2014年8月17日日曜日

Joe『Bridges』(2014)

※途中まで書いて1月以上放置していた記事です。タイミングを逸した感もありつつ・・・公開します。

この回復力の早さと言ったら! そう言わずにはいられない、R&B界のジェントルマン(いや、プレイボーイかw)、ジョーの通算11枚目となるオリジナル・アルバムがリリースされました。

昨年『Doubleback: Evolution of R&B』というアルバムを出したばかりだというのに、もう次の新作が出るなんて、ファンにはたまりませんよね。すでにベテランの域に達しているジョーが、いまなおクリエイティヴである姿には驚かずにいられません。

しかも、今回は長年のビジネスパートナーであるキダー・マッセンバーグと決別し、自身のレーベルからのリリースになります。インディーズになったからリリースに関してもより自由な姿勢で臨めているのでしょうが、自分のレーベルも立ち上げて、ここに来てエンジン全開なのがな
んとも頼もしい限りです。

さて、今作の布石としてケリー・ローランドとのデュエット曲が発表されました。前作に収録されていた「Love & Sex」の続編だったのですが、これがリリースされた時には「リパッケージ版でも出すかな?」ぐらいの感じで受け止めていました。それが、フタを開けてみたら、この新作からのリード曲だったわけです。非常に興味深い展開だなと思いました。まさに前作から今作への”橋渡し的”な曲として機能させたわけですね(まあ、ヒットはしなかったわけですが)。

前作では収録曲の半分をジョー自身がプロデュースしていましたが、今回のソングライティングのみで、アルバムの大半をデレク・アレンがプロデュースしています。前作で相性が良かったからでしょうか、もともと多くのプロデューサーとタッグを組まないタイプなので、今回はベテランの彼に委ねたのでしょう。

では、さっそくアルバムの中身にうつりましょう。


(1)Future Teller
小気味のいいカッティングギターに軽快なストリングス、アルバムのオープニングはアップテンポなナンバーから。とにかく爽やか! 歌詞も「君が僕に永遠をくれるから、僕も君に永遠をあげる」とかね、ベタすぎるほどわかりやすいラヴソングです。

(2)Dilemma
細かく刻んだリズムが印象的で、ややマイナーながらもアップテンポなR&B。早口歌唱も板についています。攻めてますね。

(3)Do A Little Dance
スローテンポのR&B。ちょっとシリアスな雰囲気も漂わせつつ、アコギの音やコーラスワークを聞いていると、これぞジョーお得意のナンバーだなあと納得。

(4)If You Lose Her
ミディアムテンポのゆったりした一曲なんだけど、歌詞は「君が彼女と別れたら」どうなると思うと問いかけるような内容で、そのギャップがおもしろいです。

(5)Sex Ain't A Weapon
三味線でしょうか、和のテイストの音と変則的なリズムを取り入れた挑戦的なナンバー。ジョーとしては今までにない感じでいい感じです。

(6)Love & Sex Pt.2 feat. Kelly Rowland
リードシングルとなる、ケリー・ローランドとのデュエット曲。前作収録のファンテイジアとの共演曲の続編ということでしょうね。曲の雰囲気が全然違うので、続編っぽい感じはしないのですけど、ファンテイジアよりもケリーの方が爽やかな感じがして、アルバムにいいアクセントをもたらしていると思います。

(7)Blame Her Broken Heart On Me
前作収録の「Magic City」を少し彷彿させるような、ジョーのぬくもりのある声とアコギがマッチしたミディアムナンバー。

(8)First Lady
ここに来て、アップテンポな展開。小気味良いギターと爽やかなストリングスを伴って、あなたへの一途な愛を歌い上げるジョー先生。さわやか過ぎる~

(9)Take It To The House
こちらもアップテンポながら、今度はファンキーなノリです。もちろんジョーなので、下世話になることなく、小奇麗にまとまったりしているんだけど、もう少しヴォーカルで冒険があってもよかったかもしれないですね、この手のことするんだったら。

(10)Till The Rope Gives Away
直球のソウルナンバー。珍しく3拍子ですね。この王道さというかベタさというのは、さながら日本の演歌に通ずるものがありますね。それぐらいに、もうわかりやすいラヴソングです。

(11)The Rest Will Follow
可も不可もなくのミディアムテンポのバラード。特にそれ以上いうこともなく・・・捨て曲かもしれない。

(12)Mary Jane (Remix) feat. 50 Cent
今作の目玉その2ですね。かつてG-Unitとの共演でヒットを飛ばしたジョーなので50セントを招いても不思議ではないのだけど、いまや凋落の一途をたどる彼とここに来て共演するとはなんとも義理堅い(50の方にもジョーは客演しています)。曲自体は前作収録の「Mary Jane」のリメイクだったりするのですが、リック・ジェイムスをサンプリングして、よりアグレッシヴな仕上がりになっています。

(13)Bridges
アルバムの表題曲。音の数は控えめで、アコースティックなサウンド。ゆったりとしてグルーヴで、聞いていて気持ちよくなります。

(14)Love Sex Hollywood
ファンキーな楽曲をもう一度。ということで、こちらはファルセットなんかも多様して、よりセクシーに攻めた、プリンスマナーな仕上がり。ただ、期待していたよりもアレというか、正直あまりジョーのこういう歌唱は魅力的ではない気がします。

(15)For Love
これはもう、アレンジからメロディーからしてポップバラードという感じですね。ジョーらしからぬ、という気もしますが、アルバムの締めとして用意した楽曲なのかもしれません。

(16)Love Undefeated
ということで、こちらはボートラちっくな音像。ファンキーなベースとホーンセクションのきらびやかな、軽快な一曲です。


全16曲という過去最大とも言えるボリューム。そして楽曲も生音が主体ながら、さまざまなアプローチに挑戦していて、いまなお制作意欲の衰えぬジョーを存分にアピールした作品だと思いました。

前作のテイストが好みな人なら、今作もきっと好感触で受け入れられるでしょう。

ちなみに、アルバムのブックレットには早くも次のアルバムの予告がされています。『Date Night』というタイトルで、過去の楽曲のリメイク作になるそうですが・・・衰えを知らぬとはこのことですね! 



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