2013年10月9日水曜日

Earth, Wind & Fire『Now, Then & Forever』(2013)

アース・ウィンド&ファイアの通算21枚目となるアルバムの紹介です。

過去作は何枚か持っていて、ベストとかで代表曲は大体聞いたことあるのですが、まさかリアルタイムでまた新作が登場するとは思っていなかったので、これには驚きました。もうデビューしてから40年以上経っていますが、まだまだ現役なのがうれしい限りです。

現役といえば、このサウンドですよ。後述しますが、全くと言っていいほど衰えていない、というかこれぞアースなサウンドが展開されています。元々彼らでしか作れない独自なサウンドの人たちではありましたが、このブレなさがまた素晴らしいです。あと、アルバムジャケットのSFチックな感じも相変わらずですね。

残念なことと言えば、いわばアースの顔であるモーリス・ホワイトが不参加なこと。80年代後半にパーキンソン病と診断されており、その後も活動は続けていたものの、最近では表舞台に立つこともできなくなってしまったようです。前作ではクレジットされていましたが、今回は完全に不参加です。

前作と言えば、ウィル・アイ・アムやビッグ・ボーイ、ケリー・ローランド、ブラマクなど人気アーティストとのコラボレーションによりフレッシュなサウンドを展開していましたが、今回はそうしたゲストなしで、自分たちの世界を表現しています。

さっそく中身にうつりましょう。


(1)Sing On feat. Daniel McClain
一曲目からホーンセクションが冴え渡る、これぞEWFなアッパーなサウンド! まさにEWFの復活を知らせる音(サイン・オン)です。フィーチャーされているダニエル・マックレインという人が何者かわからないのですが、ヴォーカルもファンキーで力強いです。そして、歌詞は・・・貧困や戦争に反対するプロテストソングですよ、これ。 

(2)Love Is Law
ちょっとレイドバックしつつも、ホーンの音が心地いいミッドテンポのナンバー。その分ヴォーカルは控えめですね。「愛は法」ってメッセージは、とても彼ららしい気がします。

(3)My Promise
10年前に『The Promise』というアルバムを出したことがありますが、こういうことばのチョイスも彼らっぽいですよね。歌詞の内容はありきたりなラヴソングだったりしますが。それにしても、またもや心躍るようなファンキーなグルーヴですよ。
(4)Guiding Lights
アルバムからの新曲としてまず届けられたのがこの曲。コーラスワークも美しい、ミディアムテンポのナンバー。フィリップ・ベイリーの高音も冴えていますね。アダルトな雰囲気漂う一曲です。6分24秒とアルバム中一番尺が長く、アウトロが2分以上もあります。

(5)Got To Be Love
ここで少しサウンドが変化。美しいピアノの音からアンビエントなシンセ音、そして強烈なベースとエレキギターが絡み合うロックテイストへと展開する一曲。これもカッコイイですね。

(6)Belo Horizonte
1分51秒のインスト曲。急にリゾートへ連れ出されるような、そんな意表を突くトロピカルサウンドです。なんでこの曲入れたんでしょう・・・これも彼らしいといえばそうなのですが。

(7)Dance Floor
またまた来ましたよー。ヴァーディン・ホワイトのベースが前面に出た、ファンキーでグルーヴィンなダンスナンバー。ホーンとかけ声の絡み合いもいい感じですね。

(8)Splashes
こちらもインストだけど、5分21秒と長尺。パーカッションのリズムがアフリカのジャングルへと誘われるような感覚なのですが・・・

(9)Night Of My Life
アルバムも終盤ですが、このテンションの高さ! ひたすら高音を攻め続けるフィリップ・ベイリーにも驚愕ですが、こんなに攻め続けるなんてドSだわ、と思わず言いたくなるファンキーさです。

(10)The Rush
ラストは少しテンポを落としつつも、ホーン隊の主張が激しい一曲に。それ以外にもいろいろな音が混じっていておもしろいのだけど、最後に「ドカーン」って音で終わるのが何とも(笑)


全10曲。デラックス盤は2枚組で、有名人が選ぶEWFの名曲が収められたCDが付属しています(日本版はさらにリミックスとか追加された独自仕様)。値段的に買いとは思わなかったのですが、興味のある人はそちらもどうぞ。

それにしても、このアルバム、なかなかに濃い仕上がりですよ。まだまだ現役なのがひしひしと伝わってくる、そんな一枚です。昔からのファンにも、彼らの音をサンプリングでしか知らないというヒップホップヘッズにも聴いて欲しいアルバムだと思いました。



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