2013年10月3日木曜日

John Legend『Love In The Future』(2013)

先日、結婚したばかりのジョン・レジェンド。そのソロ名義としては通算4作目となる新作がリリースされました。

前作はザ・ルーツとのコラボ・カバー集だったこともあり、純粋な新作としては5年間のブランクが空いてしまいました。その間も、客演仕事をコンスタントにこなしたりしていたので、まあ、マイペースに活動はしていたと思うのですが、その5年前の『Evolver』が賛否両論な作品だっただけに、ザ・ルーツとのコラボを経た彼が今作でどのような作品を作り上げてきたのか、非常に楽しみではあります。

話は逸れますが、ジョン・レジェンドと言えば、本当にええ声ですよねw ピアノ弾いているイメージが強いですが、声だけでこれほどの存在感を出せるシンガーもそういないと思うんですよね。だから、個人的にもお気に入りのシンガーなんですけど、その割には過去作を振り返ってそんなに聴き込んだ作品がないような気がする・・・この機会に改めて聞き直そうかなあと、ふと思ったりしました。

さて、今回はシングルのPVといいジャケ写といい、アーティスティックな路線を突っ走ってますね。あのおしょうゆ顔の替わりに登場した赤い花が果たして何を意味しているのか。いろいろと興味深いですね。エグゼクティヴ・プロデューサーとしては、デビュー作から関与しているデイヴ・トッツァーとカニエ・ウエストが名を連ね、大半の曲で何らかの形でクレジットされています。

では、さっそく中身にうつりましょう。


(1)Love In The Future (Intro)
約40秒のイントロ。アコギに乗せてフィルターのかかった歌声で幕開け。

(2)The Beginning...
二胡の音でしょうか、オリエンタルな雰囲気のする楽器とアコギが主体の静謐なトラックに乗せて歌われるは「永遠の始まり」、つまり愛ですね。

(3)Open Your Eyes
ボビー・コールドウェルの名曲カバー。いきなりこうしたカバーをもってきたのが意外なのです。この曲に特別な思い入れでもあるでしょうか。彼らしいアプローチなのだけど、ヴォーカルに少しフィルターがかかっているのが気になりますね。

(4)Made To Love
セカンド・シングルとしてリリースされたこの曲、意表性をつくアプローチで驚きました。トライバルなビートに切れのあるレジェンドのヴォーカル、そしてゴイティエの大ヒット曲にフィーチャーされ注目のキンブラが魅惑的なヴォーカルを重ね、フューチャリスティックな楽曲に仕上がっています。これはカッコイイし、カニエ・ウエストの関与が大きいような気もしました。PVもエロティックで、今作の挑戦的な姿勢を表している楽曲ですね。


(5)Who Do We Think We Are feat. Rick Ross
今作で唯一ラップが入るこの曲が、アルバムからのリード曲になります。サンプリングとしてマーヴィン・ゲイ、ジーン・ナイト、レニー・クラヴィッツと、3者の曲を使用するという合わせ技なのですが、この曲自体はとてもスケール感のある、聞いていて気持ちの良くなるナンバーです。ところで、タイトルの「Who Do We Think We Are?」ってどう訳したいいんでしょうね。恋人との会話だとすると、「俺らのことを誰だと思ってるんだい、スゴイだろ」ってな感じで、自分たちのイケイケ具合を称えることばのように読めますけど。

(6)All Of Me
サード・シングル。ここに来てやっとピアノ弾き語りのバラードが登場。従来のジョン・レジェンドのサウンドの延長なのだけど、内容的にはフィアンセに捧ぐ、って感じですね。直球のラヴ・ソング。

(7)Hold On Longer
2分30分の小曲。こちらもピアノと少しのシンセ、ストリングスのみで構成されたシンプルな楽曲。ちょっとジャジーな雰囲気。

(8)Save The Night
ドラマティックな展開の楽曲で、レジェンドも大らかなヴォーカルを披露。ピアノのフレーズも印象的なのだけど、それよりもサウンドエフェクト的に挿入されるさまざまな声とか、トラックの細かいところに耳が行ってしまいますね。よく聴くと一筋縄ではないトラックです。

(9)Tomorrow
Q-TIPがプロデュース! カニエつながりですかね。彼はあまりR&Bを手がけることがない印象なのだけど(そもそも多産な人じゃないし)、アルバムの流れにきっちりと収まる、サンプリングベースの麗しいサウンドに仕上がっているのがさすがですね。でも、いろいろな音が挿入されて、ちょっと不思議な感じがします。

(10)What If I Told You? (Interlude)
50秒のインタールード。

(11)Dreams
これもちょっとクセのあるというか、魅惑的な展開の2分40秒。ベースはピアノとヴォーカルなのだけど、アウトロではヴォコーダーの音が前面に出てきて終了するという。夢の儚さの表現かな?

(12)Wanna Be Loved
ちょっとアップテンポだけど、彼の歌うフックがブツクサ調で地味な印象。クールなグルーヴ感の3分間。これも短い尺の曲ですね。

(13)Angel (Interlude) feat. Stacy Barthe
前半はレジェンド、後半は新進気鋭のシンガーソングライター、ステイシー・バースが歌う1分30分程度のインタールード。バースさんの出番ちょっとしかないのが残念ですね。

(14)You & I (Nobody in the World)
これは彼らしい壮大なミディアム・バラード。ひねりがないからあまり面白くはないのだけど、安心感はあります。

(15)Asylum
ファルセットも駆使して、くるおしい愛の形を歌い上げるレジェンド。それにしても、「二人の愛はアサイラム」ですよ。うーん、なんて訳せばいいんでしょうね。

(16)Caught Up
通常盤の最後を締めくくるこの楽曲、トラックにはひねりがあるのだけど、ラストにふさわしい終わり方だなあという感じですね。


全16曲収録(デラックスでは4曲追加されていますが割愛します)。1曲の尺が短いものが多く、構成にかなり気を遣っているというか、アルバムとしての完成度を重視している印象ですね。そして、カニエの影響なのか、トラックにもひねりがあって、オーソドックスなR&Bサウンドっていうのが少なかったりする。歌詞のテーマは全て愛についてで、そこにも一貫性があります。

とっつきにくいようにも思えるけど、個人的には非常によく出来たアルバムだと思いました。



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