまくるという作りがおもしろくて、さすがに4時間30分も観てられなかったけど、けっこう観てしまいました。紅白に出ないような人たち(ミスチルとか)も普通に出て歌っていたし、怒涛の12曲メドレーとかあって、立て続けにヒット曲を披露してくれるから飽きないっていうのもポイントでしたね。宮本笑里や押尾コータローといった知名度のあるインストミュージシャンの使い回し方に苦笑したりもしたけど、氷川きよしがガチでポップス歌ったり、槇原敬之がザイルさんとコラボったり、平井堅の左肩に謎の鳥が乗ってたりと、(ヲキャマ目線でも)いろいろと見所満載な番組だったと思います。生放送であれだけ短期間にセットも転換しつつ次から次へと曲披露いうのは、事前に相当リハーサルを積み重ねたのでしょうね。

さてさて、この番組でわたし的に一番ゾクゾクしたことと言えば、華原朋美が意外とまともにあの曲を歌いあげてきたことではなく、浜崎あゆみがどうしちゃったのよと心配したくなるほどの劣化した歌声で「SEASONS」を披露したことでした。番組の終盤に起きたこれぞアクシデントとでも言っていいような場面です(→映像 ※削除される可能性あり)。

ああ、やっちゃってるなあと。見事に外しちゃってるなあと。最近新たな熱愛騒動で注目のあゆだけど、本業でこれは辛いなあと。ああそういえば難聴とかあったけど、それ関係あるの? いや、そういう問題ではないでしょう・・・とか、まあいろいろな感想が浮かびますね。10年以上前の曲だから、その当時と全く同じように歌う必要はないのだけど(実際数年前のライブ映像を観ると、よりあゆっぽいクセのある歌い方にすでになっている)、そういう表現の違いというより、今回の映像を見る限り、そういう歌い方しかすでにできなくなっているっていうことなのかなあと。とにかく、コンディション悪すぎ。

でもね、わたしこの劣化した歌唱を聴いて、思わずオリジナルの音源を聞き直してしまったんですよね。SEASONSってこんな曲じゃないよなあって。そして、オリジナルを聴いてやっぱり名曲やなあと思い返すわけです。で、この時に、「あ、この人転んでもタダでは起きないんだ」って思ったんですよね。まだ、浜崎あゆみに対するある種の幻想みたいなものがわたしの中に残っているのだと。

ということで、せっかくなので、この「SEASONS」についてレビューしてみたいと思います。

この曲は、2000年6月7日に発売された16枚目のシングル。月9主題歌に起用され、「vogue」「Far away」に続く「絶望三部作」の最終章としても位置づけられていますね。諸行無常な感覚が、この3曲に共通して見られるテーマと言えると思います。歌詞を読んでも、ただうつりゆくのを眺めているような、達観した心境が表されているのがわかりますね。


さて、当時の浜崎あゆみのシングルと言えば、山盛りとも言えるリミックスを収録していることが特徴でした。このシングルにもアコースティック版に加え、同曲のリミックスが6曲収録されています。これがね、改めて聴いてみたのだけど、結構楽しいのですw どれもいかにもなクラブサウンドに仕上がってるんだけど、CMで使われたアップテンポなリミックスもあれば、浜崎あゆみの数々のリミックスを手がけてきた影の功労者"Dub Master X"こと宮崎泉によるレイドバックしたレゲエ風味のバージョンありと、さまざまなアレンジで楽しませてくれます。そして、なんだかんだ言ってオリジナルが良いよねえと思わせてくれるのです(ココ大事!)。

リミックスの愉楽というものを大衆にわかりやすく知らしめたのは、浜崎あゆみの功績の一つでありました(もちろん、これはavex自体の意向が大きいのだけど)。でも、原曲がよくないとリミックスなんてやっぱりおもしろくないわけで、その意味でこのパッケージはこの曲を味わい尽くすには見事な商品になっていると思います。

ちなみに、ブックオフに行けばいまでも簡単にこのCD手に入るので、この時代のあゆを知らないという人はぜひ!

あ、思わずJ-POP批評しちゃったわw

2012年12月5日水曜日

「All I Want for Christmas Is You」のカバーあれこれ

もうすぐクリスマス。この時期になると聞きたくなる曲といえば、マライア・キャリーの名曲「All I Want for Christmas Is You」。日本でもっとも有名なマライア様のヒット曲といってもよいでしょう。

この曲は、1994年に発表されたホリデイアルバム『Merry Christmas』に収録されています。日本ではドラマ「29才のクリスマス」の主題歌として起用され、洋楽シングルとしては異例のミリオンセラーを記録しています。すごいですね。

すでに別ブログで、この曲のビミョーな進化について書いたけど、今回はいつもと趣向を変え、さまざまなカバー・バージョンについて聞き比べをしてみたいと思います。カバーの多さを見るだけで、たくさんのアーティストにこの曲が愛されているということがわかりますよね。

☆シャナイア・トゥエイン(1998年)
カントリーポップスの女王、シャナイア・トゥエインが『The Today Show』という番組で披露したカバー。ヴィジュアル的には若いのだけど、少しアダルトな雰囲気ですね。



☆オリヴィア・オルソン(2003年)
映画『Love Actually』のサントラに収録されている一曲。歌っているのは当時12歳で、この作品がデビュー作となるアメリカの女優さんです。かわいらしい感じですね。



☆マイ・ケミカル・ロマンス(2004年)
日本でもヒットを記録している4人組ロックバンドの意外とも言えるカバー。途中でメロディーぐちゃぐちゃになっちゃったり、ハチャメチャな感じ。かなり自由に歌ってますね。ロック的な意匠ということでしょうか。ノリノリなのが好きな人にはオススメかも。



☆マイリー・サイラス(2007年)
ウォルト・ディズニー制作『ハンナ・モンタナ』のサントラで大ブレイクしたティーン・アイドルの弾けるようなパフォーマンス。いかにもアメリカンなポップスに仕上がってますね。



☆ジョン・メイヤー(2008年)
今年リリースしたアルバムも全米1位を獲得するなど、絶大な人気を誇るシンガー・ソングライターのライブカバー。アコースティック・テイストですね。




☆Suemitsu & the Suemith(2008年)
日本のアーティストもカバーしてます。『Best Angle For the Pianist』というアルバムに収録された一曲。ピアノロック調になってます。




☆レディー・アンテベラム(2010年)
大人気カントリートリオのホリデイ・アルバム『A Merry Little Christmas』に収録されているカバー。しっとりと美しく、コーラスもバッチリですね。



☆マイケル・ブーブレ(2011年)
カナダ出身のジャズ・シンガーの、昨年大ヒットを記録したホリデイアルバム『Christmas』に収録されているカバー。ブー様の声は渋くて艶があって、ステキですねえ。



☆グリー・キャスト(2011年)
日本でもいよいよ放映が始まったコーラス青春群像劇(って形容でいいの?)『Glee』のアンバー・ライリーによるカバー。原曲の雰囲気を壊すことなく、ポップにまとめあげてますね。



☆シーロ・グリーン(2012年)
最後は、昨日取り上げたシーロのホリデイアルバム『Cee Lo's Magic Moment』に収録のカバー。華やかなアレンジが施されています。



ということで、調べれば他にもいろいろとありそうなのですが、ココらへんで止めておくことにしましょう。たくさんのバージョンがあって、それだけこの曲のポテンシャルが高いということを証明していると思うんですけど、いかがでしょうか。わたしはマイケル・ブーブレのカバーにうっとりしてしまうのですが、もっと大胆なアレンジのカバーがあってもいいのかなと思ったり・・・探せばあるのかもしれないけどね。

2012年12月3日月曜日

Cee Lo Green『Cee Lo's Magic Moment』

『The Lady Killer』、というか「Fuck You」の大ヒットによって、歌手として一躍メジャーに出たシーロ・グリーン。彼がもともとグッディー・モブというアトランタのヒップホップ集団の一員で・・・みたいな説明は、あのいぶし銀のソウルヴォイスが世間に知れ渡ったあとでは無用かもしれませんね。とにかく、「Fuck You」のインパクトには凄まじいものがあったのです、はい。

ということで、そんなシーローがクリスマス・アルバムを発表。チャート的にはいまのところ最高67位と、ヒットにはつながってないみたいだけど、これは本当にいいですよ! クリスマスのムードを高める、楽しくもぬくもりのあるナンバーが満載です。素晴らしい企画盤だと思います。

もちろん、クリスマス・アルバムなので、日本でもお馴染みの「Silent Night」や「White Christmas」といった定番ナンバーのカバーが入っています。ともにオーディション番組『The Voice』の審査員を務めるクリスティーナ・アギレラとのジャジーな共演もあります(「Baby It's Cold Outside」)。当たり前といえば当たり前かもしれないけど、向こうにはクリスマスナンバーがたくさんありますよね(でも知らない曲も多いけど)。

それ以外にもすでにクラシックと言っていいマライア様の「All I Want For Christmas」カバーが注目でしょうか。この曲、いろんなアルバムにカバーされてますけど、やっぱり聴いているとテンション上がりますね。シーロー版も味があって素晴らしいです。

おもしろいのはオリジナル曲の「All I Need Is Love」。なんとディズニーの「マペッツ」と共演しちゃってます。弾けるような楽しいノリの一曲。音像ではわからないけど、映像ではしっかりシーローと共演しているのがわかりますw シーローもキャラ立ちがすごいから、みんな揃ってファンタジーっぽいですよね。


毎年のようにクリスマス・アルバムって出てるけど、今年の注目作は間違いなくこのアルバムだと思いますよ。



2012年12月2日日曜日

Alicia Keys『Girl on Fire』(2012)

年末になると洋楽は毎年のごとくリリース・ラッシュで、お財布的になかなか厳しくなるけど、楽しみが増えるのも確か。レビューが追いつかないよ~、などという泣き言は置いておいて、アリシア・キーズの通算5枚目のアルバムについて今日は書こうと思います。

もう、というかまだ5枚目なのか、という感じかもしれないですね。デビューしたのが2001年だからいいペースとも言えますけどね(ほぼ2年に1枚ペース)。

前作では初の全米1位を逃したけど、今回はセールス的にだいぶ落ちたものの、無事初登場1位を獲得しています。

スウィズ・ビーツとの結婚および出産という人生の転機を経てリリースされた今作。どんな内容なのか、さっそく中身に触れてみましょう。