2016年8月4日木曜日

Sia『This Is Acting』(2016)

どうも、こんばんは。何かのうっぷんを晴らすように急にブログを書き始めました。他意はありません。読書疲れで休憩したかったのですw

さて、今回はシーアの最新作です。通算7枚目となる本作ですが、前作ほど注目度は高くなく、1月にリリース(リアーナとかぶってますね)されたはいいがいつの間にフェイドアウトしていた、というほどのものでした。

ところが、ここ最近になってチャート再上昇、6位まで浮上しています。というのも、本作からのシングルのリミックスとなるショーン・ポールをフィーチャーした「Cheap Thrills」がなんと彼女にとって初となる全米1位を記録したからです。このシングル自体じわじわチャートアップした曲ではありますが、確かに夏の暑い季節にぴったりのレゲエ調のナンバーで、時機を得たものと思います。

ところでこの作品、顔出しNGの感じ含め前作の作風を踏襲しているものの、コンセプトととして特筆すべきが「他アーティストへ提供予定だった楽曲の横取り」という売れっ子ソングライターでしかなしえない発想があること。前述のナンバーワンソングも実はリアーナ用に作られたものでした(テイスト的に納得)。それ以外にもいろいろなアーティストへの提供を意図しており(実は拒否されたといえる楽曲だけど)、その痕跡がライティングクレジットとして残っているものもあり興味深いです。とは言いつつ、ふたを開けてみればどれもこれもシーアでしか表現しえない世界観の楽曲群ではあるのですか。

ということでさっそく内容を見ていくことにしましょう。前作と同様、プロデュースにグレッグ・カースティンが関わっているほか、ジェシー・シャトキンも大きく関与しています。

Britney Spears『Britney Jean』(2013)

以前、深夜のテレビ番組を見ていたとき、マツコ・デラックスが意味深なことを述べていました。それは、この世代だからわかるよさがあるということで、そこでブリトニー・スピアーズのよさはいまの若者にはわからないだろうというような話をしていました。

それを観て、わたしは確かにブリちゃんってティーンエイジャーのときからずっとお騒がせアイドルだけど気付けばもう30台だし、若い人にはピンとこないよなあと思いました。そして、とは言いつつ実はまだ34歳という若さでもあるし、だからといってまたブリトニーが日本のワイドショーを賑わせることもないだろうし、などと時代の流れを感じるのでした。しかし、気付けばその呼び方を含め、わたしがアメリカのエンタメ業界に疎かった時代からすでにブリトニー・スピアーズという存在がある種の特別なものとして存在していたのも事実だと思います。

さて、そんなブリトニーですが今月末にニュー・アルバム『Glory』のリリースを発表しました。いったいどんなアルバムなのか楽しみですが、今日はそのことを記念して前作の『Britney Jean』を取り上げてみたいと思います。

振り返ればこのアルバム、自身のミドルネームを冠たパーソナルなものであるのみならず、これまでずっと所属していたジャイヴレコードが解体してRCAへ移籍してからの初アルバムでもあります。そして彼女にしては残念なほどヒットしなかった作品でもありました。ある意味、凋落の始まりとなる作品かもしれず、その意味で次作がどれだけヒットするか注目であると言えます。個人的にこの作品の評価を決めてかねている部分があり、ここで取り上げてみたいと思います。

では、さっそく見ていくことにしましょう。

2016年8月3日水曜日

Rihanna『Anti』(2016)

今日はリアーナの新作を取り上げたいと思います。

新作といってもリリースされたのは1月。すでに半年以上過ぎています。にもかかわらず、ビルボードのチャートではいまなおトップ10圏内を維持しています。つまりロングヒットしているわけです。いままでもシングルを何作もチャートに送り出し、つねにヒットしているような状況を生み出してきた驚異的なアーティストではありますが、どちらかといえばシングル主体の印象が強いだけにこのアルバムがこうしてヒットを続けているということも、このいまの時代状況を踏まえると素晴らしいことだと言えるでしょう。

さて、このリアーナですが、前作『Unapologetic』から動きを見てみるとようやくイレギュラーな動きを示し変化を見せてきました。というのも、リアーナといえばデビュー以来1年に1枚のハイペースでアルバムをこれまで7枚リリースし続け、そこからあまたのシングルヒットを生み出してきてのみならず、サウンド的にもトレンドセッターとしての役割を果たして来ました。しかし、あまりに「無休」感が強いため、いつまでこのペースを続けるのか、一方でそのハードワークっぷりを懸念する声もあったわけです。だから、ここに来てようやく…ということからもしれませんが、そうであるがゆえに、そのブランクからどう戻るのかというのもまた心配材料だったわけです。

実際どうだったかというと、まず自主レーベル「Westbury Road」の立ち上げとデフ・ジャムからロック・ネイションへの移籍という出来事がありました。あれだけヒットを量産してきただけにさすがに契約をめぐるトラブルがあったとは思えませんが、この手の出来事があると大概は軌道に乗るまで時間がかかるものです。しかし、これにより彼女により制作上の優位性が与えられたといえるでしょう。

次にいまやどういう位置づけかはわかりませんが、2015年には今作に未収録の3枚のシングル(「FourFiveSeconds」「Bitch Better Have My Money」「American Oxygen」)のリリースがありました。特にポール・マッカートニー、カニエ・ウエストとのサプライズ共演をはたした「FourFiveSeconds」はこれまでと違うのどかすぎるフォークポップな作風で驚きでした。チャートでもそれなりにヒットを飛ばしアルバムの布石かと思われましたが、結局見送られてしまいました。それ以外のシングルも強烈なビジュアルもありインパクト大でしたが、あまりヒットせずアルバムのリリースが危ぶまれる結果となりました。

しかし、そんなことを気にしたのかどうかわかりませんが、今年に入ってから以前より噂のあったニューアルバムのリリース話が急に現実のものになります。しかも、そのリリース形態がまたいまどきで、Tidalを通じて無料ダウンロード(サムスンが事前に購入して配ったという形)が急に可能になったか思えば他サービスでも購入可能になり、そして少し遅れてCDがリリースされるという変則的な形となりました。しかし、そのおかげでチャートには十分にそのインパクトが反映されず、いったいどれだけの人にこのアルバムが行き渡ったのかあやふやになってしまいました。しかし、ビルボード上でもチャート上位にあらわれ浮き沈みを繰り返しながらいまに至っています。

今作で特徴的なのはそのアートワークやタイトルもですが、なんといっても多彩なプロデューサーらと仕事をしながら、全曲においてリアーナがソングライターとして名を連ねていることです。いままで以上に彼女のアーティストとして個性が反映された作品といえるかと思います。

ということで内容をさっそく見ていくことにしましょう。

Fantasia『The Defenition of…』(2016)

気付けば8月ですね。暑いのでさわやかな曲やパーティー気分の曲を聴きたいところですが今日取り上げるのはファンテイジアの5枚目となる最新作です。事前リリースされた楽曲を聞いたことがある人ならわかると思いますが、はっきり言って今回も濃い~ソウルです(笑)

前作『Side Effects of You』からの動きを振り返っておきましょう。まず、ブロードウェイのミュージカル『After Midnight』への出演がありました。歌手としてのみならず活躍の幅を広げていると言えそうです。また、2014年のグラミー賞において3部門でのノミネートがあり、R&B系アーティストとして着実に評価を獲得していることが確認されました。よろこばしいことです。そして、デビューからのディスコグラフィを見ればわかるように、3年ごとにコンスタントに新作リリースを続けています。そして、今作もRCA/19からのメジャーでのリリースとなります。

しかし、一方で前作の主軸だったハーモニー・サミュエルズは不参加で、代わりに指揮をとったのがなんとロン・フェア。当ブログ的には、レディー・ガガ、メアリーJ.ブライジやキーシャ・コールらのプロデューサーとして注目ですが、噂レベルでは最近ではTLCの最終作にも参加するといわれています。A&Rとしての実績が強く、それほどサウンド的に特徴があるわけではありませんが、逆に堅実なベテランともいえるでしょう。

意外といえば、R.ケリーの参加というトピックがありました。2014年の末にファンテイジアとレコーディングする写真がSNSにポストされ、果たしてどちらのアルバムに入るのかと思われましたが、今作にその成果が無事収録されることになりました。ただし、今回はよくあるデュエット形式ではないようです。

ということで、アートワークも相変わらず強烈な今作、さっそく見ていくことにしましょう。


2016年7月15日金曜日

Maxwell『blackSUMMERS'night』(2016)

本日はマックスウェルの新作を取り上げます。何というか、久しぶりに聞いていて心がウキウキしたアルバムだったので、何か書いてみたいと思います。

それにしても話は変わりますが、ストリーミングサービスというのはそれなりに罪深いものでもあります。わたしは、この作品が出る日(つまり7月1日)を楽しみにしていたのですが、当然、作品はCDで買うつもりでいました。ところがGoogle Playを開くと、発売と同時にこの作品が公開されているではありませんか。そして、再生したいという欲望を抑えることができませんでした。

言うまでもなく素晴らしい内容であります。そして、ここで二つの選択肢が現れることになります。改めてお金を出してCDを買うのか(ダウンロードという手もある)、このままストリーミングで良しとするのか。

それなりに迷いましたが、結果的にアルバムは購入することにしました。お値段の問題もありましたが(HMVでまとめ買いしたら1200円ぐらいだった)、このブログで取り上げる以上、作品は手持ちでありたいというささやかな意地もありました。

しかし、ここ最近を振り返ると、そこまでして作品をCDという形で所有しておきたいと思える作品って少なくなったなあと、その状況自体になんだか切ないものを感じてしまいます。CD以外の選択肢が増えた必然的帰結であるとともに、「じゃあ、そもそも音楽を体験することってどういうことなの?」という哲学的な問いへとふと誘われてしまいますね。わたしは、少なくともパッケージにに触れること、封を開けること(US輸入盤特有のシール剥がしも)、ディスクをプレイヤーに挿入すること、ブックレットに直に触れることといったことは、決して音楽体験において聞くことと無関係なものとは思えず、買わなきゃわからなかったことというのがあるのだと信じます。

さて、今年のR&B業界ですが、トラップ系R&Bの定着とベテランの復調というのが、おぼろげながら感じることです。特に後者ですが、アンソニー・ハミルトン、タンク、ブラマク、ミュージック・ソウルチャイルド、ジャヒームなどおっさん系アーティストが手堅い作品を発表しているのが印象的で、このマックスウェルもその系譜に並ぶかもしれません。もうすぐキース・スウェットという超大御所の新作もリリースされますしね。もちろん、プリンスというレジェンドの死という出来事も忘れることはできません。

そんな中、やっと本題ではありますが、このマックスウェル、前作から7年というブランクを得てようやくの新作リリースとなりました。思えばその前作『BLACKsumeers'night』も8年ぶりというブランクものであったのですが、90年代ネオ・ソウルとして一括されるようなある種の音楽的潮流にいた人たちのマイペースっぷりというのは、また一つの現象のように思えるから不思議です(その極め付けがもちろんディアンジェロではあるのですが)。このマックスウェルも前作が3連作であると予告されていたことから、次作リリースは近いのかと思いきや、結果的にこれだけの月日が経ち、気づけば本人も43歳とガチでおっさん年齢になってしまっていました(ジャケ写観てるとずっとおっさんな感じがするけどw)。自作自演系の人であるだけに、良く言えば作品に対して一切妥協しないというポリシーの産物かもしれませんが、寡作過ぎるというのはなんだか寂しい気もしてしまいます。ちなみに96年デビューですが、この20年目にしてようやく5作目となります。

ここで、このアルバムの発売までの動きを少し振り返ると、2014年ころに雑誌のインタビューに答え、そこで現在次作を製作中であることを明かします。その後、SNSで2015年冬頃に新作をリリースする意向を明らかにするも発売に至らず。ようやく今年の4月になって6年ぶりとなる新曲を発売。そこからアルバムのリリースが確定しいまに至ります。

では、アルバムの中身を見ていくことしましょう。これまで同様、全曲マックスウェルのプロデュース(Musze名義)、加えて前作に続いてホッド・デビッド、デビューから付き合いであるスチュアート・マシューマンが共同制作者に名を連ねています。

2016年5月23日月曜日

Ariana Grande『Dangerous Woman』(2016)

しばらく遠ざかっていましたが、久しぶりにブログを書いてみることにしました。レビューしてみることにしました。

正直、いまの音楽業界の流れというか、何がいい音楽なのかそうでないかというのが、もうよくわからなくなっている自分がいます。一応、新作と呼ばれるものをチェックしたりはしますが、なかなか興味が持てないというか、ちょっと時間を置いたりしないとなじまなかったりということが当たり前のように起きています。歳をとったなあと感じます。

たとえば、ビヨンセの新作。レビューしようかとも思いましたが(2500円もしたし)、あることでわたしは躓きました。ビジュアルアルバムということで1時間の映像がセットなのですが、はっきり言うと通して観るのがツライ。いまだに最後まで行けてません。アルバム自体は聞きましたけどね。でも、あれ観ないとさすがにレビューできないでしょう。それに、歌詞や映像に込められた意味とか、ちょっと読み解く体力がない。

ドレイクの新作も購入してみました。尺が長すぎるw 物量といえばスヌープやエミネムも毎回すごいけど(というか、ひと昔のヒップホップ作品ってやたら詰め込む傾向あったよね)、ちょっとセールスダウンした『Nothing Was the Same』が1時間弱のコンパクト作だったことを反省したのか、大量に曲を入れ込んで来て、驚きでした。ファンはうれしいのかもしれず、確かに粒ぞろいの楽曲群だということもわかるけど、正直これには浸れないかなあと。

ということで、じゃあ何を聞いてレビューすればいい?と考えていたときに現れたアリアナちゃんの新作! 過去2作レビューしてるし、アルバム自体コンパクトじゃありませんか。難しいことは考えなくてよさそうだw よし何か書いてみようというわけですな。

とは言いつつ、彼女もまた難しい選択に迫られているのではないか、とそんな気がします。というのも、結局、アリアナ・グランデの魅力というか、これが売りだよみたいなのって、歌がうまいのとキュートなの以外にあまり思い浮かばないのですよね。まあ、その二つで十分という話もありますが、どういう音楽キャリアを築き上げればよいのかについて、きっとまだ方向性が定まらないというか試行錯誤の状態が続いているのではないかと勝手に推測しています。

そういえば、「Focus」というシングルがありました。ニュー・アルバムからのリード・トラックという触れ込みで、そこそこチャートヒットもしましたが、結局、正規のトラックリストからは漏れてしまいました(国内盤はボートラで聞けます)。それに、アルバムのタイトルも当初『Moonlight』という当たり障りのないものだったのが、気づけば『Dangerous Woman』へと変更。公表されたジャケ写もウサ耳コスプレの怪しいものへ。明らかに路線変更というか、より攻めた内容へ行こうとしているのがよくわかります。リード・トラックの反響がイマイチだったことから、売り出し方を再度検討したのかもしれません。 

ということで、日本でのプロモーションも盛んなアリアナちゃん(実は気がかりな動きだったりしますが)、渾身の3枚目がリリースされました。たぶん、過去作ほど売れないと思うけど、チェックしておく意味は十分にあるでしょう。

さっそく、行ってみたいと思います。

2015年10月5日月曜日

サブスクリプションの時代に寄せて


どうも、お久しぶりです。今回はレビューはお休み、番外編です。

ここ数ヶ月、わたしにとって久しぶりに音楽環境の変化が起こりました。そう、それはサブスクリプション型音楽サービスの開始です。

海外ではもう何年も前から展開されてきたこのサービスですが、今年になってようやく権利関係をクリアできるようになったのか、複数のストリーミングサービスが日本でも開始されるようになりました。

もちろん、これに乗らないわけにはいきません。ということで、メモ程度にサービス使用の雑感を書き残しておきたいと思います。

わたしがまず使用したのは世界各国で同時にスタートしたapple musicです。「あのアップルが~」っていうのと、世界同時スタートということ、すでにitunesを使用しており登録が簡単ということ、そして最初の3ヶ月が無料ということでさっそく登録してみました。

使ってみてまず何をしたかというと、やはりどんな音楽がカタログとして登録されているかということの確認です。残念ながら全体を見渡す目次のようなものはないため、アップルが勧めてくるもの以外は自分で探していくしかないのですが、洋楽に関してはかなりマニアックなものも含めて広範にアクセスできることに驚きました。残念ながら聞きたいと思う作品って大概持ってたりするので別にいまさらこれで探す必要ないわけだけど、ちょっと通常では手に入らないようなremixとか見つけちゃったりするとつい再生したり…とそんなふうに「知らない音源に気軽に触れる」ツールとして、これは使えると思いました。

しかしながら、そういうことを繰り返していくうちに飽きてくるというか、音楽探索ってそこまで続けられるもんじゃないということにしばらくして気付きました。これは年齢的な問題もあると思うのだけど、新しいものを探すよりも聞き馴染みのものを探すということを気づけばしてしまっていたりするのです。

そんな中、わたしが「発見した」と思ったアーティストがいて、それがMs.OOJAさん(J-POPの人です)。アップルの欠点として日本の音源がまだ充実していないというのがありますが、そんな中全てのカタログを彼女はストリーミングしていました。その音源の中で、90年台あたりの現在30代の人にとっての青春ポップスをカバーしていたアルバムが耳に止まりました。まあ、カバーアルバムを何枚も出さざるを得ないほどの苦労人ではあるのですが、ふと再生してみて、その出来が素晴らしかったのでちょっと懐メロモードに自分が入ってしまったのです。

ちなみに、JUJUさんとか他のカバーアルバムとも比較してみましたが(実は曲かぶりが多い)、やっぱり彼女のアルバムは選曲とアレンジ、そして歌声がすっと入ってくるので素晴らしいと思いました。こういう音楽体験は意外でおもしろいと感じました(ま、ちょっと疲れてただけとも言えるけど)。

そんなこんなをしているうちに9月に入り、あることが起きました。今度は、すでに海外で開始しているグーグルさんの音楽サービス(Google Music Play)が日本でも開始されることになったのです。しかも、グーグルさんの太っ腹なところとして、手持ちの音楽を5万曲までクラウドにアップロードしてそこからストリーミングすることができるというサービスまで付属させたのです(これが無料サービスだから驚き!)。手元に3万曲以上の音源があるわたしとしては、これを試さないわけにはいきません。「アップルさん、ごめんなさい」とばかりに、今度はグーグルさんのサービスを使うことにしました。

そうそう、料金ですが、アップルもグーグルも月額利用料は980円。だけど、グーグルさんは初回1ヶ月無料とトライアル期間が短い替わりに、いま登録すれば「月額780円」というサービスを打ち出してきました。みなさん囲い込みに必死でございますね。

さて、さっそく登録して手元の曲をアップロードするということをしてみたのですが、完了するまでに1週間以上かかりました(汗) これ気長にやらないとダメです。でも、おかげでブラウザ上で自分のライブラリーを再生できるというこの上なく便利な音楽環境を生み出すことができました(あ、大事なことを書いていなかった。アップルもグーグルもPC上でもアクセスできるというのが特徴なんだけど、専用アプリケーションを立ちあげなければいけないアップルさんと違って、グーグルはブラウザ上で直接操作できるのです)。

さらに特筆すべきは、いまわたしが持っている唯一の携帯端末であるタブレット(Nexus7)からもアクセスできるということ。グーグルさんのネクサスなので使えて当たり前ではあるのだけど、Androidにまだアップルさんが対応していないということもあり、もうこの辺で勝負あったかなという感じかもしれません。

肝心のカタログの方ですが、アップルと比べて遜色がないと思います。洋楽では若干少ないと感じる部分もあるけど、程度の問題でしょう。J-POPはこっちのほうがカタログが多いと言われていますしね。

ということで、何だかんだでお世話になっています、グーグルさん。

ちなみに、外出時に7型のタブレットにイヤホン挿して使うわけにはさすがにいかないので、ブルートゥースで音を飛ばして使っています。音質的には劣ることなく普通に聞くことができます。ただ、途中で気分が変わってアルバムを替えたりするのに、大きい本体をいちいちいじるのは面倒だなあと(まあ、いまだにスマホを持っていないわたしの貧弱な情報環境が一番の問題なんだけど)。

今後もおそらくいろいろなサブスクリプションサービスが登場すると思いますが、果たして音楽のあり方がこの先どのように変化していくのか、楽しみであります。

2015年8月28日金曜日

JoJo『The High Road』(2006)

この前久しぶりにこのアルバムを聞き返してみました。おそろしくも豪華なプロダクション、きっととてもお金のかかった作品だと思うのだけど(もちろん高い完成度です)、このアルバムを聞きながらふと思ったことがあるのです。それは、「なぜ彼女はアリアナのようになれなかったのか?」ということ。アリアナより遥かに若い彼女だし時代が違うから比較するのもあれだけど、売り出し方をもっと考えたら、きっとアリアナみたいにもっとブレイクできていたんじゃないかなあ、と。

いやいや、ちょっと待って。確かにアリアナほどブレイクしなかったかもしれなかったけど、このアルバムだって全米3位のヒット作だぞ。シングルの"Too Little Too Late"だって3位になったわけだし(確かプラチナ認定)。決してブレイクしなかったわけではない。

でも、この作品のリリースの後、彼女は表舞台から姿を消してしまうわけです。しかも、それ相応の期間。もう歌手活動はしないのかと誰もが思うほどに、「ああ、そういえばいたよね」って思われるほどに(たぶん)。彼女が当時まだ15歳だったという驚愕の事実(そして現在24歳。カムバックというにはあまりにも若い)を差し置いても、この長きに渡る沈黙はいったい何だったのかと思ってしまうわけですよね。

まあ、こういう話をするのは、今年になっていよいよ待望の3枚目のアルバムが出るのではないかという情報が出回っているからなのですが・・・

改めて彼女のことに簡単に触れておくと、彼女は2003年に若干12歳でデビューしたシンガー。ティーンというかキッズシンガーかもしれないけど、そのアルバムがあまりに本格的だったからビックリ、という例のやつです。しかも、ブラックじゃないのにがっちりR&B歌いこなしてるよ、っていう、そういうやつです(笑)

今回取り上げるのは、セカンドアルバムですが、まだまだ若いのにその完成度の高さに舌を巻く、っていう、まあそういうやつですよw

話を戻しまして、セカンドリリース後のブランクの大きな理由として、彼女が所属していたレーベルのブラックグラウンドとの関係がこじれたという話があります。詳しくは調べていないのでわかりませんが、あまりにも若くしてそのようなトラブルに巻き込まれるというのは大変なこと。ただ、それを差し引いても、どういう方向性を目指すのかについて彼女自身にもしかして多少迷いがあったのかもしれません。

地下に潜っていたとはいえ、調べてみるとレコーディングなど活動は続けていたようで、2010年にはインディペンデントで『Can't Take That Away From Me』というミックステープをリリースしています。さらに2012年には『Agape』というミックステープをリリース、昨年は『#LoveJo』というミックステープを発表し、コンスタントに音楽を発表しています。

とはいえ、熱心なファンでなければ、そこまでの情報は把握していないでしょう。かくいうわたしも、リリース当時に音源はチェックしていたように思いますが、そこまで注目はしていませんでした。完成度は高いなと思いつつ、何かピンとこなかったというのもありましたね。あの歌唱力は健在だったけど、どういう方向へ彼女は行こうとしているのかよくわからないなあとは思っていたのです。

しかし、今年に入ってアトランティックとの契約が正式に発表され、いわばこの地下活動が実を結んだわけです。いろいろあったけど、長い道のりの末にいよいよ彼女が再び表舞台へ。ということで、彼女がどんな展開を見せてくれるのか、俄然楽しみになってきたわけですよ。

で、先日シングルがリリースされたんですけど、それがこれ↓ですね。ポップバラードにEDM…どうでしょうか、これは。歌はうまいけど、ヒットするかと言われれば???なブツですね(汗) みなさん、どう思います?



それはさておき、彼女の強みは圧倒的な歌唱力。しかし、歌がうまい人っていうのは、どういう路線で行くのか実は難しかったりするんですよね。半ば何でもできちゃうっていうのもあるので。だからこそ、プロダクションが大切だったりするんですが。

そう考えると、とりあえず彼女にとっていまだに最新作であるこのセカンドアルバムをいま聞き直すというのも、意味のあることに思えて来ます。何度もいうけど、何だかすごいプロダクションだったからw

はい、そういうことで、さっそくちょい懐かしいこのアルバムをチェックしていきますよ。

2015年6月13日土曜日

Ciara『Jackie』(2015)

久しぶりに投稿です。

ちょっとね、洋楽自体から最近ちょっと遠ざかってましたw 全く聞かないわけではなく、新譜もそれなりにチェックはしていたのですが、何というか、そこまで熱心に追いかけていないというか、聞いたものをアウトプットするに至らないという状況がしばらく続きました。

まあ、それ以外のことで忙しくてブログ書いている時間が割けなかったということもあるのですが、それにしてもこんなに更新ペースを空けるの久しぶりだし、それに対して「あっ、そういえばブログ放ったらかしだったわー」という程に、関心が薄れていたのも事実です。

だけどね、敢えて別の視点から言うけど、今年のアメリカ音楽業界の動向みたいなのをぼんやりと見ていて思うんだけど、「いやー、本当にR&Bってどうなっちゃんだろうね」っていう感じなのですが、みなさんどう思いますか? みんなどこ行っちゃったんだろうって、そんな気になりませんか?

昨年のジェニファー・ハドソンの記事でも書いたことだけど、女性R&Bシンガーの苦戦っぷりというのがまず顕著。だけど、男性含めてR&Bというジャンルからそもそもヒットが生まれていない! 最新のHIP-HOP/R&Bチャートを見ても、チャートを埋めるのが見事なまでにラッパーであって、そこにチョコチョコとシンガーが顔を見せる程度になっているのですよ。

この状況をどう捉えるべきか。下半期にかけてビッグヒットが生まれると期待したいけど、とにかくこのジャンルがいまのトレンドではないということなんでしょうね。そこに一抹の寂しさを覚えてしまいます(ま、世の中猫も杓子もEDMやら何やらですからねえ~)。

さて、そんな中で、久しぶりの記事でどの作品を捉えるのか迷ったのだけど、いろいろと象徴的な気がしたのでシアラの最新作をピックアップしてみました。いや、単純にシアラが好きなだけなんだけどさw

シアラと言えば、前作からわずか2年のインターバルでの順調な新作リリースなんだけど、その間に別れちゃいましたね、フューチャーさんと。いやー、早いわ。そして、さっそくそれをネタに曲作ってるしw いや、ネタにしては壮大過ぎるんですけどね・・・。

逆に創作意欲に火がついたのかもしれませんが、彼女のようにサウス系のビートを基調としつつ、トレンドを取り入れながら先端的なR&Bサウンドに挑戦してきたアーティストが、いまの時代にどんな音楽を提示してきたのか、個人的にはそこに興味があったりします。

ということで、アルバムの中身に移っていきましょう。


2015年2月8日日曜日

Jazmine Sullivan『Reality Show』(2015)

あ、あけましておめでとうございます・・・久しぶりの更新です。

気付けば年も明け、グラミー賞の発表が近づく時期にまで来てしまいましたが、ようやくというか、ボチボチとブログを再開したいと思います。

さて、ジャズミン・サリヴァンです。以前にブログで一度彼女のデビュー作を取り上げたことがありましたが、4年のブランクを経て見事にカムバックしました。一時期は引退宣言もあっただけに、こうして帰ってきてくれたのはうれしい限りです。やっぱり彼女の声は唯一無二のものですからね。裏方としてのクレジットもここ最近チョコチョコとみられるようにはなっていましたが、表舞台に再度あらわれたということでめでたいことです。

でも、まあ、彼女のような才能のあるアーティストが簡単に音楽業界から足を洗うとはだれも思わないですよねw 前作リリース後にはいろいろと不満をぶちまけたりもしていましたが(「わたしはロボットじゃない」なんていう曲もありました)、つまり成熟するために時間が必要だったということだったのではないでしょうか。その結果、彼女がどんな作品を作り出したのか、そこが注目ですね。

まず今作のタイトルですが、「リアリティ・ショー」と名付けられています。R&Bシンガーもその舞台に登場することもあるだけに、このタイトルなかなか意味深ですが、彼女の生きざまを示したものなのか、テレビ的なリアリティを揶揄したものなのか、とにかくこれまでと違うことがこれだけでもわかります。

次に、これは予想できたことですが、今作にはあのミッシーが不参加です。彼女に決定的なヒットを授けてきただけに残念といえば残念ですが、もし新たな道を模索するなら必要な別れだったのかもしれません。替わりに、サラーム・レミ(彼はデビュー作から連続で参加)、新たにキー・ウェインやチャック・ハーモニーといった面々がプロデューサーとして名を連ねています。

それではさっそくアルバムの中身へうつることにしましょう。

2014年12月26日金曜日

The 5 Best Album of the Year 2014/今年のベストなアルバム5枚

今年も残す所わずかになってきました。もうブログの更新ペースが落ちまくりで、ちょっと残念なことになっていますが(汗)、音楽への興味を失わない限り、続けたいとは思います。

さて、年末なので昨年に引き続き、個人的に印象深かったアルバムを取り上げておきたいと思います。前回は勝手にカテゴリー組んで「~~賞」みたいな感じでやりましたが、もう面倒なのでカウントアップ形式です。しかも5枚だけw

いや、振り返ってみて思うに、実はそれほど突き抜けた作品が個人的になかったような気がしています。うーん、聞き逃した作品もたくさんあったかもしれないけど、そういうのも含めて、今年ってどうだったかなあという印象を持っています。

背景としては、このブログの主軸であるR&Bやヒップホップ分野に元気がなかったということかもしれません。まあ、年末に向けて話題作がちらほらと出ましたけど(ディアンジェロとか)、どうも昨年末のビヨンセ騒動以降、元気がないような気がするのは何なんでしょうね。イギー・アザリアのブレイクとか、新風もあったにはあったけど、ああこれで今年も終わるのねと思うとなんだか切ない・・・

何はともあれ、さっそく5位からいきませう。

2014年12月5日金曜日

Mary J. Blige『The London Sessions』(2014)

メアリーJ.ブライジの今年2作目となるニュー・アルバムがいよいよリリースされました。通算13枚目。齢43にして、いま脂が乗っているといってもいいかもしれません。

しかし、正直いうと、個人的にはかなり不安がありました。以前別記事で書いたことだけど、ここ最近のメアリーといえば、サントラ盤にクリスマス盤に、そしてタイトルそのままにロンドンで制作された今作と、企画物が続いています。この動きというのはある種の賭けとも言えるもので、40歳を越えて新たな試みに挑もうとしているR&Bレジェンドの果敢な姿勢の現れとも捉えられるし、しかしながら一方で仮に商業的に失敗したとしても「企画物だから」という逃げ道のあるリスクヘッジに基づいたものとも言えるわけです。サントラが大コケした後だけに、果たして今回はどうなんだろうと、発売前からドキドキさせられました。

振り返れば、正統的なオリジナル作である『My Life II』(2011年)は、いまいち垢抜けない作品でした。続き物がオリジナルを越えられないという定説を、あざとくも証明するような形になってしまったわけです。そこで、メアリー自身も何か感じたのでしょう。企画物を続けることで、アーティストとして何か新しい自分を見出そうとしたのかもしれません。一線で活躍し続けることの難しさですね。

ここで、このアルバムの背景を一応紹介しておきましょう。この企画の発端となったのはイギリスのエレクトロデュオ、ディスクロージャーの「F For You」のリミックスへのヴォーカル参加でした。これ自体なかなか斬新な組み合わせではありましたが、このリミックスのヒットを機に、メアリーはディスクロージャーとEPを制作できないか画策します。そして、新たなサウンドを求め、彼女は1ヶ月のロンドン滞在を決め、そこで現地のミュージシャンとのコラボレーションを重ねることになります。その成果が今作というわけです。アルバムの制作にあたっては、旧知の仲であるロドニー・ジャーキンスが音楽面での指揮を取ることになるのですが、よくもこの短時間でこれだけのプロジェクトを完成させることができたなあと思いますね。彼女がロンドンに滞在していたのは7月ですからね。どこまで彼女が動いたのかわからないけど、今作のためにキャピトルと契約まで結んでいるわけで(ちなみに企画盤ではヴァーヴ、エピック、キャピトルとレコードディールを替えていますが、インタースコープとの契約はもう切れたんでしょうか?)、そう思うとこの行動力はさすがと言えます。

前回のサントラとは違い、今回はプロモーションもたっぷりと行われました。9月にはiTunes Festival
への出演を果たしたほか、各種テレビへの登場もありました。しかし、残念なことに、先行リリースされたシングルはどれもチャートインせず、という厳しい結果に。R&Bシーン自体の停滞という側面もあるかもしれませんが、この反応の薄さは想定外だったかもしれません。

しかし、延期することなく今作は無事に発売されました。これは潔いことだと思います。何はともあれ、この待望の新作の中身を紐解いてみることにしましょう。

Faith Evans『Incomparable』(2014)

フェイス・エヴァンスが通算6作目となるニュー・アルバムをリリースしました。2年前には『R&B Divas』というグラミーにもノミネートされたコンピレーションのリリースもありましたが、純然たる新作ということになると、4年前の『Something About Faith』以来ということになります。

ちょうど、音楽キャリアをスタートしてから20年という節目の年にリリースされた今作ではありますが、20年にしてようやく6作目とは・・・なんとも寡作であります。前回取り上げたキーシャ・コールが10年足らずで6枚のアルバムをリリースしたのとは対照的です。たくさん出せばいいってわけじゃないし、実際には、アルバムのリリースにはレコードディールやプロモーションなどさまざまな条件があるわけで、作ったからといってすんなり出せるというわけでもないんだけど、まあ、ゆっくりながら着実に活動しているという印象ですね。

寡作といえば、同じく90年代半ばにデビューしたブランディーやモニカもそうですね。共通しているのは、子育てとシンガーの両立ということでしょうか。フェイスもご多分にもれず、振り返ると波乱の私生活を送っているわけですが、さまざまな経験や困難が歌へと昇華される姿を見ると、やはりアーティストだなあと思わされます。

急いで付け加えなければいけないのは、これだけマイペースに作品を発表しているフェイスではありますが、彼女のR&Bシンガーとしての特異な位置、その存在感はこの20年に渡り決して揺らぐことはなかったということです(少なくともわたしはそう思います)。今作のタイトルはいみじくも"Incomparable"(比較できない、唯一無二の)なのですが、まさしく、R&B業界においてこれだけ特徴的な、存在感のある声の持ち主はそういるわけではありません(魅惑のソプラノヴォイスですね)。そして、20年の時を経ても、全く衰えることがないというのも驚くべきことでしょう(むしろ成熟している)。

ここ最近の彼女といえば、リアリティ・ショーの『R&B Divas』への出演が話題でしたが、昨年から今作へ向けて動き始めており、今年になってアルバムのタイトルの発表がありました。そして、そのリリースの口火を切ったリードシングルがミッシー・エリオットとの共演ということで、ファンの間で話題を呼びましたね(たぶん)。チャート的にそれほど盛り上がったわけではありませんが、個人的には「キタ~」と思いましたよ。

ということで、いよいよリリースされた彼女のニュー・アルバムを紐解くことにしましょう。今回はほぼ全曲でフェイスがソング・ライティングのみならずプロデュースに関わっています。

2014年11月7日金曜日

Keyshia Cole『Point of No Return』(2014)

キーシャ・コールの通算6枚目にして、インタースコープからの最後のリリースと言われているニュー・アルバムを今回は取り上げます。

前作の『Woman To Woman』はこのブログでも取り上げましたが、それから約2年ぶりの新作ということで、リリースのペースとしては順調と言えるのではないでしょうか。

ただ、実際にこのアルバムに関してはいろいろと思うことがありまして、今回はそのことをまずは書きたいと思います。

まず、困ったのは今回のアルバム、大阪の大きなCDショップをいくつか回ったのだけど、輸入盤ですらフィジカルで流通してないのねw これには驚きました。すでにリリースしてから1月経っているけど、いまでも状況は変わらず・・・本国でもマイナーと思われるようなCDも取り揃えるような店で、彼女のCDを取り扱っていないのはなぜなんでしょうね。しかも、その店のウェブサイトではリリースされたことが告知されているのですよ。不思議過ぎます。

今後もしかしたら入荷の予定があるのかわからないけど、仕方ないので今回はitunesでダウンロードしました。当然ですが、今作は国内盤も出ないでしょうね。これでは、話題にもならないままフェイドアウトしても仕方あるまい・・・

それよりも、問題なのはこのアルバムの中身でしょう。具体的なことはこれから述べますが、この作品を聞きながら私の中にあることが思い浮かびまして、それは、ポスト『Beyoncé』時代をR&Bシンガーはどう生き残るのかということです。

この前も書いたけど、女性R&Bシンガーにとって今年は厳しい時代になりつつあります。確かにヒットチャートをみると女性アーティストが大活躍しているわけです。ただし、そこにR&Bシンガーは居てない。昨年末にビヨンセが一人勝ちして以降、ある意味R&Bはヒットの方程式を見失ってしまったかのような気さえします。ニューカマーとして期待されたジェネイ・アイコやティナーシェですら、チャート上でそこまでのインパクトを残せたわけではありません。

おそらく、その象徴がメアリーJ.ブライジの企画物CDであって、今月リリースの新作がどのような反応があるかわからないけど、少なくとも今年6月に出したサントラはあり得ないほどの大失敗。1年に2作という冒険は素晴らしいのだけど、一方で「企画物だから」という逃げも用意されている・・・メアリーですらそういうリスクを計算しなければいけない状況なわけです。

この前取り上げたジェニファー・ハドソンは、ある意味その解答の一つかなと思います。つまり、PBR&Bとの距離の取り方というか、そのムーヴメントにどこまで乗っかるのか、乗っからないとして、ではどういう方向性を目指すかということです。彼女の場合は、EDMという路線も避け、70年代のディスコ・ソウルへその活路を見出したわけですね。ただし、チャート的には成功しなかった。

では、キーシャ・コールの場合はどうか、という話なわけですね。結論から言うと、やっていることが中途半端というか、これは駄作と言わざるを得ない。彼女の良さが全然伝わらない。そして、彼女がこんなアルバムを作らざるを得なかったいまの時代とは、いったい何なのだろうと考えてしまったわけです。

ということで、さっそく中身をチェックしていきましょう。今回はブックレットがないために詳細がわからないのがツライのですが、分かる範囲で書きたいと思います。

2014年10月26日日曜日

Kem『Promise To Love』(2014)

アメリカR&B/ソウル業界における最右翼!とすら言いたくなる、ケムのニュー・アルバムを今回は取り上げます。

ケム…彼の名を知っているとすれば、相当にR&Bフリークなのではないでしょうか。そうであるが故に、音楽好きに「ケムとか好きなんだよね」とか言っちゃった日には「あんたどんだけ渋い趣味してんのよ」と突っ込まること間違いなしのアーティスト、それがケムです(笑)

なにせ、この徹底した普遍志向とでもいいましょうか、タイムレスでエバーグリーンなサウンド、土臭いソウルというよりも洗練されたジャジーなソウルを追求したその姿勢は、音楽業界におけるある種のバックラッシュ的な働きを果たしていると言えるものです。そこにあるのは「ただグッドミュージックを届けたい」という志のみ(たぶん)。トレンドへの意識とかクラブで盛り上がろうとか、そんなものへの関心は微塵もありません。

そんなケムが、貪欲に進化をしつづける現代のR&Bに食傷気味なリスナーの心の拠り所となったとしてもおかしくはないでしょう。

さて、ケムとは何者か。国内盤も出ておらず情報が少ない中ではありますが、紹介の意味を込めて少しまとめております。

ケム(本名はキム・オーウェンズ)は、デトロイト出身のシンガー・ソングライターです。ケムを語る上で避けて通れないのが、彼のいくつかの決定的とも言える経験、すなわち、高校卒業後に体験したホームレス生活とドラッグ中毒です。彼はこの経験を通じて、自身のスピリチュアリティを見つめなおす機会を得、そして音楽の道へと進むことになります。90年代の出来事です。

それから月日が経ち、2001年ついにデビュー作『Kemistry』をインディペンデントでリリースします。しかしすぐにヒットしたわけではありません。草の根の音楽活動をしながら徐々に認知度を広めていった彼は、現在も所属しているレコード会社であるモータウンと契約し、アルバムを再リリースすることになります。

このアルバムから最初のヒット曲「Love Calls」が生まれます。主にアダコン系のラジオを中心に話題となったこの曲のおかげもあり、デビュー作は50万枚を超えるヒットを記録します。

その後、2005年にはセカンド・アルバム『AlbumII』をリリース、これがいきなり全米5位の大ヒットを記録、そして5年のブランクを経たサード『Intimacy: Album III』はなんと全米2位を記録。彼にとって最大のヒットになるとともに、グラミー賞で2部門にノミネートされるなど、着実に実績を残していきます。

そんな彼の、クリスマス盤を挟んで4作目を、それではさっそく鑑賞してみたいと思います。

2014年10月13日月曜日

Jennifer Hudson『JHUD』(2014)

ジェニファー・ハドソン、通算3枚目のアルバムを今回は取り上げます。

ですが、このアルバムの紹介をする前に、ビルボードの記事の中に興味深い文章があったので引用することから始めたいと思います。

ビルボード曰く、「女性R&Bシンガーにとっては不遇の時代である。現在[この記事の執筆時点]のR&B/ヒップホップチャートでトップ25にエントリーしているのはわずかにティナシェ、ビヨンセ、ジェネイ・アイコだけ」と。男性シンガーとラッパーがチャートを席巻するというのが、いまの全米のチャートであるというわけです。

つまり、そういう状況において彼女は新作をリリースしないといけなかった、ということです。音楽をめぐる状況が一定であるはずはなく、女性シンガー大活躍の時代も過去にはあったわけですが、、ただ、いまはそうなっていないということですね。

言われてみれば「なるほど」と思うと同時に、このジェニファー・ハドソンも、チャートアクションでは確かにかなり苦戦を強いられているなあということを思い起こしました。

まず本作へ向けた動きをみると、リードシングルとして昨年9月に発表された「I Can't Describe」はファレル作ということで話題にはなりましたが、R&B/ヒップホップチャートで29位どまり。今年に入って、ティンバランド作「Walk It Out」で反転攻勢を試みるも46位とチャート的には奮いませんでした。

それでも、アルバムがリリースされたのは喜ばしいことではありますが、その影響もあって、今作も全米初登場10位と過去の彼女の実績からすれば、かなり落ち込んだ結果になりました。

ただ、それと作品の質は別物。70年代の音楽にインスピレーションを得たというこの新作をさっそくチェックしたいと思います。

2014年10月3日金曜日

Jhené Aiko『Souled Out』(2014)

ロサンゼルス出身の女性R&Bシンガー、ジェネイ・アイコの待望のデビュー・アルバムを今回は取り上げます。

母親が日本人とアフリカ系アメリカ人のミックスということで、アジア系の出で立ちが我々にも親近感を抱かせる彼女ですが、現在26歳でありながら、その音楽キャリアは苦節14年を誇る、苦労人でもあります。

彼女が音楽業界に足を入れたのは2000年の頃、姉がGyrlというグループで活動していた縁で、クリス・ストークと知り合いになり若干12歳にしてエピックと契約、当時彼がプロデュースして勢いのあったB2Kのアルバムに参加したりツアーに同行しながら、自身のソロデビューへ向けても準備を進めますが、これが残念ながらお蔵入り。その後、一度音楽活動を休止し学業に専念、彼女の20歳の頃にはR&Bシンガーのオライオン(オマリオンの弟)との間に娘のナミコを授かり、一児の母になります。

それから時を経て、2010年頃から彼女は音楽活動を本格的に再開。まずは西海岸のラッパーの作品にゲスト・ボーカルで参加し知名度を上げます。それも、ケンドリック・ラマーにスクールボーイQにアブ・ソウルと、なかなかに濃いメンツ。そして、自身も2011年に初のミックステープとなる『sailing soul(s)』をリリース、カニエやドレイクまで参加した豪華な作りのこのアルバムが業界で高い評価を得ることになります。そこから、デフ・ジャム傘下にあるNo.IDのレーベル、アーティウム(ARTium)レコーズと契約し、2013年には本作の前哨戦とも言えるEP『Sail Soul』をリリース。全米8位を記録します。

そして、今年になっていよいよ発表されたのが本作というわけですが、すでに業界的な期待値が上がっていた中でのリリースということで、彼女の歌声を知っていた人にとっては、随分と待たされたという気がしないでもありません。プロモーションに十分に時間をかけたと言えそうですが、その効果もあって、本作は初登場全米3位のヒットを記録しています。先行シングルが目立ったヒットをしていない中で、これは大健闘といえるでしょう。

ということで、期待の新人でもある彼女のデビュー作の内容をさっそくチェックしていきましょう。

2014年9月26日金曜日

Tank『Stronger』(2014)

タンクの通算6作目となる新作を今回は紹介しましょう。

タンクということでわたしの脳裏にはふと「アニキ系R&Bシンガー」ということばが浮かびました。何と言っても、2001年のデビューアルバムで披露した見事な肉体美(特に上腕二頭筋ね)、あの過剰なまでのマッチョイズムの印象は強烈でしたからね。そして、セカンドでは一度引っ込んだその肉体表現が、5年の時を経たサードでさらにバージョンアップして復活した時の衝撃といったら・・・上半身裸の自身の肉体をジャケ写に用いるアーティストは多くいても(これ自体興味深い現象ではありますが)、あそこまでムキムキなのはタンクをおいて他にいないでしょう。

まさに「アニキ~」と呼びたくなるようなヴィジュアルなのですが、そのヴィジュアルに反して歌は甘くて繊細だったりするから、またそのギャップにやられてしまうんですよね。歌声にそれほど特徴があるわけではないけど(失礼!)、それでも彼に虜になるファンがいるとしたら、そんな要素もあるかもしれません。

急いで付け加えますが、彼はさまざまなアーティストに楽曲を提供する優れたソングライター/プロデューサーでもあります(アリーヤ、ビヨンセ、モニカなど…)。だからこそ、あのムキムキの意味はいったい何なのだろうとわたしは考えてしまうのではありますが、彼が高校時代にアスリートとして活躍していてもともと肉体的に恵まれていたことと、R&Bの一要素とも言えるセックスアピールを強調したイメージ戦略というのが関係あるのではないでしょうか。余談ですが、振り返れば1枚目、3枚目、5枚目と奇数のアルバムで裸を披露しているので、次作ではまた裸のタンクを拝むことができるかもしれません。

さて、「アニキ系~」と言えば、昨年すごいプロジェクトが業界で話題になりました。そう「TGT」(タイリース、ジェニュワイン、タンクの頭文字をとったグループ名)ですよ。肉体的にも素晴らしい三人のアーティストによる夢の共演で(ってすごい括りですが)グラミー賞にもノミネートされるなど、R&Bファンにはたまらない活躍をみせました。

そんなタンク兄の2年ぶりとなるアルバム。シンガーソングライターとしてコンスタントに活動を続ける彼の最新作をさっそくチェックしましょう。

2014年9月19日金曜日

Jennifer Lopez『A.K.A.』(2014)

ジェニファー・ロペスの8枚目となるオリジナル・アルバムです。あまり日本語で取り上げているサイトがないので、今回はこの作品をレビューしたいと思います。

言うまでもなく、ジェニファー・ロペスといえばさまざまな映画への出演経験(もちろん主演多数)のある大女優であるとともに、音楽業界においてもコンスタントにアルバムをリリースしヒットを飛ばすシンガーであります。アーティストがが映画に出るパターンは幾多あれど、始めから両軸あって活動を続けられる人はアメリカでも稀であり、彼女の特異な立ち位置を示していると思います。

そんなJ.LOの最近の音楽業界での動きを少し振り返っておきましょう。

近年の彼女の大ヒットといえば「On The Floor feat. Pitbull」ですね。音楽性的にはR&B/ヒップホップを主軸にして時にラテンフレイバーの楽曲を制作するというのがこれまでの彼女だったわけですが、この曲では大胆にEDMを取り入れ、誰もが知る「ランバダ」のサンプリングとともに、新たな地平を開いたと言えます。

この曲のヒットを受けてリリースされたアルバム『LOVE?』(これも何度も延期を繰り返しレコード会社を移籍してようやくリリースされたという作品でした)では、いままでになくダンサブルなサウンド満載の弾けたJ.LOを堪能することができました。かつてジャネット・ジャクソンのバックダンサーを務めたこともあるとのことですが、パフォーマンスでも40代とは思えぬキレのあるダンスを披露してまだまだ現役であることをアピールしていましたね。

そんな彼女ですが、昨年には新たにキャピトル・レコードと契約を結び、新作へ向けてのレコーディングを続けてきました。その第1弾となったシングル「Live It Up」は、レッドワン制作のEDMチューンでクラブヒットはしたけどチャート的には盛り上がらず、今作にも残念ながら収録されていませんが、逆にそのことが今作の方向性を定めたのでしょう。事前情報でR&Bサウンドへの回帰が謳われ、フタを開けてみれば確かに従来の彼女の延長にあるアーバンなサウンドになっていました。あれだけブームに乗っかったEDMとは一度別れを告げたわけですね。

ということで、さっそく内容にうつっていきたいと思います。

2014年9月11日木曜日

Ariana Grande『My Everything』(2014)

アリアナ・グランデの約1年ぶりとなるセカンド・アルバムです。去年このブログでデビュー作を取り上げてから1年、こんなに早く次作のレビューをするとは思いもしませんでした!

それにしても、スター街道まっしぐらですね。現在21歳ということで、アーティストとしても勢いのある時期だと思いますが、このハイペースでのリリースはもしやポストリアーナ的なポジションを狙っているのかと思わせるほどです。普通、こんなに早いインターバルでアルバムを出しませんからね。

そして、今年に入ってから来日も果たしていて、キュートなルックスも相まって日本での知名度も着々と上げつつあるのが素晴らしい。リアーナよりは確実に日本受けがいいだろうとは思いますが、押さえるところを押さえているのはさすがですw

アリアナちゃんのここ最近の動向を振り返っておきましょう。今年の1月には早くも次のアルバムに向けて動き出しているとの情報があり、実際に4月下旬にはイギー・アゼリアと組んだリードシングル「Problem」を発表、これがいきなりの大ヒットになります。全米チャートで見事2位を獲得、イギー・アザリアの「Fancy」がヒットしていたタイミングでもあり、この時機を得たコラボで一気に流れをつかみます。

そして、このヒットの勢いを保ったまま、次にセカンド・シングルとして「Break Free」を投下、こちらもいま勢いのあるDJ、Zeddとのコラボレーションで全米4位を記録します。さらには、ジェシー・J、ニッキー・ミナージュとのコラボである「Bang Bang」も同時期にリリースされ、こちらも全米4位のヒットとなります。

短期間でこれだけヒットチャートの上位にシングルをランクインさせるのは並大抵のことではなく、彼女の勢いを感じさせる出来事だと思いますが、この勢いのままにリリースされたのがセカンド・アルバムということになります。

では、さっそく中身をみていくことにしましょう。